市民向け川崎市債投資セミナー
皆さん、「地方債」というものをご存知でしょうか?
国債は国が発行する債券ですが、地方自治体においても公共事業
などの財源のために債券を発行することができます。全国型市場
公募地方債、住民参加型市場公募地方債などなどいろいろ種類は
ありまして、それらを総称して「地方債」と呼んでいます。
政令指定都市は一般の市町村より地方債の発行できる権限が大きく、
川崎市も「川崎市債」として地方債を発行して公共事業などに充てて
います。
最近ですと、川崎区の臨海部にオープンした東扇島東公園などに
川崎市債で集められた資金が活用されています。
地方債は金融商品ですので、投資することによって利率分のリターン
を得ることができますが、発行する自治体には上場企業などと同様に
投資家向けの適切な情報提供や広報活動、一般にいわれるIR(イン
ベスター・リレーションズ)活動を行うことが求められています。
その一環として、2008年8月26日、武蔵中原駅前のエポックなかはら
において、川崎市主催の「市民向け川崎市債投資セミナー」が開催
されました。
■エポックなかはら
川崎市は細長い形状をしていますので、全市域からの市民の参加を
想定して、市中央部にあるエポックなかはらで開催したものと思い
ます。
■市民向け川崎市債投資セミナー 会場
当日は雨でしたが、40人くらいは集まっていたでしょうか。
内容は2部構成で、第1部は「川崎のまちづくりと市債」と題して、阿部
市長が川崎市の財政的な強みや取り組み、川崎市債に関して説明を
行うものでした。
第2部は「賢くふやす、街と自分の幸せ」と題して、NPO法人金融知力
普及協会の牛山氏が投資の基本的なことについてわかりやすく講義
し、市民向けセミナーとして「そもそも市債って何? 金利って何?」と
いうところから理解の促進をはかるものでした。
■第2部 NPO法人金融知力普及協会による講義
上場企業の株式に比べて地方債はローリスク・ローリターンであり、
住民参加型市場公募地方債は購入者をその自治体の住民に限定
したりしていて、上場企業の株式に比べて投資の知識のあまりない、
ごく普通の市民の方が購入することも多いと思います。
そういった市民の皆さんにも投資してもらいやすいよう、このような
基礎的な講義を取り入れているものでしょう。
■市民向け川崎市債投資セミナー資料
テーブルにはたくさんの川崎市債に関する資料やレジュメが用意さ
されているほか、
■生田の天然水 恵水
ミネラルウォーターも用意されていました。これは川崎市水道局が
販売している「生田の天然水 恵水」です。
■川崎市水道局 「生田の天然水 恵水」の販売について
http://www.city.kawasaki.jp/80/80syomu/home/megumi.htm
川崎市独自の水源地である多摩区の井戸からくみ上げたもののよう
ですね。私は全く存在を知りませんでしたが、中原区では、区役所の
自販機のほか、上小田中のセブンイレブン川崎大ヶ谷戸店で販売
されています。
■ミューザ川崎シンフォニーホールの広告
ラベルをよく見ると、ミューザ川崎シンフォニーホールの広告が
入っています。
市債の話に戻ると、川崎市は他の地方自治体に比べて今回の
ようなIR活動を活発に行っているようです。IRウェブサイトも、優良な
IRを行っているとされる上場企業の水準には達していませんが、
自治体としては相対的にコンテンツが充実しています。
(全般的に自治体のIRウェブサイトは説明会のPDFが掲載されて
いるぐらいで、IRウェブサイトとしての体をなしていないことが多い
です)
投資家向け説明会などの動画も、日興シティグループ証券系の
IR支援会社、日興アイ・アールのサポートによりウェブ配信されて
います。
今回のセミナーも収録していまして、後日動画配信される予定に
なっています。
■川崎市公式ウェブサイト 投資家情報
http://www.city.kawasaki.jp/23/23sikin/home/ir/ir.htm
地方自治体の資金源が国から民間にシフトしていく全体的な流れの
中、川崎市では川崎縦貫高速鉄道のような大規模な公共事業も控え
ていますので、継続的に財源として市債を発行していくものと思われ
ます。
それにあわせて、こういった市債セミナーも継続的に行っていくのでは
ないかと思います。貯蓄から投資へ、というのは国策ではありますが、
日本国民の資産はまだまだ銀行預金で運用されているのが圧倒的
ですから、それを投資に振り向けるには地道に金融商品への理解を
促進していくことも必要でしょう。
【関連リンク】
武蔵小杉ライフ:再開発情報:川崎縦貫高速鉄道
川崎市総合福祉センター エポックなかはら