「第6回関東労災病院 病院祭」レポート:腹腔鏡手術・縫合体験などドクター体験新企画などが好評、創立60周年の歴史特別展示も実施
【Reporter:はつしも】
2017年11月23日(木)に、「第6回 関東労災病院病院祭」が開催されました。
毎年人気の「病院見学ツアー」に加え、ドクター体験では腹腔鏡手術や皮膚の縫合など、新企画も登場して多くの方が楽しみました。
■関東労災病院
関東労災病院は、1957年に木月住吉町に開院した大規模病院です。
地域に開かれた「地域のランドマーク病院」であることをコンセプトとし、毎年この時期に「病院祭」を開催しています。
■見学ツアー・手術室の見学
病院祭で毎年たいへん好評なのが、見学ツアーです。
見学ツアーでは、恒例の手術室の見学などが行われました。
■手術台体験
■手術台の暖房
こういった見学では、一般に触れる範囲が非常に限られていることが多いものですが、関東労災病院の見学ツアーは、かなりフリーにあれこれ触れるのが特徴です。
手術台はもちろん、実際に乗ってみることができます。
手術台では、上部から涼しい風が吹いてくるのが感じられました。
実際の手術では患者は裸の状態ですから、体を温める暖房(ふとん乾燥機のような温風装置)が取り付けられていました。
■メロン、イチゴ、バニラの香り
手術にのぞむ患者は、当然ながらたいへん緊張しています。
特にお子さんなどは、不安な気持ちになるでしょう。
それを少しでも和らげるために、関東労災病院の手術室ではお子さん向けにフルーツの香りを用意しています。
■電気メス
こちらはオリンパスの電気メスです。
オリンパスというとカメラのイメージが強いかもしれませんが、医療用機器でも存在感のある企業です。
■たいへん多くの手術器具
手術にあたってはメスだけでなく、多くの器具が必要となります。
一見同じように見える器具でも、先端部分が少しずつ異なっていました。
見学ツアーではスタッフの方がひとつひとつ用途を教えてくれます。
■黒い線の入ったガーゼ
手術で使用するガーゼには、黒い線が入っています。
これはうっかり体内に残してしまった祭、レントゲンで確認できるようになっているのです。
■「私、取り残ししないので」
もちろん手術の際に取り残しせず、きちんと回収するのが基本です。
「私、取り残ししないので」
…これは、テレビドラマ「ドクターX ~外科医・大門未知子~」の定番台詞のアレンジですね。
■「患者確認、してる?」
■「確認ファースト」
■「安全ふぁーすと!」
その他、今年ブレイクのお笑い芸人さんや某政党の名称など、今年も関東労災病院はしっかり時事ネタを押さえてきます。
一昨年は「ルーチン(五郎丸ポーズ)」などを取り入れていまして、本サイトでもご紹介をしておりました。
そして今年の見学ツアーでは、数年ぶりに「MRI」の見学が復活しました。
MRIはきわめて強力な磁力を発生させているため、相当重量がある物体でもとてつもない力で引っ張られます。
そのためカメラなど金属類の持ち込みはできませんが、小さな金属を内部に仕込んだ発泡スチロールのボールが配られて、磁力を体験することができました。
今回はシーメンス製の新しいMRIで、以前見学したものに比べ、磁力が約2倍だということです。
また、見学ツアーでは毎年屋上ヘリポートの見学がありますが、今年は午前中が悪天候のために中止になってしまいました。
今年は屋上レポートはありませんので、ご了承ください。
■新棟1階での各種体験・健康企画
■医師体験の「心臓マッサージ」
続いて、新棟1階での各種体験・健康企画をご紹介していきましょう。
こちらは心臓マッサージです。
心臓マッサージは、遠慮せずに力を入れてマッサージをするのがポイントです。
その際に肋骨が折れたりすることもあるようですが、蘇生のためには致し方ないですね。
■医師体験「腹腔鏡手術」
今回は新企画として、「腹腔鏡手術体験」が行われていました。
これは上部の拡大モニターを見ながら、レバーを操作するように精緻な動きをさせるものです。
■ビーズの移動
体験では小さなビーズを挟んで移動させることをミッションとしていましたが、これがかなり難しかったです。
外科医の方は、医師国家試験で求められる「専門知識」だけでなく、手先の器用さも重要なスキルとなるわけです。
■医師体験「皮膚の縫合」
またこちらも新企画の「皮膚の縫合」です。
まずは釣り針のようにカーブした針を、傷口に通します。
■出てきた針を引っ張る
傷口をまたいで出てきた針を、ぐいっと引っ張ります。これで糸が通りました。
■糸を器具に巻き付けて、結ぶ
糸が通ったら、結びつけます。
お裁縫と同じ要領で、糸を挟んだ器具にくるりと糸を巻きつけてから、両端をギュッと引っ張ります。
■余った糸をカット
糸が余っていると邪魔ですから、縫合部分を残してカットします。
これでひと針縫えたことになります。
作業としては比較的シンプルですが、皮膚ですので綺麗に仕上げたいものです。
上手にできるようになるには、経験が必要ではないでしょうか。
医師体験は、一通りコースを体験するとりっぱな「修了証」が貰えました。
未来の医師が、誕生した瞬間かもしれません。
■手洗い体験
手洗いは毎日やっていることですが、実際には十分できていないことがあります。
それをチェックするのが、「手洗い体験」です。
まずは特定の光に反応する薬品を手に塗り付けてから、手を洗います。
しっかりと薬品を落とすことができたでしょうか?
