JR南武線連続立体交差事業(矢向~武蔵小杉間)アセス説明会が開催:高架化3駅は8両編成余地確保、現行2040年完成予定での用地取得は厳しい見通しも
本日、「JR東日本南武線連続立体交差事業(矢向駅~武蔵小杉駅間)」および関連道路整備事業に係る環境アセスメントに関する住民説明会が中原市民館ホールで開催されました。
■南武線立体交差事業・関連道路整備事業の説明会資料
川崎市とJR東日本は、JR南武線の矢向駅~武蔵小杉駅間における連続立体交差事業(高架化事業)を進めています。
またこれにあわせて、川崎市では南武線沿いの関連道路整備事業も計画しています。
連続立体交差化事業は、規模が大きいために環境に対する影響を検証する「条例環境影響評価(環境アセスメント)」手続きが必要となります。
また関連道路整備事業に関しても、川崎市が重要性を鑑みて自主的な環境影響評価を行います。
これらの事業概要・環境影響評価のあらましをまとめた「環境影響評価準備書」が、2023年1月20日から3月6日まで縦覧されており、本サイトでも初日に概要をお伝えしておりました。
環境アセスメントの手続きにおいては、必ず最初に環境影響評価準備書に関する住民説明会を行います。
今回の説明会は幸区・中原区で全4回が予定され、本日中原市民館で2回目の説明会が開催されたというわけです。
■JR東日本南武線連続立体交差事業に関する川崎市の資料
■事業計画等の概要
●事業名 JR 東日本南武線連続立体交差事業(矢向駅~武蔵小杉駅間)
●事業区間 矢向駅~武蔵小杉駅
●事業延長 約 4.5km
●除去踏切数 9箇所
●駅 3駅(鹿島田駅、平間駅、向河原駅)
●工法 別線高架工法
●変電所(移設) 1箇所(向河原変電所)
事業の概要等については、基本的に環境影響評価準備書ですでに開示されている通りです。
本日の説明会はそれを要約して説明する位置づけで、それ自体に新しい情報はありません。
環境影響評価準備書は川崎市のウェブサイトで開示されていますので、詳細はエントリ末尾の関連リンクよりそちらをご参照ください。
一方、説明会では質疑応答があり、その中でいくつか確認できた情報がありますので、お伝えしたいと思います。
■高架化される南武線向河原駅
今回の連続立体交差事業では、向河原駅、平間駅、鹿島田駅の3駅が高架駅として再整備されます。
それにあたって現在6両編成の南武線を将来的に長編成化することを見据えた再整備についても注目されましたが、とりあえず建設されるのは従来通り「6両編成対応」のホームということです。
ただし、将来的な可能性に備え8両分のスペースは確保する旨、川崎市建設緑政局より言及がありました。
なお、鹿島田駅については、現状の南武線を横断するペデストリアンデッキについては撤去せざるを得ないということです。
■移転する向河原変電所
■移転先として調整中と言及された中丸子老人いこいの家
また本事業では、川崎市立橘高等学校近くの「向河原変電所」が移設されます。
その移設先については、現在の中丸子老人いこいの家の用地を調整中である旨、こちらも川崎市建設緑政局より説明がありました。
■事業スケジュール(川崎市資料より)
そして事業スケジュールについては、用地取得の見通しについて質疑がありました。
現状、令和5年度末(2024年3月末)に都市計画決定、2024年度に用地取得、2029年度に下り線高架化工事を着手して最終的には2039年度(2040年)に完成というスケジュールが示されています。
つまり用地取得から下り線高架化工事まで5年をみているわけですが、出席者よりこれが余裕を持った「堅い見通し」なのか、他の道路拡幅等の用地取得の例を鑑みると現実的には厳しいのか、質問がありました。
こちらも川崎市建設緑政局より回答があり、指摘の通り道路拡幅等で十数年など時間を要する事例があることにも言及しつつ、5年というスケジュールは実際にはかなり厳しい日程とは考えているという、現時点での受け止めを説明されました。
