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2019年
03月09日

「画業50周年記念展 竹宮惠子 カレイドスコープ」が川崎市市民ミュージアムで開催中、本日開催の竹宮先生トークショー取材レポート

【Reporter:はつしも、おんにゃ】

川崎市市民ミュージアムにおいて、2019年3月2日(土)から4月14日(日)まで企画展「画業50周年記念展 竹宮惠子 カレイドスコープ」が開催されています。

本日はその関連イベントとして、竹宮惠子先生によるトークショー「マンガと向き合う50年」と、サイン会が開催されました。

■「画業50周年記念展 竹宮惠子 カレイドスコープ」
画業50周年記念展 竹宮惠子 カレイドスコープ

竹宮惠子先生は、耽美な少年愛の世界を描いて、漫画界に大きな影響を与えたとされる巨匠です。
代表作はフランスの寄宿舎を舞台に、退廃的な美少年ジルベールと正義感あふれる少年セルジュの愛を描いた「風と木の詩」です。

同作品などを中心に、ヨーロッパの寄宿舎(ギムナジウム)を舞台にした「ギムナジウムもの」と呼ばれる少年愛作品が当時流行しました。

今回の企画展は、初公開となる「風と木の詩」の設定資料や、肉筆原稿150点などが集められ、竹宮惠子先生の50年にわたる画業の歴史を堪能できるものとなっています。

■フォトスポット
フォトスポット

フォトスポット

展示室内の原画や資料などは撮影ができませんが、2か所、「風と木の詩」など作品の中に入って記念撮影ができる「フォトスポット」が設置されています。

女性ファンを中心に多くの方がここで記念撮影をされていました。

■サイン会満員のお知らせ
サイン会満員のお知らせ

■トークショーのパブリックビューイング
トークショーのパブリックビューイング

本日のトークショー・サイン会はいずれも定員満了となりました。

トークショーについては事前申し込み制でしたが、定員を超える応募があり、抽選で落選された方も少なくなかったようです。

■竹宮惠子先生のトークショー
竹宮惠子先生のトークショー

そして本日のメインイベント、竹宮惠子先生のトークショーです。
トークショーの内容は、おおよそ下記のようなものでした。


■竹宮惠子先生トークショーの大要■

●ヨーロッパをどうしても見たくて、ベルギー、ブリュッセル、修道院の写真が憧れでいかなければと思った。想像してるより建物の厚みの15センチもある壁の厚さ。日本と違う、いってみないと分からない肌感があった。


●企画展で再現されていた「大泉サロン」について。かつてのトキワ荘のようなもの。そこで皆んなでまずは原稿料のコト。男性漫画家との差、いつ上がるのか、編集者に確認した。
●少年誌の方が高く、少女誌はその半分。まずは少女誌の地位を上げて行かなくてはと思った。
●編集者にあなたの描く少女は魅力がないからと言われて。中性的な少年のキャラを魅力的に描こうとした。

●『風と木の詩』76年に連載開始。構想はそれより前70年頃から。まだ大泉サロン行く前、突然アイデアが生まれて。なぜ思いついたかわからない。突然、こういう風(プロット画)に始めたいと思って。それは絶対変えないと思った。編集者は何人にも見せて一応読んではくれるけど、やめようと。。
●昔は少女漫画の週刊連載があった。それで、1位取れば描かせてもらえると。ファンの反応を知るためにレター読まない日はなかった。
●『ファラオの墓 』ヒット。 絵のレベルも上がった。 『風と木の詩』のラストは、最初から全体の大枠は決まってた。 連載第1話でラストを予想してた人もいた。 殺さないで〜との手紙もたくさんいただいた。

●まんが少年、創刊。 SFを少女誌でやる場合、わかりやすく説明が必要。でも少年誌はSFがあるのあたりまえ。 多少(話が)飛び級でも、理解してもらえるだろうと。
●地球へ、、、は5巻しかなくて。もう少し長くてもよかったかも。少年誌で新しいファン層が開拓できた。
●アニメ化は大きな影響を。 アニメから漫画のファンに。
●連載の同時進行については、片方をやってるともう片方はすっかりわすれる。キャラ一人一人に没頭するタイプ。

●イメージアルバムについて。当時、音楽業界ではLP出せない時代。 そこで音楽業界が少女漫画に目を付けてのイメージアルバムブームだった。
●大泉サロンでは作品のイメージ曲 風木、さらばベルリンの灯よ 当時、仲間で作品のイメージにあった曲を聴きなから描くのが流行っていた。

●5月に新刊として、漫画技術本を発売予定。物語の組み立て方なども 自分が何をしたいのかを早く掴む。強引に進むのではなく、やりたいとの熱意があれば自然に開いて行く。
●言語化できないものの表現を。 言語化できないものが世界には溢れているけど、絵で表せると思っている。


画業50周年ということで、たいへんなベテランですが、まだまだ落ちない熱量が伝わってきますね。

トークショー内で話されていたように、かつては少女漫画の地位が低かったということです。
原稿料が少年誌の半分だったというのは、売れる部数自体が少年誌に比べて少ないということが背景にあったようですが、驚きました。

竹宮惠子先生など多くの先人たちが切り開いていった結果、今があるということなのでしょう。

なお、5月にはマンガ技術本を新刊として出されるということです。

 ■サイン会
サイン会

そちてこちらが、同日開催されたサイン会です。
事前に整理券が配布されましたが、あっというまに定員満了となりました。

■ミュージアムショップ
ミュージアムショップ

ミュージアムショップ

ミュージアムショップでは、もちろん今回の企画展のアイテムが並んでいます。

公式の図録や、「風と木の詩」など代表作品、グッズなどが揃っていますので、この機会にまだ読んでいない作品を揃えてみるのも良いと思います。

川崎市市民ミュージアムは、これまでにもマンガやアニメーションなどのサブカルチャーの企画展などに積極的に取り組んでいます。

竹宮惠子先生をやるのであればあの方も…という期待を持たれる方も、多いのではないでしょうか。

※トークショーは撮影禁止ですが、本サイトはプレスとして撮影許可を得ております。

【関連リンク】
川崎市市民ミュージアム 画業50周年記念展 竹宮惠子 カレイドスコープ
武蔵小杉ライフ:タウンガイド:ホビー・カルチャー 川崎市市民ミュージアム
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