【Reporter:はつしも】
中原区では、
毎年元日から7日まで「川崎市七福神めぐり」が実施されています。
正月二日の夜、宝船に乗った七福神の絵を枕の下に入れて寝ると縁起が良いとされ、新春の巡拝が古くから地域で行われていました。
「川崎七福神めぐり」においては、
恵比寿神、大黒天、毘沙門天、弁財天、福禄寿、寿老神、布袋尊を祭る中原区内の7つの寺院をめぐります。
各所で
御朱印帳(色紙)に御朱印を押していただきつつ、七福神の功徳によって新年の幸福を祈るというものです。
七福神巡りでは、
恵比寿天が「清心」、大黒天が「財富」、毘沙門天が「栄光」、弁財天は「愛情」、福禄寿が「人望」、寿老人が「長命」、布袋尊が「寛容」と、7つの幸福がもたらされるとされています。
今回は2017年以来、3年ぶりに七福神めぐりのレポートをしてみたいと思います。
■川崎七福神のGoogleマップ
「川崎七福神」は、
福禄寿の「安養寺」、弁財天の「宝蔵寺」、毘沙門天の「東樹院多聞寺」、大黒天の「西明寺」、恵比寿神の「大楽院」、寿老神の「無量寺」、布袋尊の「大楽寺」で構成されています。
いずれも中原区内にあり、自転車で2時間半程度あれば回ることができます。
回るコースはお住いの場所によって異なるでしょうが、
武蔵小杉駅から北西側に一番遠いのが安養寺、南に一番遠いのが大楽寺ですから、このいずれかが始点または終点になる方が多いでしょう。
今回は2017年同様、北西端の安養寺から回ってみました。
■福禄寿の「安養寺」
安養寺は武蔵新城駅の北側にあります。
天輪山無量寿院と称し、大日如来が本尊です。
1567年(永禄10年)頃の開山といわれ、火災等により古来の建物や文献が失われたため詳細は不明な部分もあります。
現在の本堂は、1966年に再建されたものということです。
「川崎七福神」の各寺院は、
境内の赤いのぼりが「川崎七福神」の目印となっています。
■境内の福禄寿
この安養寺には、
福禄寿が祭られています。
福禄寿は中国の神様で、
「人望」を象徴しているといわれます。
杖の頭には経巻が結び付けられ、白鶴を伴っているのが特徴です。
この経巻は人の寿命を記し、
福は「指宝」、禄は「地位」、寿は「長命」で、この3つを備えた人は人望を得るということです。
■最初の御朱印帳
「川崎七福神めぐり」では、
最初に訪問した寺院で御朱印帳(色紙)を300円で購入します。
そしてほかの6か所の
各寺院では200円をお支払いして、御朱印を押していただくかたちになります。
■福禄寿の御朱印
安養寺で最初に御朱印帳をいただくと、すでに
福禄寿の御朱印が押してあります。
ここから七福神巡りのスタンプラリーがスタートです。
■安養寺でお子さん向けに配られていたお菓子
また、安養寺では、
お子さん向けにお菓子も配布していました。
これは2017年・2018年に七福神巡りをしたときとお菓子の内容も同様で、毎年恒例になっているようです。
ただし、来年以降変更になる可能性もないとはいえませんので、今後本エントリをご参考にされるかたはご了承ください。
■安養寺から宝蔵寺の途上にある「大谷戸小学校」
安養寺の次は、すぐ近くにある宝蔵寺を回ることになるでしょう。
その間には、
川崎市立大谷戸小学校があります。
綺麗な校舎が目を引きますので、すぐに気づくことと思います。
七福神巡りの道すがら、
周辺の風景を楽しむこともおすすめします。
■弁財天の「宝蔵寺」
続いて
宝蔵寺は、安養寺から大谷戸小学校の前を通過してすぐの場所にあります。
創建は1520年(永正17年)で、本尊は子育地蔵菩薩です。当初の主家であった吉良氏の没後に土着し、周辺の土地を大ヶ谷戸と名付けました。
天文年間に原氏が祈願所として宝蔵寺を再建し、現在に至ります。
■境内の弁財天
ここでは七福神のうち女性の神様、
弁財天が祭られています。
弁財天はインドの神様で
