武蔵小杉の「ひと」(6):レジデンス・ザ・武蔵小杉(後編)
(前編より続き)
--レジデンスに入居されて3年経過したと思いますがこれまでの
活動を振り返ってみていかがでしょうか?
■豊田さん(右)と保崎さん(左)
(豊田)
僕は管理組合の理事になるまではほとんどそういった活動に参加
しなかったし、情報としても自分でピックアップしなかったんです。
する必要性を感じなかったということだったんですね。仕事も朝から
晩までで土日も仕事が基本だったのでほとんど寝に帰ってくるだけ
だった。だから寝に帰ってくるだけの人間は何かを語る必要も理由
もない、という生活だったんです。
もちろん理事の輪番が回ってきた時に家内にやってもらおうと決めて
いて、ほとんど自分が参加する意思はなかった。ところがたまたま
住民総会と引継ぎ会の日に家内は学校の用事があって出られないから、
理事会に行って頂戴といきなり言われまして、だったらしょうがない
と、1回目はそうするけど後はやってくれという話で出ることに
したんですね。
ところが総会である議案があって、その議案をどうしても阻止して
くれと、これは小学生のママさん達の総意ですと言われたのです。
あなたが小学生のママさんの代表としてこれを阻止してくださいと
言われて、これをやらないと夫婦仲が危うくなるぐらいに強烈に
プッシュをうけまして、それで総会の時に一生懸命阻止したので
目立ったんですね。
その後の理事の引継ぎ会があるんですが、必然的に前期の理事の人
たちから強烈にプッシュがありまして我慢比べに耐えられなくて
理事長になってしまいました。ところが理事長になったら家内は絶対
に受けてくれないんですね。まさか理事長引き受けてくるとは
思わないから私はやるつもりはないわよと。それで1年間は腹を
括ろうということにしました。
理事長を引き受けてからはまず大量にある引継ぎのファイルを
1ページずつ読んでいくとこの3年間にものすごくいろいろな活動を
しているということが分かりました。
そのファイルの一番初めのページの部分がちょうどその時の自分と
一緒で、それからファイルを1枚ずつ読んでいくにつれてどんどん
新しい情報が入ってきて、まったく自分が知らなかったり、理解して
いなかったりということがたくさんありました。
こんなにたくさんの問題がありこんなにたくさんの情報があり、
こんなにたくさんの人たちが理事をやって頑張ってきたのだ。その
結果として様々な成果が出ているのだ、ということを見た時に、
これは相当腹を括らないといけないと思いました。
しかも新駅が開くという今までとは全く違う要素が加わってきて、
その中での理事長ということで自分自身が感じていたよりももっと
いっぱいやらなきゃいけないということが分かりまして、これは相当
本腰を入れないといけないということでとりあえず頑張れるだけ
がんばろうということで始めました。
最初の3ヶ月間は相当頑張ってやりましたが、その中でいろんな知識
も得ていろんなコミュニケーションが取れるようになってきました。
そうなってくると自分もどういうことに対してはどこに助けを求め
ればいいのかということが理解できるようになってくるので軌道に
乗ってくるんですね。それまではすごく大変でしたけど軌道に乗って
からはある意味ではいろんなことを考えて、例えば新しいことも
含めて考えながら理事の仕事ができたと思います。
それから専門委員会、特にコミュニティ委員会の人たちと話を
しながら、自分の考えている内容が果たして今のレジデンスに合致
しているのかとか、そういったことも話をしたりしていろんなこと
を決めてきたという感じでした。
この一年間を振り返ってみて考えると、それまでの2年間に比べて
生活の充実の度合いは格段の違いです。もちろん自分の会社の仕事も
レジデンスの方の仕事もどちらもきつくてヘビーなんですけど、
ただ精神的な充実感や達成感、そういったものはものすごくあった。
これで理事を卒業した後に少しレベルを落としてレジデンスの
コミュニティ活動に参加していくことになると思うのですけど、
その時に初めて振り返ることが出来て、今度はいろんなことが外側
から見えるようになるのかなと思います。
まあ1年間は走ってきたな、というのが正直な感想ですね。
■豊田さん
--理事会の役員なんて一般的なイメージとしては正直面倒くさい
というのが大半の意見じゃないかと思いますがどうでしょうか?
