武蔵小杉ブログ(武蔵小杉ライフ 公式ブログ)

川崎市中原区の再開発で変貌する街・武蔵小杉のタウン情報サイト『武蔵小杉ライフ』の公式ニュースブログ。街の最新情報やさまざまな話題をご紹介します。

2010年
12月17日

武蔵小杉の「ひと」(6):レジデンス・ザ・武蔵小杉(前編)

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武蔵小杉ライフが地域活動に関わり合いのある方々へお話を伺う
インタビューシリーズ。これまで過去5回目にわたり地域活動に
関わりのある、民間団体、NPO法人、そして行政担当者の方々
など
にお話を伺ってきましたが、そのインタビューの中でみなさんが各々
再開発地域とその住民に対する思いを語られるのを聞くにつれて、
それでは当の住民の皆さんはどのように思っているのだろう?という
思いを抱くようになりました。

そこで今回は再開発地区のマンションの一つである、
レジデンス・ザ・武蔵小杉にお邪魔して話を伺う機会を得ました。
レジデンス・ザ・武蔵小杉は小杉駅東部地区再開発地域のB地区に
位置し、この地域ではもっとも早い2007年に完成したマンションです。

■レジデンス・ザ・武蔵小杉
レジデンス・ザ・武蔵小杉

ただ単に入居が早かった、というだけではなく設立当初から
マンションの住民の中で「コミュニティ委員会」という組織が結成
されて、マンション内だけでなく先般お話を伺ったNPO法人
小杉駅周辺エリアマネジメントに対しても活発な提案
を行うなど、
一部の方々からは一目置かれている存在です。

今回はそんなレジデンスさんの第三期理事長を務める豊田さん(※)、
ならびに同コミュニティ委員会の保崎さん
にお話を伺いました。
(※)インタビュー当時、現在は任期を満了し第四期になっています。

■豊田さん(右)と保崎さん(左)
豊田さん(右)と保崎さん(左)

--まずはレジデンスでコミュニティ委員会が出来た経緯を教えて
ください。

(保崎)
はじめに、コミュニティ委員会は管理組合理事会の下部組織として、
このレジデンス・ザ・武蔵小杉のコミュニティ担当理事をサポート
して、マンション内の円滑なコミュニティ活動を推進するための組織
です。

例えばクリスマスパーティーや七夕飾り付けといったイベントを実施
したり、あるいはサークルを作りたいといった住民のサポートを
行ったりしています。住民同士のコミュニケーションを深めて顔が
見えるコミュニティ作りをコーディネイトしていく
というのが
コミュニティ委員会の役割です。

コミュニティ委員会が発足した背景ですが、1つ目にはここに住んで
いる方々の安心安全な生活環境への関心が非常に高い
ということ、
2つ目に長期にわたってマンションの健全な維持化やハード面だけ
ではなく、いわゆるソフト面での健全性を維持していくということ、
3つ目にかつての「井戸端会議」というものが自然発生的に醸成
しにくい世の中なのでコミュニティづくりの仕掛けが必要だと考え
られたこと、4つ目は防犯面の向上や災害時の助け合いへの貢献
ということ、最後はまあざっくばらんにいうと顔の見える
コミュニティみたいなものが必要
ではないかと考えられたこと、
という大きく5つがあります。

また行政的に言うと、阪神淡路大震災以降、防災活動を下支えする
ために地域コミュニティ活動が大事ということで、各ディベロッパー
にその旨管理規約などに記載するという指導もあります。
それらの背景からディベロッパー側がこういう大規模マンションには
コミュニティ活動というのが絶対必要になるだろう
ということで
コミュニティ委員会というのを作りましょうということを設立総会の
時にかけて、創設されたという経緯があります。

でも住民側にはコミュニティ活動のノウハウがない。だから最初の
1年目はディベロッパー側がコンサルタントをコミュニティ委員会に
入れて、それで活動をはじめたのです。彼らからいろいろと
コミュニティ活動のノウハウみたいなものを教えてもらいました。
ただコンサルは1年で契約が切れたので、その後は住民自らでやって
いかなくちゃという形
で引き継いだのがいま継続して発展しています。

--ディベロッパー側の後押しもあったとのことですが、そのような
入り方はどう思われますか?


