「かわさきのむかし話」探訪、現地で分かる影向寺裏「井戸坂」(高津区)にむじなが出る理由
幸区・鹿島田駅前にある地域密着型書店「北野書店」が刊行した、「かわさきのむかし話を語ろう」(小澤俊夫編・再話)という郷土本があります。
今回は、同書で「人をばかすむじなが出る」話が伝えられている、高津区の「井戸坂」を訪れてみました。
そうしますと、「なぜ、むじなが出るのは井戸坂なのか?」がわかりましたので、お伝えいたします。
■「かわさきのむかし話を語ろう」(小澤俊夫編・再話、北野書店)
「かわさきのむかし話を語ろう」は、川崎市内に残る昔話を昔話研究科・小澤俊夫さんが監修して再話収録したもので、これまでにいくつかの版がありましたが、本書は2022年に復刻版として刊行されたものです。
2023/12/16エントリでは、この中に収録された「下小田中のきつね」に出てくる「ピンスケ稲荷」を訪問しておりました。
■「井戸坂」のマップ
<昔話「井戸坂のむじな」の概略>
●野川の影向寺のうらの井戸坂は日が暮れると人っこひとり通らない寂しい坂だった
●村の男が井戸坂を登っていくと見たことのない老人とすれ違い、男が挨拶すると消えてしまった
●ある晩には牛が角を立てて向かってきたので助けを呼ぶとまた消えてしまった
●これらはむじなが村人をばかしているのだといわれていた
上記の平面マップではわかりませんが、影向寺は高台の上にあり、基本的に周囲は全て坂道になっています。
その中で赤い線で示したのが、「井戸坂」です。
■井戸坂への入口
井戸坂に入る目印は、「らーめん幸楽苑 川崎千年店」です。
武蔵中原駅から中原街道をまっすぐ南下し、千年の交差点で右折した先、橘小学校の近くにあります。
■井戸坂は「千年地区急傾斜地崩壊危険区域」
井戸坂は急傾斜になっていて、「千年地区急傾斜地崩壊危険区域」に指定されています。
リスクが高い場所は、ご覧の通りコンクリートで固められていました。
■「枯草火災注意」
■急になってきた斜面
■自転車に関する注意喚起
他にも、「枯草火災注意」や、急斜面のため自転車の運転に関する注意など、注意喚起の掲示が多い場所でした。
■防犯カメラ
そして昔話にもあったように確かに寂しい道でしたから、防犯カメラも設置されていました。
■井戸坂の上
そして、実際に来てみてわかったのは、井戸坂は影向寺の高台の北側急斜面であるため、日が暮れるのがひときわ早いということでした。
今回の写真はいずれも午後15時台後半に撮影したものなのですが、井戸坂は高台の陰になって、すでに薄暗い印象になっていたのです。
もし、これが反対側の坂道であったならば、午後の日差しを浴びてまだまだ明るい状態だったでしょう。
現在は街灯がありますが、昔話の当時はすぐに真っ暗になってしまったと思われます。
だからこそ、人をばかすむじなの話が残っているのは、坂道だらけの影向寺周辺でもこの「井戸坂」だったのでしょう。
昔話を本で読んで、地図で見ただけではわからないことが、現地を訪れることでわかったりします。
時代が変わっても、基本的な地形は変わりませんので、そこから辿れることがあると楽しいですよ。
■多くの昔話が残る影向寺
さて、井戸坂をのぼった先の影向寺には、多くの昔話が残されています。
そちらはまた次回以降、ご紹介したいと思います。
【関連リンク】
・影向寺 ウェブサイト
・川崎市教育委員会 影向寺
・2023/12/16エントリ 「かわさきのむかし話を語ろう」で巡る昔話:「化かす狐」を鎮めたピンスケ・権九郎・おひなの「下小田中三稲荷」
今回は、同書で「人をばかすむじなが出る」話が伝えられている、高津区の「井戸坂」を訪れてみました。
そうしますと、「なぜ、むじなが出るのは井戸坂なのか?」がわかりましたので、お伝えいたします。
■「かわさきのむかし話を語ろう」(小澤俊夫編・再話、北野書店)
「かわさきのむかし話を語ろう」は、川崎市内に残る昔話を昔話研究科・小澤俊夫さんが監修して再話収録したもので、これまでにいくつかの版がありましたが、本書は2022年に復刻版として刊行されたものです。
2023/12/16エントリでは、この中に収録された「下小田中のきつね」に出てくる「ピンスケ稲荷」を訪問しておりました。
■「井戸坂」のマップ
<昔話「井戸坂のむじな」の概略>
●野川の影向寺のうらの井戸坂は日が暮れると人っこひとり通らない寂しい坂だった
●村の男が井戸坂を登っていくと見たことのない老人とすれ違い、男が挨拶すると消えてしまった
●ある晩には牛が角を立てて向かってきたので助けを呼ぶとまた消えてしまった
●これらはむじなが村人をばかしているのだといわれていた
上記の平面マップではわかりませんが、影向寺は高台の上にあり、基本的に周囲は全て坂道になっています。
その中で赤い線で示したのが、「井戸坂」です。
■井戸坂への入口
井戸坂に入る目印は、「らーめん幸楽苑 川崎千年店」です。
武蔵中原駅から中原街道をまっすぐ南下し、千年の交差点で右折した先、橘小学校の近くにあります。
■井戸坂は「千年地区急傾斜地崩壊危険区域」
井戸坂は急傾斜になっていて、「千年地区急傾斜地崩壊危険区域」に指定されています。
リスクが高い場所は、ご覧の通りコンクリートで固められていました。
■「枯草火災注意」
■急になってきた斜面
■自転車に関する注意喚起
他にも、「枯草火災注意」や、急斜面のため自転車の運転に関する注意など、注意喚起の掲示が多い場所でした。
■防犯カメラ
そして昔話にもあったように確かに寂しい道でしたから、防犯カメラも設置されていました。
■井戸坂の上
そして、実際に来てみてわかったのは、井戸坂は影向寺の高台の北側急斜面であるため、日が暮れるのがひときわ早いということでした。
今回の写真はいずれも午後15時台後半に撮影したものなのですが、井戸坂は高台の陰になって、すでに薄暗い印象になっていたのです。
もし、これが反対側の坂道であったならば、午後の日差しを浴びてまだまだ明るい状態だったでしょう。
現在は街灯がありますが、昔話の当時はすぐに真っ暗になってしまったと思われます。
だからこそ、人をばかすむじなの話が残っているのは、坂道だらけの影向寺周辺でもこの「井戸坂」だったのでしょう。
昔話を本で読んで、地図で見ただけではわからないことが、現地を訪れることでわかったりします。
時代が変わっても、基本的な地形は変わりませんので、そこから辿れることがあると楽しいですよ。
■多くの昔話が残る影向寺
さて、井戸坂をのぼった先の影向寺には、多くの昔話が残されています。
そちらはまた次回以降、ご紹介したいと思います。
【関連リンク】
・影向寺 ウェブサイト
・川崎市教育委員会 影向寺
・2023/12/16エントリ 「かわさきのむかし話を語ろう」で巡る昔話:「化かす狐」を鎮めたピンスケ・権九郎・おひなの「下小田中三稲荷」