武蔵小杉ブログ(武蔵小杉ライフ 公式ブログ)

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2016年
01月25日

NEC半導体と共に発展し、半導体と共に玉川事業場を去る。「玉川電器」本社が横浜移転

【Reporter:はつしも】

中丸子の「玉川電器株式会社」本社が2015年12月14日をもって横浜ビジネスパークに移転しました。
本社ビルの解体が着手されるとともに、隣接する同社の駐車場が閉鎖されています。

現段階では跡地の売却等は行われていませんが、また何らか開発等が行われる可能性があります。

■玉川電器ウェブサイト
http://www.td-pla.jp/

■解体が着手された玉川電器本社ビル
解体が着手された玉川電器本社ビル

本社解体のお知らせ

■閉鎖された駐車場
閉鎖された駐車場

玉川電器は、宮越電気として1949年に設立されました。
当時の本社は大井町で、コンプレッション成形加工(プラスチックの成形加工法のひとつ)におけるNECとの取引が事業のスタート地点となりました。

■玉川電器 プラスチック事業
http://www.td-pla.jp/pla/prod.html

同社のプラスチック事業を参照すると、身近なところでは携帯電話のコネクタキャップなどを製造していたことがわかります。

その後NECとの取引が拡大したため、1960年にこの中丸子の土地を取得し、当初はここに工場を置き、のちに本社機能を移転させてくるかたちになりました。
1963年にはNECの半導体事業の部品加工に参入、2003年には武蔵小杉タワープレイスにシステムセンターを移転させるなど、同社はNECとともに、玉川事業場周辺において事業を発展させてきたといえるでしょう。

■玉川電器システムセンターが入居していた武蔵小杉タワープレイス
玉川電器システムセンターが入居していた武蔵小杉タワープレイス

しかしながら、かつて世界最大の半導体メーカーであったNECは、経営環境が厳しさを増していく中で事業の再編・分離を行っていきます。
1999年には、半導体事業のうち汎用DRAM事業をNEC日立メモリ(のちのエルピーダメモリ)として先に分社化するものの同社は経営不振に陥り、2012年には会社更生法を適用します。

残る半導体事業を2002年に分社化したNECエレクトロニクスは、三菱電機・日立製作所から分社化したルネサステクノロジと2010年に経営統合し、ルネサスエレクトロニクスになりました。そして2013年には産業革新機構・トヨタ・日産などを割当先とする1500億円の第三者割当増資を行ったことでNECの持株比率が2015年9月末現在0.75%まで低下し、グループからは離れる形となっています。

玉川電器の主要な取引先は、直近ではルネサスエレクトロニクス(本社:東京都江東区)、ルネサスシステムデザイン(本社:東京都小平市)の2社で約20%です。
ルネサスエレクトロニクスは当初はNEC玉川事業場内に「玉川事業所」がありましたが2015年に閉鎖になり、高崎などに集約されるかたちになりました。

このような環境の変化を受けて、玉川電器としてもNEC玉川事業場と距離的な密着を続ける必要性が薄くなったということでしょう。
2011年に武蔵小杉タワープレイスのシステムセンターが、このたび中丸子の本社がいずれも横浜ビジネスセンターに移転したことで、玉川電器はNEC玉川事業場周辺から去る形になりました。

■更地になったNEC玉川事業場7・8号館跡地 更地になったNEC玉川事業場の7・8号館跡地

■新設されたNEC玉川ソリューションセンター
NEC玉川ソリューションセンター

NEC玉川事業場では、かつて三角屋根がレトロな雰囲気を感じさせた旧7号館・8号館が解体され、ここ5年ほど更地になっています。
一方でNEC玉川ルネッサンスシティやNEC玉川ソリューションセンターが建設されるなど、新たな拠点整備・集約も行っているところです。

長年玉川事業場周辺で事業をしていた玉川電器の移転にあたって、そんなNEC玉川事業場の歴史も振り返ってみました。

■中丸子ビル跡地のマンション開発
中丸子ビル跡地のマンション開発

玉川電器に隣接していた「中丸子ビル」跡地では、現在シノケンハーモニーによるマンションが建設されています。
これまでにもお伝えしているように、この周辺地区は従来工場街だったものが急速に住宅地として転換されてきています。

■プリント配線板の平山ファインテクノ
プリント配線板の平山ファインテクノ

そしてこちらも玉川電器の近隣にあるのが、プリント配線板の設計・製造を行う「平山ファインテクノ」の本社です。
これはもともとは武蔵小杉新駅南側にあったものがもう少し南に近距離移転したもので、その跡地が分譲マンション「ナイスシティアリーナ武蔵小杉」になっています。

平山ファインテクノの主要取引先はNEC本体、NECネットワークプロダクツなど現在も大部分がNECグループであり、移転するにしてもNEC玉川事業場の近くに居続ける必要性があったのでしょう。

■ロボット周辺機器の近藤製作所
ロボット周辺機器の近藤製作所

その他、玉川電器の向かい側には、ロボット周辺機器を製造する「近藤製作所」の「東京支店(東京工場)」があります。
これは愛知県蒲郡市に本社を置く企業で、蒲郡市からすれば、中丸子も「東京(近郊)」でくくれるのですね。

なお、同社は特段NECグループが主要取引先というわけではありません。

この周辺地区では、時代の変化に対応して移転する会社もありつつ、引き続きNECグループとの取引やその他の利便性等により拠点を置き続ける会社もあります。
当面は住宅・工業が混在したエリアとして、少しずつ変化をしていくことと思います。

■玉川電器周辺マップ
玉川電器周辺マップ

【関連リンク】
玉川電器 ウェブサイト
近藤製作所 ウェブサイト
平山ファインテクノ ウェブサイト
武蔵小杉ライフ:再開発情報:小杉駅東部地区 D地区
2010/6/27エントリ NEC玉川ソリューションセンター竣工
2011/9/17エントリ NEC玉川事業場の7・8号館解体完了

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