「愛情」を象徴し、音楽などの芸術や商売繁盛を司っています。
もともとは河川が神格化した水の神様で、多くの弁財天は海岸や川沿いなど、水に縁のある場所に祭られています。
■本堂にお参り
「七福神巡り」を単なるスタンプラリーとしてとらえると、とにかく御朱印だけ貰っていくのが一番早いわけですが、
各寺院を巡拝していくのが本来の趣旨です。
実際、七福神巡りをされる
多くの方は最初にお参りをされています。
宝蔵寺では、土足を脱いでお参りするようになっていました。
■御朱印の押印
■弁財天の御朱印
2か所目以降の御朱印は、
手持ちの色紙を持ち込んで、その場で押印をしていただくことになります。
宝蔵寺では、前述のとおり
弁財天の御朱印を押していただきました。
■弁財天のお守り
また、宝蔵寺では、毎年
弁財天のお守りをいただけます。
これは常に懐に入れておくものですので、お財布など適切な場所に収めておきましょう。
■おみくじ
また、各寺院ではおみくじを販売しているところがあります。
以前は西明寺の「だるまみくじ」をご紹介しましたが、今年は
宝蔵寺のオーソドックスなおみくじをトライしてみました。
これは8体の縁起物のお守りのうち、いずれかがおみくじの中に入っています。
■法蔵寺から東樹院への道中「宮内新横浜線」
法蔵寺の次は、東樹院が最寄りです。
途中では片側2車線の幹線道路
「宮内新横浜線」を渡ることになります。
この道路は、将来的に多摩川を渡る新橋梁「等々力大橋」につながり、目黒通りに直結する予定です。
■毘沙門天の「東樹院多聞寺」
宮内新横浜線を渡り、西下橋の交差点で府中街道も横断して宮内の住宅街に入っていくと、
東樹院多聞寺があります。
1458年(長禄2年)、平氏の流れをくむ武州の豪族・石井源左衛門がこの地で毘沙門天の社を見出し、堂宇を再建したとされています。
現在の本尊である不動明王が勧請されたのは寛永年間で、近江の法印尊義和尚が石井氏の菩提を弔って堂宇を建立し、ご本尊として安置したということです。
■境内の毘沙門天
そのような経緯で、ここでは
毘沙門天が祭られています。
毘沙門天はインドの神様で
「栄光」を象徴し、手に持った多宝塔で財宝を授けるといわれています。
また外敵を打ち払う戦勝の神様でもあり、内なる煩悩も払ってくれるということです。
よく説法を聞くことから
「多聞天」とも呼ばれ、「東樹院多聞寺」の名前の由来にもなっています。
■毘沙門天の御朱印
境内奥の事務所窓口で、
毘沙門天の御朱印を押していただきました。
ここには
「出世」「吉祥」「栄光」と、縁起の良い言葉が添えられています。
■近隣七福神のご案内マップ
また東樹院には、
近隣の七福神「宝蔵寺」「西明寺」のご案内マップもありました。
最近はスマートフォンなどでエントリ冒頭に掲載したGoogleマップなどを参照される方が多いと思いますが、七福神巡りはシニア層も多く参加されます。
わかりやすい目印を記載したマップがあると、迷わなくてよいですね。
■大黒天の「西明寺」
さて、ご案内マップも参照しつつ、
西明寺にやってまいりました。
西明寺はこれまでにも、
大みそかの除夜の鐘や、中原街道の歴史を残す「カギ道」と一緒にご紹介をしてまいりました。
創建時期は不明ですが、北条時頼の信仰が厚く、北条氏ともゆかりの深い神社です。
江戸時代には徳川家康港がたびたび鷹狩りで訪れたということで、かつての中原街道の中核的存在でした。
■本堂前の大黒天
■本堂内の大黒天
西明寺では、
大黒天が祭られています。
大黒天はインドの神様で
「財富」を象徴し、働き者のために打ち出の小槌をふるって富をもたらすとされています。
頭にかぶった頭巾は、「上を見ず、うつむいて働け」との教えで、
勤労が徳であり、怠惰な者の頭を打つのが小槌であるということです。
七福神の中でも、知名度が高い神様ではないでしょうか。