(保崎)
結果としては良かったと思いますね。
やはりこれだけの大規模マンションだと、まずみんなが一同に会して
コミュニティ作りやろうよっていう話もなかなか出てこない

でしょうし。これが20~30戸のマンションだったらお互い顔が
見えると思うのですが、このマンションでも400戸近く。もっと
大規模になった時にはそういう仕掛けを作らないとコミュニティ活動
というのは、いざやろうと言ってもなかなか出来ないんじゃないかと。

--保崎さんは呼びかけに対して自分で立候補されたと聞きましたが?

(保崎)
はい。
でもやっぱりそういうきっかけがないと自分から手を挙げることは
できなかったですね。

--他のマンションではそのような取り組みはなかったのでしょうか?

(保崎)
あまり聞いてないですね。
後からコミュニティの役割が出来たというような話は聞きましたが。
つまりそのコミュニティ活動というのが、理事会のなかで役割を
ちゃんと示せているか、もしくは与えられているかどうか
ですね。
聞いた限りではきちんと決まっていないマンションが多かったように
見受けられます。だからこそ我々がやっていることが周りの人たち
からみると驚いた感じで見られるのでしょうね、手前味噌ですが(笑)。

(豊田)
近隣のマンションで聞いた話では、コミュニティ活動をしたい人
たちが、集まって作ったコミュニティ委員会があるみたいなんです
よね。正確にはわからないのですけど、理事会ベースのコミュニティ
委員から始まってそれが委員会を作ったというイメージみたいですね。
そこでは、仕掛け云々はほとんど自分達で考えているみたいで、
基本的にコンサルが入ったりとか管理会社とかディベロッパー側が
先導してというのではないようですね。

また別のマンションではそういったものは必要ないという
ディベロッパー側の考えがあるところもあり、コミュニティ活動を
しなくても良いというところ
もあります。例えばレジの倍の世帯数が
あっても理事の人数は半分しかいないし、担当分けもほとんどない。
理事長とあとはその他みたいな形。なにか住民間の問題が起こった
ときにその問題を討議することと、あとは営繕関係ぐらい
という
ようですね。

--理事会の構成もマンションによってずいぶん異なるのですね。

(豊田)
「住民が独自になにかを考えて活動できる」というレベルに
なるまではどうしてもディベロッパーとか管理会社中心の活動に
なってくるので、初期の頃はそういった販売側の価値観の違い
というのが大きく響いてくる。
そんな感じがしますね。

--レジデンスはそういった経緯から始まったとのことですが、
1年たってコンサルが離れた後も続けておられますよね。その辺の
コツみたいなものは何かありますか?


(保崎)
まず参加しているみなさんが楽しんでやっていくことがポイントだと
思います。イベントというのはどうしてもカンフル剤的なもので、
やればやるほどマンネリ化していくので、新しい仕掛けみたいなのを
作っていく知恵は必要だと思うんです。

例えば、クリスマスパーティーは元々やっていましたけど、
マンション交流会(後述)みたいなのものをやってみたりとか。
今夏にはワールドカップ観戦をやりましたけど、そういった新しい
ものを少しでもいいから発案して、みんなで楽しんでやっていく
というのがまずコツの一つなのかな。

あとは、委員会のなかで「こんな企画やアイデアどう?」と言える
ような雰囲気
みたいなものを作り出していく、何かを否定するのでは
なくて気軽に「こんな企画どう?」なんて言える雰囲気みたいな
ものも大事だと思いますね。

(豊田)
意見が出るかどうかは大きいと思うんですよ。自分たちが考えて自分
たちでやる。だから楽しい。ということ
だと思うんですよ。これが
押し付けだと、例えば「どうしても今月イベントやらないと
いけないから。」という様になると意見も出なくなって楽しく
なくなってしまう。楽しくないと続かないしそれ自体が雰囲気悪い
ですよね。

たぶんレジデンスでコミュニティ活動がうまくいっているのは、
やる側が結構楽しんでいるところにあるんじゃないかと思います。
どちらにしてもボランティアの基本は自分達が楽しむことだと思い
ますね。

■豊田さん
豊田さん

--今現在のコミュニティ活動はどのようなものがあるのでしょうか?

