富士通がスーパーコンピュータ「富岳」によるJR武蔵中原駅前での都市交通や宇宙分野での大規模電磁波解析の有効性を実証
JR武蔵中原駅前に川崎工場・本店を置く富士通は、スーパーコンピュータ「富岳」の開発と、これを活用したさまざまな研究活動を行っています。
このたび、同社は「富岳」で自社の電磁波解析ソリューション「Poynting for Microwave(以下、Poynting)」を動作させ、「最新のX線宇宙望遠鏡における電磁波干渉問題の定量評価」および「5Gを想定した路車間通信の通信品質評価」を2022年1月から3か月間実施し、この7月までにクラウドサービス化の有効性を確認しました。
このうち「5Gを想定した路車間通信の通信品質評価」は、JR武蔵中原駅前の交差点で実施していましたので、ご紹介します。
■「富岳」を活用した路車間通信の通信品質評価が行われていたJR武蔵中原駅前交差点
※富士通提供
こちらが、今回「富岳」を活用した通信品質評価が行われていたJR武蔵中原駅前です。
ちょうど富士通川崎工場(本店)の目の前で、お膝元で実験を行ったというわけです。
今回の実験内容は細かく説明するとあまりにも難解に過ぎますので、極力わかりやすく単純化してご紹介したいと思います。
<極力わかりやすく単純化した研究の概要>
●産業界では、電子機器・自動車・宇宙機器に至るまで幅広い分野で機器同士が通信するようになっている
●交通事故防止のために研究が進められている「高度道路交通システム」においても、車と車、車と車路の間での無線通信が行われる
●よって、これらの通信における電磁波干渉や通信品質を評価する電磁波解析需要が高まっているが技術的なハードルが高い
●富士通の「富岳」を利用した電磁波解析ソリューション「Poynting」は、従来手法に比べてこれらの解析を容易に実行できるようにするもの
●今回の実験でその有効性が実証できた
■JR武蔵中原駅前交差点での通信品質解析
※富士通提供
難解な詳細は割愛しますが、上記がJR武蔵中原駅前での通信品質解析資料です。
都市空間での車車間、路車間通信の通信品質は、通信距離のほか、周辺の建物や路上設置物、他車両などによって影響を受けます。
その影響は通信速度の向上に伴って大きくなるため、高速な5Gにおける通信安定化の実現に向けた通信品質の評価が重要です。
今回の富士通の「Poynting」を用いた大規模電磁波シミュレーションでは、建物や路上設置物、自動車などの複雑な形状の影響を考慮しつつ、交差点に設置された送信機と自動車に搭載された受信機間の路車間通信の通信品質評価を実施できることが実証されたということです。
■JAXAによる宇宙望遠鏡における電磁波干渉評価
そしてもうひとつの実証実験が、「最新のX線宇宙望遠鏡における電磁波干渉問題の定量評価」です。
こちらは国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA) 宇宙科学研究所様においてX線宇宙望遠鏡における電磁波干渉問題の定量評価を実施したものです。
JAXAが2022年度中に打ち上げ予定の衛星には広い視野をもつX線撮像器と極低温に冷やされたX線分光器が搭載されていますが、X線分光器は非常にデリケートで地上の通信伝播の混入を極小化する必要があります。
これまでは大気が存在する地上では宇宙空間を想定した実験が困難でしたが、「富岳」のクラウド環境で「Poynting」を活用することで、複雑な衛星の詳細構造をモデル化して地上での大規模電磁波シミュレーションが可能になったということです。
こちらもJR武蔵中原駅前での通信品質評価と同様に、有効性が実証できたことが富士通より発表されました。
■川崎フロンターレとJAXAのコラボイベント(中村憲剛選手とJAXA大西卓哉さん)
■中村憲剛さんの引退セレモニーに登壇、JAXAの大西卓哉さん
そういえば、富士通がメインスポンサーをつとめる川崎フロンターレでは、JAXAとのコラボイベント「宇宙スター☆ジアム」を開催し、等々力陸上競技場とISSを中継でつなぐ企画などを行っていました。
そんなご縁もあり、中村憲剛さんの引退セレモニーにも、JAXAの大西卓哉さんが駆け付け、本サイトでもご紹介しておりました。
こういったコラボが実現した背景には、今回の実証実験などにみられるような富士通とJAXAの協力関係があったのかもしれませんね。
■富士通川崎工場本館ビルの「Fujitsu Uvance」ライトアップ
