武蔵小杉の「ひと」(7):「コスギフェスタ2011実行ワーキング・グループ」座長・山中佳彦さん(前編)
2011年10月30日(日)開催予定の「コスギフェスタ2011」のイベント
内容について、昨日のエントリでご紹介しました。本イベントは、武蔵
小杉再開発地区で今回初めて開催されるものであり、その実現に
あたっては再開発地区住民の有志の皆様を中心とする「コスギ
フェスタ2011実行ワーキング・グループ」が主体として尽力をされ
ました。
「コスギフェスタ2011」には、実行ワーキング・グループの皆様の
「武蔵小杉への思い」が込められています。
「子どもたちの、笑顔と思い出のために
武蔵小杉を、彼らのふるさとにする。
~伝統と都市文化が交錯する武蔵小杉~」
「コスギフェスタ2011」のチラシには、このようにイベントのテーマが
掲げられています。
このテーマをそのような意図で設定されたのか、また、イベントの
魅力や見所はどういったところにあるのか、個人的にも非常に気に
なりました。
今回、「コスギフェスタ2011実行ワーキング・グループ」の座長を
つとめる山中佳彦さん(前THE KOSUGI TOWER理事長)に、
さまざまなお話を伺うことができました。
※ ※ ※
■山中佳彦座長
■開催までの経緯…コスギタワーの秋祭りをきっかけに
--よろしくお願いします。さて、今回はコスギフェスタ座長インタビューと
いうことで、いろいろお伺いしたいと思います。まず、開催決定に至る
までの経緯を教えてください。
(山中座長)
去年の10月ぐらいから検討を始めました。言い出しっぺは…僕ですね、
座長ですから(笑)。
僕がはじめに言ったのは、「夏祭りをやりたい」ということです。コスギ
タワーで10月に秋祭りを開催したときから、私の中ではこれを地域
全体でやりたいなという構想がありました。
コスギタワーの秋祭りの対象は基本的にコスギタワーの住民だけで、
それ以外の方々は入ってくることができませんでした。せっかく楽しい
ことをやるのなら、地域の住民全員が参加できるような形でやりたいと
いう思いがありました。
秋祭りを運営するコミュニティ委員会も結構大変で、準備にも時間を
かけていましたし、どうせやるなら地域のみんなでやっていく方が
いいんじゃないかと。
■完売が続出したコスギタワーの秋祭り
コスギタワーの秋祭りの時には、基本構想について「交差点」という
言い方をしていました。これから商業施設もいろいろできてくる中で、
新住民が既存商店の存在を認知しないまま、新しいショッピング
センターに行ってしまうと、お互いにWin-Winじゃないんじゃないかと。
そこを交差させたいという考え方です。
新住民と、周辺のもともと住んでいる皆さんの交差点、クロスポイント
っていう言い方はそのときからあったんです。
--山中さんが言い出しっぺになられて、皆さんすぐに「それはいいよね」
というような形でご賛同いただけたんでしょうか。
(山中座長)
基本的にはお祭りが好きな人って多いのかなと思いましたね。非常に
賛成意見は多かったです。ただ、当初「夏祭り」として構想していたもの
が、例年10月に開催していたハロウィンと両立できるのかという話が
ありました。コスギフェスタの開催時期は夏か秋か、この点は最初の
ころに意見が分かれましたね。
コスギフェスタをやりたいという意味ではみんな同じ方向を向いていたの
ですが、この時期の問題と、全く新しいことを結局誰がやるのかという
リソースの問題に関しては、様々な議論がありました。
--だいたいまあ、総論的にはOKで、あとはどこまで、と。
(山中座長)
そう、規模と時期の問題ですね。最初はもっと大きなことを考えていて、
道路を駅前から府中街道まで全部塞ごうと、壮大なことを考えていま
したけれども、ただ、それはさすがに現実的ではないと、議論が落ち
着いていきました。
■サブテーマ「伝統と都市文化が交錯する武蔵小杉」
--イベントのサブテーマにちょっと興味をひかれたんですけれども、
「伝統と都市文化が交錯する武蔵小杉」について教えてください。
(山中座長)
再開発エリアは、もともとそれほど人が住んでいなかったところで、
住宅地としての歴史や伝統がありません。ところが周辺を見回して
