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2020年
11月22日

川崎フロンターレが11/21大分戦で開催、「発達障がい児向け親子サッカー教室&パブリックビューイング」密着取材レポート

【Reporter:はつしも】

2020年11月21日に、J1リーグ第28節「川崎フロンターレvs大分トリニータ戦」がアウェイの昭和電工ドーム大分で開催されました。
この日勝利すれば川崎フロンターレの優勝が決定する試合でしたが、残念ながら0-1で敗北し、また本日2位のガンバ大阪が勝利したことから、優勝決定は次節に持ち越しとなっています。

一方、この大分トリニータ戦の日は、試合開催のない等々力陸上競技場において、「えがお共創プロジェクト」による「発達障がい児向け親子サッカー&パブリックビューイング」が開催されていました。

本サイトではこの取り組みに密着取材をさせていただきましたので、本エントリでレポートをお届けいたします。

■「えがお共創プロジェクト」イベントが開催された11/21等々力陸上競技場
「えがお共創プロジェクト」イベントが開催された等々力陸上競技場

川崎フロンターレでは昨シーズン、国内およびJリーグ初の取り組みとして、『えがお共創プロジェクト』を立上げ、等々力陸上競技場でのセンサリールーム(感覚過敏等に配慮した施設)でのサッカー観戦と麻生グランドでのサッカー体験を実施していました。

昨シーズンはホームゲームでしたが、今回はアウェイゲームということで、等々力陸上競技場での「パブリックビューイング」を盛り込んだ取り組みとなりました。

主催は川崎フロンターレ、川崎市が共催、またJTB、全日本空輸、富士通との協力により実施されたものです。

発達障がいは、国内に約48万人いるといわれています。
決して少なくない数字ですが、見た目ではわかりにくく、理解がないと「単なるわがまま」などと捉えられてしまうこともあります。

また音や光などに対しての感覚が個々人によって異なり、スポーツが好きであっても観戦や、自分自身での参加を諦めてしまうケースもあります。
たとえば、感覚過敏によってマスクの着用などが難しい場合もあり、やむなく外出を控えたりされているということです。

しかし、周囲がきちんと理解し、ちょっとした配慮をすることで、発達障がいの方ももっと生き生きと周囲とかかわり、スポーツなども楽しむことが可能です。

川崎フロンターレら各者による「えがお共創プロジェクト」は、そんな子どもたちの可能性を広げることを目的とした取り組みです。

昨年はホームゲームということで、大分から発達障がいのある子どもたちを招待しました。

今回はアウェイであることと、また都市間移動等もなるべく避けなければいけない社会情勢もあり、川崎市在住の子どもたちとご家族の募集が行われました。

人数の制限や換気、消毒等を徹底することにより、マスク着用が難しいお子さんでも参加が可能になっていました。

■イヤーマフの配布
受付でのイヤーマフ配布

受付では、検温・手の消毒にくわえて、イヤーマフの配布が行われました。

発達障がいの子どもたちは、光や音の感じ方がそれぞれに異なります。
イヤーマフは、大きな音が苦手な子どもたちのために用意されたものです。

■川崎フロンターレのコーチ陣
川崎フロンターレのコーチたち

今回親子サッカー教室を担当したのは、川崎フロンターレのコーチ陣です。
ひらがなの名札を付けて、皆さんとてもやさしく子どもたちを迎えてくれました。

■ステップ1:軽くランニング
走って体を動かすところから

■ステップ2:ストレッチ
ストレッチ

ストレッチ

■ステップ3:ボールを投げる
ボールを投げる

■ステップ4:ボールをける
ボールをキック

今回は29組・40名の子どもたちが事前の募集により参加しました。

親子サッカー教室は、まずは軽くランニング、ストレッチ、ボールを投げる、ボールをける、と少しずつボールとの触れ合いを進めていく形式になっていました。

ボールをけるところでは、親子でのパス回数をカウントするゲーム要素も取り入れています。
ただ、そこで親子ごとに数を競い合うのではなく、「自分たちの回数をより多く更新する」ことを目標にするなど、うまい下手ではなく個性を尊重するようになっていました。

