「なかはらミュージカル」の第7回公演「GREIFEN」が市民の手でアミガサ事件を描き切り喝采、4月21日まで回顧写真展を開催
【Reporter:はつしも】
中原区の市民ミュージカル「なかはらミュージカル」の第7回公演「GREIFEN(グライフェン)」が、2018年3月9日(土)、10日(日)に中原市民館において上演されました。
チケットは完売となり、当日は川崎市の福田市長も来訪して観劇する中、たいへんクオリティの高い舞台が披露されました。
■「なかはらミュージカル」第7回公演「GREIFEN」
※写真提供:なかはらミュージカル実行委員会
「なかはらミュージカル(なかミュー)」は、中原市民館の開館記念事業「NAKAHARA ACT STREET」の企画として2013年にスタートしました。
前回までは中原区の「地域課題対応事業」としての位置づけだったものが今回は行政から独立し、新たに「一般社団法人 New Act Society」の事業として生まれ変わっています。
中原区の地域人材を活用した音楽・芸術の振興、中原区の魅力発信を行うとともに、世代を超えた豊かな交流の場づくりや地域への理解を深めること、次世代を担う子どもたちを育てていくことなどを目的として活動を続けています。
今回の第7回公演は「GREIFEN(グライフェン)」と題し、「アミガサ事件」をテーマとしました。
「アミガサ事件」とは、1914年(大正3年)9月16日、大雨が降るたびに洪水に悩まされてきた橘樹郡御幸村の住民、約200名が「多摩川の築堤」を神奈川県知事に求めるべく決起した事件のことです。
この集団は目印として編み笠をかぶっていたことから、「アミガサ事件」として現代まで伝えられています。
■工場立地等による発展
■工場立地に反対する住民との対立
当時、川崎市は相次ぐ工場立地等で経済発展期を迎えていました。
それを歓迎する人、反対する人…、大きな転換期での市民の対立が描かれました。
■度重なる洪水ですべてを失う村民
その一方、御幸村のそばを流れる多摩川は「あばれ川」といわれ、たびたび氾濫しました。
川崎側には堤防がなく、大雨のたびに作物や家屋を失うなど、たいへん厳しい生活環境にありました。
堤防が必要なのですが、「川崎側に堤防など作ったらこちらに水が来る」という東京側からの反発もあり、なかなか前に進まない現状があったのです。
■立ち上がる村議の娘「小百合」
■同じく女中の「環」
この時代、女性の地位は低く、社会活動参加などはむしろ白眼視されるようなところがありました。
それでも、自分たちの生活を何とかしたいという志や、過去に洪水で亡くなった家族を思って、立ち上がる女性たちがあらわれます。
御幸村会議員、秋元家の一人娘である小百合と、屋敷で働く女中の環です。
環は、5年前の関東大水害で家族を亡くし、その際に支えてくれた一人の男性との再会も願っていました。
実はこの男性こそが、神奈川県知事の有吉氏であったことがのちに判明します。
■街でのチラシ配布活動
小百合はまずは街でチラシ配りなどをして窮状を訴えます。
それでも「お嬢様の政治ごっこ」「憐れみの道具」「偽善者」などと中傷を受けるなどなかなかうまくいかない日々が続きました。
そんなある晩、嵐が村を襲い大きな被害が出たことで、村民たちの怒りが頂点へ達します。
■「アミガサ」をかぶっての行進
※写真提供:なかはらミュージカル実行委員会
舞台のクライマックスは、なんといっても編み笠をかぶっての行進です。
「グライフェン! 掴め!」
「フリーデン! 平和を!」
そう声をあげて、村民たちは神奈川県庁をめざします。
ドイツ語で「GREIFEN(グライフェン)」は「掴む」、「FRIEDEN(フリーデン)」は「平和」を意味します。
この掛け声はもちろん本作品による脚色ですが、自分たちの力で平和な暮らしを掴もうとした、我々の先人たちの思いを表現したものです。
神奈川県知事の有吉氏は、御幸村の窮状を理解してくれました。
問題はどうやって築堤をするかですが、環が両親から教わった野菜作りのコツ「作物の根に盛り土をする」から着想して、有吉知事は「道路に盛り土をして堤防がわりにするアイデアに到達します。