みると、日枝神社の山王祭には1200年の歴史がありますし、
小杉の花見市も長年続いている伝統行事です。それらの中でも
私は小杉の花見市に強い感銘を受けました。
二ヶ領用水沿いにお店がたくさん並んで、ああいうのを何十年も
やっているわけじゃないですか。あれは凄いパワーです。それに
比べて再開発地区はほとんど何もないものですから、これをうまく
コラボレーションさせていきたいという願いを、今回のサブテーマに
込めています。
■こすぎ名物花見市
サブテーマ「伝統と都市文化が交錯する武蔵小杉」の「伝統」とは、
もともとこのあたりにお住まいの皆さんが積み重ねてきたことを指し
ています。そして「都市文化」とは、この再開発地区の住民のライフ
スタイル全般のことですね。
この再開発地区の街並みが非常に都会的じゃないですか。ここに
新しく移り住んできた方々は、土地のしがらみがないのが好きな人
たちで、都市的なアクセス利便性にあこがれて住んでいる人が
多いんじゃないかと。生活スタイルも都会に出て行って遊んで、
武蔵小杉には寝に帰るだけ、という感じになっている可能性が
非常に高いと思うわけです。
街の外観はきれいなんですけど、人のぬくもりや地域のつながり
みたいなものがあったらもっといいんじゃないかと、個人的には
感じています。
「都市文化」といっているのは、洗練されたファッショナブルなイメ
ージもある一方で、近所づきあいがあんまりない寂しい感じ、人間
的なお付き合いが少ないですよというのを言っていて、その「伝統」
と「都市文化」を交錯させたいということです。さもなければここだけ、
陸の孤島みたいになってしまいます。
周辺の方からよく聞くのは、突然タワーが建って、何か別の世界の
人間みたいで、向こうからは入ってきにくいみたいに思われていると
いうことです。そしてそれは、逆もあるのかもしれませんよね。
でも周りを見渡せば、面白い場所はいっぱいあるのかもしれませんし、
おいしいお店もいっぱいあるかもしれないし、それこそ武蔵小杉ライフ
を見れば、お店がうわーっと載っているわけですし。そういうところを
見逃すのはもったいないじゃないですか。
そういうところが物理的に交錯するきっかけがあったらよいではないか、
というのが今回のテーマです。
僕は、このテーマは最初のころからかなりこだわりました。当初から
お祭りのコンセプトとして、再開発地区だけではなく、周辺住民の
皆さんとコラボしてつくっていって、みんなで参加するんだと。そういう
ことを言っていましたね。
--そういう思いというのは、コスギフェスタの話が出てくる前から、
山中さんの頭の中にあったんですか。
やはり、コスギタワーの秋祭りをやったのが大きいです。秋祭りは
コミュニティ委員会の皆さんが一生懸命やってくれて、実は僕はたま
たま管理組合の理事長だっただけで、あまり関与していませんでした
。ただ、あれをやったことで、周りの人たちが結構見に来たんですね。
そこで今のNPOの理事長にも初めて会いましたし、NPOの理事の
方とも交流が始まりました。
NPOの理事をやっている方って、ものすごく地域のことを考えている
んですよ。その人たちの話を聞いて、インスパイアを受けたのが非常
に大きいです。
その前までは、正直あまりそんなことは考えていませんでした。コスギ
タワーの秋祭りというイベントを通して出会った人たちと話していく中で
影響を受けて、自分の考えができていったと思います。
--コスギタワーにいらっしゃる前までは、武蔵小杉にはお住まいでは
なかったんですか。
前は日吉でした。2008年の6月にコスギタワーができて、まもなく
越してきたんです。引っ越してくる前は武蔵小杉はただ通過するだけ
で、わざわざ来ることはなかったですね。
--そうすると、通過するだけの街だったものが、今や「新旧を交錯させ
よう」なんてことを考えているわけですから、えらい変わりようですね。
(山中座長)
いやいや、えらい変化ですよ、そう言われると(笑)。
もうひとつの変化として、子どもができたことも大きいと思います。
私は新しく武蔵小杉に来たわけですが、子どもにとってはここがふる
さとになるわけです。であるからには、素敵なふるさとにしてあげたい。
