市ノ坪の工場跡地で、伊藤忠都市開発が391戸の大規模学生寮を2017年オープンへ
【Reporter:はつしも】
市ノ坪の工場跡地に、伊藤忠都市開発が7階建て・391戸の大規模な学生寮を建設することがわかりました。
同地区はかつては大小の工場が集まっていましたが、近年次々と住宅・公園・保育所・店舗等に転換が進んでいます。
■フィットケアデポ市ノ坪店と、伊藤忠都市開発の学生寮建設予定地(奥)
■伊藤忠都市開発の「(仮称)武蔵小杉学生寮プロジェクト」の事業計画のお知らせ
伊藤忠都市開発の学生寮が建設されるのは、「フィットケアデポ市ノ坪店」の隣接です。
現地には「事業計画のお知らせ」が公示され、約3,419㎡の土地に7階建て・391戸の学生寮を建設する計画であることがわかります。
着工は2015年11月1日、完成は2017年3月31日を予定しています。
ここには「ヱビス」「富士合成」「東信化工」の工場がありましたが、いずれもすでに横浜市等に移転をしています。
工場移転により、まとまった土地が活用できるようになったものです。
この区画の開発計画はすんなり決まったわけではなく、これまでに下記のように変遷してきました。
■学生寮予定地の開発計画の変遷
(1)「ヱビス」の本社建て替え及び工場移転を行い、新本社1階に「フィットケアデポ」がオープン
↓
(2)「ヱビス」の工場跡地で、興建による一戸建て分譲住宅地「アルステージ武蔵小杉」の募集がスタート
↓
(3)「アルステージ武蔵小杉」の募集が中止
↓
(4)「ヱビス」の工場跡地に明和地所のマンション計画が公示
↓
(5)明和地所のマンション計画が中止
↓
(6)隣接地の「富士合成」「東信化工」の工場が移転
↓
(7)「ヱビス」「富士合成」「東信化工」の工場跡地を一体化して伊藤忠都市開発が学生寮建設を計画
もともとは寝具メーカー「ヱビス」の工場跡地だけだったものが、最終的には隣接の「富士合成」「東信化工」の敷地も巻き込んだより大きな開発になりました。
計画が大きくなるにつれて、事業者も地元中小企業の「興建」から「明和地所」を経て今回の「伊藤忠都市開発」と、企業規模が大きくなってきています。
■富士合成・東信化工の工場が移転した跡地
現在では、すでに富士合成・東信化工の工場は更地になっています。
写真右側は、ケーヒン川崎工場の跡地に建設された「クレストフォルム武蔵小杉ブライトコート」です。
工場街だった風景が、大きく変わっています。
ここで、当該地区周辺のマップを見てみましょう。
■周辺地区のマップ
前述の通り、この地区は以前から大小の工場が集まった工業地帯でした。
新幹線と横須賀線、府中街道に挟まれた三角地帯であり、駅からも距離があることからもともとは工場の立地のほうが適していたのでしょう。
しかしながら武蔵小杉の再開発が進み、当該地区寄りに横須賀線・湘南新宿ラインの新駅が開業したことが大きな契機となりました。
工場にとっては都市化が進むことはさしてメリットがない一方で、値上がりした土地を売却すればより充実した設備を郊外に作ることができます。
デベロッパーにとっては駅までの所要時間が短縮し、「武蔵小杉」というバリューを活かして、以前よりも住宅を売りやすい環境になったのです。
結果として、ここ数年の間だけで、「ケーヒン」「ヱビス」「富士合成」「東信化工」4社の工場が移転しました。
これに加えて「島忠市ノ坪店」の閉店もあり、それらの跡地が転換されていったわけです。
■東信化工やケーヒンの工場が稼働していた頃の当該地区
上記写真は、ケーヒンの工場(左)や東信化工(右)の工場が稼働していた頃のものです。
今回移転したのが、右手の東信化工・富士合成の工場です。
■ケーヒン川崎工場が住宅や公園、マンションに
続いて2011年にケーヒン川崎工場が移転し、その跡地が戸建て住宅、街区公園「市ノ坪広町公園」、分譲マンション「クレストフォルム武蔵小杉ブライトコート」になりました。
■富士合成・東信化工の工場(右)が移転
そしてこちらが現在の風景です。
右手の富士合成・東信化工の工場が移転しました。
この手前がフィットケアデポで、工場が移転した空き地が学生寮になるわけですから、かつての工場街の風景からはすっかり変わってきましたね。
■現在も残る「三喜工業」
■「第一金型工業」と「協和エンジニヤリング」
工場が移転していく中にあって、学生寮予定地の隣では、「三喜工業」「第一金型工業」「協和エンジニヤリング」の工場が残っています。
この地区は都市計画上の用途は今でも「工業地域」であり、今後も住宅・工業が混在しつつその姿を変えていくのでしょう。
■追い風が吹く「フィットケアデポ市ノ坪店」
なお、ヱビス本社1階に出店した「フィットケアデポ市ノ坪店」は、目立たない場所にあることもあってかお客さんの姿が少なく、採算がやや心配な状態でした。