(豊田)
まずとても面白かったのは若い人が元気なんですね。その理由は
何かな?と思ったのですが、うちの場合はまず担当が決まっている
ということなんです。
その担当の仕事は自分が責任を持って進めないと誰もやってくれ
ないし、しかも待っている住民、困っている住民がいたりするん
ですね。ということでプレッシャーがかかってくるんですよ。しかも
生活の場なので自分が怠けていると、例えばエレベーターもまともに
乗れないんじゃないかと思うような状況になってくる(笑)
若い人はセンスがいいのでそれをすぐ感じて一生懸命やるんですね。
でもやってみるとたわいもない問題も多いので結果が結構すぐ出るん
です。感謝される結果なのか、もっとやってくださいという結果
なのかは別として必ず出る。だいたい感謝されることの方が多いの
ですが、そうすると達成感が出てより理事の活動を頑張ってやる。
ある意味では好循環で回るようになっています。
特に前半は若い人がみんな飛ばしましたね。後半には若手はちょっと
息着いちゃいましたが、逆にベテランの方が地力を発揮してことに
あたって頂いたような気がします。ようするにペースがつかめてきて
その中で最低限やらなきゃいけないこととそうじゃないことの棲み
分けがきっちり出来てくるのです。そのようなスタイルで理事活動が
行われていった気がします。前半と後半では私から見ると内容が
だいぶ違うんですね。この辺っていうのはたぶん今後の理事活動も
そういった形になっていくのかなという気はします。
--保崎さんのほうはいかがですか。
(保崎)
僕は以前千葉の方のマンションに住んでいたのですけど、そこでは
こういうコミュニティ活動まったくやらなかったんです。新居で
入ったのですけどそもそもそんなに活動が活発ではなかったんですね。
150世帯ぐらいの中堅規模のマンションでした。
活動があったのかもしれないですけど僕はどちらかというと、まさに
朝早く出て夜寝に帰ってくるだけで、マンションなんだから自由
気ままにやらしてくれよという感じであんまりこだわって
いなかったんです。
その中で一つちょっと嫌なことがあって、それは駐車場の抽選の問題
だったのですけど、その時に、「ああやっぱりこういうコミュニティ
活動みたいなものがないとこんなにも揉めるのか」と思いました。
それがずっと頭にあって、それでこっちに引っ越してきた時に大規模
マンションということでもあるのだけどマンションの中に顔見知りが
欲しいというのが最初の思いで、コミュニティ活動をやりませんか?
といわれた時に手を挙げたという経緯があります。
この3年間やってきてほんとに驚いたことにはみなさん本当に
コミュニティ活動に賛同してくれる方が多いんだなということです。
一方でやっぱりそんなの関係ないという人もいます。それは僕も前に
住んでいたところではそういうスタンスだったし、ライフスタイル
だったので、そう主張する立場の人の考え方というのもよくわかるん
ですよね。一戸建てじゃなくてマンション選んだという人たちの最初
の感覚には、やっぱりあんまり他人に干渉されたくないし、
したくないという部分があると思うんですよ。
そこら辺のことを汲みながらも、でもコミュニティ活動というものは
やっぱり必要なんだなというのがこの3年間を通してなんとなく実感
してきた感じです。
それはさっき豊田さんがおっしゃったように防災という部分で行けば
まさに生死を分かつ部分でありますし、顔が見えるという部分で
いけば防犯にもつながります。やはりマンションだからいって自分
だけが孤立するのではなくて、またそれを他人に強要するのでは
なくて、みんなと一緒に何かできるのであればそれはそれでハッピー
なことなんじゃないかという思いがこの3年間の活動で感じてきた
ことです。
■保崎さん
--今言われたお話でやはりアンケートなどをとると一定の割合で
そういったコミュニティ活動みたいなものは関わらないという人も
いると思いますが、そういった方々への配慮はどういったものが
ありますか?