(保崎)
はい。大きく分けて2つあって、ひとつはイベントを実施したり
サポートしたり
しています。

イベントで言えば例えばマンション交流会、クリスマスパーティー、
七夕飾り付けやあとはその年その年でいろいろみなさんが企画発案
したもの
をサポートしてます。

もうひとつは、オフィシャルサークルといいまして、いまこの
マンションの中では3つあるのですけど、住民のみなさんがサークル
活動をしたいと申し出たときに、その支援をしています。
そのほか、理事会主催のイベントがあれば、そのお手伝いをしています。

■コミュニティ委員会の掲示板
コミュニティ委員会の掲示板

--最初のイベント関連についてもう少し詳しく教えてください。

(豊田)
レジデンス・ザ・武蔵小杉のイベントで特色があるのは、
「マンション交流会」でしょうか。例えば駐輪場の問題とか営繕・
修繕問題とか、今このマンションで起きていること、何か問題に
なっていること、あるいはこういうことが起こりそうだという情報に
ついて、各理事や専門の検討委員会からプレゼンしてもらい、住民の
なかで問題意識や情報の共有
を行います。その後で、参加者で
懇親会
をやるんです。

これは今回で3回目ですかね、毎年2回やろうかなと思っているん
ですけど、もともと子供中心のイベントはあるのだけど大人のものは
ないよねという話
からきています。夜に有志で集まって飲んで談話
しようかという話になりかけたんですが、それだけじゃちょっと
つまらないということで、このあたりがイベント企画のミソだったり
しますが、前半プレゼン、後半懇親会という二部構成にしました。
そのほかその都度の企画イベントになります。クリスマスパーティー
がこのマンションの最大のイベント
です。

--七夕やクリスマスなど季節感を意識したイベントを行われている
ようですが。


(保崎)
子供たちに季節ごとの雰囲気を味わわせてあげたいという意見が
コミュニティ委員会の中でも多かったのです。ほんとは餅つき大会
だとか子供の日に鯉のぼりを揚げるとかやりたいのですがいろいろ
制約があるのでなかなか出来ないのですけど、今後はなんらかの
かたちでそういったこともやれるようになればいいなと思います。

■七夕飾り
七夕飾り

■クリスマスツリー
クリスマスツリー

--2番目の大きな活動のほうでオフィシャルサークルについて
教えてください。


(保崎)
先ほども言いましたがイベントというのはカンフル剤なんですよね。
やっているときは爆発的な力があるのですが、イベントというのは
主催者と参加者の関係でしかない
ことが多い。

そうではなくて参加者というか住民同士の横のつながりはどうやって
できていったらいいのだろう? という事がずっと僕の中で課題に
なっていまして、それならばなにかやりたいとか、あるいはこういう
ことが出来るという人たち同士をうまく結び付けられないか? 
という思い
が前からありました。それでオフィシャルサークルの制度
を立ち上げようという話になったのです。

今現在は、「キッズイングリッシュ」と「ベイビーヨガ」と
「太極拳」
がありますが、お子さんのいるお母様方が中心となって
集まっています。ある人いわく、これらのサークルに参加することは
一種の公園デビューだということもおっしゃっていました。まさしく
名言と思いますが、それで先ほど言った横のつながりみたいなものが
どんどん出来ていけばいいかなと思います。

--公園デビューとは少し懐かしい響きを聞いたような気がします。

(豊田)
昔は地域の公園があって、そこにみんなが集まってくるというのが
暗黙の了解
だった。だから公園デビューみたいな言葉があったわけ
です。

今、近くにも中丸子まるっこ公園などがありますが、レジデンスの
住民の人達がどこまでそれを知っているかというとあまり知らない。
特に初めての子供が生まれる人たちは子供の生活に対する情報を
ほとんどもっていない
わけです。そういった人たちにとっての第一歩
はなにかというと、どうしてもこれになるのかなという感じがします
よね。

■中丸子まるっこ公園
中丸子まるっこ公園

(保崎)
やっぱり同じマンションに住んでいて、気軽にいつも触れ合えて
なにか同じような問題を抱えているお母様方の悩み相談所というか
井戸端会議というかネットワーク作りの一つだとかそういうものが
積み重なっていく
ことで、イベントとは違う横のつながりみたいな
ものができていけばいいかなと思いますね。