これによってできた堤防は、「有吉堤」と呼ばれるようになりました。
■フィナーレ
※写真提供:なかはらミュージカル実行委員会
「有吉堤」をきっかけとして、各地で築堤が進んでいくことになりました。
現在の多摩川では堤防が完備し、さらに強度を上げる工事が段階的に進められているところです。
1916年に有吉堤が完成してから、すでに100年以上が経過しています。
時間の流れを超えて語り継がれる、力強い物語でした。
■現在の多摩川で進められている堤防の強靭化
今回、「なかはらミュージカル」を観劇させていただいて言えるのは、ミュージカルとしての完成度が想像以上に高いということです。
出演者は市民からの公募によるオーディションですが、プロの指導によりしっかりとした舞台になっていました。
出演者募集が2018年6月29日締め切り、8月稽古開始、上演が2019年3月9日、10日ですから、約7か月をかけて仕上げてきたということになります。
出演者の皆さんは決して楽な稽古ではなかったかと思いますが、達成感はかなり大きなものがあったのではないでしょうか。
また観劇する立場としては、非常に良い舞台を見せていただいて、満足感がありました。
■「なかはらミュージカル」のグッズ販売
また、「なかはらミュージカル」は、オリジナルグッズが充実しているのも特徴でした。
これは観劇された方も勿論ですが、思い入れの強い出演者の方も購入されるものと思います。
なお、この「なかはらミュージカル」を振り返る写真展が、イトーヨーカドー武蔵小杉駅前店前のイベントスペース「Kosugi 3rd Avenue Labo」で2019年4月21日(日)まで開催されています。
■「Kosugi 3rd Avenue Labo」
※写真提供:なかはらミュージカル実行委員会
※写真提供:なかはらミュージカル実行委員会
まずはこの写真展をご覧いただいて、雰囲気を掴んでいただくのも良いでしょう。
「なかはらミュージカル」は、来年も上演される予定です。
出演側・観劇側両面ありますが、またご紹介したいと思います。
■「アミガサ事件」後に築堤された「有吉堤」の遺構と、竣工百年の記念碑(中丸子児童公園)
【関連リンク】
(なかはらミュージカル関連)
・なかはらミュージカル ウェブサイト
・一般社団法人New Act Society
・なかはらミュージカル facebookページ
・2013/2/16エントリ 「なかはらアクトストリート2013」「中原空襲展」開催レポート
・2016/12/22エントリ 多摩川の築堤を直訴「アミガサ事件」による「有吉堤」完成から100年。八幡大神・中丸子児童公園の記念碑と遺構をめぐる
・2017/6/7エントリ 東急武蔵小杉駅の情報発信スポット「こすぎアイ」で地域イベント告知を開始、「なかはらミュージカル」実行委員・ボランティアスタッフ・出演者を募集中
・2018/1/26エントリ 「なかはらミュージカル」第6回公演「新・多摩川伝」が2018年3月10日(土)・11日(日)開催、人気のチケット一般販売が1月27日(土)スタート
・2018/5/26エントリ 市民ミュージカル「なかはらミュージカル」がアミガサ事件をテーマに「第7回公演」を2019年3月上演、出演者募集の事前説明会を6月17日(日)に開催
・2019/1/22エントリ 「なかはらミュージカル」がアミガサ事件を描く公演「GREIFEN」を3月9日(土)10日(日)上演、1月26日(土)に完売必至のチケット販売
(Kosugi3rd Avenue関連)
・小杉町3丁目東地区再開発組合 Kosugi 3rd Avenue ウェブサイト
・Kosugi 3rd Avenue the residence ウェブサイト
・武蔵小杉ライフ:再開発情報:小杉町3丁目地区 東地区
・2018/4/24エントリ 小杉町3丁目東地区再開発の三井不動産タワーマンション「Kosugi 3rd Avenue The Residence(コスギ サード アヴェニュー ザ・レジデンス)」が発表、2020年8月下旬入居を予定
