「宮内歴史ガイド」探訪(3):常楽寺薬師堂への道標建立から200年、川崎~八王子まで広がった薬師信仰の痕跡残る
宮内地区の歴史を伝える「宮内歴史ガイド」の案内が、同地区内各所に設置されています。
これは地域自治会による「宮内歴史ガイド委員会」が各所の史跡紹介を紹介するもので、現地での案内に加えて専用のウェブサイトにおいてより詳細な情報を掲載しています。
弊紙では2021年に「黄金塚」「八目土」「枠鼻」をご紹介しておりましたが、今回は約3年ぶりに「道標・薬師堂」をご紹介したいと思います。
■府中街道沿いの「道標・薬師堂」
「道標・薬師堂」があるのは、府中街道の「常楽寺入口」信号の角地です。
その名前の通り、この角を曲がると薬師堂がある「常楽寺」、「春日神社」に至ります。
角地に立っているのが薬師堂への道標と、「宮内歴史ガイド」の案内です。
■「宮内歴史ガイド」の案内
こちらが「宮内歴史ガイド」の案内です。
角地に建てられているのは街道沿いから奥にある薬師堂を案内するための道標で、ここからお堂までの参道入口には大きな門があったと伝えられているそうです。
当時は「薬師護摩講」が稲毛領、川崎領の広範囲に普及しており、病を治す法薬を授ける仏として薬師如来が安置されていたということです。
現地に記載されているのは簡単な説明ですが、QRコードから参照するとさらに詳しい情報が掲載されています。
■薬師堂への道標
道標には、府中街道の道路に面して「薬師如来 春日山」と記されてます。
街道を歩いてくる人々に、「ここを曲がると薬師堂がある」と知らせるものだったのでしょう。
また前述の通り、ここには大きな門があったといいますから、さらにわかりやすかったのではないでしょうか。
現在は門は失われているものの、この場所には屋号として「大門」と呼ばれた旧家があったといいます。
■「右」(武蔵小杉方面)の案内
こうした道標は、多くが道案内の役割を果たしています。
「右」(武蔵小杉方面)と「左」(溝の口方面)の案内があり、上記は「右」です。
「右 小すぎ(小杉) 川さき(川崎)」との案内に加えて、文政7年(1824年)に建立されたものであることがわかりました。
今年が2024年ですので、ちょうど200年前ということになります。
■「左」溝の口方面の案内
一方、反対側の「左」(溝の口方面)の案内です。
「左 みぞのくち(溝の口) 八おうじ(八王子)」とあります。
またこの道標を建立したのが石井八左衛門という方であることもわかりました。
■春日山醫王院常楽寺の参道
■薬師堂
道標の奥には、春日山醫王院常楽寺の参道があり、正面が薬師堂となっています。
常楽寺は、奈良時代に聖武天皇の御願所として行基菩薩によって開基されたとされています。
川崎市の重要歴史記念物に指定されている木造の聖観世音菩薩立像・木造釈迦如来坐像・十二神将などが所蔵されています。
病気・災難・飢餓などからの救いを求める薬師如来信仰が平安時代からあったとされ、小田中や小杉の近隣の稲毛荘、川崎や八王子あたりまで「薬師護摩講」が広まっていたということです。
それでさきほどの道標にも、「小杉」「溝の口」どころか「川崎」「八王子」まで案内が記載されていたというわけですね。
「宮内歴史ガイド」のWeb版によると、1963年に常楽寺本殿の大規模な解体修理が行われ、その際に釈迦如来などの像の胎内から修理記録の銘札が出てきたそうです。
銘札には修理の年月、施主、仏師が記され、最初の修理は豊臣秀吉が生まれた頃の天文6年(1537年)。
以降、天正4年(1576年)、寛永13年(1636年)、宝永3年(1706年)、元文3年(1738年)、文政5年(1822年)、明治30年(1897年)、昭和5年(1930年)と合計8回の修理が行われていたということでした。
春日神社の薬師堂が、歴史のあるものだということがよくわかります。
■神奈川県指定天然記念物としての説明
■「禁猟区」の掲示
春日神社、常楽寺とその周辺には豊かな自然があり、神奈川県の天然記念物にも指定されています。
こうした自然環境は保護されていますので、来訪の際はご留意ください。
■常楽寺の本堂
なお、常楽寺の本堂は解体修理の際に本堂のふすまなどに漫画の絵を描いたことから「まんが寺」としても知られています。
こちらは今回はご紹介しておりませんが、事前連絡により見学も可能ということです。
関連リンクより川崎市のウェブサイトをご参照ください。
■道標薬師堂のマップ
【関連リンク】
・宮内歴史ガイド 道標・薬師堂
・川崎市教育委員会 常楽寺
・川崎市 かわさきの文化財 常楽寺(まんが寺)
・川崎歴史ガイド・中原街道ルート関連エントリ
・2021/2/11エントリ 宮内自治会がWeb連携案内板「宮内歴史ガイド」で地域の歴史を紹介、黄金の太刀の伝説残る「黄金塚」を探訪