(保崎)
そうですね。まずは防犯防災活動、これは必ずやらなきゃいけない
ことだという啓蒙活動があると思います。
それとは別に、いわゆるイベント系についてはというと、もうこれは
解ってくれる人は解ってくれるからそれだけでいいし、そうじゃない
人にはあえて無理強いする必要もないと思います。そのイベントが
例えば一週間とか一ヶ月続くものならまだしも、ある日のたった一日
の数時間のことであれば、それは一つご協力というか趣旨を理解して
もらうということしかないのかなと思います。
それでもしそこに少しでも顔を出してもらったりしてね。面白さ
みたいなものを感じてもらえればすごく嬉しいと思っていますし、
決してその人たちを排除しているなんて気は毛頭ないんです。来る人
拒まず、去る人はご自由にどうぞ、というところでしょうか(笑)
(豊田)
先ほどの話ですけどフロア連絡会が盛況だったのはその辺ですよね。
防犯防災に対する意識がある程度あって、趣旨もハッキリ謳って
連絡会をしましたのでまあそういった意識のある人たちは集まったと。
--なるほど。コミュニティ活動に参加しない人も全て拒否という
わけではなくて、お祭り系のイベント以外にも切り口をいろいろと
変えてみるということでしょうか。
(保崎)
それはそうだと思いますね。
そこをどうやって見つけるのかが一つ課題だと思います。
(豊田)
今回コスト検討委員会というのを始めたんですね。いくつかの始める
ための理由があるんですけど、「これはハマるだろうな」という意識
はすごくあるんですよ。
それは何かというとレジデンスの住民は倹約をしたいとかコストを
コントロールしたいとかということに対してはみんな熱心なんですよ。
(笑)
これはものすごくうちのマンションの特徴だと思うんですけど近隣の
マンションに比べるとまずマンション自体がそういうコンセプトで
売り出していたということもありまして(笑)共有施設もそんなに
きらびやかなものはないですしとてもシンプルなんですね。
その分出来るだけコストを下げようという意識の中で出来上がって
いてこれに賛同している人がみなさん来ている、ということもあって
コス検に関しては絶対ハマるという自分でも意識があって、たぶん
いま注目度ナンバーワンの委員会ではないのかなという気はして
いますね(笑)
(保崎)
やっぱりコミュニティ活動はある意味アクセルなのでいけいけ
どんどんのところがあるんですけど、それに対してブレーキというの
をどこかでかけなきゃいけないというところがあったときにコス検と
いうのがそういう切り口もあるのかなと思いますね。コミュニティ
活動においては、アクセルはずっと必要だと個人的には思っています。
--ちょっと質問を変えましてマンション外との関わり合いについて
はいかがでしょうか?