■洗い残し部分が光る
光っているのが、洗い残し部分です。
爪の部分などが、残りがちですね。
■カロリーや塩分、糖分などのチェック
病院祭では、健康に関する企画も多数用意されています。
このコーナーでは、さまざまなおせんべいやケーキなどのカロリー、塩分、糖分などを確認することができました。
「これは少なそう、多そう…」と予測して見ていくと、意外な発見があります。
■体の不自由な方向けの器具
この鉛筆に巻き付けた器具は、握力の弱い方でも鉛筆が使いやすくなるサポート器具です。
他にも、お箸など、日常的に利用するサポート器具が多数展示されていました。
■車椅子・松葉杖・ギプス体験
こちらは車椅子や松葉杖、ギプスなどの体験です。
実際に利用してみると、体を動かすのがたいへんなことがわかります。
こういった器具は他人事のように思いがちですが、実際にはいつお世話になることになるかわかりません。
利用される方の立場に立ってみることも、大切かと思います。
■豆つかみゲーム
恒例の豆つかみゲームです。
小さい豆と大きい豆の2種類、大人の部と子供の部で30秒以内にいくつ豆を運べるか競争しました。
■健康チェック
また今年も、血圧や血管年齢などの健康チェックは健在です。
各種体験企画はお子さん中心ですが、こちらは大人中心です。
年に一度の健康診断では血管年齢などは測定しませんから、こういった機会に自分の数値を知っておくと良いでしょう。
■「関東労災病院60年の歩み」の展示
■関東労災病院建設前の風景
■旧棟の解体工事
今年は、1957年の関東労災病院創立から60周年にあたります。
これを記念して、今回の病院祭では60年間の歩みを記録する特別展示が行われていました。
ここでは年表に加えて、60年間の間の写真や資料などを見ることができました。
■旧棟の関東労災病院
※写真提供:関東労災病院
今回のレポートは、以上です。
「関東労災病院病院祭」は、毎回工夫を重ねて少しずつバージョンアップをしています。
楽しみながら、健康や医療についての理解を深めることができる本イベントは、地域の医療を支える関東労災病院の取り組みとしてたいへん素晴らしいものと思います。
出産などを除いて病院のお世話にならないことが一番良いのですが、長い人生は何があるかわかりません。
まずは健康に気を配りつつ、来年の「病院祭」もまた楽しみにしております。
【関連リンク】
・関東労災病院 ウェブサイト
・2009/1/8エントリ 関東労災病院の新棟
・2009/5/25エントリ 武蔵小杉で出産する:関東労災病院(前編)
・2009/5/26エントリ 武蔵小杉で出産する:関東労災病院(後編)
・2012/12/9エントリ 関東労災病院の病院見学会レポート:屋上パノラマと多彩な催しで初開催
・2013/10/3エントリ 「第2回関東労災病院 病院祭」が2013年10月27日(日)開催
・2014/11/8エントリ 「第3回関東労災病院 病院祭」レポート:手術室見学から医師・薬剤師体験まで多彩に開催
・2015/1/29エントリ 関東労災病院のバラ園と、事務管理棟・職員宿舎建設計画
・2015/11/28エントリ 「第4回関東労災病院 病院祭」開催レポート:武蔵小杉パノラマと、「ルーティン」を大切に支える地域医療
・2016/9/13エントリ 「ドクターX」などで登場、関東労災病院で勝村政信さん・谷原章介さんのサインを展示、「もとすみフォトクラブ」写真展も開催中
・2016/11/3エントリ 「第5回関東労災病院 病院祭」レポート:見学ツアー・ドクター体験・レントゲンクイズ・健康チェックなど企画充実
・2016/11/15エントリ 「第5回関東労災病院 病院祭」レポート番外編:武蔵小杉の最新パノラマと、元住吉・新川崎・二子玉川など周辺の眺望
・2017/10/25エントリ 「第6回関東労災病院 病院祭」が11月23日(木・祝)開催、見学ツアー・各種体験企画に加え創立60周年記念の歴史展示を実施
