川崎歴史ガイド・中原街道ルート(17):井田堀の暗渠に残る「街道と地蔵尊」
【Reporter:はつしも】
「川崎歴史ガイド・中原街道ルート」の、約7年ぶりとなる不定期連載第17回です。
今回は「街道と地蔵尊」です。
「川崎歴史ガイド」は、市内の歴史文化遺産の保存と紹介を目的とした財団法人川崎市文化財団の事業です。
同事業では市内の歴史をたどる9つのルートを設定し、現地にガイドパネルを設置するとともにパンフレットを作成して当該地域の歴史を紹介しています。
このうち中原区においては、「中原街道」と「二ヶ領用水」がルートとして設定されており、本連載では2009年より「中原街道ルート」の紹介を行ってまいりました。
■井田堀の「街道と地蔵尊」ガイドパネル
■「井田堀」
中原街道沿いには、いくつか二ヶ領用水の支流の暗渠(地下に埋設されたり蓋をされた水路)が残されています。
上記写真のように、曲がりくねった道を見かけたら、まずは「暗渠ではないか」と考えてみて良いと思います。
古くからの道には多くの石仏や石の道標が残されていますが、中原街道沿いには、暗渠と交わる角で多くの石仏等の姿を見つけることができます。
「街道と地蔵尊」のガイドパネルは二ヶ領用水の支流「井田堀」の暗渠の角地にあり、ここにはやはり地蔵尊のほこらがありました。
■「街道と地蔵尊」のガイドパネル
「街道と地蔵尊」のガイドパネルには、地蔵尊の説明も記載されていました。
かつて「歳の市」や、地元の祭りのよりどころとして大切な存在であったということです。
■地蔵尊
そのような歴史的背景もあってか、地蔵尊には現在でも花やお水などが供えられています。
地域の方が見守られているようです。
■井田堀反対側の石仏
井田堀の反対側を見ると、こちらにも石仏がありました。
もう少し小さなものですが、やはり綺麗なお花やお水が供えられています。
これらの石仏は、用水に落ちて亡くなった子どもの供養のため、街道で行き倒れた旅人のため、川ざらいの際に出てきた石仏を祀ってなど、由来は諸説あるようです。
■新調されたほこら
中原街道沿いを井田堀よりももう少し北上すると、新調されたほこらがありました。
これは隣接して新築マンションがありますので、マンション建設の際に一緒に新調したようです。
こういったほこらには明確な所有者もないものが多いと思いますが、撤去などされずによかったと思います。
■大正6年の石仏
■見ざる、言わざる、聞かざる
ほこらの中の石仏を見ると、大正6年の文字がありました。
台座部分には「見ざる、言わざる、聞かざる」が彫刻されています。
中原街道沿いには各所にこのような石仏や道標がありますので、お散歩しながら探してみるのもよいと思います。
【関連リンク】
・川崎市文化財団 歴史ガイド 中原街道ルート
(川崎歴史ガイド・中原街道ルート連載)
・2009/9/23エントリ (1):「丸子の渡し」
・2009/10/6エントリ (2):「旧原家母屋跡地」
・2009/11/9エントリ (3):「旧名主家と長屋門」
・2009/11/29エントリ (4):「明治の醤油作りと八百八橋」
・2009/12/21エントリ (番外編):「武蔵小杉駅の八百八橋」
・2010/2/9エントリ (番外編):「丸子の渡しガイドパネル入札不調」
・2010/2/14エントリ (5):「小杉御殿と『カギ』の道」
・2010/3/30エントリ (6):「小杉御殿の御主殿跡」
・2010/5/23エントリ (番外編)「中原区役所の八百八橋」
・2010/6/28エントリ (7):「小杉陣屋と次大夫」
・2010/7/19エントリ (8):「御蔵稲荷と多摩川」
・2010/8/19エントリ (9):「西明寺と小杉学舎」
・2010/11/12エントリ (10):「小杉駅と供養塔」
・2011/2/11エントリ (11):「庚申塔と大師道」
・2011/3/27エントリ (12):「小杉十字路」
・2011/4/7エントリ (番外編):「中原区役所の八百八橋」リニューアル
・2011/5/3エントリ (番外編):「中原区役所の八百八橋」看板設置と石橋ベンチ
・2011/7/9エントリ (13):「二ヶ領用水と神地橋」
・2011/9/4エントリ (14):「泉沢寺と門前市」
・2012/12/1エントリ 「安藤家長屋門」が川崎市指定文化財に、本日12月1日(日)に一般開放
・2013/2/9エントリ 「安藤家長屋門 川崎市重要歴史記念物記念イベント」が2013年3月14日(木)、30日(土)開催
・2013/2/12エントリ 川崎市重要歴史記念物「安藤家長屋門」一般公開レポート
・2013/8/16エントリ (15):「旧中原村役場跡」
・2014/2/10エントリ (16):「木月堀と『くらやみ』」
・2015/12/20エントリ (番外編):旧原家母屋跡地「GATE SQUARE小杉御殿町」の歴史展示
・2016/3/16エントリ (番外編):神明神社と上小田中公園に残る、「くらやみ」の歴史
・2016/4/8エントリ (番外編):旧中原街道「桜坂」から見えるソメイヨシノと、武蔵小杉の高層ビル群
・2016/8/16エントリ (番外編):大田区側「おいと坂」と、「美富士橋」から見る武蔵小杉の高層ビル群
・2021/4/27エントリ (番外編):子母口富士見台古墳から見た武蔵小杉の高層ビル群と、富士見台からの富士山