(豊田)
まず僕にとっては理事長をやらなければ渉外NPOをやりたいと
思っていたんです。どうしてかというと元々マンションの中では寝に
帰るだけという意識が強かったのでマンション中に自分にとっての
楽しみがあんまりないんじゃないかと思っていたんです。
まあ理事長やってその考え方が全く変わったんですけど、当初の
考えとしてはそれよりもマンションが一杯建っているこのエリアを
今後どういう風にしていこうか、どういう風に考えていこうかということ
はとても面白いんじゃないかという意識があって渉外NPOという
のはとても魅力的に思えたんですね。
それで理事長になってもまずエリマネの活動には出来るだけ参加する
ということを基本に一年間やってきました。その中でまず驚いたのは
NPO自体がまだまだ形が出来ていないということでした。それまで
はもう3年も経っているので組織も構成メンバもある程度しっかり
していて、行けばきっと自分は新人さんでいろいろなことを教えて
もらえるとかそういう意識が初めはあったんですね。
そう思っていたらさにあらずでメンバーもあんまりいない、連絡会議と
いっても5人ぐらいしかいないし、「2ヶ月前に理事になりました」
とかいった人も多く、話し自体もほとんど盛り上がらないという
ような状況でイメージとは全然違うなと思いました。
逆に言うとじゃあこれからいろんなことを勉強してやっていくには
これぐらいの方がいいのかなという思いで1年間携わってきて
ずいぶん変わってきました。
まず初めに新駅開業イベントに参加するかしないかいう話を聞いた
時に、「これはレジデンスとしてはとても重要な問題だし、イベント
をやることによって周りともいろんな協力体制がとれるので出来る
だけやったほうがいいじゃないか」と思いました。
おかげで自分自身の中でもまわりとのコミュニケーションが取れる
ようになったし、特に近隣マンションの人たちと一緒に働くことに
よって意識と知識の共有化が出来たという感じでしたね。
(新駅開業イベントは2010/3/13エントリ参照)
■新駅開業イベント
新駅開業の後ですが、レジデンスのコミュニティ活動に対して近隣
マンションから羨望のまなざしを感じるようになりました。例えば、
近隣マンションの理事からは「レジデンスはコミュニティ活動が
3歩ぐらいリードしている」と評価されたりしました。
レジでコミュニティ委員会の方たちの話を聞いて、マンション内の
いろんなイベント活動を自分が学ぶことによって、今度はNPOの
中でもそれを知識とか方法論として活用することができたなと思い
ました。
今後は近隣のマンションとどういった形で付き合っていくか、NPO
をどういうものにしていくか、行政との携わり方をどういう形にして
いくかなどは議論していくべき問題だと思っていますし、自分の中
でもどういうやり方が一番いいのかというのはまだ全くわからない
状態ですね。たぶん広く住民みんなで考えていく問題ではないかと
思っています。
(保崎)
僕も途中からNPOのワーキンググループに入ったのですけど、
やっぱりその中でレジデンスはどういうふうにやっていますか?
とそういう問いかけられたりする場面は多いんですね。そういう意味
では、手前味噌ですが、我々のコミュニティ活動というのは周囲から
一つの目標としてみられているなというのは感じています。
いまNPOでは、来夏の祭りイベントや防災などいくつかの
ワーキンググループが立ち上がってそれなりに活発になりつつあるん
ですけれど、それらをみながらつくづく感じるのは、やっぱり自分達
のマンションのコミュニティ活動の足場をしっかりつくって
おかないと、結局その地域の活動の方まで手を伸ばせないんですよね。
単純な話ですが、まず人手が出せない。ついでに、知恵も出せない。
我々が入居して最初の夏にここで夏フェスタ(2008/8/28エントリ参照)
をやりましたよね。あの時にあれ自体は非常に成功だったと思うん
ですけど、反省会のときに、NPOから来年もやりたいねっていう話
が来たのですが、僕はそれは違うと即座に反応したんです。
我々のコミュニティ委員会の活動は、自分のマンションのコミュニティ
をしっかりと形成することだということが第一義なんだと思った。
だからそう言ったんです。地域の活動まではとてもまだ手が出せま
せんよと、僕は反対したのです。
NPOの方たちや、新しく入居されたマンションの理事さんたちが、
