武蔵小杉の空を、飛行機がゆく
最近、武蔵小杉のタワーマンションを見上げるときに、その上空に
羽田空港を離陸した旅客機を見かけることが多くなりました。
■パークシティ武蔵小杉と飛行機
これはパークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワーですが、丁度その
真上に飛行機が飛んでいます。ちょっとわかりづらいので、拡大
してみましょう。
■パークシティ武蔵小杉と旅客機(拡大)
これはまさしく、旅客機ですね。後部の垂直尾翼が赤いことから、
JALの旅客機でしょうか?羽田空港方面から、西の方角へ飛んで
いくところでした。
武蔵小杉の上空を旅客機が横切る頻度は結構高いようで、また
別の旅客機も撮影したものがあります。
■別の旅客機
ルートは全く同じでしたが、こちらはまた別の航空会社のようです。
上記の写真ではわかりにくいですが、フルに拡大すると垂直尾翼に
水色の部分があるのが判別できました。
ANAは垂直尾翼が全面ブルーですから、ANAではないと思うので
すが、どこの航空会社の旅客機かちょっとわかりません。
さて、武蔵小杉の上空に旅客機をよく見かけるようになったのには、
理由があります。
首都圏には、東京都多摩地区に米軍の横田基地があることから、
アメリカ空軍の管轄となる「横田空域」が設定されており、その空域
においては日本の航空機が自由に飛行することができません。
そのため、羽田空港を離着陸する旅客機は、通常考えられる最短
ルートではなく、横田空域を迂回するルートで運行されていました。
その「横田空域」が、2008年9月に一部日本に返還され、それに伴
って羽田空港からの航路が変更されたことにより、武蔵小杉の上空
を旅客機が頻繁に飛行するようになったのです。
具体的には、羽田から福岡・広島・山陰・ソウル方面に向かう旅客
機が、武蔵小杉付近を飛行するようになっています。
■福岡・広島・山陰・ソウル方面便の航路の新旧比較(北風時)
従来は東京湾で大回りして高度を上げることで横田空域を回避し、
横浜駅付近から横浜市域を横断していたものが、より小回りで
川崎市域を飛行するかたちになったものです。
国土交通省によれば、これにより約4分の所要時間短縮が実現
できるとのことでした。
上記の航路は北風時のもので、南風時には東京湾での旋回ル
ートが異なるものの、川崎市域でのルートは変わりません。
■新航路・武蔵小杉付近
新航路の武蔵小杉付近を見てみると、武蔵小杉の真上ではなく、
正確には多摩川上空ということになります。ただ、高度があるため
に、武蔵小杉の地上からはほぼ上空を飛んでいるように感じます。
・・・というわけで、武蔵小杉で旅客機を見かけるようになったことに
は、このような政治的事象が関係していたのですね。
普通に暮らしているとわからないというか、地域住民への周知説明
などはあまりなかったように思います。
ウェブで調べたところ、騒音がするとのことで川崎市議会の原修一
議員に住民から陳情があり、担当局に問い合わせたところ判明し
た、ということもあったようです。
■原修一議員 公式ブログ
http://23456.webspace.ne.jp/rental/img_diary/23456.2008.12.04.1.html
原議員が確認したところによると、1日約90便、高度2,200メートル
ということです。仮に8:00~22:00くらいの間、14時間運航している
とすると、約9分20秒毎に1機が上空を通過していることになります。
やはり、結構頻度が高かったんですね。
市議会で把握していないということですと、やはり川崎市民にも特段
の説明はなかったようです。
私が旅客機を撮影したときなど、特段騒音等は(駅周辺で地上自体
がうるさいせいか)気づきませんでした。「あ、飛行機だー」と呑気に
眺めていた程度なのですが、閑静な住宅地などで騒音を感じるよう
ですと、ストレスに感じる方もいらっしゃるということなのでしょう。
一方で、これにより羽田から西への航路設定が容易になり、経済
効果も見込めるようです。多摩川上空を飛行することになった旅客
機はいずれにせよどこかの地域を飛行することに変わりはないわけ
で、基本的には日米間の国策、ということなのでしょうね。何かしら
簡単でも説明があってもいいのでは、と思いますが。
【関連リンク】
国土交通省報道発表資料 横田空域の一部削減に伴う羽田空港の
出発経路の設定について