武蔵小杉ブログ(武蔵小杉ライフ 公式ブログ)

川崎市中原区の再開発で変貌する街・武蔵小杉のタウン情報サイト『武蔵小杉ライフ』の公式ニュースブログ。街の最新情報やさまざまな話題をご紹介します。

2009年
08月09日

中原区の公園行政について、川崎市環境局との意見交換会

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長らく時間がかかってしまいましたが、2009/3/9エントリで取り上げ
「公園井戸端会議プロジェクト」による川崎市環境局との意見交換
の内容をレポートさせていただきます。

「公園井戸端会議プロジェクト」は、中原区地域振興課が所管する
市民活動であり、中原区の公園のあるべき姿を見直し、地域の皆さん
が集う場として活性化をはかる
ことを目的としています。
今回の意見交換会は、公園井戸端会議プロジェクトが蓄積したアン
ケートを元に、公園について市民・行政が共同で考えてみようという
スタンスで実施されたもので、中原区からのお声がけにより武蔵小杉
ライフとしてゲスト的な位置付けで参加
したものです。

基本的な質疑は公園井戸端会議プロジェクトを中心としたまちづくり
委員(市民)
によって事前に準備されており、それに対して川崎市
環境局の公園緑地課・公園管理課
が答えるという形式をとっていま
した。
今回は、その質疑内容の要点を抜粋してまとめてみたいと思います。
なお、大意を理解しやすくすることに重点を置いており、実際の言葉
遣いと同一ではないことをあらかじめご了解ください。

---以下、質疑---
※「まちづくり委員」が、武蔵小杉ライフを含む市民代表です。

■まちづくり委員:
今回、公園井戸端会議プロジェクトでは公園の利用状況に関するデ
ータを取ってみましたが、行政サイドでもこのような数字を取っていま
すか?


■川崎市環境局:
基本的には把握していないのですが、5年に1回くらい、公園の種別
ごとに1つずつ、平日と休日にデータを取ってはいます。

■まちづくり委員:
自由に草花を植えたり、バーベキューができたりといった、自由度の
高い公園が少ないように思いますが、いかがでしょうか。


■川崎市環境局
自由に草花を植える、という点に関しては全市的にも増えてきていま
すし、今後も進むと思います。バーベキューのできる公園に関しては、
ごみの問題などもあり、臨海部のような場所ならばともかく、市街地の
公園では難しいのではないでしょうか。

■バーベキュー禁止の多摩川河川敷
バーベキュー禁止の多摩川河川敷

■まちづくり委員
例えば日比谷公園が大人向けである、といったように、どこかの世代に
特化した公園を作ろうといった発想はありますか?子供向け、の次の
世代はあいまいで、高齢者向けに飛んでしまう可能性もありますが。


■川崎市環境局:
特化するというよりは、公園の名称を「児童公園」から「街区公園」に
変更し、世代の垣根を越えるという方向に向かっています。世代間の
交流の場となってほしいという建前もあります。


■まちづくり委員:
無線LANを整備することでユビキタスな公園というか、そういった公共
施設があっていいと思います。キャンパスの芝生でノートパソコンを
広げるイメージでしょうか。便利になって人が集まることで、活性化に
つながるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

■川崎市環境局:
今のところ予定はありませんが、そのような新しい発想は重要なので
貴重な意見として承ります。他都市での話なのですが、携帯ゲームが
普及しているので、充電場所が欲しいという話があったそうです。
家でゲームばかりしてないで公園で遊んで欲しい、という趣旨に矛盾
してしまっているのですが・・・。

■まちづくり委員:
トイレがない公園が多いのですが、長居するなってことなの?という
意見もあります。この点はいかがでしょう。


■川崎市環境局:
トイレ設置のご意見はよく寄せられています。公衆トイレは、設置基準
として1,000㎡以上の公園を条件としています。これは、利用者数との
バランスと、市内の公園の平均面積が1,000㎡であることを勘案した
ものです。ただし、極端に大きな公園も含めた平均ですので、実際には
これを越える公園は少数なのですが。
設置には公園面積、水道、下水、住民理解の4つのハードルがあり、
住民理解が一番難しいところです。隣接住民にとっては、総論としては
賛成だけれど自宅側に設置されたくないという思いがあります。
小規模な街区公園に関しては自宅周辺が前提なので、家に戻って用を
済ませて欲しいという発想で、防犯面での心配もされることから設置
していません。


