川崎フロンターレらが発達障がい児向けサッカー観戦「2023えがお共創プロジェクト」開催、4年ぶり選手交流復活し子どもたちに笑顔
2023明治安田生命J1リーグ第29節「川崎フロンターレvsアルビレックス新潟戦」が、9月29日に等々力陸上競技場で開催されました。
この日は発達障がいのある子どもとその家族のための観戦イベント「2023えがお共創プロジェクト」が開催されました。
しばらくコロナ禍の行動制限下で開催されてきましたが、今回は選手らとの交流も復活し、11組33名のご家族が等々力陸上競技場で楽しいひとときを過ごしました。
■2023えがお共創プロジェクト
「えがお共創プロジェクト」は、川崎フロンターレがパートナー各社とともに2019年から継続的に取り組んできました。
感覚過敏などにより外出やスタジアムなどでのサッカー観戦が困難な小学生のお子さんとそのご家族を対象に、等々力陸上競技場でのサッカー体験を提供します。
主催は川崎フロンターレですが、JTB・全日本空輸(ANA)・富士通、保育雑誌等を出版する世界文化ワンダークリエイトが共催、障がい者向けの玩具等を販売するコス・インターナショナルが協力し、川崎市の後援のもと開催されています。
発達障がいは、日本に約48万人いるといわれていますが、一見してわかりにくいことや理解不足などにより「単なるわがまま」と誤解されてしまうこともあります。
感覚過敏により大きな音や強い光が苦手な場合もあり、外出を控えてしまうケースもままあるようです。
「えがお共創プロジェクト」は、そんな発達障がいのある子どもたちの可能性を広げることを目的としています。
スポーツをひとつのツールとして活用し、そこに適切な配慮や思いやりを加えることで、子どもたちがスポーツを楽しんだり、それをきっかけとして社会とさらにかかわりを深めていく可能性を広げる取り組みです。
コロナ禍での行動制限が続いてきましたが、昨年、等々力陸上競技場で感覚過敏に配慮した「センサリールーム」での観戦を3年ぶりに開催。
さらに今回は選手らとの交流も復活しました。
■最初に配られる案内カード
集合場所はメインスタンド前で、最初に配られるのがこの案内カードです。
案内カードには、このあとどのような流れでイベントが進行していくのか、イラスト入りでやさしく書かれています。
発達障がいのある子どもたちにとっては、事前に「どんな場所で」「どんなことがあるのか」か情報が提供されていることも、安心して過ごせる大切な要素なのだそうです。
■等々力陸上競技場で受付
■フラッグと、聴覚過敏を緩和するヘッドフォンも
集合場所に着いたら、スタジアム内で受付です。
ここでは応援用のフラッグと共に、必要な子には聴覚過敏を緩和するヘッドフォンも用意されて今いた。
スタジアムに入ると、応援やアナウンスなどで大きな音がしますが、これを苦手とする子もいます。
発達障がいのさまざまな個性・特徴に配慮されていました。
■応援メッセージ
受付したら、選手への応援メッセージを自由に書くことができます。
このメッセージカードは、あとで選手らを出迎えるときに使います。
■マスコットや選手たちを出迎え
そして、ウォーミングアップのためにピッチに登場してくる選手たちを出迎えです。
昨年は離れた場所からの出迎えでしたが、今年はぐっと近い距離で、選手らとタッチしながら迎えることができました。
さきほど書いた応援メッセージも、ここで見てくれています。
■ピッチサイドで記念撮影
選手を出迎えたら、ピッチサイドで記念撮影を行いました。
なお、スタジアムは観客席からチャント(応援歌)なども聞こえて賑やかですので、こういった環境が苦手というお子さんは、ピッチサイドには出ずに6階のセンサリールームに直行することもできます。
あくまでも心地よく参加できる範囲で、柔軟に対応しています。
■「川崎華族」の皆さんによるフラッグの振り方レクチャー
6階のセンサリールームに向かう途中、エレベーターで待ち時間がありました。
そこで少しの時間でも子どもたちが退屈しないよう、JTBの方がお声がけして、急遽サポーターグループ「川崎華族」の皆さんによる応援フラッグの振り方教室が行われました。
こういったアテンドの仕方は、JTBの方はさすがにご経験豊富ですね。
■6階テラス席
■サポーターからの歓迎メッセージ
