川崎市民ミュージアムには、さまざまな図書や映像メディアを収蔵した「ミュージアムライブラリー」があります。
この奥には、日本の漫画作品を中心としたコーナーが設置され、同ミュージアムの特徴のひとつとなっています。
今回はこの「マンガライブラリー」をご紹介したいと思います。
■川崎市市民ミュージアム
川崎市市民ミュージアムは、「都市と人間」というテーマを掲げて川崎市が1988年11月に開館した、博物館と美術館が融合した複合文化施設です。
同ミュージアムは漫画作品等サブカルチャーの収集や展示にも力を入れていまして、2005年には「手塚治虫文化賞特別賞」が授与されています。
最近の企画展では「江口寿展 KING OF POP」が記憶に新しいところですし、過去には「マンガ・アニメ祭り」、機動戦士ガンダムなどで知られる「安彦良和原画展」なども開催していました。
■市民ミュージアム3階から見る「逍遥展示空間」
マンガライブラリーは、市民ミュージアムの3階にあります。
エレベーターで3階にのぼり、開放感ある「逍遥展示空間」を眺めながら進んでいきましょう。
■「ミュージアムライブラリー」
エレベーターから30秒ほど歩くと、「ミュージアムライブラリー」の入口に到着します。
この奥、窓から光がさしているあたりがマンガコーナーです。
■「マンガコーナー」
ライブラリー奥のマンガコーナーは、周囲よりも一段高くなって、靴を脱いであがれるようになっています。
■壁一面に収蔵されたマンガ
壁一面に収蔵されたマンガ、マンガ、マンガです。
自宅でここまで揃えた方はなかなかいないのではないでしょうか。
■手塚治虫作品
マンガコーナーには、古典的名作から比較的最近の人気作まで幅広い作品が収蔵されています。
一番冊数が多かったのは、こちらのマンガの神様・手塚治虫氏の作品です。
もはや古典ですが、近年でも「MW(ムウ)」など新たに実写映画化されたものがあります。
■「ドラえもん」「ぼくの地球を守って」
そしてマンガの神様がいれば、やはりマンガの王様・藤子・F・不二雄氏の「ドラえもん」も外せませんね。
こちらは通常のコミックスではなく、テーマ別セレクションの文庫版で収蔵されていました。
そしてその上段に見えるのは、少女マンガの名作、日渡早紀氏「記憶鮮明シリーズ」の「ぼくの地球を守って」です。
■「風と木の詩」
少女マンガの古典的名作といえば、少年愛をテーマにした「ギムナジウムもの」(学校の寄宿舎を舞台にした作品)がかつて人気を博しました。
こちらは竹宮恵子氏が1970~80年代に描いた「風と木の詩」です。
同時期の作品では、萩尾望都氏による「トーマの心臓」などもギムナジウムもので、文化人から高い評価を得ています。
■池田理代子氏作品
少女マンガの名作では、「ベルサイユのばら」を代表作とする池田理代子氏の作品も並んでいました。
「ベルばら」に知名度は譲りますが、ロシア革命などの歴史を織り交ぜた「オルフェウスの窓」も重厚な長編作品であり「男装の麗人」という王道テーマを引き継いでいます。
■「シティハンター」「ヒカルの碁」
マンガコーナーに収蔵されているのは、古典的名作だけではありません。
少年漫画の王道、「週刊少年ジャンプ」の人気作品も揃えられています。
写真は「ジャンプ」黄金時代を支えた「シティーハンター」や、囲碁ブームを起こした「ヒカルの碁」です。
■「ハチミツとクローバー」
続いて羽海野チカ氏の出世作「ハチミツとクローバー」です。
美術大学を舞台にした青春ストーリーです。
同氏は、透明感ある少女マンガの作風をそのままに青年誌に活躍の場を移し、現在連載中の「3月のライオン」が人気を博しています。
■「おいピータン!!」「バガボンド」
少し渋いところで目に留まったのは、伊藤理佐氏の日常グルメをテーマにした作品「おいピータン!!」でした。
その隣は今やカリスマ化してきた井上雄彦氏の人気作「バガボンド」です。
■「天体戦士サンレッド」
地元目線では、高津区を舞台にした「天体戦士サンレッド」も見逃せないところ。
同作品では溝の口駅周辺など地元ネタがふんだんに登場します。
■「ミリオンセラー絵本コーナー」
マンガを紹介していくときりがありませんが、このコーナーの一角には「ミリオンセラー絵本コーナー」も併設されています。
その名前の通りミリオンセラーになった絵本を揃えています。
絵本のミリオンセラーとは爆発的に売れるというよりも、長い時間を経て読み継がれてきた作品が多くを占めています。
そんな作品には、何かしら時代を超えた普遍的なものがあるように思います。
■映像コーナー
ミュージアムライブラリーには映像メディアも収蔵されていまして、備え付けの端末で視聴することができます。
日本映画の名作など、レンタルビデオ店でなかなか見つからない作品とも出会えるでしょう。
休日にでも、ちょっと落ち着いて利用してみるのも良いと思います。
今回ご紹介した「ミュージアムライブラリー」やその一角のマンガコーナーは、ミュージアム3階の一番奥にあるせいかあまり存在そのものが知られていないようです。
川崎市市民ミュージアムの特徴ある所蔵作品であり、市民の皆さんの共有財産でもありますので、等々力緑地での休憩など、何か機会がありましたら利用してみてはいかがでしょうか。
【関連リンク】
・川崎市市民ミュージアム ウェブサイト
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