■公園の公衆トイレ(下沼部公園)
公園の公衆トイレ(下沼部公園)

■まちづくり委員:
ボール遊びについて、ボール遊びがしたいという意見と、危ないので
制限してほしいとの相反する2つの意見があります。
狭い公園では限界があるように思いますが、基準作りなどはできない
でしょうか。サッカーがしたい子供は、小学校の校庭くらいしか場所が
ないのが実情です。


■川崎市環境局:
ボール遊びに関しては、内容について危険な程度の差が著しいため、
基準を設けるのは難しいところです。また、ボール遊びは危険派と、
ボール遊びがしたい派の2つに分かれてしまい、前者のほうが多い
傾向があります。

■まちづくり委員:
公園のルール管理についてですが、公園の利用に不安な面があると、
利用者の足が遠のいてしまいます。ルールの看板はどのような
基準で設置しているのでしょうか。

■川崎市環境局:
7~8点ほどのルールが書かれた看板は標準として設置しています。
その他地元ニーズで追加設置をする場合もあるのですが、ルールで
縛りたくないとの思いもあり、極力設置していません。ご意見が
多い場合には設置することがあります。

■公園のルール看板(市ノ坪さくら公園)
公園ルールの看板(市ノ坪さくら公園)

■まちづくり委員:
暴走自転車等危険行為について、ケガの情報などは行政に入って
いるのでしょうか。

■川崎市環境局:
大きな事故レベルの報告はこれまでのところ受けていません。自転
車の乗り入れを防ぐため車止めを設置してしまうと、車椅子が入れ
ないなどといったバリアフリーの問題が浮上するので対応が難しい
ところです。

■まちづくり委員:
砂場の犬猫のフン問題ですが、ネットを朝晩管理するのは大変です。
ネットの開閉は地元の方に対応していただいているかたちですが、
そうすると、砂場を埋めてしまうという方向に向いてしまうんですね。
リードを外す非常識な飼い主もいるのですが、保健所との連携は取れ
ているのでしょうか。
保健所は夕方に閉まりますが、飼い主が散歩する時間帯はそれ以降と
いう問題もあります。個人的に注意するとトラブルが懸念されますが、
環境局で見回りのようなことはしていないのでしょうか?

■川崎市環境局:
保健所の看板を提供してもらうなどのことはしています。その他、地元
住民にネットの管理をお願いする程度です。ボール遊び同様にある
程度は利用者のマナーに任せざるを得ない状況です。見回りは特に
実施していないのですが、連絡を受ければ出向きます。ただ、200~
300ある公園に対し、担当職員が2~3人という現状では物理的に限界
があります。

■砂場の保護シート(中原平和公園)
砂場の保護シート(中原平和公園)

■まちづくり委員:
関連した質問ですが、砂場の砂は追加しているのでしょうか。また、
砂場を設置するのは公園の定番という扱いなのでしょうか。

■川崎市環境局:
砂の補充は連絡があれば対応しますが、予算的にすぐに対応でき
ないこともあります。古い公園は砂場、ブランコ、滑り台の3点セット
というパターンが多いですね。


■まちづくり委員:
ホームレスと不審者の対策ですが、これは警察の力を借りるしか
ないのでしょうか。

■川崎市環境局:
ホームレスは出て行ってもすぐに戻ってきてしまうか、近くの公園に
移動するだけというパターンで、自立支援などの抜本的な対策を講
じる必要があります。
例として富士見公園でシェルターを作ったのですが、これはかなりの
効果が上がっている。活気のある公園にしていくことで、結果的に
居づらい状態にすることも大切かと思います。


■まちづくり委員
町会長が話しかけるなどして、結果的に追い出す作戦を取る町会も
あるようです。仕切りがあって横になれないベンチを設置する基準は
ありますか? また、監視カメラの設置はできないでしょうか。