「川崎歴史ガイド・中原街道ルート」の、約7年ぶりとなる不定期連載第17回です。
今回は「街道と地蔵尊」です。
「川崎歴史ガイド」は、市内の歴史文化遺産の保存と紹介を目的とした財団法人川崎市文化財団の事業です。
同事業では市内の歴史をたどる9つのルートを設定し、現地にガイドパネルを設置するとともにパンフレットを作成して当該地域の歴史を紹介しています。
このうち中原区においては、「中原街道」と「二ヶ領用水」がルートとして設定されており、本連載では2009年より「中原街道ルート」の紹介を行ってまいりました。
■井田堀の「街道と地蔵尊」ガイドパネル
■「井田堀」
中原街道沿いには、いくつか二ヶ領用水の支流の暗渠(地下に埋設されたり蓋をされた水路)が残されています。
上記写真のように、曲がりくねった道を見かけたら、まずは「暗渠ではないか」と考えてみて良いと思います。
古くからの道には多くの石仏や石の道標が残されていますが、中原街道沿いには、暗渠と交わる角で多くの石仏等の姿を見つけることができます。
「街道と地蔵尊」のガイドパネルは二ヶ領用水の支流「井田堀」の暗渠の角地にあり、ここにはやはり地蔵尊のほこらがありました。
■「街道と地蔵尊」のガイドパネル
「街道と地蔵尊」のガイドパネルには、地蔵尊の説明も記載されていました。
かつて「歳の市」や、地元の祭りのよりどころとして大切な存在であったということです。
■地蔵尊
そのような歴史的背景もあってか、地蔵尊には現在でも花やお水などが供えられています。
地域の方が見守られているようです。
■井田堀反対側の石仏
井田堀の反対側を見ると、こちらにも石仏がありました。
もう少し小さなものですが、やはり綺麗なお花やお水が供えられています。
これらの石仏は、用水に落ちて亡くなった子どもの供養のため、街道で行き倒れた旅人のため、川ざらいの際に出てきた石仏を祀ってなど、由来は諸説あるようです。
■新調されたほこら
中原街道沿いを井田堀よりももう少し北上すると、新調されたほこらがありました。
これは隣接して新築マンションがありますので、マンション建設の際に一緒に新調したようです。
こういったほこらには明確な所有者もないものが多いと思いますが、撤去などされずによかったと思います。
■大正6年の石仏
■見ざる、言わざる、聞かざる
ほこらの中の石仏を見ると、大正6年の文字がありました。
台座部分には「見ざる、言わざる、聞かざる」が彫刻されています。
中原街道沿いには各所にこのような石仏や道標がありますので、お散歩しながら探してみるのもよいと思います。
【関連リンク】
・川崎市文化財団 歴史ガイド 中原街道ルート
(川崎歴史ガイド・中原街道ルート連載)
・2009/9/23エントリ (1):「丸子の渡し」
・2009/10/6エントリ (2):「旧原家母屋跡地」
・2009/11/9エントリ (3):「旧名主家と長屋門」
・2009/11/29エントリ (4):「明治の醤油作りと八百八橋」
・2009/12/21エントリ (番外編):「武蔵小杉駅の八百八橋」
・2010/2/9エントリ (番外編):「丸子の渡しガイドパネル入札不調」
・2010/2/14エントリ (5):「小杉御殿と『カギ』の道」
・2010/3/30エントリ (6):「小杉御殿の御主殿跡」
・2010/5/23エントリ (番外編)「中原区役所の八百八橋」
・2010/6/28エントリ (7):「小杉陣屋と次大夫」
・2010/7/19エントリ (8):「御蔵稲荷と多摩川」
・2010/8/19エントリ (9):「西明寺と小杉学舎」
・2010/11/12エントリ (10):「小杉駅と供養塔」
・2011/2/11エントリ (11):「庚申塔と大師道」
・2011/3/27エントリ (12):「小杉十字路」
・2011/4/7エントリ (番外編):「中原区役所の八百八橋」リニューアル
・2011/5/3エントリ (番外編):「中原区役所の八百八橋」看板設置と石橋ベンチ
・2011/7/9エントリ (13):「二ヶ領用水と神地橋」
・2011/9/4エントリ (14):「泉沢寺と門前市」
・2012/12/1エントリ 「安藤家長屋門」が川崎市指定文化財に、本日12月1日(日)に一般開放
・2013/2/9エントリ 「安藤家長屋門 川崎市重要歴史記念物記念イベント」が2013年3月14日(木)、30日(土)開催
・2013/2/12エントリ 川崎市重要歴史記念物「安藤家長屋門」一般公開レポート
・2013/8/16エントリ (15):「旧中原村役場跡」
・2014/2/10エントリ (16):「木月堀と『くらやみ』」
・2015/12/20エントリ (番外編):旧原家母屋跡地「GATE SQUARE小杉御殿町」の歴史展示
・2016/3/16エントリ (番外編):神明神社と上小田中公園に残る、「くらやみ」の歴史
・2016/4/8エントリ (番外編):旧中原街道「桜坂」から見えるソメイヨシノと、武蔵小杉の高層ビル群
・2016/8/16エントリ (番外編):大田区側「おいと坂」と、「美富士橋」から見る武蔵小杉の高層ビル群
・2021/4/27エントリ (番外編):子母口富士見台古墳から見た武蔵小杉の高層ビル群と、富士見台からの富士山