井田病院の「病院レストランを考えよう!ワークショップ」開催レポート
2013年6月29日に、川崎市立井田病院において「病院レストランを考えよう!ワークショップ」が開催されました。
本ワークショップは、患者さんや地域の皆さんと病院のレストランの意義や役割を見つめ直して、「あったらいいな」と思えるレストランの姿を検討するものでした。
当日は医療関係者・地域住民の方など31名が集まり、活発な意見交換が行われました。
■川崎市立井田病院
本ワークショップの会場は、もちろん川崎市立井田病院でした。
井田病院は地域医療、特にがん医療の拠点となる市立病院です。井田山の上にあり、各所からバスが発着していますので、バスの行き先で見たことがある、という方は多いのではないでしょうか。
規制により外側に看板等を出すことはできませんが、この中にも病院レストラン「ポールライト」が入っています。「ポールライト」については、ワークショップを告知させていただいた2013/5/11エントリでもご紹介しましたね。
■「レストランサポートプロジェクト」発起人の西智弘先生
本ワークショップは、病院レストランを考える「レストランサポートプロジェクト」の主催によるものです。その発起人が井田病院医師の西智弘先生であり、今回のワークショップのガイド役もつとめていらっしゃいました。
冒頭は西先生からのミニ講演という形で、プロジェクトおよびワークショップの説明がありました。概要をざっくりまとめると、以下の通りです。
■西智弘先生による講演の概要
▼待合室をひとつの重要な医療資源と考え、それを有効利用することで医療の改革を進める「待合室から病院を変えよう!プロジェクト」に共感
▼活用されていない医療資源は、待合室の他にもあるのではないか
▼「病気がないと立ち寄らない」病院が、健康時からの健康情報発信基地、医療の「渚」となるためには病院レストランは有効な機能になりえるのではないか
▼話題になった病院レストランはいくつかあるが、多くは「豪華」「ヘルシー」など女性などへの「受け」に寄っている印象があり
▼病院レストランの意義・必要性、望まれる機能などについてワークショップで考えてみたい
■ワークショップの風景
全体2時間30分のうち講演は20分ほどで、ワークショップの中心は参加者による意見交換でした。いわゆる「ワールド・カフェ形式」で、1グループ5、6名を3回ほどシャッフルしながら、病院レストランに対して期待すること、必要と考えることなどを出し合っていくというものです。
■各グループの意見シート(一部のみ)
■ワークショップで出た意見(一部のみ)
▼レストランを図書室の分室にする:本を読みかけになればリピーターになるかも
▼栄養士の常駐:栄養指導をいつでも受けられる→患者が改善した食生活に対するフィードバックが得られる、モチベーションの維持につながる
▼キッチンスタジオの設置
▼病気別(糖尿病やアレルギーとか)の推薦メニュー+レシピの公開
▼患者の家族のための病院食の体験メニュー
▼時間体制サービスの提供:空いている時間の利用→市民のワークショップやイベント会場として(市民が病院を活用できる)
▼「患者さん」→「お客さん」となり自由になれる場
▼畳の空間
▼子供用のスペース、娯楽スペース
▼ノンアルコールカクテルの提供、ケーキの提供
▼面会時間や待ち時間の時間つぶしとしての場:呼び出しシステムがあれば…
▼グループダイエット
▼退院後の食事のお手本としたいメニュー
(※上記は全体のごく一部であり、本サイトが任意にピックアップしたものです。)
とても本エントリではご紹介しきれませんが、各グループでは、実にさまざまな意見が出ました。
単に食事をする場というだけではなく健康をテーマにしたイベントを開催したらどうか?といったものから、あるいはグループダイエットを企画してはどうかなど、「健康」を軸にして「レストランという場」の活用範囲を広げていく意見が多く見受けられました。
実際にやっていくにあたってはいろいろ解決すべきハードルもあるのでしょうが、まずは否定論なしで、なんでもアイデアを出していくことが大切なのだと思います。
想像以上に活発に意見の出し合いは盛り上がりまして、宴もたけなわ…というところで西先生のクロージングでワークショップは終了しました。
※ ※ ※
「病院レストランサポートプロジェクト」は、今後1年間の活動を予定しています。
ワークショップで出た多くの意見を踏まえて、今後は西先生をはじめとするプロジェクトのみなさんが、井田病院のレストランにおいて具体的にアイデアを形にしていくことになります。
今後のプロジェクトの進捗についても適時報告されるそうですので、本サイトでも、またどこかの段階でご紹介できればと思います。
■井田病院のレストラン「ポールライト」
■「ポールライト」の生姜焼き
お昼時にワークショップが終わりましたので、この日は井田病院のレストラン「ポールライト」で生姜焼きをいただきました。
現状の「ポールライト」は、病院レストランとして何か特別な活用をされているわけではありませんが、日当たりのよい明るいスペースです。また大規模な井田病院の中にあっても、数少ない「医療を受ける」「待つ」以外の場所です。
今後のプロジェクトによってどのような活用が形になっていくのか、個人的にも楽しみにしています。
【関連リンク】
西智弘先生ブログ かわさきOncology&Palliative Care
西智弘先生Twitter @tonishi0610
川崎市立井田病院 売店・レストラン
2011/3/7エントリ 井田山(1):井田山から見る武蔵小杉
2012/1/6エントリ 井田山(2):井田平台公園
2012/5/1エントリ 井田山(3):井田病院の新棟が本日開院
2013/6/1エントリ 井田山(4):中原市民健康の森と、ホタルの放流
2013/5/11エントリ 井田病院において2013年6月29日に「病院レストランを考えよう!ワークショップ」が開催、5月12日朝9時より事前登録開始