川崎市が総合自治会館跡地の土地利用方針(案)を公表し意見募集、府中街道地権者の共同ビル構想は中止し現会館建物の継続利用案も浮上
【Reporter:はつしも】
川崎市が、府中街道沿いの「川崎市総合自治会館」跡地等の活用に係る土地利用方針(案)を公表し、2019年12月20日までパブリックコメント(意見)の募集を行っています。
この案は周辺地域や地権者へのヒアリング、民間事業者への事業化可能性調査などを踏まえたものです。
従来想定していた「府中街道拡幅に伴う共同化事業(地権者が入居する共同ビル建設)」は、実施されない方針となりました。
府中街道沿いには広場スペースを整備しつつ、建物を新築する場合は現在の総合自治会館並みの高さ・面積に抑えます。
また「現在の総合自治会館の建物を解体せず活用する」可能性も含めた土地利用に方向転換が行われています。
■川崎市総合自治会館
川崎市総合自治会館は、府中街道沿いにある川崎市の公共施設です。
各種イベントや地域団体の活動の場として、ホールや会議室、広場等が活用されています。
この施設は、2020年7月頃に小杉町3丁目に完成予定の再開発ビル「Kosugi 3rd Avenue」に移転することが決定しています。
■従来の「共同化事業」(共同ビル)のイメージ
一方、周辺の府中街道沿いでは、道路拡幅による地権者の立ち退きが進められてきました。
川崎市総合自治会館の移転が決まった当初は、道路沿いの地権者が移転入居する「共同化事業」(共同ビルの建設)も検討されていました。
その具体案として、2014年8月には「国道409 号(小杉工区)沿道まちづくりの基本的な考え方」が示され、上記のような共同化事業のイメージも示されていたのです。
■立ち退きが進んだ府中街道
しかしながら、年月が経過するうちに府中街道の立ち退きが進み、本サイトでもこれまでにご紹介してきた通り、周辺の店舗等の移転はかなり進んできました。
改めて2018年10月に川崎市が周辺地権者へのヒアリングを行ったところ、共同ビルへの入居を希望する地権者は10%程度の割合に低下し、なおかつその意向も強くないことがわかりました。
そのような結果も踏まえて、「共同化事業」は実施しない方向となったのです。
また、川崎市が民間企業に対して実施した事業化の調査(サウンディング)においては、下記の5点の事業提案がありました。
● 既存施設を活用した低層の飲食施設
● 新設の低層の飲食施設
● 既存施設を活用した演劇の稽古場や劇場
● 新設の農業施設(ビニルハウス)と既存施設を活用したデイサービス
● 新設の6層程度の病院
このうち、4団体の提案については、市が提示した前提条件に沿う提案であり、一定の事業可能性を確認することができたということです。
上記をご覧の通り、5つの提案のうち、2つは既存の川崎市総合自治会館の建物を活用する事業提案となっています。
これにより、必ずしもビルを新築するのではなく、既存の建物をそのまま活用する土地利用方針が浮上してきたというわけです。
そしてこのたび発表されてパブリックコメントの募集が行われているのが、下記の土地利用方針(案)です。
■川崎市総合自治会館周辺の新たな土地利用のイメージ
※川崎市発表資料より
■土地利用方針(案)※川崎市発表資料より抜粋
(1)土地利用方針(案)の基本的な考え方
(2)導入機能
(3)事業スキーム
この「土地利用方針(案)」へのパブリックコメント(意見)募集は、2019年12月20日まで受け付けています。
市内在住、在勤、通学などの方、利害関係のある方が提出可能で、郵送、FAX、持参のほかWebや電子メールでも受け付けています。
詳細につきましては、下記の関連リンクより川崎市のウェブサイトをご参照ください。
【関連リンク】
・川崎市 パブリックコメント 総合自治会館跡地等の活用に係る土地利用方針(案)について
・川崎市 「川崎市総合自治会館跡地等活用の検討に関するサウンディング調査」の結果をまとめました
・武蔵小杉ライフ:再開発情報:その他 府中街道拡幅
・2013/1/31エントリ 小杉町3丁目東地区再開発ビルに小杉こども文化センターと総合自治会館が移転決定
・2014/8/28エントリ 川崎市が「国道409号(小杉工区)沿道まちづくり」を発表、総合自治会館跡地に商業・住居複合ビルを構想