2017年11月23日(木)に、「第6回 関東労災病院病院祭」が開催されました。
毎年人気の「病院見学ツアー」に加え、ドクター体験では腹腔鏡手術や皮膚の縫合など、新企画も登場して多くの方が楽しみました。
■関東労災病院
関東労災病院は、1957年に木月住吉町に開院した大規模病院です。
地域に開かれた「地域のランドマーク病院」であることをコンセプトとし、毎年この時期に「病院祭」を開催しています。
■見学ツアー・手術室の見学
病院祭で毎年たいへん好評なのが、見学ツアーです。
見学ツアーでは、恒例の手術室の見学などが行われました。
■手術台体験
■手術台の暖房
こういった見学では、一般に触れる範囲が非常に限られていることが多いものですが、関東労災病院の見学ツアーは、かなりフリーにあれこれ触れるのが特徴です。
手術台はもちろん、実際に乗ってみることができます。
手術台では、上部から涼しい風が吹いてくるのが感じられました。
実際の手術では患者は裸の状態ですから、体を温める暖房(ふとん乾燥機のような温風装置)が取り付けられていました。
■メロン、イチゴ、バニラの香り
手術にのぞむ患者は、当然ながらたいへん緊張しています。
特にお子さんなどは、不安な気持ちになるでしょう。
それを少しでも和らげるために、関東労災病院の手術室ではお子さん向けにフルーツの香りを用意しています。
■電気メス
こちらはオリンパスの電気メスです。
オリンパスというとカメラのイメージが強いかもしれませんが、医療用機器でも存在感のある企業です。
■たいへん多くの手術器具
手術にあたってはメスだけでなく、多くの器具が必要となります。
一見同じように見える器具でも、先端部分が少しずつ異なっていました。
見学ツアーではスタッフの方がひとつひとつ用途を教えてくれます。
■黒い線の入ったガーゼ
手術で使用するガーゼには、黒い線が入っています。
これはうっかり体内に残してしまった祭、レントゲンで確認できるようになっているのです。
■「私、取り残ししないので」
もちろん手術の際に取り残しせず、きちんと回収するのが基本です。
「私、取り残ししないので」
…これは、テレビドラマ「ドクターX ~外科医・大門未知子~」の定番台詞のアレンジですね。
■「患者確認、してる?」
■「確認ファースト」
■「安全ふぁーすと!」
その他、今年ブレイクのお笑い芸人さんや某政党の名称など、今年も関東労災病院はしっかり時事ネタを押さえてきます。
一昨年は「ルーチン(五郎丸ポーズ)」などを取り入れていまして、本サイトでもご紹介をしておりました。
そして今年の見学ツアーでは、数年ぶりに「MRI」の見学が復活しました。
MRIはきわめて強力な磁力を発生させているため、相当重量がある物体でもとてつもない力で引っ張られます。
そのためカメラなど金属類の持ち込みはできませんが、小さな金属を内部に仕込んだ発泡スチロールのボールが配られて、磁力を体験することができました。
今回はシーメンス製の新しいMRIで、以前見学したものに比べ、磁力が約2倍だということです。
また、見学ツアーでは毎年屋上ヘリポートの見学がありますが、今年は午前中が悪天候のために中止になってしまいました。
今年は屋上レポートはありませんので、ご了承ください。
■新棟1階での各種体験・健康企画
■医師体験の「心臓マッサージ」
続いて、新棟1階での各種体験・健康企画をご紹介していきましょう。
こちらは心臓マッサージです。
心臓マッサージは、遠慮せずに力を入れてマッサージをするのがポイントです。
その際に肋骨が折れたりすることもあるようですが、蘇生のためには致し方ないですね。
■医師体験「腹腔鏡手術」
今回は新企画として、「腹腔鏡手術体験」が行われていました。
これは上部の拡大モニターを見ながら、レバーを操作するように精緻な動きをさせるものです。
■ビーズの移動