6階のセンサリールームは遮音に配慮されていますが、すぐ隣のテラス席に出ることもできます。
試合開始前、「えがお共創プロジェクト」の歓迎メッセージがアナウンスされるともに、サポーターから歓迎のメッセージが掲出されました。
サポーターから歓迎のメッセージ掲出時には、サポーターたちがペンライトを振って6階テラス席にアピール。
これは6階テラス席まで同行した「川崎華族」リーダーの海人さんがサポーター席と携帯電話で連絡をとって連携したものでした。
またスタジアムのオーロラビジョンにはテラス席の子どもたちの映像も映し出され、それを見て盛り上がっていましたね。
■選手名などもひらがな・カタカナで表記
またこの試合は特別に、子どもたちのためにオーロラビジョンの選手名などの表記も、ひらがな・カタカナになっていました。
■ペンライトでテラス席応援
■センサリールームで応援
そして大きな音が苦手な子は、「センサリールーム」で応援ができます。
発達障がいにはさまざまな個性があり、大きな音や強い光が苦手な「感覚過敏」を生じる場合がありますが、センサリールームは、そんな個性をもった子どもたちでも落ち着いて感染ができるように配慮されています。
ANAの方も昨年同様、優しく子どもたちに声がけされていました。
■わかりやすい案内
会場の各所に掲示された案内も、非常にわかりやすいものでした。
トイレの性別なども、ピクトと色でわかるでしょう、ではなく具体的に、より明示的に表示するのが子どもたちにとっては良いようです。
■「スヌーズレン」機器を備えたスペース
また、「えがお共創プロジェクト」は観戦イベントですが、「じっと座って観戦しなくてはいけない」ものではありません。
センサリールームの一角には、障がいがあっても受容しやすい視覚・聴覚・触覚・嗅覚などの感覚刺激を与える「スヌーズレン機器」を設置したカームダウンスペースが設けられていました。
試合観戦などで刺激が強いと感じた場合、ここでリラックスできるようになっています。
また、センサリールームでは食事も自由でした。
■発達支援の保育雑誌「PriPriパレット」提供のぬりえも
■発達支援の保育雑誌「PriPriパレット」
こちらは、昨年も設けられていたぬりえコーナーです。
世界文化ワンダーグループが出版する発達支援の保育雑誌「PriPriパレット」から提供されたものです。
大人でも、ぬりえをしていると落ち着いたり、リラックスできる効果もあって趣味とされる方も増えています。
この日の子どもたちも、集中して綺麗に塗っていたのが印象的でした。
「しっかり試合を観ないとダメ」「座っていないとダメ」など、子どもたちに縛りをかけないことが、約2時間の試合時間を楽しく過ごしてもらうためには大切なことでした。
■富士通の「Ontenna」
こちらは、富士通の「Ontenna」という端末です。
音に反応して振動したり、光を発することができ、聾学校などで使われています。
この日はスタジアムの音が聞こえないセンサリールームの外の音と連動して、スタジアムが盛り上がると振動したり、光ったりするようになっていました。
大きな音を直接聞かなくても、スタジアムの完成を体感できるというわけですね。
■感覚過敏を体感できるVR映像
■川崎フロンターレ公式Youtubeチャンネル 感覚過敏の疑似体験
一方こちらは、富士通による、感覚過敏の世界を体感できるVR映像ゴーグルです。
映像自体はYoutubeチャンネルに公開されていまして、弊紙でも過去にご紹介しておりましたが、これはゴーグルの向きに合わせて映像のアングルが変わる精度がすばらしく、本当に感覚過敏をリアルに体感できました。
Youtubeチャンネルの動画も再掲しておきますので、関心ある方はご参照ください。
■8選手との交流
ハーフタイムには、4年ぶりに選手らとの交流もありました。
今回来てくれたのは大南拓磨・ジェジエウ・大島僚太・安藤駿介・早坂勇希・名願斗哉・大関友翔・松長根悠仁の8選手です。
■全家族と記念写真
■サイン・交流タイム 大南拓磨選手
■安藤駿介選手
■ジェジエウ選手
全家族と記念撮影したのちに、トレーディングカードなどにサインがもらえる交流タイムがありました。
ジェジエウ選手は通訳のゴンさんがいませんでしたが、簡単な日本語でコミュニケーション。