・2018/11/8エントリ 川崎市が総合自治会館跡地活用・等々力緑地再編整備について民間事業者からの事業提案を募る「マーケットサウンディング」を実施、2019年1月までに結果公表へ
川崎市が、府中街道沿いの「川崎市総合自治会館」跡地等の活用に係る土地利用方針(案)を公表し、2019年12月20日までパブリックコメント(意見)の募集を行っています。
この案は周辺地域や地権者へのヒアリング、民間事業者への事業化可能性調査などを踏まえたものです。
従来想定していた「府中街道拡幅に伴う共同化事業(地権者が入居する共同ビル建設)」は、実施されない方針となりました。
府中街道沿いには広場スペースを整備しつつ、建物を新築する場合は現在の総合自治会館並みの高さ・面積に抑えます。
また「現在の総合自治会館の建物を解体せず活用する」可能性も含めた土地利用に方向転換が行われています。
■川崎市総合自治会館
川崎市総合自治会館は、府中街道沿いにある川崎市の公共施設です。
各種イベントや地域団体の活動の場として、ホールや会議室、広場等が活用されています。
この施設は、2020年7月頃に小杉町3丁目に完成予定の再開発ビル「Kosugi 3rd Avenue」に移転することが決定しています。
■従来の「共同化事業」(共同ビル)のイメージ
一方、周辺の府中街道沿いでは、道路拡幅による地権者の立ち退きが進められてきました。
川崎市総合自治会館の移転が決まった当初は、道路沿いの地権者が移転入居する「共同化事業」(共同ビルの建設)も検討されていました。
その具体案として、2014年8月には「国道409 号(小杉工区)沿道まちづくりの基本的な考え方」が示され、上記のような共同化事業のイメージも示されていたのです。
■立ち退きが進んだ府中街道
しかしながら、年月が経過するうちに府中街道の立ち退きが進み、本サイトでもこれまでにご紹介してきた通り、周辺の店舗等の移転はかなり進んできました。
改めて2018年10月に川崎市が周辺地権者へのヒアリングを行ったところ、共同ビルへの入居を希望する地権者は10%程度の割合に低下し、なおかつその意向も強くないことがわかりました。
そのような結果も踏まえて、「共同化事業」は実施しない方向となったのです。
また、川崎市が民間企業に対して実施した事業化の調査(サウンディング)においては、下記の5点の事業提案がありました。
● 既存施設を活用した低層の飲食施設
● 新設の低層の飲食施設
● 既存施設を活用した演劇の稽古場や劇場
● 新設の農業施設(ビニルハウス)と既存施設を活用したデイサービス
● 新設の6層程度の病院
このうち、4団体の提案については、市が提示した前提条件に沿う提案であり、一定の事業可能性を確認することができたということです。
上記をご覧の通り、5つの提案のうち、2つは既存の川崎市総合自治会館の建物を活用する事業提案となっています。
これにより、必ずしもビルを新築するのではなく、既存の建物をそのまま活用する土地利用方針が浮上してきたというわけです。
そしてこのたび発表されてパブリックコメントの募集が行われているのが、下記の土地利用方針(案)です。
■川崎市総合自治会館周辺の新たな土地利用のイメージ
※川崎市発表資料より
■土地利用方針(案)※川崎市発表資料より抜粋
(1)土地利用方針(案)の基本的な考え方
●駅に近く、ニヶ領用水に接する立地を活かし、緑豊かな居心地のよい空間の創出や、多世代が集い、交流し、多様なアクティビティ(活動)を促す空間として活用し、地域の課題解決や賑わいの創出・魅力の向上を図る。また、災害時のリスクに対応するため、状況に応じて物資集積等の拠点や一時的な待避所などの役割を果たせるよう、柔軟な活用が可能となるオープンスペースを確保する。 ●跡地等を含む小杉駅周辺地区は、本市の広域拠点として、今後、様々な都市機能の集積や都市基盤の整備などにより拠点形成が進むことが見込まれ、当該地は駅周辺における数少ない公有地でもあることから、将来的な行政需要の変化等に伴う周辺の公共施設等の整備・再編状況や、社会動向の変化などによる別用途での利用を見据え、売却せずに当面の間、貸付けることとする。 ●跡地等の立地条件や価値を十分に活かすために、活用にあたっては、民間活力により整備・運営を行うこととし、民間ならではのアイデアやノウハウを最大限に活用して効率的・効果的な市民サービスの提供とサービスの質の向上の実現につなげる。 |