体験では小さなビーズを挟んで移動させることをミッションとしていましたが、これがかなり難しかったです。
外科医の方は、医師国家試験で求められる「専門知識」だけでなく、手先の器用さも重要なスキルとなるわけです。
■医師体験「皮膚の縫合」
またこちらも新企画の「皮膚の縫合」です。
まずは釣り針のようにカーブした針を、傷口に通します。
■出てきた針を引っ張る
傷口をまたいで出てきた針を、ぐいっと引っ張ります。これで糸が通りました。
■糸を器具に巻き付けて、結ぶ
糸が通ったら、結びつけます。
お裁縫と同じ要領で、糸を挟んだ器具にくるりと糸を巻きつけてから、両端をギュッと引っ張ります。
■余った糸をカット
糸が余っていると邪魔ですから、縫合部分を残してカットします。
これでひと針縫えたことになります。
作業としては比較的シンプルですが、皮膚ですので綺麗に仕上げたいものです。
上手にできるようになるには、経験が必要ではないでしょうか。
医師体験は、一通りコースを体験するとりっぱな「修了証」が貰えました。
未来の医師が、誕生した瞬間かもしれません。
■手洗い体験
手洗いは毎日やっていることですが、実際には十分できていないことがあります。
それをチェックするのが、「手洗い体験」です。
まずは特定の光に反応する薬品を手に塗り付けてから、手を洗います。
しっかりと薬品を落とすことができたでしょうか?
■洗い残し部分が光る
光っているのが、洗い残し部分です。
爪の部分などが、残りがちですね。
■カロリーや塩分、糖分などのチェック
病院祭では、健康に関する企画も多数用意されています。
このコーナーでは、さまざまなおせんべいやケーキなどのカロリー、塩分、糖分などを確認することができました。
「これは少なそう、多そう…」と予測して見ていくと、意外な発見があります。
■体の不自由な方向けの器具
この鉛筆に巻き付けた器具は、握力の弱い方でも鉛筆が使いやすくなるサポート器具です。
他にも、お箸など、日常的に利用するサポート器具が多数展示されていました。
■車椅子・松葉杖・ギプス体験
こちらは車椅子や松葉杖、ギプスなどの体験です。
実際に利用してみると、体を動かすのがたいへんなことがわかります。
こういった器具は他人事のように思いがちですが、実際にはいつお世話になることになるかわかりません。
利用される方の立場に立ってみることも、大切かと思います。
■豆つかみゲーム
恒例の豆つかみゲームです。
小さい豆と大きい豆の2種類、大人の部と子供の部で30秒以内にいくつ豆を運べるか競争しました。
■健康チェック
また今年も、血圧や血管年齢などの健康チェックは健在です。
各種体験企画はお子さん中心ですが、こちらは大人中心です。
年に一度の健康診断では血管年齢などは測定しませんから、こういった機会に自分の数値を知っておくと良いでしょう。
■「関東労災病院60年の歩み」の展示
■関東労災病院建設前の風景
■旧棟の解体工事
今年は、1957年の関東労災病院創立から60周年にあたります。
これを記念して、今回の病院祭では60年間の歩みを記録する特別展示が行われていました。
ここでは年表に加えて、60年間の間の写真や資料などを見ることができました。
■旧棟の関東労災病院
※写真提供:関東労災病院
今回のレポートは、以上です。
「関東労災病院病院祭」は、毎回工夫を重ねて少しずつバージョンアップをしています。
楽しみながら、健康や医療についての理解を深めることができる本イベントは、地域の医療を支える関東労災病院の取り組みとしてたいへん素晴らしいものと思います。
出産などを除いて病院のお世話にならないことが一番良いのですが、長い人生は何があるかわかりません。
まずは健康に気を配りつつ、来年の「病院祭」もまた楽しみにしております。
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