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2020年
08月10日

川崎市が令和元年東日本台風による浸水被害の起点「山王排水樋管」ゲート電動化と排水ポンプ車公開訓練を実施

【Reporter:はつしも】

「令和元年東日本台風」では、多摩川が大幅に増水し、河川の水が山王排水樋管を逆流しました。
これが要因のひとつとなって、上丸子山王町や下沼部、武蔵小杉駅周辺などで深刻な浸水被害(内水氾濫)が発生したことが川崎市の調査により明らかになっています。

抜本的な対策には時間がかかりますが、また今年も台風シーズンの到来を控えています。

川崎市では、短期的な対策として排水樋管ゲートの改良や監視カメラの設置、排水樋管ゲートの操作手順の見直しや排水ポンプ車の導入を行いました。

2020年7月31日に、地域住民等に向けて、川崎市上下水道局により山王排水樋管ゲート操作および排水ンポンプ車運用の公開訓練が行われましたので、お伝えします。

■多摩川河川敷の山王排水樋管
上丸子山王町の山王排水樋管

■冒頭、川崎市上下水道局からの説明


冒頭、川崎市上下水道局より、今回の公開訓練の趣旨について説明がありました。

■山王排水樋管のゲート
山王排水樋管

山王排水樋管は、普段は街中の雨水等が下水道を通って多摩川に流れていくルートです。
しかしながら多摩川の方が著しく増水すると逆流してしまうため、状況に応じた水門の開閉が必要となります。

令和元年東日本台風においては、この水門が開いた状態であったとされていますが、今後の台風シーズンを迎えるにあたっての的確なモニタリングを行うため、各樋管ゲートに監視カメラが2か所設置されました。

■設置されたカメラ2か所
設置されたカメラ2か所

設置されたカメラ2か所

カメラは、ゲートの上部と、土手とゲート上部を接続する通路の途中に設置されました。

■ゲートに設置されたネット
ネット

また、樋管ゲートの狭窄物対策としてネットが設置されました。
これは従来よりも網目の細かいものになっているということです。

■ゲートの電動開閉器(青い機械)
ゲートの電動化

電動開閉器

■電動開閉器の制御盤
制御盤

そして今回、排水樋管ゲートの電動化も行われました。
点検台上部に設置されている青い機械が、電動開閉器です。

前述の監視カメラでモニタリングをしつつ、この電動開閉器により、遠隔操作でゲートの開閉が可能になりました。

また、このほかにも樋管内の水位・多摩川の外水位を計測する水位計も設置され、これらのデータは「メールニュースかわさき」で配信されるようになっています。

今回の公開訓練では、このゲート開閉操作が実施されました。

■排水ポンプ車の訓練
排水ポンプ車の訓練

ポンプ車の訓練

ポンプ車の訓練

さて、「令和元年東日本台風」では山王排水樋管ゲートが開いていたことで著しく増水した多摩川の水が逆流したわけですが、とにかくゲートを閉めれば問題ない、というわけではありません。

ゲートを閉めれば、当然ながら街中の雨水が多摩川に出ていくことができなくなりますので、それもまた内水氾濫につながる可能性があるわけです。

これに対応する応急的な対策が、排水ポンプ車の導入です。

今回はこの排水ポンプ車の運用について、公開訓練が行われました。

排水ポンプ車は、電機・制御盤・排水ポンプ4台で構成されています。
ポンプ本体を水中に設置後、排水ポンプの電源を発電機に接続することで排水が可能になります。

排水能力は1分間に30立方メートルで、これは25mプールの水を10分間で排水できる能力に相当するということです。

災害時は多摩沿線道路を交通規制して配置となりますが、今回は規制をかけていないため、河川敷での訓練となりました。

■DVDでの排水訓練確認


今回は実際の水を使っての訓練はできないため、最初にDVDで排水訓練の様子を確認しました。
Youtube動画にしてありますので、ご確認ください。

■排水ホースの設置
排水ポンプの設置

排水ポンプの設置

排水ポンプの設置

排水ポンプの設置

排水ポンプの設置

そして今回の訓練では、排水ポンプ1台をリフトで吊り下げ、下水道管内に投下しました。
この四角いマンホールは「角落とし室」と呼ばれるものです。

これは電源コードが重さ15キロ、排水ポンプが35キロあるということで、合計50キロに及びます。

今回はリフト1台での訓練でしたが、排水ポンプは4台あるため、4台を吊り下げる方法については検討中ということでした。

公開訓練は上丸子山王町やタワーマンションの住民のみなさんなど、令和元年東日本台風による浸水被害を実際に受けた方が来場し、当然ながらさまざまな質問が寄せられていました。

排水樋管の対策や運用について、地域にはまだ不安感が残っているというのが、率直な心情ではないかと思います。

■令和元年東日本台風後の上丸子山王町
水害後の上丸子山王町

これから夏の終わり~秋にかけて、台風シーズンとなります。
自然が引き起こすものですので、今年も令和元年東日本台風のような規模の台風が到来しないとはだれにも言い切れません。

そのために必要な備えについて、各ご家庭での取り組みは勿論ですが、行政にしかできないインフラの整備や運用準備については、十分な説明や情報公開があると良いと思います。

※取材協力:NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメント

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