東急多摩川駅の転落事故と武蔵小杉駅等7駅の安全対策
2009年9月13日、東急東横線多摩川駅において、川崎市の女性
(81歳)が乗った車椅子がホームに転落し、女性が亡くなるという
事故がありました。
これは多摩川駅のホームの斜面が原因で車椅子が動き出してしま
い、転落に至った事故で、多摩川駅では同様の事故が2年前にも
発生しています。
■エレベーター前の斜面(自由が丘駅)
その後東急電鉄が調査を行った結果、多摩川駅以外の7駅につい
ても、ホームの傾斜が原因で車いすが線路に転落するおそれがある
ことが分かったのですが、武蔵小杉駅および新丸子駅がその7駅に
含まれていました。
■車椅子が転落のおそれがある7駅
東急東横線:中目黒、自由が丘、新丸子、武蔵小杉
東急田園都市線:渋谷、鷺沼、長津田
※ホームにエレベーターが設置され、柵等の転落防止策が取られ
ていない54駅のうち、ホームの傾斜が1mあたり2cm以上となって
いる駅
(多摩川駅の傾斜は1mあたり2.5cm)
この調査結果を受けて、東京急行電鉄では上記の7駅についてガー
ドマンを配置し、11月末までに転落防止柵を設置することとなって
います。
また、武蔵小杉駅・自由が丘駅の現地を確認したところ、エレベー
ターに注意を喚起する音声アナウンス機器が設置されていたほか、
掲示物も設置されていました。
■東急武蔵小杉駅のエレベーター
こちらは東急武蔵小杉駅のエレベーターですが、この手前に常時
ガードマンが配置されています。また、エレベーターの入口上部に、
小さい音声機器が設置されているのが見えますでしょうか?
■エレベーターに設置された音声機器
同様の音声機器はエレベータ内にも設置されていまして、斜面に
よってエレベーターが転落する危険があることについて注意喚起
するアナウンスを、常時流しています。
エレベーター内では通常のエレベーターの動作に関するアナウンス
も流れていますので、2つのアナウンスが混じってしまうのですが、
聞き取れないほどではありません。
■エレベータ内の掲示
エレベータ内には前述の通り書面による掲示もありまして、内容は
音声アナウンスと同じように注意喚起をするものです。
該当する全てのエレベーターにおいて「ガードマン1名配置」「音声
アナウンス」「書面掲示」の対応が取られていまして、東京急行電鉄
としては応急的に打てる対策は取ったかたちではないかと思います。
11月末までに転落防止策を設置することで、それを恒久的措置と
して、おそらくガードマンの設置を終了することになるのでしょう。
2年間の間に同じ原因による事故が発生し、万一3度目があれば
かなり重大な責任を東急電鉄が問われることになりますので、迅速
な措置を取るのは当然のことではあります。
なお、本件については東急電鉄からはプレスリリースなどは開示さ
れていないようですが、安全の問題ですので、事故の発生と特定の
駅におけるリスクの存在、またこういった対策を取っていることは、
きちんとリリースを出した方が良いように思いました。
現在、東急電鉄に遅れを取る形でJR南武線のバリアフリー化が
進められていますが、果たしてこのような死角がないものか、是非
検証しつつ進めていただきたいと思います。
【関連リンク】
2008/5/1エントリ 武蔵小杉駅北口エレベーター
2008/5/16エントリ 武蔵中原駅のエレベーター、完成間近