また子どもたちとハイタッチのボディランゲージを取り入れるなど、よく考えて子どもたちと接しているのがわかりました。
■最後にはプレゼント
最後には参加各社からのプレゼントをお渡しして、お別れです。
試合は激戦の末2-3で負けてしまったのですが、同点ゴールのシーンなど大いに盛り上がっていました。
選手らとも交流でき、良い思い出になったのではないでしょうか。
子どもたちに話を伺うと、口々に「楽しかった」という感想が聞けました。
「松長根選手と同じ小学校だったことをお話しできた」と、喜んでいるお子さんも。これは地元選手ならではですね。
川崎フロンターレからも、下記のような保護者や親子の方からのコメントをいただいています。
<保護者の方>
●息子が学校でもらったチラシを見て参加した。 昨年に続き参加したが、子供も去年の楽しさを覚えていて、 お友達と一緒に観戦できるので楽しみにしてきた。 子供が小さいのでずっと見ているのは大変。 センサリールームがあることで、 おもちゃで遊べるので助かります。
●フロンターレにはあまり詳しくない。 アップ入場の際のハイタッチや、 ハーフタイムにサインを貰ったりすごく子供が喜んでいた。 センサリールームはゆったりと作られてて動きやすく、 子供も遊べる。勝手にどこかへ行ったりもしないので、 安心していられる。
●息子はスヌーズレンの方に行ってしまって試合を見ていないが満足 げだった。普段も座席でほとんどの試合を見に来ているが、 息子はなかなか2時間じっと見ることができないので、 違うものを見せたりして過ごしている。 こういう機会があると私の方が楽しんで見られます。多分Jリーグ の中で1番最初にしてくださったのかな。 その時にも参加させてもらったあが、 こういう子にも目を向けてくださってるというか、 みんなが楽しめるようにしてくださってるっていうのは、 ファミリーというか、 ちっちゃい子からお年寄りまで楽しめるクラブという中で、 こういう子も置き去りにされない。 すごくそれは温かいところだなと思いますし、 これからも続けてもらいたい。
<親子の方>
●(お父様)等々力にも時々来るが、周りが気になったりするので、 こうやって任せられる環境でみられるのは親としてはありがたい。 選手にも会えて、僕も子供も良い1日になった。
●(お子さん)川崎と新潟、どちらのチームも上手くて凄いと思った。 (選手がハーフタイムに来てくれて)びっくりしました。 身長が高くて、体格が良くて本当に凄いと思った。楽しい1日にな りました。
皆さん良い印象をもっていただいたようで、こうしたポジティブな体験によってより活動的になれたり、外出が出来て新しい可能性が広がることにつながります。
スポーツの力で、「地域にとってなくてはならないインフラになる」という川崎フロンターレのコンセプトを体現するものでしょう。
また川崎フロンターレだけでなく、JTB、ANA、富士通、世界文化ワンダーグループ、コス・インターナショナル、川崎市と、さまざまな関係者との協力で実現されている点も見逃せません。
こうした協力の輪が、今後も広がっていくことを期待したいと思います。
川崎フロンターレのこれまでの発達障がいのある子どもたちに向けた取り組みは、2020年5月にJリーグの社会連携プロジェクト「シャレン!アウォーズ」のチェアマン特別賞を受賞しています。
「シャレン!」とは、Jリーグがより豊かな社会を共創していくための取り組みで、「社会連携」を略した言葉です。
3者以上の協力により、幅広い社会テーマに取り組むものです。
■武蔵小杉ライフ公式Youtubeチャンネル「選手交流も復活!2023えがお共創プロジェクト」まとめ動画
最後に、「2023えがお共創プロジェクト」のまとめ動画を武蔵小杉ライフ公式Youtubeチャンネルで公開しましたので、掲載しておきます。
イベントの雰囲気がよくわかりまますし、8人の選手らとの交流タイムも収録していますので、どうぞご視聴ください。
【関連リンク】
・シャレン!Jリーグ社会連携ウェブサイト 2020Jリーグシャレン!アウォーズ・Jリーグチェアマン特別賞『発達障がい児向けサッカー×ユニバーサルツーリズム/川崎フロンターレ』活動レポート