サッカーをしたことがある子、全くない子、個性もそれぞれだったと思いますが、多くの子たちが入っていきやすいようになっていたと思います。

■ステップ5:シュート練習
シュート練習

■ゴールパフォーマンス
ゴールパフォーマンス

そしていよいよサッカー教室らしくなってきまして、シュート練習です。

コーチのディフェンスをかわして見事ゴール!
素敵な笑顔と、ゴールパフォーマンスが心に残りました。

■ステップ6:ゲーム
最後はゲーム

最後はもちろん、ゲームです。
親子同士、またコーチ陣との対戦で、皆さんいきいきと等々力陸上競技場の芝生を走っていました。

ひとつのコートに複数のボールを入れていましたので、どんどんゴールが決まります。
細かいルールは無用とすれば、サッカーは非常にシンプルなスポーツです。

広々とした等々力陸上競技場でボールを蹴って、新しい体験ができたのではないでしょうか。

■メインスタンド上部から見下ろすワルンタ
ワルンタ

このとき、等々力陸上競技場メインスタンドの最上部から、マスコットキャラクターのワルンタがピッチを見下ろしていました。

子どもたちが見つけて手を振っていましたが、なぜ、ワルンタが見下ろしているのかはあとで分かります。

■等々力陸上競技場メインスタンド見学ツアーの案内バインダー
等々力陸上競技場見学ツアーのしおり

等々力陸上競技場見学ツアーのしおり

さて、親子サッカー教室に続いて、広いスタンドでお弁当を食べた後には等々力陸上競技場見学ツアーが行われました。
見学ツアーにあたっては、ひらがなでやさしく説明が記載された案内バインダーが配布されました。

これをめくりながら、メインスタンド内を回っていきます。

■屋内練習場
屋内練習場

■ロッカールーム
ロッカールーム

■シャワールーム
シャワールーム

こちらは、屋内練習場、ロッカールーム、シャワールームです。
ロッカールームには、今季限りでの現役引退を表明した中村憲剛選手の歴代ユニフォームが展示されていました。

皆さんスタッフの説明を受けながら、自由に室内を見て回りました。

■記者会見室
記者会見室

記者会見室

記者会見室

メインスタンド見学ツアーでは、各所にひらがなで説明が掲示されています。
こちらは普段、鬼木監督らが記者会見をするところ※です。

マスコットキャラクターのふろん太がここでは出迎えてくれまして、皆さんと記念撮影をです。

※現在は新型コロナウイルス感染症の防止対策により規制がかかり、記者会見はオンラインになっています。

■ピッチへの選手出入り口
メインスタンドの選手出入口

■カブレラがお迎え
カブレラがお迎え

■カブレラから、カードのプレゼント
カードのプレゼント

メインスタンドのピッチ出入口では、マスコットキャラクターのカブレラがお迎えしてくれました。

カブレラの丸っこいかたちや大きさ、ふかふかした感触は子どもたちにも大人気です。

■ピッチの見学
ピッチの見学

■ベンチに座って
ベンチに座って

ベンチに座って

続いて、ピッチの見学です。
ここは親子サッカー教室でも使いましたが、あらためて芝生に寝そべってみたり、監督や選手が座るベンチに座ってみたり、それぞれ自由に広い空間を満喫しました。

普段はできない経験に、とても楽しそうです。

サポーター組織「川崎華族」の協力による横断幕
川崎華族の協力による横断幕

なお、本日の等々力陸上競技場には、横断幕が張られていました。
これはサポーター組織「川崎華族」の協力によるもので、応援を先導する「コールリーダー」の海人(かいと)さんが来場されていました。

この日は大分トリニータ戦にコアサポーターが遠征していますが、海人さんはこちらに残っていました。

試合開催はありませんが、等々力陸上競技場で少しでも普段の応援の雰囲気を作り出そうというものです。

■メインスタンド最上階の選手用観覧室
メインスタンド最上階の選手用観覧室

■観覧室で待っていたワルンタ
観覧室で待っていたワルンタ

メインスタンド見学ツアーの最後は、最上階の選手用観覧室です。
ここは当日ベンチ入りしない選手が見学する場所で、この日はマスコットキャラクターのワルンタが出迎えてくれました。