(2)導入機能
① 賑わい・交流ゾーン ●跡地の立地条件や価値を活かす民間事業者のアイデアやノウハウを最大限に活用して、地域の住民をはじめとして、誰もが集い活動することができ、賑わいを創出する施設を整備する。 ●これまで地域イベントが開催される等、地域の交流や活動の拠点として活用されてきたことや少子高齢化の進展による社会構造の変化・多様化するライフスタイルなどを踏まえ、多世代交流、多様なつながり、居場所づくりに資する機能の導入を図る。 ●施設整備にあたっては、周辺の景観や住環境に配慮した規模(現施設の高さ、面積以内)とする。 |
②広場・うるおいゾーン ●歴史的・文化的な価値を有するニヶ領用水を身近に感じられる芝生広場など緑豊かで居心地がよい空間とし、週末などは地域イベントやマルシェ等に活用できる広場を整備する。 ●災害時において、避難地や避難路としての機能、緊急医療などの救援活動や物資集積等の拠点になるなどの復旧・復興支援機能、帰宅困難者が一時的に待避・滞在できる機能を果たす防災上有効なオープンスペースを確保する。 ●広場空間はこれまでの利用に配慮し、現状の広場と同等以上の広さとする。 ●環境に配慮した都市景観の形成や賑わいとうるおいのあるまちづくりの一環として、二ヶ領用水が身近に感じられ、市民がより水辺に親しめるような多自然な空間づくりを行う。 |
③ 円滑な移動動線の確保 ●ニヶ領用水沿いの河川管理用通路や今井南橋から国道409 号に抜けるルートは、地域住民の重要な動線となっていることから、整備後も広場ゾーンを確保しつつ、併せて安全で円滑な通行環境も確保する。 ●跡地等の周囲には多様な店舗・事務所等が集積していることから、周辺地域との回遊性の強化を図れるような通路等の整備を目指す。 |
④ 道路予定地の活用 ●国道409 号の道路予定地について、道路工事着手までの間、占用等の手法により通路や広場などとして跡地等と一体的に活用し、跡地等へのアクセス性や409 号線からの視認性を高めることにより跡地等の魅力を高める。 |
(3)事業スキーム
事業スキームについては、以下をベースに検討を進める。 ●土地利用方針に沿った事業提案をプロポーザル方式によって募り、事業者を選定する。選定に あたっては、提案内容が単に借地料が高い、または内容が優れているだけのものではなく、4 (4)(※関連リンクの資料全文参照)に記載されている課題の解決に資するものを評価する。 ●既存施設については、使用か解体かのどちらの提案も可能とする。 ●市と民間事業者が20年程度の借地契約を締結し、市は民間事業者に対象地を貸付け、民間事 業者が事業を行う。契約期間終了時の社会状況により事業継続の判断を行う。 ●整備工事・維持管理・運営の全てを事業者が担うこととする。ただし、既存建物の解体及び標 準的な広場等の整備に係る費用について市が負担するものとし、その相当額を借地料から減価 する等の手法をとることとする。 |
この「土地利用方針(案)」へのパブリックコメント(意見)募集は、2019年12月20日まで受け付けています。
市内在住、在勤、通学などの方、利害関係のある方が提出可能で、郵送、FAX、持参のほかWebや電子メールでも受け付けています。
詳細につきましては、下記の関連リンクより川崎市のウェブサイトをご参照ください。
【関連リンク】
・川崎市 パブリックコメント 総合自治会館跡地等の活用に係る土地利用方針(案)について
・川崎市 「川崎市総合自治会館跡地等活用の検討に関するサウンディング調査」の結果をまとめました
・武蔵小杉ライフ:再開発情報:その他 府中街道拡幅
・2013/1/31エントリ 小杉町3丁目東地区再開発ビルに小杉こども文化センターと総合自治会館が移転決定
・2014/8/28エントリ 川崎市が「国道409号(小杉工区)沿道まちづくり」を発表、総合自治会館跡地に商業・住居複合ビルを構想
・2018/11/8エントリ 川崎市が総合自治会館跡地活用・等々力緑地再編整備について民間事業者からの事業提案を募る「マーケットサウンディング」を実施、2019年1月までに結果公表へ