富士通は「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能(サステナブル)にしていく」ことを目指す新事業ブランド「Fujitsu Uvance(フジツウ ユーバンス)」を2021年10月に発表しました。
同社は今後「Fujitsu Uvance」を旗印に社会課題の解決にフォーカスしたビジネスを推進していくものとしており、2021年12月にはこの新事業ブランドを象徴するライトアップを「富士通フェスティバル2021 A Night of Illumination」として富士通川崎工場で実施していました。
このライトアップでは「Fujitsu Uvance」がめざすサステナビリティや多様性を表現した、レインボーのようなカラーパレットが本館ビルの壁面を使って実施されていました。
富士通では、今回実証された「Poynting」の高精度な電磁波解析能力を活かした電磁波障害対策やコンサルティングなどのサービスを、高度なコンピューティング技術を誰でも容易に利用できる「Fujitsu Computing as a Service」の一つとして2023年度に提供することを目指すということです。
そして、サステナブルな世界の実現を目指す「Fujitsu Uvance」のもと、人と地共存し持続可能な成長を支える「Sustainable Manufacturing」の取り組みを進めていくものとしています。
■富士通川崎工場地下のテクノロジーホールに展示されたスーパーコンピュータ「京」(富岳の前世代機)
【関連リンク】
・富士通プレスリリース スーパーコンピュータ「富岳」を用いた大規模電磁波シミュレーションのクラウドサービス化の有効性を実証 宇宙分野や都市交通での最新の社会課題解決に寄与
・2016/8/18エントリ 川崎フロンターレが等々力陸上競技場で「宇宙スター☆ジアム」を開催、福田市長・中村憲剛選手らがISSとLIVE交信
・2020/12/22エントリ 等々力陸上競技場で18年の川崎フロンターレ人生に花道、「中村憲剛引退セレモニー&優勝報告会」開催完全レポート
・2021/12/18エントリ 「富士通フェスティバル2021 A Night of Illumination」で川崎工場本館ビルが12/18までライトアップ、新ブランド「Fujitsu Uvance」がめざす多様性・持続可能性を表現
このたび、同社は「富岳」で自社の電磁波解析ソリューション「Poynting for Microwave(以下、Poynting)」を動作させ、「最新のX線宇宙望遠鏡における電磁波干渉問題の定量評価」および「5Gを想定した路車間通信の通信品質評価」を2022年1月から3か月間実施し、この7月までにクラウドサービス化の有効性を確認しました。
このうち「5Gを想定した路車間通信の通信品質評価」は、JR武蔵中原駅前の交差点で実施していましたので、ご紹介します。
■「富岳」を活用した路車間通信の通信品質評価が行われていたJR武蔵中原駅前交差点
※富士通提供
こちらが、今回「富岳」を活用した通信品質評価が行われていたJR武蔵中原駅前です。
ちょうど富士通川崎工場(本店)の目の前で、お膝元で実験を行ったというわけです。
今回の実験内容は細かく説明するとあまりにも難解に過ぎますので、極力わかりやすく単純化してご紹介したいと思います。
<極力わかりやすく単純化した研究の概要>
●産業界では、電子機器・自動車・宇宙機器に至るまで幅広い分野で機器同士が通信するようになっている
●交通事故防止のために研究が進められている「高度道路交通システム」においても、車と車、車と車路の間での無線通信が行われる
●よって、これらの通信における電磁波干渉や通信品質を評価する電磁波解析需要が高まっているが技術的なハードルが高い
●富士通の「富岳」を利用した電磁波解析ソリューション「Poynting」は、従来手法に比べてこれらの解析を容易に実行できるようにするもの
●今回の実験でその有効性が実証できた
■JR武蔵中原駅前交差点での通信品質解析
※富士通提供
難解な詳細は割愛しますが、上記がJR武蔵中原駅前での通信品質解析資料です。
都市空間での車車間、路車間通信の通信品質は、通信距離のほか、周辺の建物や路上設置物、他車両などによって影響を受けます。
その影響は通信速度の向上に伴って大きくなるため、高速な5Gにおける通信安定化の実現に向けた通信品質の評価が重要です。