■川崎市環境局
基準を設けているわけではないのですが設置を進めており、120センチ
のベンチで真ん中についたてがあるものが多い(※)です。ただ、オムツ
の取替えができないという苦情も寄せられました。
監視カメラについては、プライバシーの問題があり録画ができません。
大きな施設でモニターを監視する人員が取れるところは設置している
こともあります。
追い出しについては、大きな荷物を抱えてベンチに座っている程度
では、それだけで公園から追い出すというのは難しいところです。


※武蔵小杉ライフ注
「武蔵小杉ライフ:生活情報:公園」を参照いただければわかりますが、
現実に中原区の公園では中央についたてのついたベンチはあまり見受
けられません。このあたり、現状認識に食い違いがあるようでした。

■まちづくり委員:
遊具について、点検の頻度などの基準はありますか? 故障の報告
先は周知されているるのでしょうか。ウェブサイトを活用した情報伝達
ツールは考えられないでしょうか?


■川崎市環境局:
公園管理課では、年2回、夏休み前と正月前に遊具を中心に見回りを
実施します。外観を見たり叩いたりする作業により判断しており、細か
いところまでは見られないというのが正直なところです。
日常的には、地域の愛護会、協議会からの情報が頼りで、補修を逐次
進めてはいます。
園名板の裏に連絡先の記載があり、電話まではしづらいと思うのです
が、連絡して情報をお寄せいただきたいと思います。
ただ、危険基準は人により異なるところで、連絡を受けて向かった
ところ全く支障のないような事象だったこともありました。
電話を受けた場合はほぼすべて、職員が点検に行っています。ウェブ
サイトに関しては、専用の仕組みはないのですが市長へのメールで
たまに寄せられることがあり、これに関しては対応しています。


■公園管理運営協議会による地元管理(井田杉山町公園)
公園管理運営協議会による地元管理(井田杉山町公園)

■まちづくり委員:
ごみ箱を設置して、地域の清掃ルートに乗せることはできませんか?

■川崎市環境局:
昔はすべての公園にごみ箱があったのですが、要望が多いことから
撤去してきている方向です。家庭ごみの持込みなどがなくなり、実
際にごみの量は減少しました。あったほうが良いかどうかの正解は
なかなか出せないのですが、「基本的に公園でごみは発生しない」と
いう考え方をとっており、現状は設置しない方向です。


■まちづくり委員:
再開発地域にあった公園が、工事の関係で使えなくなっています。
無認可保育園が使用したりしていたようですが、代替地という発想は
ありませんか?

■川崎市環境局:
小杉周辺の再開発は特殊という事情もあり、代替地は考えていませ
ん。公園は原則として廃止されることはないため、そもそも代替という
発想がないのです。

■まちづくり委員:
プレイパーク的な発想についてはどう思いますか。東京・横浜には
実験的な公園は多いように思いますが。


■川崎市環境局:
実を言うと行政は自由に遊んで欲しいという発想が強いんです。
多種多様な公園を作りたいという思いはありますが、区内に様々な
公園があっても、住民が利用するのは近くの公園がメインとなるため、
どうしても平均化されてしまいますね。

■まちづくり委員:
公園内の外灯の管理はどうなっていますか。地域の人がやっている
のではないでしょうか。また、もっと明るくしたり、青色防犯灯の設置
は考えていないのでしょうか。

■川崎市環境局
公園内の外灯は公園管理事務所が管理しています。地域の人が
管理しているのは防犯灯です。連絡が入れば早急に点検しに行き
ます。
明るさに関しては、深夜に明るすぎると人がたまるなどの弊害が多
いと考えています。ポイントポイントを照らし、支障なく歩ける程度で
いいかな、という認識です。青色防犯灯の園内設置は考えていま
せんが、研究する必要はあると思います。

■青色防犯灯(小杉町2丁目・大西学園南側)
青色防犯灯(小杉町2丁目・大西学園南側)

■まちづくり委員:
公園を新設する場合の設計はどのように行われるのでしょうか。

■川崎市環境局行:
市が作る新設の公園に関しては、地元の声を取り入れるのが原則で
す。区役所に、どのような団体に意見を聞くかの判断を求め、改修に
関しては利用者とワークショップを開くなどして意見を取り入れてい
ます。ただ、小さな子どもやその母親は参加しにくいので、意見の
公平性に
ついては課題が残っています。

