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2012年
01月25日

アリオ武蔵小杉建設に伴う、パークシティ武蔵小杉の用途地域変更に関する川崎市の見解

hatsushimo.gif

東京機械製作所玉川製造所跡地に大型複合商業施設「アリオ
武蔵小杉」を建設するために、川崎市が隣接するパークシティ
武蔵小杉の用途地域の変更
を打ち出しています。
昨年11月には公聴会が実施され、パークシティ武蔵小杉ミッド
スカイタワー理事会が公述人として用途地域変更の代替案等を
提案
されていました。

このたび、川崎市よりその公述に対する見解が示されました。

■川崎市まちづくり局 川崎都市計画素案
http://www.city.kawasaki.jp/50/50tosike/home/
osirase/tosikeikaku/sinmaruko_h23/soan/top.htm


まずは全体の背景からおさらいしましょう。
アリオ武蔵小杉は、高さ31m・最高部40mの建物として計画されて
いますが、北側のパークシティ武蔵小杉の用地は「第二種住居
地域」
となっています。
第二種住居地域は、4m水平面で冬至8時~16時の間の日陰が
3時間未満となるよう日照が保証
されています。この規制にアリオ
武蔵小杉の建物が抵触するため、このままでは建築許可を出す
ことができません。

このため、川崎市が当該地区の用途地域を「商業地域」に変更し、
日照規制を撤廃
ことを打ち出したわけです。

■ミッドスカイタワー(左)と東京機械製作所玉川製造所(右)
ミッドスカイタワー(左側)と東京機械製作所玉川製造所(右側)


この用途地域の変更はパークシティ武蔵小杉の分譲時から昨年
に至るまで周知がなされたものではありませんでした。
これを受けて、前述の通り、2011年11月26日に開催された都市
計画公聴会
において、パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワー
管理組合が公述人として立ち、用途変更にあたっての代替案を
提示
されていました。
2011/12/3エントリ参照)

今回川崎市より示されたのは、この公述に対する川崎市としての
考え方
です。
用途地域変更に対する公述人の提案を退ける一方で、ミッドスカイ
タワーと東京機械製作所の当事者間の建築協定についてはこれを
支持
するものとなっています。

ミッドスカイタワー管理組合による公述申述書の要旨と、川崎市
まちづくり局による見解の要旨を以下に示します。
(公述申述書の要旨は前回エントリの再掲となります)

<公述申述書および川崎市の見解の要旨>

1.建築基準法第56条の2第1項 ただし書適用を求める件


(公述申述書の要旨)

■これまで行政はミッドスカイタワー敷地を商業地域に用途変更
することは既決定であり、周知事項と説明してきた。しかしミッド
スカイタワーが販売された平成20年以前に川崎市が発表した
行政文書のどこにも当該記述は見当たらない。
■用途地域が第二種住居地域であることに着目してミッドスカイ
タワーを購入された者も相当数認められる。
■本年8月末になって初めて川崎市まちづくり局職員より、管理
組合に対して非公式の打診を受けた。我々の要請に応える形で
9月30日に区分所有者向けの非公式説明会を実施した。
■上記において、区分所有者が納得できる説明はなされていない。
■以上の経緯に鑑み、多くの区分所有者にとっては、商業地域
への用途変更は予見可能な事情と解することは困難である。
■そこで我々は川崎市に対し用途地域の変更の撤回を求めるが、
東京機械製作所再開発事業の遅延は本意でない。また、無限の
将来にわたって現在の用途地域の維持を求めるものではない。
■我々が主張しているのは、これまで享受してきた第二種住居
地域としての法益を奪う前に、他の代替措置を検討し、当該代替
措置では、都市計画行政の目的を遂行する上で、重大な公益
侵害があること若しくは他の利害関係者に対して回復しがたい
急迫な権益侵害があることを実証したうえで、利害関係人からの
理解を得る必要があると言っているに過ぎない。
■しかしながら、これまで川崎市からは、このような実証的な
説明はなされていない。
■そこで我々は代替措置として、建築基準法第56条の2第1項
「ただし書」の適用を提案する。当該措置は既存住民の法益を
変更せずに東京機械製作所再開発を可能とする、有力な代替
措置と考えるからである。
■これに対して、川崎市は先例がないとの理由から消極的な
姿勢を示している。
■ところが、ミッドスカイタワー自体が、この「ただし書」の適用に
よって建築許可が下ろされている。「ただし書」の適用により、
北側隣接地域を第二種住居地域から変更せずにミッドスカイ
タワーが建設されたわけで、全くの同条件でないにせよ先例
は存在している。
■住民自身が考えた行政法規上の具体的なカウンター提案をも
拒否し、住民から十分な納得も得られないままで、用途地域
変更を遂行するのが、果たして望ましい自治体行政なのか、
川崎市並びに関係行政官庁は真剣に考えていただきたい。