・川崎フロンターレ 「発達障がい児向けサッカー×ユニバーサルツーリズム」の取り組み 2020Jリーグシャレン!アウォーズ「Jリーグチェアマン特別賞」受賞のお知らせ
・川崎フロンターレ 発達障がいのある子どもたちへの取り組み 9/29 新潟「2023えがお共創プロジェクト」実施のお知らせ
(えがお共創プロジェクト関連)
・2020/6/18エントリ Jリーグ社会連携で表彰、川崎フロンターレの「発達障がい児向けサッカー×ユニバーサルツーリズム」番外編トークイベント開催レポート
・2020/11/22エントリ 川崎フロンターレが11/21大分戦で開催、「発達障がい児向け親子サッカー教室&パブリックビューイング」密着取材レポート
・2021/11/21エントリ 川崎フロンターレ・川崎市・JTB・ANA・富士通らが「2021えがお共創プロジェクト」開催、等々力陸上競技場で発達障がい児向けサッカー教室やパブリックビューイング実施
・2022/3/13エントリ 川崎フロンターレ・富士通が「街歩きバリアフリーマップ」で等々力陸上競技場までのアクセス情報を提供、車いすでの来場取材レポート
・2022/8/11エントリ 川崎フロンターレらが「2022えがお共創プロジェクト」開催、等々力陸上競技場「センサリールーム」で発達障がい児向けサッカー観戦を実施
(富士通フロンティアーズのセンサリールーム関連)
・2023/9/28エントリ 富士通フロンティアーズがアメフトXリーグで発達障がい児向け「センサリールーム」体験イベント実施、スポーツの力で可能性広げ
この日は発達障がいのある子どもとその家族のための観戦イベント「2023えがお共創プロジェクト」が開催されました。
しばらくコロナ禍の行動制限下で開催されてきましたが、今回は選手らとの交流も復活し、11組33名のご家族が等々力陸上競技場で楽しいひとときを過ごしました。
■2023えがお共創プロジェクト
「えがお共創プロジェクト」は、川崎フロンターレがパートナー各社とともに2019年から継続的に取り組んできました。
感覚過敏などにより外出やスタジアムなどでのサッカー観戦が困難な小学生のお子さんとそのご家族を対象に、等々力陸上競技場でのサッカー体験を提供します。
主催は川崎フロンターレですが、JTB・全日本空輸(ANA)・富士通、保育雑誌等を出版する世界文化ワンダークリエイトが共催、障がい者向けの玩具等を販売するコス・インターナショナルが協力し、川崎市の後援のもと開催されています。
発達障がいは、日本に約48万人いるといわれていますが、一見してわかりにくいことや理解不足などにより「単なるわがまま」と誤解されてしまうこともあります。
感覚過敏により大きな音や強い光が苦手な場合もあり、外出を控えてしまうケースもままあるようです。
「えがお共創プロジェクト」は、そんな発達障がいのある子どもたちの可能性を広げることを目的としています。
スポーツをひとつのツールとして活用し、そこに適切な配慮や思いやりを加えることで、子どもたちがスポーツを楽しんだり、それをきっかけとして社会とさらにかかわりを深めていく可能性を広げる取り組みです。
コロナ禍での行動制限が続いてきましたが、昨年、等々力陸上競技場で感覚過敏に配慮した「センサリールーム」での観戦を3年ぶりに開催。
さらに今回は選手らとの交流も復活しました。
■最初に配られる案内カード
集合場所はメインスタンド前で、最初に配られるのがこの案内カードです。
案内カードには、このあとどのような流れでイベントが進行していくのか、イラスト入りでやさしく書かれています。
発達障がいのある子どもたちにとっては、事前に「どんな場所で」「どんなことがあるのか」か情報が提供されていることも、安心して過ごせる大切な要素なのだそうです。
■等々力陸上競技場で受付
■フラッグと、聴覚過敏を緩和するヘッドフォンも
集合場所に着いたら、スタジアム内で受付です。
ここでは応援用のフラッグと共に、必要な子には聴覚過敏を緩和するヘッドフォンも用意されて今いた。
スタジアムに入ると、応援やアナウンスなどで大きな音がしますが、これを苦手とする子もいます。
発達障がいのさまざまな個性・特徴に配慮されていました。
■応援メッセージ
受付したら、選手への応援メッセージを自由に書くことができます。
このメッセージカードは、あとで選手らを出迎えるときに使います。
