赤穂浪士ゆかりの伝承、平間の銚子塚・馬頭観音と旧街道の不思議な「七曲り」を探訪
平間駅前の踏切近くに、「銚子塚」と呼ばれる塚があります。
ここには近隣にもいくつか残されている「馬頭観音」もあるほか、府中街道からガス橋付近に至る旧道が途中で7回曲がる「平間の七曲り」の痕跡をたどることができます。
■平間駅前踏切近くの「銚子塚」
「銚子塚」は、平間駅前踏切の府中街道側にあります。
府中街道からガス橋方面に向かう旧街道「鎌倉道」「神奈川荏原街道」途中で、詳細はのちほどご紹介しますが、現在のガス橋通り沿いではなく少し折れ曲がった裏路地にあります。
■銚子塚を登る階段
■赤穂浪士ゆかりといわれる祠
銚子塚は「新編武蔵風土記稿」おいても「土人云塚の形銚子に似たれば名くと」と言及されています。
小高い丘のようになっていて、階段が設けられています。
■赤穂浪士ゆかりといわれる祠
一説によると江戸時代中期の赤穂浪士討ち入りの際、大石内蔵助らの一行が平間に滞在し、浪士の富森助右衛門が大工の喜右衛門に贈った銚子が、祠に祀られているのだそうです。
■馬頭観音も
銚子塚には「馬頭観音」もありました。
これは運搬手段が馬だった近世、道中に亡くなった馬を弔うために各地につくられたものです。
中丸子の南武沿線道路沿いや御幸踏切など、近隣でもいくつか残されているのを弊紙でもご紹介しておりました。
馬頭観音は一般に憤怒相ですが、中丸子や御幸踏切の馬頭観音は風化して顔がわからない状況でした。
銚子塚の馬頭観音は、まだはっきりと憤怒相がわかりますね。
■塚の上から見下ろして
■塚の下には石仏も
塚の下には石仏もありましたが、こちらはかなり風化していました。
それでも新しい花が供えられて、現在でも地域の方がお参りをされているようです。
■散策マップと「平間の七曲り」の案内
銚子塚の入口には、散策マップ案内板がありました。
今のガス橋通りは近世から鎌倉通、神奈川荏原街道などと呼ばれていましたが、マップに記載の通り2か所で合計7回の曲がり角がありました。
1~4が銚子塚のところで、府中街道から平間駅の踏切に至る前に直進せずに銚子塚のほうに曲がります。
もう1か所、5~7は現在の南武沿線道路との交差点あたりです。
■曲がり角1の入口
こちらが、曲がり角1の入口です。
府中街道からガス橋通りに入り、このまま直進すれば平間駅前の踏切ですが、右に曲がって銚子塚を経由します。
この「平間の七曲り」については、武蔵小杉ライフ公式Youtubeチャンネルで動画で公開させていただいた動画のほうがよくわかると思いますので、記事末尾からご参照ください。
このまま一旦、引き続き写真でご紹介していきます。
■南武沿線道路との交差点
■交差点の石仏
そして残る5~7の曲がり角は、現在は南武沿線道路との大きな交差点になっているため、痕跡を辿ることができません。
ただ、交差点の角地にはご覧の通り石仏がありました。
■「寛保」の文字
よく見ると、「寛保」(1741~1744年)の文字が見えました。
江戸時代にあたり、昔からこの場所にあったようです。
まったくの個人的な想像ですが、「平間の七曲り」2か所は、銚子塚やこの石仏に立ち寄るための街道のルートだったのではないでしょうか。
学術的な研究などによるものではなく誤りかもしれませんので、ご了承ください。
■旧道は八幡大神前で右手に
南武沿線道路の信号をわたって直進するとガス橋ですが、旧道は八幡大神前で右手に入っていきます。
突き当りはガス橋より少し下流の多摩川にぶつかります。
江戸時代は当然ガス橋ではなく、渡し船で江戸に渡っていたのでしょう。
■ガス橋
現在は多摩川にガス橋が架かり、便利になりました。
「七曲り」の旧街道もガス橋通りとして広くまっすぐになりましたが、時に旧街道を巡ってみるのも良いと思います。
■武蔵小杉ライフ公式Youtubeチャンネル 赤穂浪士ゆかりの伝承!平間の銚子塚と不思議な「七曲り」