それが少し残念なのは子供関連だけになっているので、例えば大人の
部でもゴルフやろうとかジョギングやろうとか、そういう集まりが
できればいいかな
と思っているんですけど、なかなか皆さんお忙しい
ようで、そういったサークルなり集いがあれば参加したいけど
自分自身が世話人にはなりたくないって人がほとんどのようなので、
そこが課題ではありますけどね。

■保崎さん
保崎さん

--確かに子供関係は枠組みがあれば集まりそうな気がしますが、
大人はまずその枠組みを作るのがなかなか難しいですよね。


(保崎)
マンション交流会などで話をすると、こういう事やりたいねって
みなさん言うんですけど、それをまとめるってところまではまだ
いってないんですよね。

(豊田)
あと町内会みたいなところだと年齢層も広くリタイヤ組の人たち
たくさんいる。そういう人たちは時間がたっぷりあるので、なにか
趣味のことをやりたいとなると、仲間を募ってやることもある
でしょう。そうやって仲間がどんどん増えていくというスタイルが
あると思います。

一方レジデンスは住民が若い。主流が30代、40代ですよね。
従ってそういったところにまで発展していくにはまだまだ時間が
かかる。ただこれが20年後30年後になると逆にそういう形が
中心になってサークル活動が盛んに行われる
ような気はしますね。

--その辺は時が立てば自然発生的に移行していくということ
でしょうか?その時にそういったコミュニティをつくるコツは
あるのでしょうか?


(保崎)
女性はわりと集まりやすい性質というか気質があると直感しているん
ですよ。それにたいして、男性はなにか仕掛けをしないと
だめなんじゃないか
と同性として感じています。

--確かに市民活動のサークルなどをみていても女性が多いような
気がします。


(保崎)
なかでも30代40代の方はやはり忙しいでしょうから、なにか
仕掛けをしないとダメかもしれませんね。NPOエリマネの再開発
地域全体の交流会ワーキンググループでも課題
になっています。
男性だから趣味がないわけではなくて、男は男で集まっているわけ
だからそこはやり方次第ではないでしょうか。無理やりサークルを
作らなくても、ただ集まって飲みますか、みたいなところ
からなにか
スタートできるかもしれません。

(豊田)
レジデンスではクリスマスパーティーを家族の部と大人の部に分けて
いますが、この大人の部が「ただ飲む」に該当
します。大人の部は
結構盛り上がる感じがします。情報交換もあるし、去年は特に新駅の
話もあったからすごく盛り上がりました。今年もやってみてどう
なるか楽しみです。

(保崎)
そう、去年は新駅の開業がありましたし、デリド(レジデンスの1階
にあるスーパー)が再オープン
するというイベントがあったので
盛り上がりました。結局みんなそのような情報に飢えているのですね。

豊田さん(右)と保崎さん(左)

--住民間で情報交換をできる場が大事なのでしょうか。

(保崎)
そうですね。廊下を歩いていて、いきなり情報交換やりましょう
なんてなりませんもの。だから今マンション内にしても再開発地域に
しても、どういうことが起りつつあるか、どこに何が建つかといった
情報交換など、それをネットでやるのかリアルでやるのか
がまた課題
としてありますけれども。

--普通はマンションなどでは隣の人の顔も知らないみたい話をよく
聞きますが、そういう意味でもやはりそういった情報交換を出来る場
が必要なのですね。


(豊田)
たぶんネットで情報交換が行われても、まあ活字になるので伝わり
間違いがないのかもしれませんが、会話って圧倒的にスピードが
早いし意志の疎通もしやすい
ということで、だいたいみんな発展して
いくとオフ会になっていくと思います。

保崎さんが今回CIC(後述)を作ったわけですが、その中での
デジタル的な情報交換が、まずは第一歩という感じ。そして今度は
フェイスtoフェイスになっていき、情報交換のレベルも少し高い
方向に進んでいくと。そうなって来た時に、サークルが発生する
可能性はありますね。

--なるほど。

(保崎)
だからその中間にあるのがフロア連絡会みたいなものですね。

(豊田)
そうですね。クリスマスパーティーはちょっと、マス(全体)に近い
ものがある。大人の部などでは個別にまとまりますが、フロア連絡会
はもう目的を絞り込んであるので、そういう意味では、共通する話題
は出来上がりますよね。