■マスコットや選手たちを出迎え
そして、ウォーミングアップのためにピッチに登場してくる選手たちを出迎えです。
昨年は離れた場所からの出迎えでしたが、今年はぐっと近い距離で、選手らとタッチしながら迎えることができました。
さきほど書いた応援メッセージも、ここで見てくれています。
■ピッチサイドで記念撮影
選手を出迎えたら、ピッチサイドで記念撮影を行いました。
なお、スタジアムは観客席からチャント(応援歌)なども聞こえて賑やかですので、こういった環境が苦手というお子さんは、ピッチサイドには出ずに6階のセンサリールームに直行することもできます。
あくまでも心地よく参加できる範囲で、柔軟に対応しています。
■「川崎華族」の皆さんによるフラッグの振り方レクチャー
6階のセンサリールームに向かう途中、エレベーターで待ち時間がありました。
そこで少しの時間でも子どもたちが退屈しないよう、JTBの方がお声がけして、急遽サポーターグループ「川崎華族」の皆さんによる応援フラッグの振り方教室が行われました。
こういったアテンドの仕方は、JTBの方はさすがにご経験豊富ですね。
■6階テラス席
■サポーターからの歓迎メッセージ
6階のセンサリールームは遮音に配慮されていますが、すぐ隣のテラス席に出ることもできます。
試合開始前、「えがお共創プロジェクト」の歓迎メッセージがアナウンスされるともに、サポーターから歓迎のメッセージが掲出されました。
サポーターから歓迎のメッセージ掲出時には、サポーターたちがペンライトを振って6階テラス席にアピール。
これは6階テラス席まで同行した「川崎華族」リーダーの海人さんがサポーター席と携帯電話で連絡をとって連携したものでした。
またスタジアムのオーロラビジョンにはテラス席の子どもたちの映像も映し出され、それを見て盛り上がっていましたね。
■選手名などもひらがな・カタカナで表記
またこの試合は特別に、子どもたちのためにオーロラビジョンの選手名などの表記も、ひらがな・カタカナになっていました。
■ペンライトでテラス席応援
■センサリールームで応援
そして大きな音が苦手な子は、「センサリールーム」で応援ができます。
発達障がいにはさまざまな個性があり、大きな音や強い光が苦手な「感覚過敏」を生じる場合がありますが、センサリールームは、そんな個性をもった子どもたちでも落ち着いて感染ができるように配慮されています。
ANAの方も昨年同様、優しく子どもたちに声がけされていました。
■わかりやすい案内
会場の各所に掲示された案内も、非常にわかりやすいものでした。
トイレの性別なども、ピクトと色でわかるでしょう、ではなく具体的に、より明示的に表示するのが子どもたちにとっては良いようです。
■「スヌーズレン」機器を備えたスペース
また、「えがお共創プロジェクト」は観戦イベントですが、「じっと座って観戦しなくてはいけない」ものではありません。
センサリールームの一角には、障がいがあっても受容しやすい視覚・聴覚・触覚・嗅覚などの感覚刺激を与える「スヌーズレン機器」を設置したカームダウンスペースが設けられていました。
試合観戦などで刺激が強いと感じた場合、ここでリラックスできるようになっています。
また、センサリールームでは食事も自由でした。
■発達支援の保育雑誌「PriPriパレット」提供のぬりえも
■発達支援の保育雑誌「PriPriパレット」
こちらは、昨年も設けられていたぬりえコーナーです。
世界文化ワンダーグループが出版する発達支援の保育雑誌「PriPriパレット」から提供されたものです。
大人でも、ぬりえをしていると落ち着いたり、リラックスできる効果もあって趣味とされる方も増えています。
この日の子どもたちも、集中して綺麗に塗っていたのが印象的でした。
「しっかり試合を観ないとダメ」「座っていないとダメ」など、子どもたちに縛りをかけないことが、約2時間の試合時間を楽しく過ごしてもらうためには大切なことでした。
■富士通の「Ontenna」
こちらは、富士通の「Ontenna」という端末です。
音に反応して振動したり、光を発することができ、聾学校などで使われています。
この日はスタジアムの音が聞こえないセンサリールームの外の音と連動して、スタジアムが盛り上がると振動したり、光ったりするようになっていました。