・2018/6/15エントリ 小杉町3丁目東地区再開発ビル「Kosugi 3rd Avenue(コスギサードアベニュー)」建設工事が本格化、地下部分の鉄骨が組みあがり
・2018/9/10エントリ 小杉町3丁目東地区再開発のワークショップスペース「Kosugi 3rd Avenue Labo」が平日カフェ営業をスタート、元住吉の「Cafe OrangeBule」などが出店
・2018/10/20エントリ 「コスギフェスタ2018」開催レポート:謎解きラリー「怪盗ギスーコの挑戦状」に子どもたちが熱中、商店街が変貌「Kosugi 3rd Avenue LIVIVG」も同時開催
・2018/12/4エントリ 「メガネのオーサカ」が2019年1月31日に現店舗の営業終了・2月7日仮店舗に移転決定、再開発ビル「Kosugi 3rd Avenue」に2020年6月オープンへ
・2019/2/11エントリ 武蔵小杉の老舗「メガネのオーサカ」が再開発により仮店舗に移転、「Kosugi 3rd Avenue」での再オープンは2020年7月予定に変更
・2019/3/18エントリ 小杉町3丁目東地区再開発ビル「Kosugi 3rd Avenue」の建物躯体立ち上がり
・2019/4/3エントリ 武蔵小杉のパンフェスタ「Kosugi 3rd Avenue BAKERY LIVING」開催レポート:東横線沿線の人気パン店が集結
中原区の市民ミュージカル「なかはらミュージカル」の第7回公演「GREIFEN(グライフェン)」が、2018年3月9日(土)、10日(日)に中原市民館において上演されました。
チケットは完売となり、当日は川崎市の福田市長も来訪して観劇する中、たいへんクオリティの高い舞台が披露されました。
■「なかはらミュージカル」第7回公演「GREIFEN」
※写真提供:なかはらミュージカル実行委員会
「なかはらミュージカル(なかミュー)」は、中原市民館の開館記念事業「NAKAHARA ACT STREET」の企画として2013年にスタートしました。
前回までは中原区の「地域課題対応事業」としての位置づけだったものが今回は行政から独立し、新たに「一般社団法人 New Act Society」の事業として生まれ変わっています。
中原区の地域人材を活用した音楽・芸術の振興、中原区の魅力発信を行うとともに、世代を超えた豊かな交流の場づくりや地域への理解を深めること、次世代を担う子どもたちを育てていくことなどを目的として活動を続けています。
今回の第7回公演は「GREIFEN(グライフェン)」と題し、「アミガサ事件」をテーマとしました。
「アミガサ事件」とは、1914年(大正3年)9月16日、大雨が降るたびに洪水に悩まされてきた橘樹郡御幸村の住民、約200名が「多摩川の築堤」を神奈川県知事に求めるべく決起した事件のことです。
この集団は目印として編み笠をかぶっていたことから、「アミガサ事件」として現代まで伝えられています。
■工場立地等による発展
■工場立地に反対する住民との対立
当時、川崎市は相次ぐ工場立地等で経済発展期を迎えていました。
それを歓迎する人、反対する人…、大きな転換期での市民の対立が描かれました。
■度重なる洪水ですべてを失う村民
その一方、御幸村のそばを流れる多摩川は「あばれ川」といわれ、たびたび氾濫しました。
川崎側には堤防がなく、大雨のたびに作物や家屋を失うなど、たいへん厳しい生活環境にありました。
堤防が必要なのですが、「川崎側に堤防など作ったらこちらに水が来る」という東京側からの反発もあり、なかなか前に進まない現状があったのです。
■立ち上がる村議の娘「小百合」
■同じく女中の「環」
この時代、女性の地位は低く、社会活動参加などはむしろ白眼視されるようなところがありました。
それでも、自分たちの生活を何とかしたいという志や、過去に洪水で亡くなった家族を思って、立ち上がる女性たちがあらわれます。