ところが今回隣に391戸の学生寮が出現することになり、これは同店にとって追い風になりそうです。
従来は線路際の工場だったものが、突然400人近い20歳前後の学生たちが出入りするわけですから、雰囲気も変わりますね。
■伊藤忠グループの学生会館 TOKYO student-house
http://www.itochu-gakuseikaikan.com/
今回の「(仮称)武蔵小杉学生寮プロジェクト」の具体的な形態はわかりませんが、伊藤忠グループでは伊藤忠アーバンコミュニティで学生会館の運営事業を展開しています。
こういった特定の学校に限定しない事業なのか、あるいは特定の学校からの委託を受けた事業なのか、詳細は不明です。
一般論としては、特定の学校が対象なのであれば、もうすこし対象キャンパスへの便がよい場所になるような気がいたしますね。
武蔵小杉であれば、さまざまなキャンパスに対応しやすいというメリットもありますが、これは未確認事項としてご理解ください。
■中丸子ビル跡地のマンション開発
また、学生寮予定地から武蔵小杉新駅に向かう途中の「御幸踏切」前でも、「中丸子ビル」の跡地に6階建て・185戸のマンションが着工していました。
■武蔵小杉再開発「中丸子地区」
さらに武蔵小杉新駅前まで北上すると、「ナイスシティアリーナ武蔵小杉」や「プラウド武蔵小杉グリーンフロント」、「野村不動産武蔵小杉ビル」、「シティハウス武蔵小杉」があります。
これらも「不二サッシ」や「平山ファインテクノ」の工場跡地などに立地したものです。
市ノ坪から中丸子あたりを歩いていくと、武蔵小杉駅前で大規模再開発が進んでいくのと並行して、その周辺部でも工場からの土地利用転換が進んでいることがよくわかります。
【関連リンク】
株式会社ヱビス ウェブサイト
株式会社カメガヤウェブサイト フィットケアデポ
2008/9/7エントリ 島忠市ノ坪店閉店
2009/5/21エントリ 島忠市ノ坪店跡地をゴールドクレストが買収
2010/9/7エントリ 島忠市ノ坪店跡地のゴールドクレストマンション計画と、ケーヒン川崎工場閉鎖
2011/7/29エントリ 市ノ坪のケーヒン川崎工場跡地にゴールドクレストがマンション建設、島忠跡地と連続開発へ
2011! /12/5エントリ ケーヒン川崎工場解体完了と、ゴールドクレストのマンション計画公示
2013/1/28エントリ ケーヒン川崎工場跡地「クレストフォルム武蔵小杉ブライトコート」の提供公園
2013/4/17エントリ クレストフォルム武蔵小杉ブライトコート竣工、「市ノ坪広町公園」供用開始
2013/7/2エントリ 市ノ坪でJR東海社宅が解体、寝具メーカー・ヱビス本社が建て替え
2013/8/13エントリ ケーヒン川崎工場跡地に「(仮称)小杉もりのこ保育院・・」2014年春開園へ
2014/2/1エントリ 府中街道沿い「フィットケアデポ市ノ坪店」が2014年5月下旬オープンへ
2015/2/9 エントリ 市ノ坪で進む、土地利用転換。「フィットケアデポ市ノ坪店」と、株式会社ヱビスの寝具直販店舗「futon house ebisu」
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同地区はかつては大小の工場が集まっていましたが、近年次々と住宅・公園・保育所・店舗等に転換が進んでいます。
■フィットケアデポ市ノ坪店と、伊藤忠都市開発の学生寮建設予定地(奥)
■伊藤忠都市開発の「(仮称)武蔵小杉学生寮プロジェクト」の事業計画のお知らせ
伊藤忠都市開発の学生寮が建設されるのは、「フィットケアデポ市ノ坪店」の隣接です。
現地には「事業計画のお知らせ」が公示され、約3,419㎡の土地に7階建て・391戸の学生寮を建設する計画であることがわかります。
着工は2015年11月1日、完成は2017年3月31日を予定しています。
ここには「ヱビス」「富士合成」「東信化工」の工場がありましたが、いずれもすでに横浜市等に移転をしています。
工場移転により、まとまった土地が活用できるようになったものです。
この区画の開発計画はすんなり決まったわけではなく、これまでに下記のように変遷してきました。
■学生寮予定地の開発計画の変遷
(1)「ヱビス」の本社建て替え及び工場移転を行い、新本社1階に「フィットケアデポ」がオープン
↓
(2)「ヱビス」の工場跡地で、興建による一戸建て分譲住宅地「アルステージ武蔵小杉」の募集がスタート
↓
(3)「アルステージ武蔵小杉」の募集が中止
↓
(4)「ヱビス」の工場跡地に明和地所のマンション計画が公示
↓
(5)明和地所のマンション計画が中止
↓
(6)隣接地の「富士合成」「東信化工」の工場が移転
↓
(7)「ヱビス」「富士合成」「東信化工」の工場跡地を一体化して伊藤忠都市開発が学生寮建設を計画