(これに対する川崎市の見解の要旨)
■小杉駅周辺地区では、都市機能が集積した広域的な拠点の
形成をめざしている。
■この一部を構成する小杉駅南部地区は、都市基盤施設の整備
水準が低く、土地の高度利用が図られていない状況にあった。
そこで、当地区においては「小杉駅南部地区地区計画」を平成16
年に策定し、魅力にあふれる複合市街地の形成をめざしたまちづ
くりを進めてきた。
■ミッドスカイタワーが位置するD 地区およびステーションフォレスト
タワーが位置するE地区は、都市計画道路武蔵小杉駅南口線の
整備とあわせ、商業施設、文化交流施設及び都市型住宅等の
駅前にふさわしい機能の集積を図ることとしており、その土地利用
動向にあわせ、現在の第二種住居地域から将来商業地域に変更
することを想定し、まちづくりを進めてきた。
■地区内の容積率については、現在の第二種住居地域における
200%(一部300%)から、将来は商業地域で定める400%に変更
することを想定し、さらに、敷地内の広場や公開空地等を評価する
ことなどにより、さらに400%加算し、最終的には800%の容積率と
することを地区計画で定めており、このような考え方により緩和
された容積率を用い、現在の建築物が建築されている。
■用途地域の変更の時期につきましては、都市基盤の整備が
進み、交通負荷の懸念がなくなった時点でその土地にふさわしい
用途地域に変更するため、当地区においても、事業が順次着工し、
想定していたまちづくりの実現が確実になったことから、今回、
用途地域の変更を行うこととした。
■このような都市計画制度を用いてまちづくりを進めてきたことを
踏まえ、今回の用途地域の変更は、商業・業務、研究開発、文化
交流、都市型住宅等の機能が集積した広域的な拠点にふさわしい
小杉駅周辺地区のまちづくりを進めていく上で必要と考えている。
■また、今回併せて地区計画を決定する「新丸子東3丁目南部
地区地区計画」も、「小杉駅南部地区地区計画」と同様に将来、
事業が完成又は概成した時点で、用途地域を商業地域(容積率
400%)に変更することとしている。
■建築基準法第56条の2第1項「ただし書」の適用については、
「隣地等又は隣地等の部分が、日照を必要とせず、かつ、将来に
わたって建築物の敷地として利用される可能性がない場合又は
居住の用に供する建築物等が建築される可能性がない場合は、
当該部分については日影規制を適用しないものとする」と規定
されている。
■過去にミッドスカイタワーが許可を取得した「前例」についても、
同様の趣旨で、北側ののE-1地区が、当該地区計画において
住宅の建築が規制されていたことを根拠に許可を行っている。
■しかしながら、ミッドスカイタワーがあるD地区においては、
住宅の立地が許容される地区であることから、上記許可基準に
適合しないため、建築基準法第56条の2第1項「ただし書」
を適用することは困難と考える。
■よって、都市計画素案のとおりの用途地域の変更が妥当で
あると考えている。

2.建築基準法第69条などに定める建築協定に関する件

(公述申述書の要旨)

■第一の主張である「建築基準法第56条の2第1項 ただし書適用
を求める件」が実現するか否かとは別に、次の点を主張したい。
■これまで事業主の東京機械製作所さんと、快適な居住性と利便
性の高い商業機能の共存のため、建築基準法第69条に基づく
建築協定実現に向けて作業を進めてきており、当事者間合意に
向けての調整は最終段階に達している。
■建築協定の内容には、ミッドスカイタワーの居住階層住民の
日照状態に関して、地表12m平面で冬至8時~16時の間の日陰
が3時間未満とする等も含めている。
■さらに、将来当事者が変更しても互いに協定の効果が持続する
ことが法律上担保された特殊な協定であり、川崎市の認可が
必要である。
■仮に第一の主張が不調に終わり、ミッドスカイタワー敷地が商業
地域に変更されたとしても、本協定は東京機械製作所再開発
事業での建物が及ぼす日照に関しては、ミッドスカイタワー
居住者が最低限の日照状態を確保するための制度的手当てで
ある。
■川崎市からは、先の住民説明会においても「できるかぎりの
支援はする」とのお言葉をいただいている。
■川崎市に対して、当該建築協定の実現に向けて、積極的かつ
前向きな指導をするとともに、申請後は速やかな認可を行うよう
要請する。