--フロア連絡会について、もう少し詳しく教えてもらえますか。

(豊田)
フロア連絡会は、まず一番初めに考えたのは防災からなんです。
防災で隣近所の人の顔がわからないと避難がうまく出来ない。
それから隣近所の顔が分からないと実際に困っている人がいても誰も
助けられない。
新駅が開くにあたって危機感があって、防犯の一環で
[あいさつ運動]というのが行われたんですが、そのあいさつ運動に
よってエレベーターホールで挨拶はするのだけど、「あの人確か
うちの階だったけなぁ」とかその程度なんですよね。

そこで同じ階の人を集めてフロア連絡会というものを実施しました。
すると確実に自分と同じ階の人とコミュニケーションがとれると
いうわけです。もうひとつの理由としては、理事会役員をスムーズに
引き継げるようにする
ということですね(笑)。

要するに一対一で引き継ぎを行うとその内容は一人しか知らないので、
欠席理事が出来やすいのですけれど、大勢の中で引き継ぎが行われる
と欠席しにくい
ですよね。誰もが知っているし顔も分かる。という
ことで欠席理事を出さない方法としても一つのツールにもなるかなと
いうことでやってみました。

それで始めてみて驚いたのはものすごく盛り上がるんですよ。
どうしてこんなに盛り上がるのかな?といろいろと話の中身を聞いて
みると、だいたい元理事とか現理事の人とかがいろんな情報を出すの
ですよね。そうするとみんな情報を知りたがる、それで聞いた情報
から今度は自分が理事になったらこんなことになるかなとか想像
したり、考えたりとかするのです。

それで今まで理事会や管理組合、それからコミュニティ活動という
ことにまったく興味がなかった人も、いくばくかの興味を示し
始めると。そういった感じでその場がすごく盛り上がるんですね。
でもフロア連絡会は30分の時間制限を設けてあって、「もっと
話したいのだけど」というところで切っちゃう
んです。そうすると
「何か良かった、楽しかった」という意識だけが残っている。すると、
次の年にやったところでまた盛り上がるのが繰り返せるんじゃ
ないかなと思います。

(保崎)
出席率が、今までのイベントの中で一番多かったんじゃないですか?

(豊田)
そうですね。一番多かったですね。大体全部で220~230世帯が
集まったので、400~500人ぐらい
ですかね、全部でトータル
すると。いっぺんにやるとここ(レジデンススカイビューラウンジ)
には全然はいらない
ですね。それぐらい盛況でした。

■スカイビューラウンジ
スカイビューラウンジ

--凄いですね。また大変興味深い試みです。

(豊田)
そうですね、こんな効果があるとは企画したほうもあまり思っては
いなかったのですけどね。消防署の方の話によると、本当は
防災レベルで考えるとワンフロアだけではなくて、3~5フロア
ぐらいでひとつの班を作ってもらいたいという話
があるらしいのです。

どういうことがというと、その班毎に食料とか水の配給とかそう
いったことも行われていくと流れになっていくので、そうやって
ロケーション別にまとまっていくという考え方
です。だから、先行き
レジデンスがそのような複数フロア体制の何かの仕掛けをするか
しないかというのは別にして、考え方としてはそういったこともある
ということですね。まずはフロアレベルで形が出来てからでも
いいのかなと思っています。

--フェイスtoフェイスのイベントをよくやっていてそこで情報
交換を行う事が有効だというお話を伺いましたが、一方で先ほど
ネットを活用という話もありましたが、そういったところの
取り組みはどうでしょうか?


(保崎)
理事会が何を考えているのかとか理事長が何考えているのかとか、
専門委員会が何を討議しているのかという情報は、やっぱり僕は、
住民に対して適宜、ある程度のスピード感を持って伝えるべきだと
思います。とはいえ、やっぱりいくらフェイスtoフェイスと
いっても、一度に集まれる物理的限界
があります。

いまこのマンションに何が起きているかだとか、いまこれから
どういうことが起ころうとしているのだとかといったことを、住民に
スピーディーに知らしめるためには、インターネットを活用しない
手はない
と考えているところです。

毎月やっている理事会の中で話されている内容や、あるいはいろんな
専門委員会での活動を、住民に知らしめるのはフェイスtoフェイス
では当然集まれる人数にも限界がありますし、時間的な制約もあり
ます。やっぱりネットというのは今後情報発信とか情報共有という
部分ではこれから必要になってくるという気がするんですよね。