・2021/3/21エントリ 宮内自治会のWeb連携史跡案内「宮内歴史ガイド」探訪(2):「八目土・枠鼻」で知る多摩川治水の歴史
これは地域自治会による「宮内歴史ガイド委員会」が各所の史跡紹介を紹介するもので、現地での案内に加えて専用のウェブサイトにおいてより詳細な情報を掲載しています。
弊紙では2021年に「黄金塚」「八目土」「枠鼻」をご紹介しておりましたが、今回は約3年ぶりに「道標・薬師堂」をご紹介したいと思います。
■府中街道沿いの「道標・薬師堂」
「道標・薬師堂」があるのは、府中街道の「常楽寺入口」信号の角地です。
その名前の通り、この角を曲がると薬師堂がある「常楽寺」、「春日神社」に至ります。
角地に立っているのが薬師堂への道標と、「宮内歴史ガイド」の案内です。
■「宮内歴史ガイド」の案内
こちらが「宮内歴史ガイド」の案内です。
角地に建てられているのは街道沿いから奥にある薬師堂を案内するための道標で、ここからお堂までの参道入口には大きな門があったと伝えられているそうです。
当時は「薬師護摩講」が稲毛領、川崎領の広範囲に普及しており、病を治す法薬を授ける仏として薬師如来が安置されていたということです。
現地に記載されているのは簡単な説明ですが、QRコードから参照するとさらに詳しい情報が掲載されています。
■薬師堂への道標
道標には、府中街道の道路に面して「薬師如来 春日山」と記されてます。
街道を歩いてくる人々に、「ここを曲がると薬師堂がある」と知らせるものだったのでしょう。
また前述の通り、ここには大きな門があったといいますから、さらにわかりやすかったのではないでしょうか。
現在は門は失われているものの、この場所には屋号として「大門」と呼ばれた旧家があったといいます。
■「右」(武蔵小杉方面)の案内
こうした道標は、多くが道案内の役割を果たしています。
「右」(武蔵小杉方面)と「左」(溝の口方面)の案内があり、上記は「右」です。
「右 小すぎ(小杉) 川さき(川崎)」との案内に加えて、文政7年(1824年)に建立されたものであることがわかりました。
今年が2024年ですので、ちょうど200年前ということになります。
■「左」溝の口方面の案内
一方、反対側の「左」(溝の口方面)の案内です。
「左 みぞのくち(溝の口) 八おうじ(八王子)」とあります。
またこの道標を建立したのが石井八左衛門という方であることもわかりました。
■春日山醫王院常楽寺の参道
■薬師堂
道標の奥には、春日山醫王院常楽寺の参道があり、正面が薬師堂となっています。
常楽寺は、奈良時代に聖武天皇の御願所として行基菩薩によって開基されたとされています。
川崎市の重要歴史記念物に指定されている木造の聖観世音菩薩立像・木造釈迦如来坐像・十二神将などが所蔵されています。
病気・災難・飢餓などからの救いを求める薬師如来信仰が平安時代からあったとされ、小田中や小杉の近隣の稲毛荘、川崎や八王子あたりまで「薬師護摩講」が広まっていたということです。
それでさきほどの道標にも、「小杉」「溝の口」どころか「川崎」「八王子」まで案内が記載されていたというわけですね。
「宮内歴史ガイド」のWeb版によると、1963年に常楽寺本殿の大規模な解体修理が行われ、その際に釈迦如来などの像の胎内から修理記録の銘札が出てきたそうです。
銘札には修理の年月、施主、仏師が記され、最初の修理は豊臣秀吉が生まれた頃の天文6年(1537年)。
以降、天正4年(1576年)、寛永13年(1636年)、宝永3年(1706年)、元文3年(1738年)、文政5年(1822年)、明治30年(1897年)、昭和5年(1930年)と合計8回の修理が行われていたということでした。
春日神社の薬師堂が、歴史のあるものだということがよくわかります。
■神奈川県指定天然記念物としての説明
■「禁猟区」の掲示
春日神社、常楽寺とその周辺には豊かな自然があり、神奈川県の天然記念物にも指定されています。
こうした自然環境は保護されていますので、来訪の際はご留意ください。
■常楽寺の本堂
なお、常楽寺の本堂は解体修理の際に本堂のふすまなどに漫画の絵を描いたことから「まんが寺」としても知られています。
こちらは今回はご紹介しておりませんが、事前連絡により見学も可能ということです。
関連リンクより川崎市のウェブサイトをご参照ください。
■道標薬師堂のマップ
【関連リンク】
・宮内歴史ガイド 道標・薬師堂
・川崎市教育委員会 常楽寺
・川崎市 かわさきの文化財 常楽寺(まんが寺)
・川崎歴史ガイド・中原街道ルート関連エントリ
・2021/2/11エントリ 宮内自治会がWeb連携案内板「宮内歴史ガイド」で地域の歴史を紹介、黄金の太刀の伝説残る「黄金塚」を探訪
・2021/3/21エントリ 宮内自治会のWeb連携史跡案内「宮内歴史ガイド」探訪(2):「八目土・枠鼻」で知る多摩川治水の歴史