大きな音を直接聞かなくても、スタジアムの完成を体感できるというわけですね。
■感覚過敏を体感できるVR映像
■川崎フロンターレ公式Youtubeチャンネル 感覚過敏の疑似体験
一方こちらは、富士通による、感覚過敏の世界を体感できるVR映像ゴーグルです。
映像自体はYoutubeチャンネルに公開されていまして、弊紙でも過去にご紹介しておりましたが、これはゴーグルの向きに合わせて映像のアングルが変わる精度がすばらしく、本当に感覚過敏をリアルに体感できました。
Youtubeチャンネルの動画も再掲しておきますので、関心ある方はご参照ください。
■8選手との交流
ハーフタイムには、4年ぶりに選手らとの交流もありました。
今回来てくれたのは大南拓磨・ジェジエウ・大島僚太・安藤駿介・早坂勇希・名願斗哉・大関友翔・松長根悠仁の8選手です。
■全家族と記念写真
■サイン・交流タイム 大南拓磨選手
■安藤駿介選手
■ジェジエウ選手
全家族と記念撮影したのちに、トレーディングカードなどにサインがもらえる交流タイムがありました。
ジェジエウ選手は通訳のゴンさんがいませんでしたが、簡単な日本語でコミュニケーション。
また子どもたちとハイタッチのボディランゲージを取り入れるなど、よく考えて子どもたちと接しているのがわかりました。
■最後にはプレゼント
最後には参加各社からのプレゼントをお渡しして、お別れです。
試合は激戦の末2-3で負けてしまったのですが、同点ゴールのシーンなど大いに盛り上がっていました。
選手らとも交流でき、良い思い出になったのではないでしょうか。
子どもたちに話を伺うと、口々に「楽しかった」という感想が聞けました。
「松長根選手と同じ小学校だったことをお話しできた」と、喜んでいるお子さんも。これは地元選手ならではですね。
川崎フロンターレからも、下記のような保護者や親子の方からのコメントをいただいています。
<保護者の方>
●息子が学校でもらったチラシを見て参加した。
●フロンターレにはあまり詳しくない。
●息子はスヌーズレンの方に行ってしまって試合を見ていないが満足
<親子の方>
●(お父様)等々力にも時々来るが、周りが気になったりするので、
●(お子さん)川崎と新潟、どちらのチームも上手くて凄いと思った。
皆さん良い印象をもっていただいたようで、こうしたポジティブな体験によってより活動的になれたり、外出が出来て新しい可能性が広がることにつながります。
スポーツの力で、「地域にとってなくてはならないインフラになる」という川崎フロンターレのコンセプトを体現するものでしょう。
また川崎フロンターレだけでなく、JTB、ANA、富士通、世界文化ワンダーグループ、コス・インターナショナル、川崎市と、さまざまな関係者との協力で実現されている点も見逃せません。
こうした協力の輪が、今後も広がっていくことを期待したいと思います。
川崎フロンターレのこれまでの発達障がいのある子どもたちに向けた取り組みは、2020年5月にJリーグの社会連携プロジェクト「シャレン!アウォーズ」のチェアマン特別賞を受賞しています。
「シャレン!」とは、Jリーグがより豊かな社会を共創していくための取り組みで、「社会連携」を略した言葉です。
3者以上の協力により、幅広い社会テーマに取り組むものです。
■武蔵小杉ライフ公式Youtubeチャンネル「選手交流も復活!2023えがお共創プロジェクト」まとめ動画
最後に、「2023えがお共創プロジェクト」のまとめ動画を武蔵小杉ライフ公式Youtubeチャンネルで公開しましたので、掲載しておきます。
イベントの雰囲気がよくわかりまますし、8人の選手らとの交流タイムも収録していますので、どうぞご視聴ください。
【関連リンク】
・シャレン!Jリーグ社会連携ウェブサイト 2020Jリーグシャレン!アウォーズ・Jリーグチェアマン特別賞『発達障がい児向けサッカー×ユニバーサルツーリズム/川崎フロンターレ』活動レポート
・川崎フロンターレ 「発達障がい児向けサッカー×ユニバーサルツーリズム」の取り組み 2020Jリーグシャレン!アウォーズ「Jリーグチェアマン特別賞」受賞のお知らせ
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