■まちづくり委員
現在の公園が特に抱える問題点について教えてください。


■川崎市環境局:
沢山あるのですが、利用者によって見方の違いが大きいことが挙げ
られます。樹木を撤去するときも、切って欲しい人と切って欲しくない
人がいたりするわけです。
また、維持管理と予算の制約にも苦しむ点が多いですが、川崎市
自体が住民1人あたりの公園面積が少ないこともあり、質を上げて
いくことがこれからの課題だと考えています。

■まちづくり委員:
公園内の植樹の種類には基準がありますか。イチョウの樹は落ち葉
の清掃が大変で、切って欲しいという声も多いのですが。

■川崎市環境局:
特に基準は設けていないのですが、新しい公園には管理が楽で余り
大きくならないハナミズキが多く植えられています。古い公園には、
昔の公害に耐えられるようなイチョウなどの大きな樹が植えられて
いたという経緯があります。


---以上、質疑おわり---

・・・ということで、全体を通してのトーンとしては、いろいろ要望や
理想はあっても行政としては金銭的・物理的なさまざまな制約が
あって対応が難しい
、という感じでした。

個人的に懸念をもったのは公園の管理体制についてで、遊具の
チェックなどもう少し定期的に行われているかと思っていたのです
が、年2回の外見的なチェックだけというのは少々驚きでした。
遊具に限らず、全般的に「連絡ベース」でしか行政は動かない、と
いうことで、そうなると公園の管理・維持は現実的に周辺地域のコミ
ュニティーにほとんど依存している
、ということになろうかと思います。
(実際、環境局の方からもそれが頼り、という主旨のコメントがあり
ました)

確かに行政サイドの立場としては、現状の人員では物理的に連絡
ベースでしか対応できない
、というのは現実のようです。200~300
ある公園に対して2,3人
では、個別の問合せに対応してあちこち飛び
回るので精一杯であるというのは、まあ確かにそれはそうかもな・・・、
と思います。

そうすると、地元の皆さんがまめに要望を出したりしていかないと、
遊具は老朽化したまま、砂場の砂は減ったまま、等々・・・といった
状況になる
わけで、実際そのような「荒廃した公園」は中原区内に
散見されます。

■荒廃した公園(新丸子東第2公園)
荒廃した公園(新丸子東第2公園)

ですから、今回の意見交換会に出席させていただくにあたって前回
エントリのコメント
でお寄せいただいたような、個別の要望は非常に
重要
ということになります。
皆さんにお寄せいただいたご要望は、写真入りの資料にまとめて
川崎市環境局にお伝えいたしました。


川崎市としては、公園行政は「住民の意見が第一」というのは本当の
ところで、公園の新設を行う際にしろ木を植えるにしろ切るにしろ、
必ず地域住民の意見をベースに実施するそうです。
ただ、質疑応答内で言及されている通り、その住民の意見が木を1本
切るにしても正反対
だったりして、その兼ね合いに苦慮することが
多いようですが、いずれにせよ意見や要望を伝えていくこと、これが
一番有効
であるということがわかりました。
まあ、それが実現しうるかは、砂場の砂の補充1点だけでも予算等の
兼ね合いがあったりするわけですが・・・。

とりあえず、メンテナンスしてもらえるのを待っていても待ちぼうけで
すよ、
ということですね。

そういう点では、小杉御殿団地に隣接している「小杉御殿町2丁目
公園」
などは、遊具のメンテナンスが比較的こまめに行き届いており、
2007/10/31エントリでも取り上げました。その後もさらに遊具の交換
が実施されているのを確認しています。
これは小杉御殿団地の皆さんによる自治管理が行き届いているの
ではないかと推察します(小杉御殿団地は管理組合の活動に定評が
あります)。

今回は意見交換会に参加させていただき、いろいろと勉強になりまし
た。結局のところ抜本的な問題の解決は難しいというのが結論はあり
ますが、また新しい目線で武蔵小杉ライフの公園情報なども編集して
いければと思います。

武蔵小杉ライフ:生活情報:公園
武蔵小杉ライフ:生活情報:公園 小杉御殿町2丁目公園
2007/10/31エントリ 武蔵小杉の公園管理:小杉御殿町2丁目公園
2009/3/9エントリ 公園井戸端会議プロジェクトに参加
2009/3/11エントリ 公園井戸端会議と、オリーブの木

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