やがて彼が大きくなったら出ていくんでしょうけど、武蔵小杉はふるさとで
「帰りたい街だな」って、思ってもらえるようにするのは大事なことだと
思うんですね。
ニュータウンって、親の一世代で終わってしまうことが多いじゃない
ですか。特にマンションとか、団地ですね。僕はここだって縦型の
団地だと思っています。一世代で終わる団地というのはどんどん
高齢化が進んで、そのうち縦型老人ホームみたいになってしまう。
そういうのが30年後の姿だとしたら、寂しすぎるじゃないですか。
まあ武蔵小杉は交通の要衝になっていますので、そうはならない
とは思いますが、やはり新陳代謝があって、常に新しい世代が入
り続けてくるような場所にするためには、何かソフト的な魅力が必要
だと感じています。
■「濃すぎ」なメンバーとともに
--先程の話にあった「影響を受けた方」というのは、今回のコスギ
フェスタのワーキンググループのメンバーにもなっているんですよね。
(山中座長)
はい、そうです。
--どんな顔ぶれの方たちですか?
(山中座長)
濃い~ですよ。武蔵「濃すぎ」って、こういうことかと(笑)。
管理組合の理事をやっているころから感じていることですが、ここに
いる人たちって、皆さん各方面でリーダーシップを持って活躍して
いる人たちなんですよ。さらにNPOの理事なんかやってる方たちと
いうのは、自分の仕事だけでは物足りなくて、さらには地域貢献したい
という、熱い想いを持った面白い方が非常に多いなと思います。
実行ワーキンググループには管理組合の理事長、理事長OBも多く
集っておりまして、すごいですよ、船長だらけで。もう船長同志の舵の
奪い合い。船頭多くして船山に登る…どころか、船どっかに行っちゃった、
みたいな(笑)。
■実行ワーキング・グループでの一コマ
--その議論を座長である山中さんがまとめるわけですか。
(山中座長)
大変ですね。まず秋にやるか夏にやるかで一戦あって、そのあとに
アイデアの発散期になって、もう皆さん好き勝手なこと言いますよ。
あっちでやろうこっちでやろうと、場所の奪い合い(笑)。じゃあ今年は
ミッドスカイタワーの前でやろうと。
あとは、タワーで絵文字をやろうとか。これを言い出したのは僕なん
ですけれど(笑)、赤坂プリンスみたいにクリスマスツリーの絵をつく
ろうと。それが無理なら今度は全館点灯するのはどうだとか、逆に
全部消すのはどうだとか、アイデアがボコボコ出てきました。
それらをまとめ始めたのは夏以降でした。そろそろ実行段階になって
きて、現実を見ましょう、拡散するのはもうやめましょうと言って、まあ
何とか、まとまってきました。
--ボツアイデア集、面白そうですね。
(山中座長)
ボツアイデアは一杯ありますよ。とんでもないのは、ミッドスカイタワー
とステーションフォレストタワーの間でナイアガラの滝花火をやろう
とか。今思うと危険きわまりないですよね(笑)。ほかにも、ニュー
ヨークでやっているみたいにタワー階段の駆け上がり競争をやろう
とか、ギネスに挑戦しようとか、マンション対抗綱引き大会をやろう
とか(笑)。
(後篇に続く)
【関連リンク】
NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメント 公式ウェブサイト
2009/10/31エントリ 武蔵小杉を練り歩く子ども仮装行列
2010/9/26エントリ THE KOSUGI TOWERで「コスタまつり
2010秋」開催
2010/11/1エントリ 武蔵小杉を練り歩く子ども仮装行列2010
2011/9/11エントリ 「コスギフェスタ2011」パークシティ武蔵小杉
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2011/10/7エントリ 「コスギフェスタ2011」イベント詳細決定、
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2011/10/8エントリ 武蔵小杉の「ひと」(7):「コスギフェスタ
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