府中街道拡幅区間に残る、「黒焼き」のうなぎ専門店。相撲部屋を移築した「むさし野」
【Reporter:たちばな】
府中街道沿いの武蔵小杉駅近くに、うなぎ専門店「むさし野」があります。
今回はここで、「黒焼き」のうなぎを食べてみました。
■府中街道沿いの「むさし野」本店
「むさし野」は、府中街道と東急線高架の交点の東側で長年営業をしています。
この目の前の道路は、府中街道と市道36号線が分岐するY字の交差点になっています。
写真のすぐ左側には、2015/8/24エントリでオスの三毛猫「ジロー君」をご紹介した「吉岡時計店」があります。
以前は上記のように「むさし野」の建物全体が見える写真は撮りにくかったのですが、「グランツリー武蔵小杉」の開発に伴う市道36号線の拡幅・交差点の改良により、建物から少し引いて撮影することができるようになりました。
ご覧の通り、歴史を感じさせる建物です。
これは昭和初期に両国にあった相撲部屋「小野川部屋」を移築したものです。
店主さんは力士出身で、引退後に「むさし野」を開業されたようです。
■むさし野 ウェブサイト
http://www010.upp.so-net.ne.jp/musasino/
ウェブサイトではこちらが「本店」になっています。
かつては武蔵中原の南武線高架下に支店があったことによるものですが、現在は武蔵中原の店舗は閉店しています。
■「江戸角力部屋 黒焼鰻 むさし野」
クラシックな看板には、「黒焼鰻」と書いてあります。
この「黒焼」が、後述する「むさし野」特有の焼き方になっています。
「角力」とは昔使われていた言葉で、相撲のことです。
■夜に灯りがともり…
さて、夜になって灯りがともり、さらに雰囲気が出てきました。
さっそく店内に入ってみましょう。
■「むさし野」の店内
「むさし野」の店内は、床が土間になっています。
土間に4人掛けのテーブルが並び、写真奥には小上がりのお座敷席があります。
■力士の手形
■「天明後 米一俵価格表」
店内には、力士の手形のほか、「天明後 米一俵価 格表」など歴史を感じさせるものが各所にありました。
これは天明元年(1781年)からの米価の変遷を記録したもので、「米価」に関する史料としては広く知られています。
天明といえば、天明3年の「天明の大飢饉」が有名ですね。
■黒焼うなぎについて
そしてこちらが、お店の看板にもあった「黒焼」の伝来についての説明です。
「黒焼」とは、蒸してから焼くのではなく、蒸さない生の状態から何度も裏返して焼く昔の調理方法です。
その昔天明の大飢饉のころ、力士が品の巡業中に千曲川でうなぎを採り、そのまま焼いて食べたことでたいへん活力になったということが看板に記載されています。
とりわけ当地の名力士「雷電」は、肌つやも錦絵を見るが如く、抜群の強さを誇ったということです。
■軍配形のうなぎ丼
そしてとうとうやってきました、「むさし野」の「うなぎ丼」(2,000円)です。
相撲の行司が持つ軍配の形をしています。
蓋には先ほど紹介されていた、黒焼きを食べた名力士「雷電」の名前が書かれていました。
■うなぎ丼
最近うなぎの値段が高騰し、各所のうなぎ丼のうなぎが小さくなったりしてきました。
(特にランチなどではランチの予算枠に合わせる事情もありますね)
「むさし野」のうなぎ丼は、うつわからはみ出して、立派なものでした。
「黒焼」で蒸さないためにうまみが逃げず、脂がのっているのが特徴です。
何度も裏返して表面にはほどよく焦げ目がつき、中はふんわりしています。
一方でたれは甘みが控えめの醤油ベースであり、この点は「甘いたれ」がうなぎの醍醐味と感じる方にとってはお好みの分かれるところかもしれません。
■湯呑みの力士の絵柄
なお、「むさし野」では黒焼に時間を要するため、オーダーしてから出てくるまで少なくとも20分~30分程度はかかります。
そのため事前に電話予約を入れておくことで、来店時間にあわせて提供いただくことも可能です。
■「本日、うなぎは全て売り切れました。」
また、日によってはうなぎが早めに売り切れている場合もありますので、ご注意ください。
■「ベビーカー・小さなお子様お断り」
加えて「むさし野」では、ベビーカー、小さなお子 ま、騒いだり歩き回ったりするお子様はお断りしていました。
店舗の方針ということで、該当するご家族には残念なところですが、かわりにお持ち帰りのお弁当をおすすめしているということです。
■今後拡幅が進められる、府中街道沿いの「吉岡時計店」「むさし野」付近
さて、この「むさし野」は、府中街道に面しており、いずれは拡幅工事による立ち退きが行われるものと思います。
時期や移転など具体的なことは未確定で、これまでの事例を見ても道路拡幅が予定が大幅に変更(順延)されることが多々ありますので、現時点では何ともいえないところです。
近隣一帯の店舗も軒並み通常通り営業をしていますので当面動きはなさそうですが、今のうちに昔ながらの店構えを味わっておくのも良いと思います。
今回は将来への記録という面も勘案して、レポートさせていただきました。
【関連リンク】
・むさし野 ウェブサイト
・武蔵小杉ライフ:タウンガイド:レストラン むさし野
・武蔵小杉ライフ:再開発情報:その他関連情報 府中街道
・2012/3/1エントリ さよなら、リンガーハット川崎武蔵小杉店
・2012/8/11エントリ 府中街道の中華料理店「かんちゃん」閉店、 府中街道拡幅用地の取得進む
・2015/5/25エントリ 府中街道拡幅により安いステーキ「エル・ア ミーゴ」が閉店、50年の歴史に幕
