武蔵小杉の「ひと」(2):なかはらっぱ(中原区地域振興課)・本多純さん(後編)
(前編より続き)
--まんべんなく幅広い層に参加していただければ、とのことでし
たが、それらの点も含めて、なかはらっぱの活動の今現在の課題や
方向性について教えてください。
本多:なかはらっぱの課題は2点ぐらいですか、先程も申しましたが、
登録団体200あるんですけれども、これは仕方ないことでも
あるんですがほとんどの方がハード面の利用、印刷機を借りるとか
会議室スペースを使うとか、そういった利用が第一なので、
それはそれでありがたいことではあるんですけど、今年度からそこの
窓口が登録団体さんによる協力によって運営が始まったということも
あって、やはりうちが見込んでいる第一の主旨としては区民が
集まれる場、たまり場に出来る場、市民活動が推進できる場という
ところもあるのでそういったつながり作りだとか市民活動を推進する
場だという共通認識をもっていただければ非常にありがたいと
思うんですけれども、多種多様な団体さんがいろいろいらっしゃる
ので、みなさんの意志を統一するというのは非常に難しいかなと
考えています。
■中原区役所区民協働推進部地域振興課 本多純さん
ただ実際いま窓口の協力、ボランティアでの協力を15団体さんから
いただいています。昨年1年間団体さんを集めて懇談会とかを開いて
今後こうしていきたいという話で、15団体さんが協力に手を挙げて
くださって、そういった方々が別にお仕事とかではなくボランティアで
窓口にいて印刷機の予約の電話などを受けていただいています。
一日を午前午後の2コマに分けてどの団体さんがここに入るといった
形で輪番制の窓口を開いているんです。
200団体のうち15団体とはいえみなさん忙しい中で、時間を割いて
くださる方が正直15団体手を挙げてくださったということは、私は
率直に多いとと感じています。
--そうですね。
本多:もう1点課題というか、こうなって欲しいという希望みたいな
ものが、こちらのフリースペースは一般区民のかたに来ていただいて
飲食も可能ですし、ここでチラシをみたりだとか掲示板をみたり
だとかあと窓口に座っている団体さんとちょっとお話をしたりだとか
そういった形でいままで市民活動知らなかった人たちが、意外に
面白そうだな、という形で手にとってもらって参加するきっかけに
なってというそんなサイクルが生まれてくれれば嬉しいなと考えて
いるんですけれども、たびたび指摘されることではあるんですけど、
やはり一般の方々にとって区役所って入りづらい。
これはなかはらっぱの登録団体に関わっている方は普段足しげく
通っているから気軽にきて頂いて、私だとかを呼んでもらったりして
いるんですけれど、普通の人は何かない限りは絶対に区役所に
来ない。
その区役所のなかの1階ならまだしも5階の隅にフリースペースが
あったってまず知らないし、知っていても休憩するために区役所の
5階に行こうという発想にはなかなかならないよね、ということで。
我々としては気軽にきてもらってちょうど窓口にいらっしゃるので
市民活動団体さんの方々と話して、チラシとってもらってというのを
考えているんですけれど、やっぱり一般の人にとってはなかなか、
特に勧めない限りはこないですね。そこをなんとか団体さんとも
協力したりイベントを通じて5階にこんな場所があるんですよ、と
周知したりしています。
なかはらっぱ祭りでも大々的に普段はなかはらっぱって区役所の
5階にあるんです、5階からは富士山も晴れていれば見られるし、
こんな場所が実はあるんです、というそのアピールが今後必要に
なってくるだろうなと思っています。
一部の方だけが集う場所ではなくて。
--確かに立地条件的には難しいものがありますよね。
ところで市民館の1階に川崎市の施設みたいなものがありますが?