最後に、今回の銚子塚と「七曲り」のルートを収録した動画を武蔵小杉ライフ公式Youtubeチャンネルで公開させていただきました。
「七曲り」は動画のほうが良くわかると思いますので、是非ご視聴ください。
■銚子塚のマップ
【関連リンク】
・2011/8/3エントリ 御幸踏切の馬頭観音
・2024/5/10エントリ 中丸子の南武沿線道路沿いと御幸踏切に残る「馬頭観音」、かつての荷馬車の歴史を偲ぶ
(川崎歴史ガイド・中原街道ルート連載)
・2009/9/23エントリ (1):「丸子の渡し」
・2009/10/6エントリ (2):「旧原家母屋跡地」
・2009/11/9エントリ (3):「旧名主家と長屋門」
・2009/11/29エントリ (4):「明治の醤油作りと八百八橋」
・2009/12/21エントリ (番外編):「武蔵小杉駅の八百八橋」
・2010/2/9エントリ (番外編):「丸子の渡しガイドパネル入札不調」
・2010/2/14エントリ (5):「小杉御殿と『カギ』の道」
・2010/3/30エントリ (6):「小杉御殿の御主殿跡」
・2010/5/23エントリ (番外編)「中原区役所の八百八橋」
・2010/6/28エントリ (7):「小杉陣屋と次大夫」
・2010/7/19エントリ (8):「御蔵稲荷と多摩川」
・2010/8/19エントリ (9):「西明寺と小杉学舎」
・2010/11/12エントリ (10):「小杉駅と供養塔」
・2011/2/11エントリ (11):「庚申塔と大師道」
・2011/3/27エントリ (12):「小杉十字路」
・2011/4/7エントリ (番外編):「中原区役所の八百八橋」リニューアル
・2011/5/3エントリ (番外編):「中原区役所の八百八橋」看板設置と石橋ベンチ
・2011/7/9エントリ (13):「二ヶ領用水と神地橋」
・2011/9/4エントリ (14):「泉沢寺と門前市」
・2012/12/1エントリ 「安藤家長屋門」が川崎市指定文化財に、本日12月1日(日)に一般開放
・2013/2/9エントリ 「安藤家長屋門 川崎市重要歴史記念物記念イベント」が2013年3月14日(木)、30日(土)開催
・2013/2/12エントリ 川崎市重要歴史記念物「安藤家長屋門」一般公開レポート
・2013/8/16エントリ (15):「旧中原村役場跡」
・2014/2/10エントリ (16):「木月堀と『くらやみ』」
・2015/12/20エントリ (番外編):旧原家母屋跡地「GATE SQUARE小杉御殿町」の歴史展示
・2016/3/16エントリ (番外編):神明神社と上小田中公園に残る、「くらやみ」の歴史
・2016/4/8エントリ (番外編):旧中原街道「桜坂」から見えるソメイヨシノと、武蔵小杉の高層ビル群
・2016/8/16エントリ (番外編):大田区側「おいと坂」と、「美富士橋」から見る武蔵小杉の高層ビル群
・2021/4/27エントリ 川崎歴史ガイド・中原街道ルート(番外編):子母口富士見台古墳から見た武蔵小杉の高層ビル群と、富士見台からの富士山
・2022/8/30エントリ 川崎歴史ガイド・中原街道ルート(番外編):平塚市の中原御殿跡訪問、「中原小学校」「御殿一丁目」などまるで異世界の中原区を散策 ・2022/9/9エントリ 中原区×平塚市コラボ・中原図書館で中原街道史料展示開始、小杉御殿・川崎フロンターレvs中原御殿・湘南ベルマーレ「中原街道御殿ダービー」も熱戦
・2022/8/30エントリ 川崎歴史ガイド・中原街道ルート(番外編):平塚市の中原御殿跡訪問、「中原小学校」「御殿一丁目」などまるで異世界の中原区を散策
ここには近隣にもいくつか残されている「馬頭観音」もあるほか、府中街道からガス橋付近に至る旧道が途中で7回曲がる「平間の七曲り」の痕跡をたどることができます。
■平間駅前踏切近くの「銚子塚」