御幸村会議員、秋元家の一人娘である小百合と、屋敷で働く女中の環です。
環は、5年前の関東大水害で家族を亡くし、その際に支えてくれた一人の男性との再会も願っていました。
実はこの男性こそが、神奈川県知事の有吉氏であったことがのちに判明します。
■街でのチラシ配布活動
小百合はまずは街でチラシ配りなどをして窮状を訴えます。
それでも「お嬢様の政治ごっこ」「憐れみの道具」「偽善者」などと中傷を受けるなどなかなかうまくいかない日々が続きました。
そんなある晩、嵐が村を襲い大きな被害が出たことで、村民たちの怒りが頂点へ達します。
■「アミガサ」をかぶっての行進
※写真提供:なかはらミュージカル実行委員会
舞台のクライマックスは、なんといっても編み笠をかぶっての行進です。
「グライフェン! 掴め!」
「フリーデン! 平和を!」
そう声をあげて、村民たちは神奈川県庁をめざします。
ドイツ語で「GREIFEN(グライフェン)」は「掴む」、「FRIEDEN(フリーデン)」は「平和」を意味します。
この掛け声はもちろん本作品による脚色ですが、自分たちの力で平和な暮らしを掴もうとした、我々の先人たちの思いを表現したものです。
神奈川県知事の有吉氏は、御幸村の窮状を理解してくれました。
問題はどうやって築堤をするかですが、環が両親から教わった野菜作りのコツ「作物の根に盛り土をする」から着想して、有吉知事は「道路に盛り土をして堤防がわりにするアイデアに到達します。
これによってできた堤防は、「有吉堤」と呼ばれるようになりました。
■フィナーレ
※写真提供:なかはらミュージカル実行委員会
「有吉堤」をきっかけとして、各地で築堤が進んでいくことになりました。
現在の多摩川では堤防が完備し、さらに強度を上げる工事が段階的に進められているところです。
1916年に有吉堤が完成してから、すでに100年以上が経過しています。
時間の流れを超えて語り継がれる、力強い物語でした。
■現在の多摩川で進められている堤防の強靭化
今回、「なかはらミュージカル」を観劇させていただいて言えるのは、ミュージカルとしての完成度が想像以上に高いということです。
出演者は市民からの公募によるオーディションですが、プロの指導によりしっかりとした舞台になっていました。
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出演者の皆さんは決して楽な稽古ではなかったかと思いますが、達成感はかなり大きなものがあったのではないでしょうか。
また観劇する立場としては、非常に良い舞台を見せていただいて、満足感がありました。
■「なかはらミュージカル」のグッズ販売
また、「なかはらミュージカル」は、オリジナルグッズが充実しているのも特徴でした。
これは観劇された方も勿論ですが、思い入れの強い出演者の方も購入されるものと思います。
なお、この「なかはらミュージカル」を振り返る写真展が、イトーヨーカドー武蔵小杉駅前店前のイベントスペース「Kosugi 3rd Avenue Labo」で2019年4月21日(日)まで開催されています。
■「Kosugi 3rd Avenue Labo」
※写真提供:なかはらミュージカル実行委員会
※写真提供:なかはらミュージカル実行委員会
まずはこの写真展をご覧いただいて、雰囲気を掴んでいただくのも良いでしょう。
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出演側・観劇側両面ありますが、またご紹介したいと思います。
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(Kosugi3rd Avenue関連)
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・Kosugi 3rd Avenue the residence ウェブサイト
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