本多:市民活動センターですね。
--あそことの関係はどうなのですか?一部かぶっているような気が
するのですけど。
本多:そうなんですよ。そういった指摘もあります。
あそこは全川崎市の施設で一昨年までは幸区にあったのが去年から
中原区に移ってきたんですけど、あれは全市の施設で偶然中原区に
あるだけだといっても普通の方からみれば、なんで同じようなものが
駅を挟んであっちとこっちにあるのは、なんか無駄なんじゃないか
という話は聞きます。
市民活動センターは7区全部を含めて持っているということもあって
使う人達が限られているんですね。明確に「市民活動」をやっている
方だとか、そういった街づくり関係の何かをしている団体という
ことで、例えば町内会さんだとかサークル活動系といったところは
入れないし、一般の方が気軽に使うことを前提としてはいないですね。
フリースペースも一応確認をとって登録した方々が使うということに
なっていますけども。
うちは区に特化していて市民活動センターには登録できなくても
町内会さんだとかサークルのようないわゆる趣味的な活動をしている
団体さんも会員の募集をしていたり人のつながりをつくれば
広い意味で街づくりだろうということで、ちょっと敷居を低くして
ある程度コミュニティとかに寄与するものであればみなさんどうぞ
お使いください、ということでやっています。
とは言っても棲み分けというか同じような場所に2ヶ所ある意義と
いうものを作るために、一つ明確に打ち出したのが、印刷機が
それぞれあるんですけれども市民活動センターがちょうど同じ
タイミングで印刷機を入れたんですが、同じのを入れるのはやめよう
ということで、市民活動センターは2色刷りのをいれて、うちは
両面印刷ができてコストの安いものをいれて、2色刷りをする場合は
あちらで、両面印刷だとか大量印刷が向いているのはうちでという
わけ方で、なんとか共存を図ったりだとかそういったことをして
います。
■なかはらっぱの印刷室
一方でお互いの登録団体であれば会議室の利用を融通しあえる
ような仕組みも設けて協力したりもしています。
--課題の方の話に戻るのですが、素朴な疑問として団体同士の
交流といっても登録団体さんはお互いの趣味のとか内容が異なるの
ではないかと思います。そういった団体さん同士で交流といっても
なかなか難しいような気がしますがどうでしょうか?
本多:直接なにかというのは難しいですよね。理想をいうのであれば
違う団体さんの活動をみて何かに気づけばというのはあるんです
けども、あとは意外にここで特に街づくりサロンでそうだったんです
けど、それぞれの活動に興味をもって相互に入る場合がありますね。
同じジャンルの団体同士だとあまり無いですが、まちづくりサロンで
会った人がまったく違うジャンルの活動が面白いということで、
相互会員になるというパターンがあって、そういった意味で少しは
有効だったのかなというのはありますね。
--理想系の一つですよね。
本多:そうですね。
先ほどの「なかはらっぱ祭り」でも、企画とか運営している時に何か
したいね、といった声も上がっていまして、交流といいつつも
準備段階や当日お祭りをしているときは自分の企画で精一杯だから
交流なんかしている暇がないということで、なんとか準備段階で、
今年も「なかはらっぱ祭り」のパネルを作るので一緒に共同作業
みたいなのがあったみたいですね。
■昨年の「なかはらっぱ祭り」で作られた共同パネル
お互い顔見知りになることで、こういった団体の活動をされている
方々はどこかで会ったりしているみたいなんですよ。いままでも
会っていたんだろけども気がつかなかった、ただ、なかはらっぱ祭り
に参加することで、会うと挨拶することでそういった形で徐々に
つながりが出来ているらしいんですね。
--例えばある団体さんが自分たちの活動をするときに別の団体さん
とコラボレーション(協働)イベントみたいなのをやったという様な
例はあるのですか?
本多:特にうちを窓口として通してという話は聞いていないですね。
ただ「なかはらっぱ祭り」の中でいえば、いままでまったく接点の
なかった2つの団体さんがサロンで出会って、なかはらっぱ祭りの
中で共同の一つの催し物をやったというのは昨年ありました。
サロンでほんとに始めて知って、やろうということになったんですね。
その2つの団体さんは少なくとも普段から一緒にいろいろとやる
ようになったとは聞いています。検討とか打合せだとか。
--それはいい事例ですね。
--再開発が始まって武蔵小杉も住民が増えて来ていると思うの
ですが今の武蔵小杉の街についてなかはらっぱの立場としては
どう思われますか?