「銚子塚」は、平間駅前踏切の府中街道側にあります。
府中街道からガス橋方面に向かう旧街道「鎌倉道」「神奈川荏原街道」途中で、詳細はのちほどご紹介しますが、現在のガス橋通り沿いではなく少し折れ曲がった裏路地にあります。
■銚子塚を登る階段
■赤穂浪士ゆかりといわれる祠
銚子塚は「新編武蔵風土記稿」おいても「土人云塚の形銚子に似たれば名くと」と言及されています。
小高い丘のようになっていて、階段が設けられています。
■赤穂浪士ゆかりといわれる祠
一説によると江戸時代中期の赤穂浪士討ち入りの際、大石内蔵助らの一行が平間に滞在し、浪士の富森助右衛門が大工の喜右衛門に贈った銚子が、祠に祀られているのだそうです。
■馬頭観音も
銚子塚には「馬頭観音」もありました。
これは運搬手段が馬だった近世、道中に亡くなった馬を弔うために各地につくられたものです。
中丸子の南武沿線道路沿いや御幸踏切など、近隣でもいくつか残されているのを弊紙でもご紹介しておりました。
馬頭観音は一般に憤怒相ですが、中丸子や御幸踏切の馬頭観音は風化して顔がわからない状況でした。
銚子塚の馬頭観音は、まだはっきりと憤怒相がわかりますね。
■塚の上から見下ろして
■塚の下には石仏も
塚の下には石仏もありましたが、こちらはかなり風化していました。
それでも新しい花が供えられて、現在でも地域の方がお参りをされているようです。
■散策マップと「平間の七曲り」の案内
銚子塚の入口には、散策マップ案内板がありました。
今のガス橋通りは近世から鎌倉通、神奈川荏原街道などと呼ばれていましたが、マップに記載の通り2か所で合計7回の曲がり角がありました。
1~4が銚子塚のところで、府中街道から平間駅の踏切に至る前に直進せずに銚子塚のほうに曲がります。
もう1か所、5~7は現在の南武沿線道路との交差点あたりです。
■曲がり角1の入口
こちらが、曲がり角1の入口です。
府中街道からガス橋通りに入り、このまま直進すれば平間駅前の踏切ですが、右に曲がって銚子塚を経由します。
この「平間の七曲り」については、武蔵小杉ライフ公式Youtubeチャンネルで動画で公開させていただいた動画のほうがよくわかると思いますので、記事末尾からご参照ください。
このまま一旦、引き続き写真でご紹介していきます。
■南武沿線道路との交差点
■交差点の石仏
そして残る5~7の曲がり角は、現在は南武沿線道路との大きな交差点になっているため、痕跡を辿ることができません。
ただ、交差点の角地にはご覧の通り石仏がありました。
■「寛保」の文字
よく見ると、「寛保」(1741~1744年)の文字が見えました。
江戸時代にあたり、昔からこの場所にあったようです。
まったくの個人的な想像ですが、「平間の七曲り」2か所は、銚子塚やこの石仏に立ち寄るための街道のルートだったのではないでしょうか。
学術的な研究などによるものではなく誤りかもしれませんので、ご了承ください。
■旧道は八幡大神前で右手に
南武沿線道路の信号をわたって直進するとガス橋ですが、旧道は八幡大神前で右手に入っていきます。
突き当りはガス橋より少し下流の多摩川にぶつかります。
江戸時代は当然ガス橋ではなく、渡し船で江戸に渡っていたのでしょう。
■ガス橋
現在は多摩川にガス橋が架かり、便利になりました。
「七曲り」の旧街道もガス橋通りとして広くまっすぐになりましたが、時に旧街道を巡ってみるのも良いと思います。
■武蔵小杉ライフ公式Youtubeチャンネル 赤穂浪士ゆかりの伝承!平間の銚子塚と不思議な「七曲り」
最後に、今回の銚子塚と「七曲り」のルートを収録した動画を武蔵小杉ライフ公式Youtubeチャンネルで公開させていただきました。
「七曲り」は動画のほうが良くわかると思いますので、是非ご視聴ください。
■銚子塚のマップ
【関連リンク】
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