(これに対する川崎市の見解の要旨)
■「新丸子東3丁目南部地区地区計画」は、「建築物等の高さの
最高限度」や「壁面の位置の制限」等を定め、採光や通風の確保
や、圧迫感の低減に努めることによって周辺環境へ配慮した計画
としている。
■その一環として、ミッドスカイタワーのの居住階が存する4階の
部分に対して、冬至時の8時から16時の間に3時間以上の日影が
発生しない建築計画となるよう、事業者に対し指導している。
■川崎市としても、小杉駅周辺地区のまちづくりを進めるため
必要な用途地域の変更は行うものの、これにより周辺環境に
著しい影響を与えることは望ましくないと考えていることから、今後
も周辺環境に十分配慮した建築計画となるよう、指導・誘導して
いく。
■快適な居住性と利便性の高い商業機能の共存は非常に重要
であるため、建築基準法第69条の規定に基づく建築協定の実現
及び速やかな認可に向けて、市としてもできる限りの支援を行い
たい。

       ※       ※       ※

要旨といいながらもなるべく正確にお伝えするには削ることが
難しく、分量が多くなってしまいました。
以下、もう少しざっくりとまとめましょう。

「1.建築基準法第56条の2第1項 ただし書適用を求める件」
ついては、川崎市は「周知事項であったことを示す客観的な
行政文書は見当たらない」
という指摘には直接答えず、
「現在の第二種住居地域から将来商業地域に変更することを想定
し、まちづくりを進めてきた」

という従来からの主張を繰り返す形になっています。

ただ、ミッドスカイタワーの容積率緩和について、「商業地域に
変更することを前提に800%と定めた」というロジックをここで
登場
させ、従来からの既定事項であったという間接的なエビデ
ンスとしているようです。
(ただ、市民に周知されていたかどうかとは別の話ですが)

「ただし書」の適用については、ミッドスカイタワーに適用された
のはあくまでもフーディアムが「住居ではない」ことによるもので、
ミッドスカイタワーの用地は住居が許容されていることから適用
できないとの見解
が示されました。
条文に解釈の余地があるかどうか、制度の技術論は私には
わかりませんが、川崎市の見解は「ただし書」の条文通りという
ことになるのでしょう。

これをもって「ただし書」を適用する代替案は退けられ、川崎市
の意向どおりにパークシティ武蔵小杉の用地を商業地域に変更
することが妥当であると結論付けられています。


■東京機械製作所玉川製造所
東京機械製作所玉川製造所

一方で、「2.建築基準法第69条などに定める建築協定に関する
件」
については、川崎市も前向きな姿勢を示しています。
用途地域の変更によって周辺環境に著しく影響を与えることは
望ましくないとの観点から、ミッドスカイタワーと東京機械製作所の
間の建築協定締結に関しては、川崎市もできるかぎりの支援を
する
ということです。

公述人としては、用途地域の変更が覆らないことはこれまでの
前例などからも予想されていたことと思いますし、こちらの建築
協定が現実的に講じられた「次善の策」となるものでしょう。

■アリオ武蔵小杉建設予定地とパークシティ武蔵小杉
アリオ武蔵小杉建設予定地とパークシティ武蔵小杉

今回の川崎市の見解が示されたことで、パークシティ武蔵小杉の
用地が第二種住居地域から商業地域に変更されることは確定的

といってよいと思います。

ただし、当事者間の建築協定は川崎市の支援も受けて無事に
締結される見込み
となっています。これによりミッドスカイタワーの
住居階の日照は確保されますので、実質的な部分では住環境が
担保されるということになりそうです。

さまざまな利害の調整を図ることはたいへん難しいことですが、
それに取り組まなければならないのはやはり川崎市ですね。

今後も広範囲にわたって大規模開発が進む中で、多くの調整が
必要になってくることと思います。それにあたっては、都市計画を
推進する川崎市には通り一遍の答弁で終わらない対応を望み
たい
ところです。

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