武蔵小杉ブログ(武蔵小杉ライフ 公式ブログ)

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2011年
02月11日

川崎歴史ガイド・中原街道ルート(11):「庚申塔と大師道」

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連載第10回で取り上げた供養塔から中原街道の道路を挟んで反対
側、少し府中街道寄りに、「庚申塔」が祀られています。

■中原街道の庚申塔
中原街道の庚申塔

■「庚申塔と大師道」のガイドパネル
「庚申塔と大師道」のガイドパネル

この庚申塔は、古くから「油屋」の屋号を持つ家の角にあったために
「油屋の庚申様」と呼ばれていた
そうですが、現在では油屋は残さ
れておらず、マンションになっています。

庚申塔というと、都電荒川線の「庚申塚」などのように各地に名前や
実物が残されていますが、これは道教の伝説に基づく儀式「庚申講」
(庚申待)
によって建てられたものです。

道教の伝説によると、人間の頭・腹・足には三尸の虫(彭侯子・彭常
子・命児子)がおり、いつもその人の悪事を監視
しているとされてい
ます。
三尸の虫は庚申の日の夜、人間が寝ている間に天に昇って天帝に
日頃の行いを報告
し、それによって人間の寿命や死後の行き先が
決められると信じられていました。

全く悪事に心当たりのない人間というものはなかなかおりませんの
で、さてどうするかというと、庚申の夜は神々を祀り、徹夜で宴会を
して三尸の虫が天に昇れないようにしていた
のだそうです。
その祭祀行為が「庚申講」(庚申待)であり、それを3年間続けると、
記念に庚申塔を建立
するのが習いだったようです。

■中原街道の庚申塔の像
中原街道の庚申塔の石像

中原街道の庚申塔の像

■見ざる、聞かざる、言わざる
見ざる、聞かざる、言わざる

中原街道の庚申塔は、「講」に加わっていた近隣の「講中」の方々に
より、1843年(天保14年)に建立
されたものです。前回の「附木屋」の
供養塔が建立されたのが5年後の1848年ですので、ほぼ同時期に
あたりますね。
建立から167年が経過し、現在では神様の顔はほとんど風化して
平らになっていますが、下部には三尸が人間の悪事を報告しない
ことを願って彫られた「見ざる、聞かざる、言わざる」の姿が確認
できます(『庚申』とは干支の『さる』のことですね)。

「川崎歴史ガイド」の冊子によれば、少なくとも冊子が発行された
1984年時点においては、講中の皆様が庚申の日に集まる慣習が
続いていた
そうです。

■「講中」の名前が書かれた看板(お名前は伏せてあります)
「講中」の皆様の名前が書かれた看板(お名前は伏せてあります)

■庚申塔に供えられたお花
庚申塔に供えられたお花

庚申塔の内部を見ると、講中の皆様のお名前が書かれていました。
これはまだ新しいもので、「平成8年1月」と設置された年月が記され
ています。
また、現在においても庚申塔にはいつもお花が供えられていますの
で、庚申塔が引き続き大切にされている
ことが伺われます。

■庚申塔の道標「東 江戸道」
庚申塔の道標「東 江戸道」

なお、庚申塔は道標の役割を兼ねていることが多く、「油屋の庚申
様」にも、「東 江戸道」「西 大山道」「南 大師道」という文字があり
ます。
写真ではわかりにくいと思いますが、上記は「東 江戸道」と彫られ
ているものです。

■庚申塔から分岐する大師道
庚申塔から分岐する大師道

かつてはこの庚申塔で大師に向かう府中街道が分かれていたもの
で、現在もその旧道は大師道と呼ばれています。
この大師道ををまっすぐ行くと、程なく現在の府中街道にぶつかる
ようになっています。

1843年に庚申塔が建立されてから、街道をゆく人たちがここを目印
に各方面へ行き交っていたのではないでしょうか。

■「庚申塔と大師道」マップ
「庚申塔と大師道」マップ

【関連リンク】
(川崎歴史ガイド・中原街道ルート連載)
2009/9/23エントリ (1):「丸子の渡し」
2009/10/6エントリ (2):「旧原家母屋跡地」
2009/11/9エントリ (3):「旧名主家と長屋門」
2009/11/29エントリ (4):「明治の醤油作りと八百八橋」
2009/12/21エントリ (番外編):「武蔵小杉駅の八百八橋」
2010/2/9エントリ (番外編):「丸子の渡しガイドパネル入札不調」
2010/2/14エントリ (5):「小杉御殿と『カギ』の道」
2010/3/30エントリ (6):「小杉御殿の御主殿跡」
2010/5/23エントリ (番外編)「中原区役所の八百八橋」
2010/6/28エントリ (7):「小杉陣屋と次大夫」
2010/7/19エントリ (8):「御蔵稲荷と多摩川」
2010/8/19エントリ (9):「西明寺と小杉学舎」
2010/11/12エントリ (10):「小杉駅と供養塔」

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