■大黒天の御朱印
西明寺は武蔵小杉の中心市街地からも近く、毎年多くの方が訪れます。
事務所の行列に並んで、御朱印をいただきましょう。
■だるまのおみくじ
西明寺では、
だるまのおみくじを販売しています。
だるまの下の部分から、小さく折りたたんだおみくじを取り出すことができます。
だるまの顔は手書きでひとつひとつ異なります。
1年に1体ずつ、集めている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
■恵比寿天の「大楽院」
そして西明寺から中原街道を経由し、綱島街道を渡った先にあるのが
「大楽院」です。
ここはすぐ隣に
「丸子山王日枝神社」があります。
大楽院は真言宗豊山派で、奈良県の長谷寺の直轄寺院です。
1704年(元禄17年)の長谷寺末寺帳や「武蔵風土記稿」などに、かなりの寺格を有していたことが伺われる記述が残されています。
■境内の恵比寿天(恵比寿堂)
大楽院で祭られているのは
「恵比寿天」です。
七福神の中では唯一の日本の神様で、
「清心」を象徴します。イザナギとイザナミの3番目の御子として生まれたとする説も有力な海の守り神です。釣竿をかついだ姿で、おめでたい
「えびす顔」が有名ですね。
当初は漁業者の神様でしたが、海産物の売買を通して商売繫盛の神様として信仰されるようになりました。
江戸時代の名僧・天界僧正によれば、恵比寿神は
律儀、福徳、収穫・良果の3つの徳を讃えているということです。
境内の恵比寿天は「恵比寿堂」の中に鎮座しています。
■セルフサービスの御朱印
■恵比寿天の御朱印
大楽院の御朱印は、人員不足のために
セルフサービスになっています。
200円は浄財箱に入れまして、現地に掲示されている見本通りに御朱印スタンプを押します。
大体の場合は皆さん100円玉2枚でお支払いになりますので、千円札でも800円のお釣りを自分で取ることができると思うのですが、
一番乗りの場合はひょっとしたら浄財箱にお釣りがないかもしれません。
もちろんお寺は無人なわけではなく、人を呼ぶことも可能ではありますが、あらかじめご留意ください。
■寿老神の「無量寺」
大楽院の前の道路をまっすぐ南下していくと、
「無量寺」に到着します。
1580年(天正8年)に覚源和尚により開創され、村の豪士・野村七左衛門が帰依して無量寺を菩提寺としたとされています。
本堂は残念ながら1945年に戦災で焼失しましたが、戦災を逃れた都内の寺院から、築200年以上の本堂を譲り受けて移築したのが現在の本堂です。
■境内の寿老神
■本堂内の寿老人と七福神
無量寺では
寿老神を祭っています。
寿老神は中国の神様で、名前の通り
「長命」を司っています。
手にした巻物には人命の長さが記され、長寿の守りとされている鹿を常に伴っています。
鹿は千五百歳で、その肉を食べた者は2千年の長寿が得られ、杖の先に結びつけられた軸は人の寿命を記した帳簿であるとされています。
■御朱印のセルフサービスコーナー
■寿老神の御朱印
御朱印の寿老神も、鹿を伴っています。
また無量寺では、有人の事務所でも御朱印を押していただけますが、行列になっている場合など、
セルフサービスコーナーを利用することも可能です。
■無量寺向かいの「中丸子児童公園」
また、2017年にもご紹介した通り、無量寺の向かい側には、
2016/12/22エントリで
「アミガサ事件」の記念碑と遺構をご紹介した「中丸子児童公園」があります。
川崎七福神めぐりの道中、立ち寄ってみるのもよいでしょう。
■布袋尊の「大楽寺」
■併設されている大楽幼稚園
無量寺から最後の大楽寺に到達するのは、ルートが少々厄介です。
途中に南武線・横須賀線・府中街道がありますので、地図上で直線的に最短距離を進むことができません。
細かい路地を使うと迷う可能性もありますので、
