武蔵小杉で出産する:関東労災病院(後編)
昨日の前編に続き、今回は関東労災病院でお産にかかる話の「お産
入院編」です。
■関東労災病院 メインエントランスと病棟
●基本方針は「自然分娩」
まず、関東労災病院では「自然分娩」が基本方針となっているよう
です。あらかじめ「この日に生みたい」というような計画分娩や、無痛
分娩は取り扱わないようです(もちろん、ケースに応じて、陣痛を誘発
したり、帝王切開となることはあります)。
また、出産について望むことがあれば、あらかじめ文書で伝えること
ができました。
私は「できるだけ自然に任せる分娩で、できるだけ切開はしたくない」
という希望があったので、それは最初から伝えておき、助産師さん
とも相談しておきました。
さてさて。いよいよ入院の話です。
●LDRはありません
お産が始まりそうになると、いよいよ入院でとなります。自然分娩の
場合、まず「陣痛室」(ああ、もう、この言葉だけで恐ろしいですね…)
に入り、いよいよ出産ということになると、「分娩室」に移動し、出産を
終えると、「病室」に移動することになります。
いわゆる「LDR」(陣痛室と分娩室が一緒になった部屋)はありませ
ん。陣痛室から、分娩室へは、廊下を差し挟んですぐ真正面の部屋
ですが、それでも、それだけの距離でも、歩いて!移動します。
●立ち会い分娩は可能です
夫の立ち会い分娩ができます。我が家は、立ち会いを希望しなかっ
たので詳しくは分からないのですが、申し出れば簡易ベッドも用意
してもらえるようで、宿泊できる部屋(別料金)もあるようです。
ただし、立ち会えるのは夫のみで、ほかの家族(子どもなど)の立ち
会いはできません。
ちなみに、私は第一子の出産のとき、「陣痛のときはそばにいて励ま
してほしい…」と陰ながら思っていたのですが、夜間だったため、立ち
会いは希望していないことを告げると「では、ご主人は、ご用事がすん
だらお帰りください」といわれ、あっさり一人きりになりました。定期的
に診察してくれる助産師さんだけが、心の支えだったのを覚えていま
す…。
●お産は助産師さんがリード
私はとくにリスクのない妊婦だったため、助産師さんのみがお産を助
けてくれて、最後、いよいよ生まれるというときになって、お医者さんが
登場するというケースでした。
ちなみに、第一子のときは、助産師さん一人、第二子では二人の方が
ついてくださいました。
●カンガルーケアができます
さあ、いよいよ生まれました!
関東労災病院では「カンガルーケア」をおこなっています。生まれた
ばかりの子どもを、胸に抱いて、出産直後の安静時間を過ごすことが
できます。
幸せの時間です。このためだけに、つらい思いをした甲斐があるとい
うものです。不思議なもので、どんな痛みがあっても、赤ちゃんを胸に
抱いていると、それが全部麻痺してしまう感じです(麻薬ですね)。
ちなみに私、ここで「ご主人に連絡をどうぞ」といわれ、自分の携帯電
話(「ちょっとなら使っていいですから」といわれました)で、出産報告
をしました。
夫、出産直後の妻が電話をかけてくるとは思っていなかったらしく、
びっくり。
立ち会いをしない夫も、この時点で分娩室に入って、子どもと初の対
面ができます。ただし、分娩室に入れるのは、このときも夫のみで、
子ども(上の子どもなど)や祖父母にあたる人などは入れません。
●母子同室制、個室です
分娩後、2時間ほど分娩室で安静にしたあと、経過に問題がなけれ
ば、病室に移動になります。赤ちゃんは産着に包まれ、キャスター
付きのコットに寝かされています。
荷物と赤ちゃんとともに、病室に移動です。完全母子同室制で、個室
です。家族が帰り、助産師さんのこない時間は、赤ちゃんと二人きり
で、みっちりお世話の日々が始まります。
病室には、トイレ、洗面台がついています。タオルは部屋について
いて、洗濯に出せば新しいタオルを支給してくれるのですが、ハンド
ソープは洗面台にないので、自分で用意する必要があります。階下
の売店でも買えますが、入院する荷物に入れておいたほうがいいで
しょう(第一子のときに、石けんがないことに気づき、難渋した経験が
あります)。
●夜景がきれいです
入院病棟の9階(最上階)に産婦人科の病室があるため、眺めが
よく、夜景がきれいです。私が入った病室からは、東横線の線路が
よく見えて、窓を明かりで光らせた電車が通っていくのが、美しかっ
たです。夜、授乳でたびたび起きるので、夜景がきれいなのには、
心が和みました。
ただし、電車の音はよく聞こえます。うるさい、というほどではないと
思いますが、捉え方には個人差があるかもしれません。