地域全体で大きい仕掛けをやりたいという気持ちはとても解るの
ですが、それだからこそ自分達のマンションの中のコミィニティ活動
あるいは組織みたいなものを強固にしていかなければいけないん
じゃないかなと、これはまあ自戒をこめても言うし、NPO活動で
僕が出席した時には割と口すっぱくして言うようにはしているんです。
--確かにまず内部の足場が固まっていないのに、いきなり外部の
仕事を手伝うといっても負担が大きいような気がします。
(保崎)
例えば今回のハロウィン(2010/11/1エントリ参照)のこともそうです
けど、じゃあ来年規模が大きくなったらどうしますかと。おたくの
マンションから10人だしてください、20人だしてくださいと
いったときにどこまで対応できるのか? といったようなことも
現実の問題としてありますよね。
だから僕はもちろんNPOの活動ももちろん大事ですけど、まずは
自分達の中のマンション、それは一つの自治体というか共同体と
いってもいいけれど、その中の活動をより強固にしていって、その
拡大版というか応用がNPOだと思っているんですよね。
■再開発地区のハロウィンイベント
--逆にエリマネの活動の中でマンションの中のコミュニティ活動の
足場固めを協力したり手伝ったりするという必要があるのではないで
しょうか?その辺は各マンションに任せていてよいのでしょうか。
(豊田)
いま防災ワーキンググループでは考えていることが一つありまして、
それは防災を3つの柱として考えるとまずは個人で出来ること、
それからNPOが地域を巻き込んでやること、その間の真ん中に
一番重要なものがあって、それはマンションレベルでなにかを
考えないといけないということなんです。
有事が起こった時、行政が物資を運び入れられるようになるまでに
約一週間から10日はかかるといわれています。初めの3日間は個人
でなんとか手当てをして欲しいという話しがあるのですが、そう
すると残りの一週間ぐらいはマンションレベルで何かを考えなければ
いけないんですよ。
この時に初めてマンションの中でどれだけコミュニティ活動が出来て
いるか?ということがサバイバルにつながっていくわけです。
例えば何か災害が起こったときにNPOに人がいるわけじゃないん
ですよ。まずマンションの住民は自分達のことをやりますし、NPO
のほかの職員の人達は自分達の家族のことをやるのでまず事務所には
来ません。そうするとNPOの事務所はだれもいない。だからNPO
で何かの活動をしてくれと言っても無理なんですね。
■NPO法人 小杉駅周辺エリアマネジメントの事務所
ということはNPOの活動として災害活動に対してやることはなん
なのかというと、事前に計画を立てて準備をして災害が起こったとき
に自動的にそのシステムが動くこと、これが一番重要なことなん
ですよ。
例えばそれぞれが構成しているマンションの理事さんたちとかNPO
に所属している人たちがそれぞれのマンションで頑張ってやることが
一番重要なのであってそれによって自動的にNPOのシステムが
働くんですよね。この準備というものがものすごく重要で例えば
一つ一つのマンションで防災のシステムがあるところもあるし、全く
ないところもある。
だからNPOがある程度主体となって地域と話をしつつ、例えばこれ
ぐらいの防災は各マンションで用意したほうがいいとか、これぐらい
の備蓄はしたほうがいいとか、このマンションはこういう特徴が
あってこういう状態だから何かことが起こったときにここに人を
出せるよね。何人ぐらいだったら人を出せないか?とかそういった
やりとりもできると思います。
また地域に何ができるか、例えばマンション地域以外の部分が倒壊
しているとしてマンションが大丈夫だったときにそちらの方の手助け
は我々がするしかないんですよね。自分達だけが安心ということは
ありえないわけで、やはりみんなで助け合うことになると思うのです。
そのNPOのシステムの自動スイッチを入れられるかどうかというの
も全てNPOがリーダーシップをとなりながらそれぞれのマンション
に対してのシステムを構築できるかにかかってくるのです。
いまこの防災ワーキングで考えているのは今後1年から2年の範囲で
ある程度のレベルまで持っていこうとしています。大災害はいつくる
かわからないので、まずはある程度のレベルまで持っていって、
その後はもう少し緻密にやっていこうという考えなんですね。