無量寺から少し北に戻って、御幸踏切で横須賀線を渡ってから綱島街道南下⇒焼肉交差点左折するのが一番シンプルかもしれません。
「大楽寺」は、大楽幼稚園が併設されている寺院です。
創建については明らかでありませんが、中興開山は1741年(天文6年)法印智法によるとされています。
本尊は胎蔵界大日如来が安置されています。
また、大楽寺には
「大楽幼稚園」が併設されています。
■境内の布袋尊
大楽寺には、
「寛容」や和合、笑いを象徴する中国の神様
「布袋尊」が祭られています。
七福神の中では唯一実在したとされている人物で、恰幅の良いお姿が、親しみやすい印象を与えます。
家内安全や学業成就にご利益があるとされ、布袋尊を拝むことで寛容な心が得られるということです。
■本堂の中で御朱印帳受付
大楽寺では、事務所の窓口で御朱印を押していたこれまでの寺院と異なり、
本堂の中に入って押していただくことになります。
「川崎七福神」実施期間中は基本的に寒いですので、建物の中に入れるのは地味にありがたく感じます。
■「袖の下」からお賽銭
2017年にもご紹介した通り、本堂の中にも布袋尊がいらっしゃいます。
こちらの布袋尊は、
「袖の下」の隙間からお賽銭を入れられるようになっています。
■「川崎七福神」のガイドブック
本堂内では、
「川崎七福神」のガイドブックも100円で販売されていました。
各寺院や七福神についてもっと知りたい方は、こちらを購入されるとよいでしょう。
なお、もっと簡単な
B4用紙両面1枚のガイドチラシは、各寺院で無料配布されています。
■布袋尊の御朱印
■最後に、参拝の日付を記入
■「奉拝 令和2年年1月3日」
布袋尊ですべての御朱印が揃ったことで、最後に
御朱印帳が完成した日を、参拝日として記入いただきます。
本サイトでは大楽寺を最後に回っていますが、ほかの寺院を最後にしても問題ありません。
ただし、
セルフサービスの大楽院を一番最後にした場合、日付を自分で書くことはできませんから、一応有人対応が可能な寺院を最後に回したほうがよさそうです。
■完成した御朱印帳
さて、これで
「川崎七福神」の御朱印帳が完成しました。
各寺院でお参りをしながら御朱印が揃うと、非常に満足感がありました。
自転車で2時間半ほどで回れると思いますが、必ずしも一気に回る必要はありません。
元日から1月7日までの間で日を分けても良いですし、午前と午後で分けてもよいと思います。
今年も明日
1月7日(火)まで、9:00~16:30に受付をしていますので、お時間のある方はいかがでしょうか。
■大楽寺にて、「川崎七福神」の提灯
【関連リンク】
・
武蔵小杉ライフ:生活情報:神社・仏閣
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川崎七福神 ウェブサイト
・
2008/12/30エントリ 新年御開帳・川崎七福神巡り
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2009/1/2エントリ 武蔵小杉の2009年除夜の鐘と初詣
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2012/12/31エントリ 丸子山王日枝神社の2013年始行事と、大楽院の「川崎七福神」
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2016/12/22エントリ 多摩川の築堤を直訴「アミガサ事件」による「有吉堤」完成から100年。八幡大神・中丸子児童公園の記念碑と遺構をめぐる
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2017/1/3エントリ 中原区の7寺院をめぐる、福運スタンプラリー。2017年1月7日(土)まで実施中「川崎七福神めぐり」完遂レポート