■やさしいワルンタ
やさしいワルンタ

このワルンタ、普段はダルそうであまり仕事をせず、ファンサービスもしないことに定評があります。

…が、この日は子どもたちに向かってポーズをとったり、手を握ったり、そっと頭をなでたりといまだかつて見たことがない「やさしいワルンタ」でした。

■観覧室から見たピッチ
観覧室から見たピッチ

観覧室からは、ピッチがよく見えました。
この場所から、たとえば脇坂泰斗選手など若手選手がベンチ入りしないときに、中村憲剛選手の動きを勉強したりしていたのだそうです。

■安藤駿介選手・イサカゼイン選手とのZoom交流
安藤駿介選手、イサカゼイン選手とのZoom交流

安藤駿介選手、イサカゼイン選手とのZoom交流

昨年のホームゲームでの「えがお共創プロジェクト」では、1泊2日で大分から子どもたちを招待し、1日目が等々力陸上競技場「センサリールーム」での試合観戦、2日目がサッカー教室でした。

今回はアウェイですので、選手たちは大分に遠征しています。
そのためこの日は、麻生のクラブハウスに残っていた安藤駿介選手、イサカゼイン選手とのZoom交流が行われました。

両選手とも、子どもたちからの「サッカーってどうやるの?」など素朴な質問にも一生懸命答えていました。

安藤駿介選手はユース出身の控えゴールキーパーです。
長くクラブに所属し、責任感ある選手会長としてファンサービスにも積極的に取り組む欠かせない選手です。

イサカゼイン選手は、今季の新加入選手です。
いつも人当たりのよいキャラクターで笑顔がとっつきやすく、子どもたちとの対話も得意そうでした。

■大分戦のパブリックビューイング
大分戦のパブリックビューイング

パブリックビューイング

そして本日のメインイベント、大分トリニータ戦のパブリックビューイングです。

試合開始直前には大分のアウェイサポーター席との中継もつながり、等々力陸上競技場の子どもたちに向けたひらがなのメッセージ「かわさきからいっしょにおうえんしてね!」が横断幕で掲示されているのがわかりました。
これは昨年に引き続いての取り組みです。

普段はスタジアムでの感染は難しい子どもたちもいたと思いますが、試合を目を輝かせて観ているのが印象的でした。

ここで勝てばJ1リーグ最速優勝が決まるという大勝負、結果としては残念ながら敗戦に終わりましたけれども、皆さん楽しまれていたと思います。

■さまざまなリラックス場所や遊び場
さまざまなリラックス場所や遊び場

さまざまなリラックス場所や遊び場

さまざまなリラックス場所や遊び場

さまざまなリラックス場所や遊び場

さまざまなリラックス場所や遊び場

さまざまなリラックス場所や遊び場

もちろん、障がいの有無にかかわらず、小さいお子さんが90分間のサッカーを集中して感染するのは難しい場合もあります。

今回のパブリックビューイング会場には、さまざまなリラックス場所や遊び場が用意され、自由に遊べるようになっていました。

参加した保護者の方にお話を伺ったところ、
「ルールの中で行動するのが苦手なところがあっても、スタッフのみなさんが『全然良いんだよ』という雰囲気で接してくれて、本当に良かった」
と、感謝の言葉を述べられていました。

ひょっとしたら最初は、イベント参加に不安も感じていた部分もあったかもしれませんが、本サイトが実際に同じ場所を共有させていただいた感覚としては、半日、とても楽しまれていたように思います。

■パブリックビューイング会場に展示されていた「シャレン!アウォーズ」受賞盾
シャレン!アウォーズ受賞盾

シャレン!アウォーズ受賞盾

川崎フロンターレの昨年の取り組みは、2020年5月にJリーグの社会連携プロジェクト「シャレン!アウォーズ」のチェアマン特別賞を受賞しました。

「シャレン!」とは、Jリーグがより豊かな社会を共創していくための取り組みで、「社会連携」を略した言葉です。
3者以上の協力により、幅広い社会テーマに取り組むものとしており、一般からのアイデアもフリーに募集しています。