この辺でNPOの存在価値も生まれてくるし各マンションとのやり
取りもはっきりした形で出来上がっていくのではないのかと思って
います。
(保崎)
そういうところから各マンションのコミュニティがいわゆる外圧
みたいなもので形成されるというのもまあ一つの形としてはあるの
かなと理解はしますけども。
(豊田)
あと一つは今回のハロウィンですね。
ハロウィンはものすごくインパクトがあってビックリしました。僕は
今年初めて参加したんですけど、いままでの地域とかにもなく、
とっても新しい感じに見えて、ちょっと他に無いようなイメージが
あって、小杉の街にたぶんマッチしたのではないか思います。街と
いうかこのマンションの住民にマッチしたんですね。
しかも子供の数が非常に多いですから、昨年よりもどんどん人が
集まってくる。今回は参加人数があまりにも多かったのでスタッフの
数が足りなくなりそうでした。それでエチケットリーダーというのを
設けたんですよね。エチケットリーダーを設けることによって自分達
はただお金を払って参加してNPOの職員の人たちにやってもらえば
いい、という考えではなくて自分達で自分達のことを管理しなければ
ならないという意識を少し持ってもらいたいな、と思ったんです。
今回それがうまくいったのかどうなのかは別として、ある程度大きな
問題もなくことが進んだ時に今後このイベントをみんな無くしたく
ないんだなと思ったんですね。例えばここで大きな問題が起こったら
このイベントが無くなっちゃう、そうすると来年はもう無い、みんな
それは嫌なのだなと思っていると思いますね。
この再開発地区のマンション全体でこれだけのイベントを実行できる
ことはすごいことで、これはこの地域の大きな財産になると思うん
ですよ。このハロウィンをきっかけにしていろんなことが出来るの
じゃないかなと思います。
--エリマネ以外の周辺との関わりという点ではどうでしょうか?
(保崎)
そうですね。エリマネにいくといろんな情報が得られる部分もあるん
ですけど、こういうコミュニティ活動に外部からも参加して
もらったりあるいは僕らからも出張ったりして、そのいいところは
学びたいし学んでもらいたいし、そういうことでこの再開発地域全体
が盛り上がっていければと思います。
--そういう外部との活動をするときにレジデンスではコミュニティ
委員会という下地があったことが影響していると思いますか?
(保崎)
それはあると思いますね。それがなければ恐らくいまどうなっていた
のかな? 例えばクリスマスパーティーやっていたかどうかですね。
それに、こうやってインタヴューを受けてもいなかったでしょうし
(笑)
(豊田)
コミュニティ活動の件に関しては近隣のマンションから相談がきたん
ですよね。保崎さんが受けてくれたのですけれど。プレゼン資料を
持って説明に行ってもらったんです。
(保崎)
そうですね。
コミュニティ活動はどういう風にやっていますか? どういう経緯で
やっていますか? という至極素朴で強烈な質問を受けたので、説明
に行ってきました。
このマンションの場合は、コミュニティ委員会は設立総会で決議
されたちゃんとした委員会として成立しているのですが、他の
マンションはまだなにもないというところがほとんどです。
その辺りのノウハウを持って、まさにそれが財産なんですが、我々が
コンサルタントじゃないですけど、各マンションに行って相談を受け
てもいいかなと思っています。やっぱり近隣マンションの理事さんの
中でもコミュニティ活動をやりたいと思っていてもなかなか周りが
ついてこないと出来ないですし、なんで必要かという説得力も
なかなか持ち得ない部分があるので、我々が言って相談に乗っても
いいと思っています。手前味噌ですけれど。
(豊田)
今回その近隣マンションの事例で一生懸命コミュニティ活動したいと
思っている方がいて、でもなかなかコミュニティ活動に熱心な理事
さんが出てこなくて話がうまく伝わらなかった、というのがあった
そうなんですけど、まずそのレジデンスのシステムを説明することに
よって、いままで引いていた理事のみなさんが少し前に出てきた
そうです。
次に完全に前にでたのがやはりハロウィンなんですよね。そこでは
いままではマンションは中に人を入れるなんて言語道断という意見が
多かったそうなんですけど、今回ハロウィンイベントをみんなで