ただ情報のアウトプットの仕方をどうするのか? という議論は当然
あって、もちろんセキュリティとして外部に見せられない部分もある
と思いますし、対住民といえども管理組合としてどこまで出して
いいのかという、内容的・表現的に難しい部分があると思うのです
けれども、そういう課題をクリアしていけばネットというのは便利で
活用できると思います。

そこで住民間の情報発信・共有におけるインターネット活用について
検討することを目的として、CIC検討委員会というものを作り
ました。
(CIC=コミュニティ・インタラクティヴ・チャネル)
今はまだ試行段階ですが、無料のネットサービス(Google Apps)を
用いてインターネットサービスを立ち上げています。

(豊田)
「ネットに何を求めるか?」という問題が今後出てくると思うん
ですね。住民が情報を手軽に得ることが出来た後、今度は話がしたく
なると。そうすると次には討論の場が必要になるのではないかと思い
ます。ところが先ほどのフェイスtoフェイスの討論の場が少ない
とか制約があるということになってくると、やはり何らかの形でも
話が出来る場が欲しい
ということになってくるんですね。

住民アンケートの中でもそういった声が早くから多く出ていて、今後
そういった方向で活用するためには例えば無料サービスでそれをする
のは難しいとか、それから管理をする諸問題が出てくるなどの話が
あって、どこまで出来るかという検討をするのが次のステップです。
実際、確実にそういった方向に進んでいくとは思っていまして、
そうなった時に、その上に初めてフェイスtoフェイスが立ち
上がっていくわけです。

例えば今まで数多くイベントをやってきても、何かイベントだけ宙に
浮いている状態
になってしまっているのかなと思います。それは
つまりイベントをするために人が集まって、イベントが終わるともう
人が離れるという感じ
です。ただイベントだけが存在していて宙に
浮いているわけですね。ようするにがない。

この足はなんなのか?というとコミュニティ、住民同士のコミュニ
ケーション
とかそういう部分が一番重要なのだけどそれ自体が存在
しない。ところがネットを使ったコミュニケーション活動がもしある
として、これが根付いていくとそれをベースに立ち上げていって、
その上にフェイスtoフェイスのコミュニケーションが出来上がって、
それでイベントが出来上がるという初めて構造体としての一つの形
出来上がるのかなという気がします。

豊田さん(右)と保崎さん(左)

--確かにイベントには一過性の側面があって、楽しい思い出作り
にはなるのかもしれないけど、それ自体が住民同士の強固な基盤
づくりに貢献するかというと必ずしもそうではないかもしれません。


--例えばそのような住民の議論の場をインターネット上に設けることが
出来たとしたら、そこに期待することはなんでしょうか?


(豊田)
僕が考えるには例えば一定のルールの中で行われる必要があるという
ことです。

例えばバイネームとか中傷とかはしないというような一定のルール
なかで行われ、大きな問題点が払拭された時に初めてメリットが
生きてきます。メリットとして考えられるのは、まず時間的な制約が
なくなるという点
です。ネットであれば参加者がそれぞれ自分の時間
で発言できるので、ある意味時間は無限に使えます。

次に討論とか議論とか話し合い、それからつぶやき、そういったもの
が何でも受け入れられる場として存在できる
ということです。まあ
お金をかければ最終的には例えば仮想空間とかそういったものも可能
だとは思うんですけど、いま現状ではそこまでお金はかけられない
として、例えテキストベースでしか話が出来ないとしてもテキストの
中にコミュニケーションの一つ一つのボールのやり取りが出来上がり
ます。形式は1対1もあるし1対多数もあるし多数対多数もある
でしょう。

そしてこれが出来れば次のステップへ進んでいく時にスムーズに
フェイスtoフェイスにつながっていく
ような気がするんですよね。
期待する部分はやはりそういうところで、問題点としてはどうやって
それを枠の中で押しとどめておくか。押しとどめておかなければ
いけない問題も必ずでると思うんですよ。

例えば一つの問題に対して2つの意見で完全に分かれてしまって、
住民同士が全く反目しあう状況
ですとか想像するともっといろんな
ことが出てくると思います。

実際確実にバイネームで議論しているわけですから、場合によっては
おもいっきり対立
するわけですよね。そうするとフェイスtoフェイ
スでもやりあう
ことになる、これも結構大変だと思いますね(笑)
パソコン画面を見ながら怒っている自分を想像したりすると滑稽では
あるけども(笑)それは普通に起こりうることなのかなと思います。
しかも影響力が結構ありますよね。一斉に全員が見ますから。一人の
発言を全員がみるので相当インパクトがあります。つまりどうやって
そういったものをある程度のレベルまでで抑えられるかという問題が
発生するような気がします。

