武蔵小杉東急スクエア地下駐輪場が空車を多数残し満車表示、他駐輪場利用を促す運用を実施
武蔵小杉東急スクエア地下の提携駐輪場である、「サイクルタイムズ武蔵小杉駅前地下駐輪場」(以下、武蔵小杉東急スクエア地下駐輪場)が、下段が埋まった段階で満車とする運用をしていることがわかりました。
駐輪場の案内に従う限り、ラック式480台のうち上段168台が稼働しないことになります。
■武蔵小杉東急スクエア地下駐輪場の満車表示
■武蔵小杉東急スクエア アクセス・駐車場
http://www.kosugi-square.com/access/
武蔵小杉東急スクエア地下駐輪場はタイムズ24が運営しており、同施設のウェブサイトにも記載されている通り、ラック式で480台(上段168台・下段312台)を収容する駐輪場です。
「KOSUGI PLAZA」側にある入口に、ご覧のようにカラーコーンによる満車表示が行われています。
■満車表示にもかかわらず上段・下段ともに空いている地下駐輪場(動画)
こちらは、満車表示になっている状態の武蔵小杉東急スクエア地下駐輪場を、入口から内部まで動画で撮影したものです。満車表示になっているにもかかわらず、駐輪場内に入ってみると上段・下段ともに空きがあることが確認できます。
駐輪場職員の方に聞いてみると、
「あれはあのままで(満車表示で)いいの。すぐに埋まっちゃうから」
という返答をいただきました。上下とも空車があることはわかっているものの、意図的にそのような表示にしているということです。
現状の運用では、一旦下段が満車になった段階で満車表示になりますが、その後出庫する自転車は常時あるために下段にも空きが生じます。私が日常的に見ている限り、下段を探して空きが見つからなかったことはありませんでした。
それでもそのまま満車表示にしているというのが現在の運用です。
確かに女性が子どもを乗せる2人乗り用自転車を上段に乗せるのは大変だったりしますが、上段を利用できる方も相当割合いらっしゃるはずですし、周辺のほとんどの駐輪場は2段ラック式です。
上段は利用できないという前提に立つこと自体が、妥当とは言えないものと思います。
なお、満車表示をしていても、それを無視して入場をすれば駐輪が可能で、それを係員の方に止められるわけではありません(実際普通に利用している方が多いです)。しかし駐輪場側の「満車」という案内に素直に従う限りは利用できないことになります。
実際、この表示を見てあきらめてほかに行ってしまった自転車利用の方は私の周辺にもいらっしゃいます。
この運用には、いくつかの理由から問題があると考えます。
3点、ここでまとめてみたいと思います。
<1.周辺地域に対して自己中心的な運用ではないか>
まずひとつめの理由は、周辺地域に対して、あまりにも自己中心的な運用ではないか、ということです。
武蔵小杉東急スクエアのオープン以来、イトーヨーカドーの駐輪場、フーディアムの駐輪場は以前よりも混雑率がアップしました。また向かい側のTSUTAYAでは、武蔵小杉東急スクエアの自転車が押し寄せるために東急スクエア側の駐輪場を廃止せざるを得ない状態になりました。
周辺施設にも影響を及ぼしている状況にあって、自己の駐輪場だけが35%もの余力を残して他の駐輪場を当たるよう利用者に促すというのは、駅前大規模施設の公共性の観点から、いかがなものでしょうか。
また上段が使いづらいとしても、2段ラック式でオープンしている以上は、事業者側に一定の責任があるはずで、運用側の面倒を避けるかのような運用には疑問を感じます。
■廃止せざるを得なくなったTSUTAYAの駐輪場
<2.大店法・環境アセスメント等、法や条例に基づいた届出と異なる運用ではないか>
ふたつ目の理由は、法と条例に基づいた届出に反していないか、ということです。
西街区の商業施設は大規模なものであり、大規模小売店舗立地法や環境アセスメント等による届出、審査を経て建設されたものです。駐輪場台数についてもそれぞれ届け出られていますし、大店法では規模に応じた駐輪場台数が定められています。
本サイトの試算では、上段を算入しない場合でも大店法が義務付ける台数は満たしているようですが、届出を行った台数と異なる運用は、これらの法と条例に沿ったものといえるでしょうか。
「実際には利用できるのだから届出に沿っている」とするならば、二枚舌との誹りを免れないものと思います。
また駐輪場を利便性を損なうことなく利用できるよう運用するのは、大店法の趣旨として事業者側に責任があるはずです。
<3.事実と異なる表示は不誠実ではないか>
みっつ目の理由はごくシンプルなもので、ともあれ事実と異なる表示で誘導を行うのは不誠実ではないか、ということです。これはあれこれ申し上げることはありませんで、普通に考えれば…ということですね。
「下段が満車(空き僅少)、上段空きあり」というような事実を表示するのは問題ないと思います。
※ ※ ※
武蔵小杉駅周辺では、以前から駐輪場が逼迫している状況にあります。
川崎市が市有地をやりくりしたり、再開発などにあわせて民間事業者への協力を要請して何とか駐輪場用地を確保するべく動いていますが、なかなか難しい部分もあります。
運用コスト見合いになりますが、女性などが上段が利用しづらいということであれば人員を配置してサポートを行うなど工夫する方法もあるかもしれません。法と条例に基づいて、折角整備された駐輪場を十分に活用できればよいと思います。
(また、私も上段から自転車を降ろすのに困っている女性を見かけてサポートしたことがありますが、自然な助け合いも大切ではないでしょうか)
駅前に大規模施設を展開する以上は、事業者側が地域社会に対して果たすべき責任が問われています。少なくとも、余力を残して自らの駐輪場のみの負担を避けるかのような現状の武蔵小杉東急スクエア地下駐輪場の運用には疑問を感じ、本エントリをまとめさせていただきました。
■武蔵小杉東急スクエアおよび「KOSUGI PLAZA」
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