国土交通省が武蔵小杉駅のエスカレーター逆走事故に関する報告書を公表、保守業者の見落とし・整備不良・不適切な安全装置設定を認定
【Reporter:はつしも】
国土交通省が、2014年1月8日に武蔵小杉駅で発生したエスカレーター逆走事故に関する「社会資本整備審議会昇降機等事故調査部会」による調査報告書を本日付で公表しました。
本報告書により、三菱電機ビルテクノサービスの保守業務における異常見落としや報告漏れ、整備不良があったことがあらためて認定されました。
事故を防ぐ機会はあったものの見逃され、11人がけがをする事故につながりました。
■国土交通省 報道発表資料 昇降機等に係る事故調査報告書の公表について
http://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_000594.html
■事故発生直後のエスカレーター
事故が発生したのは、武蔵小杉駅のJR-東急間をつなぐ連絡通路に設置された上りエスカレーターでした。
ここは主に東急線からJR線に乗り換える方が利用されていて、事故が発生した1月8日午前8時19分も現地には多くの方が通行されていました。
■運転再開前の最終チェック
その後機器の取替えおよび安全対策を講じた上で、2014年5月20日には同エスカレーターの運転が再開されました(2014/5/19エントリ参照)。
さらに事故から1年以上が経過した2015年2月9日、神奈川県警が業務上過失傷害の疑いで、このエスカレーターの保守点検を行なっていた三菱電機ビルテクノサービスの社員5人を書類送検していたところです。
■破断したチェーン(国土交通省より)
今回の報告書によると、同エスカレーターは1996年の設置以来チェーンの交換が行われておらず、経年劣化が進んでいたということです。
さらに2015年2月の書類送検により判明していた事故発生の経緯についても、あらためて報告書により認定されました。
■武蔵小杉駅のエスカレーター事故の経緯と原因
基本的に書類送検時にお伝えした経緯と変わりませんが、事故の5日前、2014年1月3日に緩みを認知しながら修理を行わなかった理由は、工具を持っていなかったためであることがあきらかになりました。
調査報告書を読む限り、この事故はあきらかに保守点検の不備によるものであり、三菱電機ビルテクノサービスはその責任を免れないところです。
同社は現段階において、プレスリリース等本件に関する見解を公表していません。
「社会資本整備審議会昇降機等事故調査部会」は、調査報告書においてエスカレーターの検査基準の見直し等を国土交通省に対して提言しています。
当然ながら保守点検を行う各社においても、安全に配慮した適正な業務遂行が求められるところですね。
■運転再開後の武蔵小杉駅のエスカレーター
【関連リンク】
三菱電機ビルテクノサービス ウェブサイト
2012/8/31エントリ 武蔵小杉駅の東急・JR連絡通路の下りエスカレーターが本日供用開始、西街区への通路が一部お目見え
2014/1/8エントリ 武蔵小杉駅のエスカレーターが急停止し10名が負傷する事故が発生、市内5駅のエスカレーターが当面利用停止
2014/5/19エントリ 武蔵小杉駅の逆走事故エスカレーターが2014年5月20日(火)朝6時より運転再開
2014/9/16エントリ 武蔵小杉駅の「エスカレーター『みんなで手すりにつかまろう』キャンペーン」
2015/2/12エントリ 武蔵小杉駅のエスカレーター逆走事故に関し、点検業者5人が業務上過失傷害で書類送検
国土交通省が、2014年1月8日に武蔵小杉駅で発生したエスカレーター逆走事故に関する「社会資本整備審議会昇降機等事故調査部会」による調査報告書を本日付で公表しました。
本報告書により、三菱電機ビルテクノサービスの保守業務における異常見落としや報告漏れ、整備不良があったことがあらためて認定されました。
事故を防ぐ機会はあったものの見逃され、11人がけがをする事故につながりました。
■国土交通省 報道発表資料 昇降機等に係る事故調査報告書の公表について
http://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_000594.html
■事故発生直後のエスカレーター
事故が発生したのは、武蔵小杉駅のJR-東急間をつなぐ連絡通路に設置された上りエスカレーターでした。
ここは主に東急線からJR線に乗り換える方が利用されていて、事故が発生した1月8日午前8時19分も現地には多くの方が通行されていました。
■運転再開前の最終チェック
その後機器の取替えおよび安全対策を講じた上で、2014年5月20日には同エスカレーターの運転が再開されました(2014/5/19エントリ参照)。
さらに事故から1年以上が経過した2015年2月9日、神奈川県警が業務上過失傷害の疑いで、このエスカレーターの保守点検を行なっていた三菱電機ビルテクノサービスの社員5人を書類送検していたところです。
■破断したチェーン(国土交通省より)
今回の報告書によると、同エスカレーターは1996年の設置以来チェーンの交換が行われておらず、経年劣化が進んでいたということです。
さらに2015年2月の書類送検により判明していた事故発生の経緯についても、あらためて報告書により認定されました。
■武蔵小杉駅のエスカレーター事故の経緯と原因
▼2013年3月8日 | 三菱電機ビルテクノサービスの担当者が駆動チェーンの緩みが基準値を上回っていることを把握するも、修理や引継ぎが行なわれなかった。その後の月2回の定期点検でも対処されなかった |
▼2014年1月3日 | 駆動チェーンの緩みによる揺れを安全装置が検地し、緊急停止。上記とは異なる担当者は工具を持っていなかったため修理を行なわず、わずかな揺れで停止しないよう安全装置の感度をゆるめに調整した |
▼2014年1月8日 | チェーンが破断し事故発生。この際、逆走防止用のストッパーには金属くずや油などが詰まり、正常に動かない状態だった |
基本的に書類送検時にお伝えした経緯と変わりませんが、事故の5日前、2014年1月3日に緩みを認知しながら修理を行わなかった理由は、工具を持っていなかったためであることがあきらかになりました。
調査報告書を読む限り、この事故はあきらかに保守点検の不備によるものであり、三菱電機ビルテクノサービスはその責任を免れないところです。
同社は現段階において、プレスリリース等本件に関する見解を公表していません。
「社会資本整備審議会昇降機等事故調査部会」は、調査報告書においてエスカレーターの検査基準の見直し等を国土交通省に対して提言しています。
当然ながら保守点検を行う各社においても、安全に配慮した適正な業務遂行が求められるところですね。
■運転再開後の武蔵小杉駅のエスカレーター
【関連リンク】
三菱電機ビルテクノサービス ウェブサイト
2012/8/31エントリ 武蔵小杉駅の東急・JR連絡通路の下りエスカレーターが本日供用開始、西街区への通路が一部お目見え
2014/1/8エントリ 武蔵小杉駅のエスカレーターが急停止し10名が負傷する事故が発生、市内5駅のエスカレーターが当面利用停止
2014/5/19エントリ 武蔵小杉駅の逆走事故エスカレーターが2014年5月20日(火)朝6時より運転再開
2014/9/16エントリ 武蔵小杉駅の「エスカレーター『みんなで手すりにつかまろう』キャンペーン」
2015/2/12エントリ 武蔵小杉駅のエスカレーター逆走事故に関し、点検業者5人が業務上過失傷害で書類送検