今回の富士通の「Poynting」を用いた大規模電磁波シミュレーションでは、建物や路上設置物、自動車などの複雑な形状の影響を考慮しつつ、交差点に設置された送信機と自動車に搭載された受信機間の路車間通信の通信品質評価を実施できることが実証されたということです。
■JAXAによる宇宙望遠鏡における電磁波干渉評価
そしてもうひとつの実証実験が、「最新のX線宇宙望遠鏡における電磁波干渉問題の定量評価」です。
こちらは国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA) 宇宙科学研究所様においてX線宇宙望遠鏡における電磁波干渉問題の定量評価を実施したものです。
JAXAが2022年度中に打ち上げ予定の衛星には広い視野をもつX線撮像器と極低温に冷やされたX線分光器が搭載されていますが、X線分光器は非常にデリケートで地上の通信伝播の混入を極小化する必要があります。
これまでは大気が存在する地上では宇宙空間を想定した実験が困難でしたが、「富岳」のクラウド環境で「Poynting」を活用することで、複雑な衛星の詳細構造をモデル化して地上での大規模電磁波シミュレーションが可能になったということです。
こちらもJR武蔵中原駅前での通信品質評価と同様に、有効性が実証できたことが富士通より発表されました。
■川崎フロンターレとJAXAのコラボイベント(中村憲剛選手とJAXA大西卓哉さん)
■中村憲剛さんの引退セレモニーに登壇、JAXAの大西卓哉さん
そういえば、富士通がメインスポンサーをつとめる川崎フロンターレでは、JAXAとのコラボイベント「宇宙スター☆ジアム」を開催し、等々力陸上競技場とISSを中継でつなぐ企画などを行っていました。
そんなご縁もあり、中村憲剛さんの引退セレモニーにも、JAXAの大西卓哉さんが駆け付け、本サイトでもご紹介しておりました。
こういったコラボが実現した背景には、今回の実証実験などにみられるような富士通とJAXAの協力関係があったのかもしれませんね。
■富士通川崎工場本館ビルの「Fujitsu Uvance」ライトアップ
富士通は「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能(サステナブル)にしていく」ことを目指す新事業ブランド「Fujitsu Uvance(フジツウ ユーバンス)」を2021年10月に発表しました。
同社は今後「Fujitsu Uvance」を旗印に社会課題の解決にフォーカスしたビジネスを推進していくものとしており、2021年12月にはこの新事業ブランドを象徴するライトアップを「富士通フェスティバル2021 A Night of Illumination」として富士通川崎工場で実施していました。
このライトアップでは「Fujitsu Uvance」がめざすサステナビリティや多様性を表現した、レインボーのようなカラーパレットが本館ビルの壁面を使って実施されていました。
富士通では、今回実証された「Poynting」の高精度な電磁波解析能力を活かした電磁波障害対策やコンサルティングなどのサービスを、高度なコンピューティング技術を誰でも容易に利用できる「Fujitsu Computing as a Service」の一つとして2023年度に提供することを目指すということです。
そして、サステナブルな世界の実現を目指す「Fujitsu Uvance」のもと、人と地共存し持続可能な成長を支える「Sustainable Manufacturing」の取り組みを進めていくものとしています。
■富士通川崎工場地下のテクノロジーホールに展示されたスーパーコンピュータ「京」(富岳の前世代機)
【関連リンク】
・富士通プレスリリース スーパーコンピュータ「富岳」を用いた大規模電磁波シミュレーションのクラウドサービス化の有効性を実証 宇宙分野や都市交通での最新の社会課題解決に寄与
・2016/8/18エントリ 川崎フロンターレが等々力陸上競技場で「宇宙スター☆ジアム」を開催、福田市長・中村憲剛選手らがISSとLIVE交信
・2020/12/22エントリ 等々力陸上競技場で18年の川崎フロンターレ人生に花道、「中村憲剛引退セレモニー&優勝報告会」開催完全レポート
・2021/12/18エントリ 「富士通フェスティバル2021 A Night of Illumination」で川崎工場本館ビルが12/18までライトアップ、新ブランド「Fujitsu Uvance」がめざす多様性・持続可能性を表現