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2025年
11月12日

旧川崎市市民ミュージアムが解体開始、「トーマス転炉」は臨海部に里帰りし周辺が一部閉鎖に

川崎市市民ミュージアムの解体工事が始まり、広場に設置されていた「トーマス転炉」が移設のため撤去されました。

また、解体工事着手に伴って周辺の一部エリアが閉鎖されています。

■川崎市市民ミュージアム解体着手、「トーマス転炉」消え周辺の一部エリアが閉鎖


等々力緑地の川崎市市民ミュージアムは、令和元年東日本台風により地下収蔵庫が水没し、収蔵品に甚大な被害が生じ休館を余儀なくされました。

もとより等々力緑地が多摩川沿いの沖積低地であること、ミュージアムの収蔵庫が地下にあるという根本的な構造が変えられないことなどを勘案して、現在の場所での建て替えや再開は困難と判断され、生田緑地ばら苑付近に移転することが決定しています。

それと並行して等々力緑地では大規模な再編整備が進められており、このたび現在の川崎市市民ミュージアムの解体工事が着手されました。

ミュージアム前の広場にあった産業遺産「トーマス転炉」は、解体工事にあたってまずは現在の場所から撤去され、日本鋼管(現JFEスチール)創業の地である川崎区の南渡田地区に移送が行われました。

■川崎市市民ミュージアム健在時に撮影したトーマス転炉


■2025年3月の「お別れイベント」でのトーマス転炉




「トーマス転炉」は、日本の鉄鋼産業の発展に寄与した産業遺産です。
リンを含む鉄鉱石の利用を目的とした製鋼炉として英国のシドニー・G・トーマス氏が発明し、同氏の名前が付けられました。

鋼はリンを含むと強度が損なわれるため、従来はリンを含んだ鉄鉱石を原料に使うことができませんでした。トーマス転炉はこれらの不純物を製造工程の中で除去することで克服したもので、当時画期的な発明でした。

日本においては1937年に日本鋼管(現・JFEエンジニアリング)が導入し、1938年から1957年まで川崎市川崎区の京浜製鉄所において稼働していました。

当時の日本では鉄鋼の国産化が求められており、日本鋼管はこのトーマス転炉を国内で唯一導入したことにより、民間で最初に銑鉄一貫体制を実現しました。

川崎市市民ミュージアム前のトーマス転炉は日本鋼管から寄贈されたもので、外径は4.2m、高さは約7.6m、重量は約60トンというスケールです。

■川崎市市民ミュージアムの仮囲いに掲示されている、トーマス転炉の設置風景




9月9日付の記事では、川崎市市民ミュージアムの仮囲いにトーマス転炉設置時の風景写真が掲示されていることをご紹介していました。

運んでくるのも、なかなか大変だったのではないでしょうか。

■移設準備で足場が組まれたトーマス転炉




こちらが9月上旬のトーマス転炉です。
移設準備中で、足場が組まれていました。

■トーマス転炉移設後


そして現在はすでにトーマス転炉の撤去が完了しています。
トーマス転炉はとりあえず日本鋼管創業の地である川崎区の南渡田地区に「里帰り」しました。

今後、産業遺産としての活用が検討されるということです。

■川崎マリエン前に展示されている、しゅんせつ船のカッターヘッド


ところで、弊紙では6月6日付の記事において、川崎マリエン前に展示されている川崎港のしゅんせつ船の「カッターヘッド」が、「川崎市市民ミュージアムにも同じものが展示されていた」とご紹介していました。

後日川崎市市民ミュージアム担当の方にお話を伺うと、これは同じタイプのものがマリエンにもあったのではなく、まさに市民ミュージアムから移設したものだったのだそうです。

■川崎市市民ミュージアムでカッターヘッドがあった場所


川崎市市民ミュージアムでは、このあたりにカッターヘッドがありました。
皆様ご記憶にあるでしょうか。

■解体工事の伴う封鎖のお知らせ


冒頭にご案内の通り、川崎市市民ミュージアムの解体工事に伴い、周辺の一部エリアが閉鎖となります。
「市民ミュージアム前」バス停や歩道は利用できますが、隣接する森が通行できなくなっていますので、ご注意ください。

【関連リンク】
川崎市市民ミュージアム ウェブサイト
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