・2015/8/24エントリ 武蔵小杉「吉岡時計店」の、3万分の1の奇 跡。オスの三毛猫「ジロー君」と、「ミケタン」
府中街道沿いの武蔵小杉駅近くに、うなぎ専門店「むさし野」があります。
今回はここで、「黒焼き」のうなぎを食べてみました。
■府中街道沿いの「むさし野」本店
「むさし野」は、府中街道と東急線高架の交点の東側で長年営業をしています。
この目の前の道路は、府中街道と市道36号線が分岐するY字の交差点になっています。
写真のすぐ左側には、2015/8/24エントリでオスの三毛猫「ジロー君」をご紹介した「吉岡時計店」があります。
以前は上記のように「むさし野」の建物全体が見える写真は撮りにくかったのですが、「グランツリー武蔵小杉」の開発に伴う市道36号線の拡幅・交差点の改良により、建物から少し引いて撮影することができるようになりました。
ご覧の通り、歴史を感じさせる建物です。
これは昭和初期に両国にあった相撲部屋「小野川部屋」を移築したものです。
店主さんは力士出身で、引退後に「むさし野」を開業されたようです。
■むさし野 ウェブサイト
http://www010.upp.so-net.ne.jp/musasino/
ウェブサイトではこちらが「本店」になっています。
かつては武蔵中原の南武線高架下に支店があったことによるものですが、現在は武蔵中原の店舗は閉店しています。
■「江戸角力部屋 黒焼鰻 むさし野」
クラシックな看板には、「黒焼鰻」と書いてあります。
この「黒焼」が、後述する「むさし野」特有の焼き方になっています。
「角力」とは昔使われていた言葉で、相撲のことです。
■夜に灯りがともり…
さて、夜になって灯りがともり、さらに雰囲気が出てきました。
さっそく店内に入ってみましょう。
■「むさし野」の店内
「むさし野」の店内は、床が土間になっています。
土間に4人掛けのテーブルが並び、写真奥には小上がりのお座敷席があります。
■力士の手形
■「天明後 米一俵価格表」
店内には、力士の手形のほか、「天明後 米一俵価 格表」など歴史を感じさせるものが各所にありました。
これは天明元年(1781年)からの米価の変遷を記録したもので、「米価」に関する史料としては広く知られています。
天明といえば、天明3年の「天明の大飢饉」が有名ですね。
■黒焼うなぎについて
そしてこちらが、お店の看板にもあった「黒焼」の伝来についての説明です。
「黒焼」とは、蒸してから焼くのではなく、蒸さない生の状態から何度も裏返して焼く昔の調理方法です。
その昔天明の大飢饉のころ、力士が品の巡業中に千曲川でうなぎを採り、そのまま焼いて食べたことでたいへん活力になったということが看板に記載されています。
とりわけ当地の名力士「雷電」は、肌つやも錦絵を見るが如く、抜群の強さを誇ったということです。
■軍配形のうなぎ丼
そしてとうとうやってきました、「むさし野」の「うなぎ丼」(2,000円)です。
相撲の行司が持つ軍配の形をしています。
蓋には先ほど紹介されていた、黒焼きを食べた名力士「雷電」の名前が書かれていました。
■うなぎ丼
最近うなぎの値段が高騰し、各所のうなぎ丼のうなぎが小さくなったりしてきました。
(特にランチなどではランチの予算枠に合わせる事情もありますね)
「むさし野」のうなぎ丼は、うつわからはみ出して、立派なものでした。
「黒焼」で蒸さないためにうまみが逃げず、脂がのっているのが特徴です。
何度も裏返して表面にはほどよく焦げ目がつき、中はふんわりしています。
一方でたれは甘みが控えめの醤油ベースであり、この点は「甘いたれ」がうなぎの醍醐味と感じる方にとってはお好みの分かれるところかもしれません。
■湯呑みの力士の絵柄
なお、「むさし野」では黒焼に時間を要するため、オーダーしてから出てくるまで少なくとも20分~30分程度はかかります。
そのため事前に電話予約を入れておくことで、来店時間にあわせて提供いただくことも可能です。
■「本日、うなぎは全て売り切れました。」
また、日によってはうなぎが早めに売り切れている場合もありますので、ご注意ください。
■「ベビーカー・小さなお子様お断り」
加えて「むさし野」では、ベビーカー、小さなお子 ま、騒いだり歩き回ったりするお子様はお断りしていました。
店舗の方針ということで、該当するご家族には残念なところですが、かわりにお持ち帰りのお弁当をおすすめしているということです。
■今後拡幅が進められる、府中街道沿いの「吉岡時計店」「むさし野」付近
さて、この「むさし野」は、府中街道に面しており、いずれは拡幅工事による立ち退きが行われるものと思います。
時期や移転など具体的なことは未確定で、これまでの事例を見ても道路拡幅が予定が大幅に変更(順延)されることが多々ありますので、現時点では何ともいえないところです。
近隣一帯の店舗も軒並み通常通り営業をしていますので当面動きはなさそうですが、今のうちに昔ながらの店構えを味わっておくのも良いと思います。
今回は将来への記録という面も勘案して、レポートさせていただきました。
【関連リンク】
・むさし野 ウェブサイト
・武蔵小杉ライフ:タウンガイド:レストラン むさし野
・武蔵小杉ライフ:再開発情報:その他関連情報 府中街道
・2012/3/1エントリ さよなら、リンガーハット川崎武蔵小杉店
・2012/8/11エントリ 府中街道の中華料理店「かんちゃん」閉店、 府中街道拡幅用地の取得進む
・2015/5/25エントリ 府中街道拡幅により安いステーキ「エル・ア ミーゴ」が閉店、50年の歴史に幕
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