■関東労災病院からの夜景
●面会時間は15時から20時までです
入院時、家族を含むお見舞いの人とは、15時から20時までの面会
時間(土・日・祝は10時から20時)に会うことができます。
出産を終えて心から思いますが、入院中は、産後の体を休めること
が第一なので、実の親や実の子であろうとも、面接時間をきちんと
守るのが大切かと思います。
「孫なんだから、生まれたら、面接時間外であろうとすぐ会いたい!」
という親御さんもいらっしゃるかと思いますが、入院規定を守ることが、
体を守ることにつながりますので、あらかじめ家族には、産後の体の
回復が第一であることの、ご理解を求めておくのがいいと思います。
●入院期間は、基本、5日間です
自然分娩で、母子ともに経過に問題がない場合、出産当日を0日と
して、5日目のお昼ごろに退院できます。
これは初産婦さんの場合で、経産婦さんは、希望があって退院許可
がおりれば、4日目に退院することもできます。
私自身は、第一子は5日目に退院、第二子は4日目に退院しました。
●母乳育児を支援してくれます
あくまでお母さんとなる方の考え次第と思いますが、病院としては、
母乳育児を推奨して応援している印象です。
たとえば、出産直後から母子同室なのも、その一貫だと思います。出
産直後から、初乳を与えることもできますし、入院中は、ほぼひたす
ら、赤ちゃんに母乳を与え、おむつを換える生活です。
助産師さんも、たびたび様子を見てくれますし、トラブルの相談にも
のってくれます。
入院中は、ナースコール1本で、産婦さんと赤ちゃんの体を見るプロの
助産師さんが様子を見てくれるのですから、遠慮せず、みっちり基本を
仕込んでしまうのがいいと思います。
初産のときは、慣れない初めての赤ちゃんのお世話に格闘する、それ
はもうハードな入院生活でしたが(笑)、助産師さんの励ましで、何とか
乗り切れた!という感じです。
私自身は、最 初のうちは、母乳が出ないのに苦労しましたが、第一子、
第二子ともに 母乳オンリーで育てられているのも、入院中の指導が
あってのことだと 思っています。
退院後は「母乳外来」もあり、退院後のトラブルの相談にものってくれ
ます。私は第一子のとき、一度お世話になりました。確か生後10か月
ぐらいのときです。あるトラブルで母乳を続ける自信をなくしかけたの
ですが、外来で見てもらって、「大丈夫、母乳を続けるのはすばらし
いことですよ」と励ましてもらい、最後まで続けることができました。
感謝しています。
…と、駆け足で見てまいりましたが、詳しくは、関東労災病院のウェブ
サイト、とくに「入院のご案内」のうち「産科入院のご案内」を参照され
ると、 産院選びの参考になるかと思います。
■関東労災病院公式ウェブサイト 産科入院のご案内
http://www.kantoh.rofuku.go.jp/nyuuinannai/sanka.htm
ちなみに、出産にかかる費用ですが、私が健診時にもらったプリント
によると、
●時間内(平日8:15~17:00)に娩出、5日間入院で…48万8500円
●休日・深夜に娩出、5日間入院で…50万8500円
が、料金の概算になっています。
ちなみに私の場合は、平日の時間外の出産でしたが、請求金額は
48万円弱となっていました。自然分娩でほぼ経過に問題がなく、経産
婦で1日早く退院したので、安く済んだのかもしれません。
入院期間が1日延びると、1日あたり約4万円の追加料金が発生しま
す。陣痛が2日にわたったりすると、あっという間に4万円×2日の追加
料金になりますので、肉体的にも料金的にもイタイですね(第一子で
経験しました)。
なお、出産費用につきましては、2009年から改訂があったようなので、
上記の費用はあくまで参考程度にご覧になってください。
また、あくまでもこのレポートは、私自身の体験ベースですので、経験
される方によって、受け取り方も違うことと思います。
私自身は、関東労災病院でのお産しか知らないので、他病院さんとの
比較もできません。でも、私自身の感想では、熱意ある助産師さんに
励まされて、いいお産ができた、と思っています。
産院をどこにしようか、迷われている方の、ひとつの判断材料になれば
と思い、今回のレポートとさせていただきました。長くなりましたが、読ん
でくださった方、本当にありがとうございました。
■関東労災病院 受付窓口
【関連リンク】
関東労災病院 公式ウェブサイト
武蔵小杉ライフ:生活情報:病院
2009/1/8エントリ 関東労災病院の新棟
2009/5/25エントリ 武蔵小杉で出産する:関東労災病院(前編)