もともとは寝具メーカー「ヱビス」の工場跡地だけだったものが、最終的には隣接の「富士合成」「東信化工」の敷地も巻き込んだより大きな開発になりました。
計画が大きくなるにつれて、事業者も地元中小企業の「興建」から「明和地所」を経て今回の「伊藤忠都市開発」と、企業規模が大きくなってきています。
■富士合成・東信化工の工場が移転した跡地
現在では、すでに富士合成・東信化工の工場は更地になっています。
写真右側は、ケーヒン川崎工場の跡地に建設された「クレストフォルム武蔵小杉ブライトコート」です。
工場街だった風景が、大きく変わっています。
ここで、当該地区周辺のマップを見てみましょう。
■周辺地区のマップ
前述の通り、この地区は以前から大小の工場が集まった工業地帯でした。
新幹線と横須賀線、府中街道に挟まれた三角地帯であり、駅からも距離があることからもともとは工場の立地のほうが適していたのでしょう。
しかしながら武蔵小杉の再開発が進み、当該地区寄りに横須賀線・湘南新宿ラインの新駅が開業したことが大きな契機となりました。
工場にとっては都市化が進むことはさしてメリットがない一方で、値上がりした土地を売却すればより充実した設備を郊外に作ることができます。
デベロッパーにとっては駅までの所要時間が短縮し、「武蔵小杉」というバリューを活かして、以前よりも住宅を売りやすい環境になったのです。
結果として、ここ数年の間だけで、「ケーヒン」「ヱビス」「富士合成」「東信化工」4社の工場が移転しました。
これに加えて「島忠市ノ坪店」の閉店もあり、それらの跡地が転換されていったわけです。
■東信化工やケーヒンの工場が稼働していた頃の当該地区
上記写真は、ケーヒンの工場(左)や東信化工(右)の工場が稼働していた頃のものです。
今回移転したのが、右手の東信化工・富士合成の工場です。
■ケーヒン川崎工場が住宅や公園、マンションに
続いて2011年にケーヒン川崎工場が移転し、その跡地が戸建て住宅、街区公園「市ノ坪広町公園」、分譲マンション「クレストフォルム武蔵小杉ブライトコート」になりました。
■富士合成・東信化工の工場(右)が移転
そしてこちらが現在の風景です。
右手の富士合成・東信化工の工場が移転しました。
この手前がフィットケアデポで、工場が移転した空き地が学生寮になるわけですから、かつての工場街の風景からはすっかり変わってきましたね。
■現在も残る「三喜工業」
■「第一金型工業」と「協和エンジニヤリング」
工場が移転していく中にあって、学生寮予定地の隣では、「三喜工業」「第一金型工業」「協和エンジニヤリング」の工場が残っています。
この地区は都市計画上の用途は今でも「工業地域」であり、今後も住宅・工業が混在しつつその姿を変えていくのでしょう。
■追い風が吹く「フィットケアデポ市ノ坪店」
なお、ヱビス本社1階に出店した「フィットケアデポ市ノ坪店」は、目立たない場所にあることもあってかお客さんの姿が少なく、採算がやや心配な状態でした。
ところが今回隣に391戸の学生寮が出現することになり、これは同店にとって追い風になりそうです。
従来は線路際の工場だったものが、突然400人近い20歳前後の学生たちが出入りするわけですから、雰囲気も変わりますね。
■伊藤忠グループの学生会館 TOKYO student-house
http://www.itochu-gakuseikaikan.com/
今回の「(仮称)武蔵小杉学生寮プロジェクト」の具体的な形態はわかりませんが、伊藤忠グループでは伊藤忠アーバンコミュニティで学生会館の運営事業を展開しています。
こういった特定の学校に限定しない事業なのか、あるいは特定の学校からの委託を受けた事業なのか、詳細は不明です。
一般論としては、特定の学校が対象なのであれば、もうすこし対象キャンパスへの便がよい場所になるような気がいたしますね。
武蔵小杉であれば、さまざまなキャンパスに対応しやすいというメリットもありますが、これは未確認事項としてご理解ください。
■中丸子ビル跡地のマンション開発
また、学生寮予定地から武蔵小杉新駅に向かう途中の「御幸踏切」前でも、「中丸子ビル」の跡地に6階建て・185戸のマンションが着工していました。
■武蔵小杉再開発「中丸子地区」
さらに武蔵小杉新駅前まで北上すると、「ナイスシティアリーナ武蔵小杉」や「プラウド武蔵小杉グリーンフロント」、「野村不動産武蔵小杉ビル」、「シティハウス武蔵小杉」があります。
これらも「不二サッシ」や「平山ファインテクノ」の工場跡地などに立地したものです。
市ノ坪から中丸子あたりを歩いていくと、武蔵小杉駅前で大規模再開発が進んでいくのと並行して、その周辺部でも工場からの土地利用転換が進んでいることがよくわかります。
【関連リンク】
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