(保崎)
住民同士のやり取りというのは一つのプロセスで、ゴールというか
結論が出ようが出まいがそれは最終的には住民同士の知恵の集積に
なる
と思うのですね。

先程の話のようにまっぷたつに分かれてしまう場合でも、それも一つ
の見方によるのだと思うんですが、もしかしたらファシリテータとか
コーディネータ
といった立場の人が必要なのかも知れません。
それは例えば各担当理事が、「まあここはちょっと落ち着きましょう」
とか「これは次回理事会で考えましょう」とか「専門委員会を立ち
上げましょう」とか、そのような引き取り方をする
のも一つの方法
です。

つまりある程度ネットではもう抑えきれないような事態になって
いってしまった時に、あとはそれをネットから引き上げて、理事会
とか各専門委員会といった公式な場で反目しあう人たちに来て
もらってやるしかないかなと思います。

でもそれはそれでいいと思うのですけど、僕としてはネットであれ
リアルであれやはり議論すること、議論できる場が持てるようなこと、
そういうのが今後のコミュニティの中では必要
なんだという気が
します。

建設的な議論でいければいいのですけど、それが負のスパイラルに
入っていった時は恐いですよね。ある意味でのセーフティーネット
必要ですが、それは各理事会とか専門委員会で議論を引き取っていく、
みたいなことしか収拾つかないんじゃないかなという気がしますね。

--例えば意見が割れた時に、フェイスtoフェイスの最終段階
としては住民総会の場になるのではないですか?


(保崎)
そうですね。住民討論会、といったようなイメージです。
でもそれがいきなり総会ないしは討論会で議論百出するのではなくて、
その問題についていろいろな経緯や考え方がみんなの前に可視化
されて提示されている
わけですよね。だからそういう意味では、
「議論する」ということがマンションの知恵のかたまりともいえる
わけで、僕は、意見が割れること自体は、うまく収斂の方向付けが
とれさえすれば、否定はしません。

(豊田)
保崎さんがいったように、まず最低限の情報をネット上で共通して
得られているとか、それぞれの意見の組み立て方もそれまでの経緯も
含めて分かっている
とすると、その上での話し合いですから、まあ
子供のケンカではなくて大人レベルの話し合いが出来るのかなという
気がしますよね。分かっていてやりましょうという感じの。

あとは恐さとして一つ思っているのは、ここがマンションで生活の場
ということなのです。生活の場で意見が大幅に違ってぶつかり合った
時に実際にその人は引越しをしなければならなくなる可能性もある
わけですよ。

そういう恐さも一つはあって、例えば二分だったらまだいいんですよ。
だけどすごく少数の人が孤立してしまって全体から叩かれるような
こと
になってしまうとそうなる可能性はありますよね。フェイスto
フェイスだとまあ大人の関係なのでそこまではやらないかもしれない
ですけど、ネットだといきなり攻撃性が出てきてしまうような可能性
はありますね。

そういった恐さに対して住民のレベルが上がってきてモラルも
上がってくればネットを利用するということに対して、そういった
懸念はだんだんなくなって来て一つのルールの中でお互いに尊重
しながら意見交換できるようになるのかな
という気はするん
ですけどね。

豊田さん

--集団生活をやっている以上はどうしても意見が割れることは
ある意味しょうがないことのようにも思えます。


(保崎)
あるいは自分は関係ないという無党派層みたいなのもいると思うん
ですよね。逆に声高に意見を主張している人がどうしても自分が
少数派だということに気付かないで、でもアンケートをとってみたら
圧倒的に負けていた、ということになるかもしれないじゃないですか。

(豊田)
理事長をやっていて面白いのは、理事会である問題に対して○か×か?
と聞きますと、情報量が多い方向でだいたい○が付く
んですよ。
ところが隠されている情報とか隠れている情報というのを見出せる
理事が中にいたりするとその理事が×をつけたりします。