チェアマン特別賞受賞の際の、関係者・メディア・サポーター向けのオンライントークイベントについても、本サイトでは取材させていただきました。

関係各社の皆さんの考えていたこと、コンセプト、思いの一端を2020/6/18エントリでまとめていますので、関連リンクからご参照ください。

■真剣な表情でインタビューに答える担当の三浦さん
インタビューに答える担当の三浦さん

今回のイベントを昨年に引き続き担当された、川崎フロンターレ集客プロモーショングループの三浦拓真さんが、インタビューに答えてくれました。

「今年も大分の子どもたちを招待したかったのですが、(現在新型コロナウイルス感染症対策のために導入されている)Jリーグのルールに従って何とか本日イベントが実現できました。去年のの取り組みで本当に多くの子どもたちが参加してくれて、アンケートを取ったところ、フロンターレを応援するようになってくれたり、学校に行けるようになったという話もいただきました」

「高い評価もいただき、継続的な活動にしていきたいと思っています。昨年参加した方からや、一般のサポーターからも継続開催の要望をいただいていました。(社会情勢から)制限されることも多いですが、駄目なことばかりではなく、自信をもって日々生活して、外に出て、あわよくば川崎フロンターレの試合観戦をしてもらいたいと思っています」

「昨年は試合の翌日にサッカー教室を実施しましたが、スタメン全員が参加してくれました。選手たちも障がいへの理解を深めてくれました。今年は(アウェイのため)浅尾グラウンドに残った選手がコミュニケーションをさせていただきます」

「今回は川崎市の子どもたちが参加していますが、障がいは川崎だけにあるものではありません。全クラブでできる取り組みだと思っています」

三浦さんはそのように、取り組みがより広がっていくことに期待を寄せられました。
またた一方で川崎フロンターレではどうして実現できるのか、という質問については、

「これはフロンターレだけではできません。JTB、全日本空輸、富士通の各社のご協力に加えて、川崎市も我々と同じ目線で、サッカーというツールを使って、だれでもサッカーをして観て楽しんでもらえることを考えて取り組んでいただいています。川崎市全体でも(この意識が)共有されているのが大きいと思います」

「サポーター、選手、行政の協力があることも大きいです。昨年、川崎市長も試合冒頭の挨拶で紹介してくれ、選手たちもハイタッチで子どもたちを迎えてくれました」

このように多くの関係者の協力がベースにあることを、率直にお話されていました。

前回の「シャレン!アウォーズ」受賞のオンライントークイベント取材、また今回の取材でもわかったことですが、スポーツの力、サッカーの力で、多様な個性の子どもたちに楽しんでもらったり、学校に行けるようになったり社会とよりかかわっていくきっかけを作ることも可能になります。

そんな大きな可能性を、小さいところからでも育てていこうとする川崎フロンターレ、また協力する川崎市や各社の取り組みに本サイトとしても賛同し、今回は密着取材とさせていただきました。

また来年もおそらくは継続していくかと思いますので、引き続き見守ってまいりたいと思います。

■イベントの最後は、ふろん太・カブレラ・ワルンタがお見送り
ふろん太・カブレラ・ワルンタがお見送り

最後に、パブリックビューイング会場でも展示されていた「感覚過敏の再現VR動画」をご紹介したいと思います。

■感覚過敏の再現VR動画


この動画は、富士通の製作により、川崎市立小杉小学校で収録されています。

光や音の感じ方の違いを、一例として理解できるようになっています。
イヤホンを使うなどして、是非一度視聴してみてください。

【関連リンク】
シャレン!Jリーグ社会連携ウェブサイト 2020Jリーグシャレン!アウォーズ・Jリーグチェアマン特別賞『発達障がい児向けサッカー×ユニバーサルツーリズム/川崎フロンターレ』活動レポート
川崎フロンターレ 「発達障がい児向けサッカー×ユニバーサルツーリズム」の取り組み 2020Jリーグシャレン!アウォーズ「Jリーグチェアマン特別賞」受賞のお知らせ
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川崎フロンターレ ゲーム記録 第28節大分戦

(前回「シャレン!アウォーズ」オンライントークイベント取材)
2020/6/18エントリ Jリーグ社会連携で表彰、川崎フロンターレの「発達障がい児向けサッカー×ユニバーサルツーリズム」番外編トークイベント開催レポート

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