本多:特に武蔵小杉は新しいマンションが建ってものすごい勢いで
人口が増えて特に若い世代の方とかいらっしゃるんですけど、
町内会に類するものまあNPOさんが頑張っていらっしゃるんですが、
そういったもののつながりが今のところないと言うことで、一番の
課題と言うか今後どうするかということで言えば、新しくいらした
方々と、元々住んでいた周りの方々がどうつながるかというか、
交流されるかと言うことだと思いまして、やはり一つのターゲット
ではあるんですが、その部分が逆にそういった方々って新しい目線
だとかすごいパワーを持っているので、そういった方々が地域に
溶け込んだりだとかこういった街づくり関連に入ればものすごい
新しい風になるしパワーになるだろうなと、期待していますし、
課題でもあるなと思いますね。
■「なかはらっぱ」フリースペース近くの再開発地区模型
--先ほどなかはらっぱ祭りのところで、住民が増えているような
気がすると。イベントと言うのはこういった市民の活動をアピール
する場ではあるのですが一日限りですよね。そういった形ではなくて
新しくこられた方々が市民活動に参加していくという意味で、
具体的な施策や考えはお持ちですか?
本多:確かに単発でやってしまっても、あまり効果はないので
こちらで団体さんが個々でアピールしていただくだとか、アンケート
だとか地道な形で今は参加を促していくしかないですね。
同じ地域振興課でも他の形で、例えばオープンカフェをやったりとか
そういった形で年一回だとなかなかないんですが、そういったものが
複合して、数ヶ月に一回、一ヶ月に一回何かでそういったことが結構
イベントとかあるんだということで区のものを含めて市民活動とかに
触れる機会が多くなって、やはり区でやっているものとか、市民活動
とかってちょっと抵抗ある方が多いんですけど、そういった方の
抵抗感を結果的にとれていけたらなと感じています。
--確かに町内会にも属さない、新しくこられてまだ地域になじんで
いないというかたが、なかなかいきなり市民活動に参加といっても
難しい面があるかもしれないですよね。
本多:多分特攻薬というのはそうそうなくて、先日の新駅の開業
イベントで「なかはらが好き」という小冊子を配ったりだとか、まず
中原を知ってもらって、中原に愛着を持ってもらって、ちょっと数年
かかるかも知れないんですけど、地道にいろんな形で溶け込んで
いただければと考えています。
■中原区魅力スポットガイドブック 「なかはらが好き」
--聞いた話ですが、先日新しく出来たマンションの方でも内部で
独自に市民活動やサークルが立ち上がってきてそういったものを
外部に紹介する場をNPOさんがやったりとか活動の場を広げたり
しているみたいですが。
本多:それは知りませんでした。それがあるのであればぜひとも
うちにも来ていただきたいですね。(笑)
--最後に武蔵小杉ブログの読者のみなさんに一言コメントを
お願いします。
本多:私も街づくりの担当をしているのでその視点からになって
しまうんですが。
市民活動とかボランティアときくと、難しそうだとか一部のすごく
やる気のある人がやるものというイメージをたぶんほとんどの人が
持っていると思うんですけど、実際フタをあけてみると趣味の延長
だとか、この街を良くしてやるとか何かを変えてやるとかいうよりは
むしろただやりたくてやっている、楽しんでやっている方が
ほとんどで、実際ボランティアやっている方と私が話して印象に
残ったのが「楽しくなかったらやるわけないじゃない」
という言葉です。
なので種類も一杯ありますし、たぶん市民活動/ボランティアという
名前は知っていても、それが何をやっているかまでは知らないと
思うので、何をやっているかまでを知っていただける、どこか
知るきっかけがあれば、意外に面白いだとか、こういったものが
あったんだったら、ということで結構参加していただけると思います。
そういった意味でこういった「なかはらっぱ祭り」だとか何か一つ
きっかけで入っていただいて、ぜひとも一緒になかはらっぱの仲間に
なっていただければと、そういったことを思っています。
--どうもありがとうございました。
今年のなかはらっぱ祭りは7月18日(日)に
中原市民館で開催されます。
■中原区ウェブサイト なかはらっぱ祭を開催します
http://www.city.kawasaki.jp/event/info6475/index.html
【関連リンク】
中原区民交流センター公式サイト「Webなかはらっぱ」
2008/3/17エントリ 中原区民交流センター&サイト「なかはらっぱ」
オープン
2009/7/20エントリ 第5回なかはらっぱ祭りと、実行委員会
2010/4/19エントリ 中原区魅力スポットガイドブック「なかはらが好き」
2010/6/18エントリ 中原区の市民活動団体紹介冊子「なかはらっぱの
仲間たち」
2010/7/10エントリ 武蔵小杉の「ひと」(2):なかはらっぱ(中原区地域
振興課)・本多純さん