そこで少数意見を僕が聞いてみるんですね。どうして×なんですか?
何か理由があるのですか?と。するとその理事は理路整然と説明する
わけです。それでその意見に対してみなさんどう思いますか?ともう
一度聞くと、今度はその意見が圧倒する
わけですね(笑)

さっきまで○だったのに今度は全部×かぁと思いながら、もう一回
今度は○の人の意見を聞くわけですね。○の人は○の人で最終的に
一人だけ残ってもやはりそれなりに意見を持っていたりして、その人
がそこでまた発言することにより○の人数が変わる
と。ということで
理事会では一発で決を採ることを僕はしないようにしています。
大体3回ぐらいとって、もういいねって言う時にそれで決定させる。
しかも自分は入れないという形を取っています。

考え方がいろいろあるんですけど、少数の意見というのはものすごく
重要なことが多い
ということは感じました。

--その辺は先ほどのネットの仕組みだと少数派の人も意見を述べる
場が与えられますよね。そうするとその人に賛同する人も出てくるの
でしょうか。


(保崎)
あるかもしれませんよね。もちろんその理由がちゃんと説明が
出来れば、それがみなさんに賛同してもらえれば、まさに今の話と
同じ仕組みにはなるしそういうのはまた残りますので、そういうのは
このマンションのナレッジになるのかなと思いますね。

--それにしてもやっぱりそのネットの危うさみたいなところという
のは、みなさん危機感を持っておられるようですね。


(保崎)
それは大いにありますね。やってみないとわからないっていう
スタンスだと、「ちょっと脇が甘いんじゃない?」って指摘
されちゃうでしょうし、といって、ぼくらも素人ですから、走り
ながら考えるという部分は致し方ないと割り切っていますが(笑)
今はたまたま情報発信とか情報共有といった機能だけなので、
閲覧者からの反応はあんまりないのですけど、これが実際に
住民討論みたいな場をネット上で与えた時に、やっぱりその
仕組みは誰が仕切るのかとか、紳士的に討議するといったような
ハウスルール、エチケットみたいなものはあらかじめ用意して
おくことが必要
だと思います。

--そういった事に対しては日ごろのコミュニティ活動でなにか
助けになるとか貢献できるようなことはないのでしょうか?


(保崎)
あるとしたらフェイスtoフェイスだと思います。

--顔見知りを増やしておくということでしょうか?

(保崎)
言葉ではこんなきついこといっているけど、あの人だったらこの
ぐらいかなとかいう感じが分かる
ということです。ネットのその
危うさみたいなものを補完するところではやはりリアル(オフライン)
でのやり取りというのは少なからず設けなきゃいけない
のかなと思い
ます。

だから先ほどいったマンション交流会だとかフロア連絡会というのは
もうちょっと来年は形を変える
ことを考えています。つまりフロア
連絡会にちょっと合体させて、みんなでそのまま飲み会に行こうか
とか、そういうことも考えていますよね。そういうところでなるべく
下地を作っておいて、先ほど言った顔見知りも作っておいて、ネット
でうまくのれたらいいなという感じですかね。

豊田さん(右)と保崎さん(左)

後編に続く)

【関連リンク】
NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメント 公式ウェブサイト
武蔵小杉ライフ:再開発情報:小杉駅東部地区
2008/2/10エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉からの眺望(1)
2008/2/13エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉からの眺望(2)
2008/2/16エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉からの眺望(3)
2008/2/19エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉からの眺望(4)
2008/2/22エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉からの眺望(5)
2009/7/7エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉の七夕ライトダウン
2010/3/29エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉のアースアワー2010
ライトダウン

2010/5/20エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉の窓掃除
2010/7/7エントリ 武蔵小杉のライトダウンキャンペーン2010
2010/10/19エントリ 武蔵小杉の「ひと」(4):NPO法人小杉駅周辺
エリアマネジメント(前編)

2010/10/20エントリ 武蔵小杉の「ひと」(4):NPO法人小杉駅周辺
エリアマネジメント(後編)

2010/12/5エントリ 武蔵小杉の「ひと」(5):川崎市まちづくり局(前編)
2010/12/6エントリ 武蔵小杉の「ひと」(5):川崎市まちづくり局(後編)
2010/12/18エントリ 武蔵小杉の「ひと」(6):レジデンス・ザ・武蔵
小杉(後編)

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