やろうという話をしたら結構みなさん乗ってくれて、中を通すことに
なりました、という話をされていました。しかもハロウィンのコース
の中で写真スポットをつくったりしてすごく盛り上がっていましたね。
こういったことでそのマンションはたったこの半年ぐらいの間で
コミュニティ活動をどんどん盛んにさせていっているような気が
します。次にたぶん他のマンションもそれをみて、これに追随して
どんどん活性化していくような気がするんですけど。
そうなってきて初めて近隣マンションの数棟でコミュニティ活動が
立ち上がってきて、いままでのレジデンスが1棟だけでなんとか形を
つくっていったのではなくて少し複数のマンションでリーダーシップ
が取っていけるようになるといろんな話も出てくるし、いろんな形で
物事が実現していくんじゃないかなという気がしますね。
(保崎)
それが地域の活性化や資産価値や総合力の向上にも寄与してくる
だろうなというふうに思っています。
■ラウンジから見る再開発マンション群
--みなさんにお伺いしていることですが、入居されて3年が経ち
一段落していた再開発がまた始まりました。今後この武蔵小杉の街に
どのようになって欲しいかという点を住民の皆さんの視点からみて
どう思われるかおきかせください。
(豊田)
まず一時止まっていたところからマンションがまた出来てき始めた
一番大きな理由は新駅だと思うんですね。あまりにも便利さが
いきなり目の前に飛び出してきたと。そういったロケーションの
問題というのはほぼ最高レベルまで達していると思います。都内の
ほかの地域に比べても圧倒的にここのロケーションのほうがいい。
次は環境問題になってくると思うんですね。
ここは元々が工場地帯だったのでどうかというところもあるのです
けど、大きな幹線道路はありますがそれ自体が絶えず交通渋滞をして
いるわけではないですし、近くに多摩川もあるし緑もある。
そういった意味ではよい環境も確保されていると思います。
そういった中で実際にしばらく生活していって落ち着いた後に自分の
生活の足場として実際に考えてみた時に足りないものはなんなのか。
いまはそういった人たちが例えばショッピングセンターが欲しいとか、
あとは子供の問題ですね。うちのマンションだと一番大きいのは子供
の問題だとは思います。そしてその次のステップになって自分達が
ある程度の年齢になっていった時のことですが、今度はどんどん
コミュニティ活動への重要度が増してくると思います。
小杉のマンションエリアというのは今後発展すればするほど
コミュニティ活動が重要になっていくし、なおかつ全くいままでと
違ったスタイルのものが出来上がっていくと思います。
多少の仕掛けは必要なのかもしれないですが、ほぼ自然発生的な
レベルで出来上がっていくんじゃないかなと思います。というのは
まず住民達がある程度同じような環境にあって、集まって話をすると
どんどんいろんな新しいものが生まれてくる。そういうポテンシャル
を持っている街だと思うんですね。そこをどうやって有効活用して
いくかということを考えて、ちょっとしたきっかけさえあればあとは
自然的に進んでいくと思うんですね。
この1年間で僕が見ていて思ったのは、例えばレジデンスの
コミュニティ委員会の活動のきっかけから出てきたものが、
マンションエリアでの活動になるとものすごく大きくしかも進化した
状態で進んでいくというようなことが出来上がっていくように、
こういったものもどんどん増えていくような気がしますね。
そういった意味では最大の資産はマンションとか新駅ではなくて人
だと思いますね。
(保崎)
以前マンション交流会の時に中原区長とお話した時に僕は保育園が
足りなくて困っていますよという話をしたんですね。その時に区長が
実はこのエリアは若い人がこんなに入ってくるとは思わなかった、
年寄りが入ってくるのだと思っていたという風に言われていました。
そう見込んでいた理由が僕には全くわからないのですが(微苦笑)、
やっぱりここの再開発地域全体でいきますと今の日本の人口減少傾向
からするとまったく逆のところがありますよね。
非常に今後のポテンシャルが期待される街だと思っているんですね。
あともう少し欲しいなと思うのはやっぱりハード面では、少しごち
ごちゃとした商店街というかそういったものも欲しいし、公園
みたいな不特定多数の人が集まるような場所も欲しいなという気は
しています。
