上丸子跨線橋拡幅遅延続報:新幹線への影響軽減のため大幅な工法変更、約27億円費用加算へ
2012/5/13エントリにおいて、綱島街道・上丸子跨線橋拡幅工事の
完成大幅遅延について取り上げました。
その後の続報として、これは跨線橋東側の新幹線への影響を
軽減するための工法変更に起因するものであることがわかり
ました。
この工法変更により、難航していたJR東日本・JR東海との協議が
まとまり、中断していた工事が再開されることとなります。
このたびの工期延長により、工事費用は約27億円増額され、
上丸子跨線橋は2018年度に完成する見込みです。
(※前回エントリにおいて「2018年」と記載しておりましたが、正確
には「2018年度」となります。)
■綱島街道・上丸子跨線橋
工法変更についてはかなり専門的な話になってしまいますが、
従来の「5径間橋梁およびL型擁壁」から、「3径間橋梁および
鋼管杭擁壁」構造に変更されて工事が進められます。
従来の計画では、既存道路の両側に仮設道路を設置した上で、
橋台・橋脚が一括施工される予定でしたが、今回まとまった計画
では、既存道路を活用しながら橋梁を3分割して施工することと
なりました。
この工法では仮設道路の杭施工が不要になるため、新幹線の運行
への影響が軽減されますが、一方で跨線橋を3分割して工事を進
めることにより工期が大幅に延長されてしまいます。
また、冒頭に申し上げたとおり、施工費用も約27億円上乗せされる
形になります。
■横須賀線武蔵小杉駅の連絡通路
今回の遅延理由を聞いて、多くの方が横須賀線武蔵小杉駅の
連絡通路の完成延期を思い出されるのではないでしょうか。
横須賀線武蔵小杉駅の連絡通路も、施工途中で「新幹線への
影響が想定よりも大きかった」ことが発覚し、工法変更により
連絡通路の完成が1年以上延期されました。
今回もまた、その構図が繰り返されたことになります。
東海道新幹線は、上丸子跨線橋の東側を何十年も前から通って
いるわけでして、着工後にここまでの構造変更が必要となるのは、
「想定が甘すぎる」と言わざるを得ないところです。
また、主にJR東海との調整は一体どのように行われて2008年に
着工に至ったのか、そこから3年8ヶ月が経過した後に、なぜ
このような結果に至ったのか、首を傾げたくなります。
やはり調整が稚拙であった、と評価せざるを得ません。
市民の側からすれば、「2012年に出来ると知らされていた道路が
2012年になってあと6年かかるという話を聞かされた」という結果に
なっています。
まずは本件に関し、川崎市から市民に対して公式な発表、説明を
行うべきではないかと考える次第です。
■上丸子跨線橋で整備済みの仮管路
2009/5/6エントリなどでご紹介したように、すでに上丸子跨線橋
からは工事の支障となる管路は撤去され、すぐそばに仮管路が
設置されています。
新しく引かれた工事スケジュールでは、6月までに中断していた
工事が再開され、2013年7月以降に橋梁部の工事が着手される
予定となっています。
こうした状況ですと工期の短縮はなかなか難しそうに感じられま
すが、新たな工法における安全対策、渋滞対策等はよく検討
いただきたいですね。
【関連リンク】
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