あとは各マンションのコミュニティ活動がうまく連携してまあこの
地域が前に進んでいければなという気はしています。
■武蔵小杉駅周辺の再開発地区
--最後に一言お願いします。
(豊田)
そうですね。僕が一つ思っているのはどこかに何かを求めるのでは
なく住民がみんなで何かを考えていく、それが一番重要じゃないか
ということです。
例えば行政や警察にあれをやってくれとか、NPOに何かをやって
くれとかそういったことではないと思うんですね。
住んでいる住民自体が考えて何かをやっていく、それが出来る、
恵まれている状況にあると思うんです、このマンションの人たちは。
だから逆にいうとそういった恵まれている状況をふまえて活動して
欲しいと思っています。まあ人それぞれ時期はあると思いますよ。
例えばプライベートで子育てが忙しい時期などもあると思いますし、
いろんな事情はあると思うんですけど、ここのマンションに住んで
いる間に何か一つのそういったものが出来るチャンスは必ず訪れると
思うので、それに対してその時はめいっぱい楽しんで思いっきり
やってもらいたいと思います。
(保崎)
そうですね、やっぱりマンション住民というとさっきいったように
干渉しない干渉されないとか他人のことは関係ないというのが一般的
ですけども、マンション買う人たちもやっぱりここに永住しようと
思っている人たちが多くなっていると思うんですね。
武蔵小杉という街を、ただ住んでいる街ではなくてやっぱり自分が
暮らしている街という意識でコミュニティ活動とかNPOの活動に
少しでも協力していただいて、その中で少しでも楽しみを見つけて
いただいてこの再開発地域全体が楽しんで前に進めるような、そんな
風になっていけたらいいなと思っています。
--本日はどうもありがとうございました。
【関連リンク】
NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメント 公式ウェブサイト
武蔵小杉ライフ:再開発情報:小杉駅東部地区
(レジデンス・ザ・武蔵小杉関連)
2008/2/10エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉からの眺望(1)
2008/2/13エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉からの眺望(2)
2008/2/16エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉からの眺望(3)
2008/2/19エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉からの眺望(4)
2008/2/22エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉からの眺望(5)
2009/7/7エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉の七夕ライトダウン
2010/3/29エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉のアースアワー2010
ライトダウン
2010/5/20エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉の窓掃除
2010/7/7エントリ 武蔵小杉のライトダウンキャンペーン2010
(インタビュー関連)
2010/10/19エントリ 武蔵小杉の「ひと」(4):NPO法人小杉駅周辺
エリアマネジメント(前編)
2010/10/20エントリ 武蔵小杉の「ひと」(4):NPO法人小杉駅周辺
エリアマネジメント(後編)
2010/12/5エントリ 武蔵小杉の「ひと」(5):川崎市まちづくり局(前編)
2010/12/6エントリ 武蔵小杉の「ひと」(5):川崎市まちづくり局(後編)
2010/12/17エントリ 武蔵小杉の「ひと」(6):レジデンス・ザ・武蔵
小杉(前編)
(イベント関連)
2008/8/23エントリ 「こすぎ夏フェスタ'08」成功
2009/10/31エントリ 武蔵小杉を練り歩く子ども仮装行列
2010/3/13エントリ 横須賀線武蔵小杉駅本日開業、記念イベント開催
2010/11/1エントリ 武蔵小杉を練り歩く子ども仮装行列2010