現在、用地取得の対象者にアンケートを送付しており、今後丁寧に対応してご理解に努めるということでした。
となりますと、2039年度(2040年)の高架化はかなりスムーズにいった場合のシナリオであり、現実的にはさらに先になるとみておいたほうが心構えとしては良さそうです。
■解消される向河原駅前の踏切
時間は相当にかかりますが、川崎市とJR東日本では、南武線の連続立体交差化事業により、交通の分断や「開かずの踏切」の解消を図るものとしています。
踏切は9カ所が解消される計画で、これは地域にとっても大きな環境改善にはなるでしょう。
このあとは環境アセスメントの手続きとともに都市計画手続きが行われ、それぞれ意見募集のプロセスがあります。
詳細は以下より環境影響評価準備書をご参照ください。
【関連リンク】
・JR東日本南武線連続立体交差事業(矢向駅~武蔵小杉駅間)に係る条例環境影響評価準備書及び要約書
・JR東日本南武線連続立体交差事業(矢向駅~武蔵小杉駅間)に伴う関連道路整備事業に係る自主的環境影響評価準備書及び要約書
・2023/1/20エントリ 南武線武蔵小杉駅~矢向駅間連続立体交差事業・関連道路整備の環境アセスメント資料が本日縦覧開始、2040年完成に向け前進
(向河原駅関連エントリ)
・2010/10/11エントリ 向河原駅のNEC専用改札口
・2011/2/23エントリ 南武線快速電車運行開始ポスターと、踏切横断注意
・2011/8/3エントリ 御幸踏切の馬頭観音
・2011/8/9エントリ 向河原駅前踏切を2倍近く拡幅へ
・2010/10/12エントリ 開かずの御幸踏切と、隣接の歩道橋
・2012/3/8エントリ 開かずの「御幸踏切」の歩道橋改修
・2014/7/20エントリ JR南武線向河原駅前の踏切拡幅工事が完了し供用開始
・2015/12/2エントリ 戦火に消えた、南武線の駅。玉川中学校・橘高校前の「武蔵中丸子駅」跡地探訪
・2016/4/25エントリ JR向河原駅から延びる、歴史の遺構。「市ノ坪短絡線」廃線跡の緑道を巡る
・2018/10/16エントリ JR東日本向河原変電所から、NEC玉川事業場まで続く「送電鉄塔中原線」をめぐる
・2018/11/17エントリ 武蔵小杉再開発地区から下沼部小への通学路で安全向上取組中。踏切拡張に続き歩道にグリーンベルト設置、同小PTAが見守り活動を継続
・2019/6/17エントリ 向河原駅前の「開かずの踏切」迂回路を整備、歩行者・自転車専用で2019年6月30日(日)17時に供用開始決定
・2019/6/30エントリ 向河原駅前の「開かずの踏切」迂回路が歩行者・自転車専用で本日供用開始、アンダーパス側から地域住民や玉川中生徒らが通行
■南武線立体交差事業・関連道路整備事業の説明会資料
川崎市とJR東日本は、JR南武線の矢向駅~武蔵小杉駅間における連続立体交差事業(高架化事業)を進めています。
またこれにあわせて、川崎市では南武線沿いの関連道路整備事業も計画しています。
連続立体交差化事業は、規模が大きいために環境に対する影響を検証する「条例環境影響評価(環境アセスメント)」手続きが必要となります。
また関連道路整備事業に関しても、川崎市が重要性を鑑みて自主的な環境影響評価を行います。
これらの事業概要・環境影響評価のあらましをまとめた「環境影響評価準備書」が、2023年1月20日から3月6日まで縦覧されており、本サイトでも初日に概要をお伝えしておりました。
環境アセスメントの手続きにおいては、必ず最初に環境影響評価準備書に関する住民説明会を行います。
今回の説明会は幸区・中原区で全4回が予定され、本日中原市民館で2回目の説明会が開催されたというわけです。
■JR東日本南武線連続立体交差事業に関する川崎市の資料
■事業計画等の概要
●事業名 JR 東日本南武線連続立体交差事業(矢向駅~武蔵小杉駅間)
●事業区間 矢向駅~武蔵小杉駅
●事業延長 約 4.5km
●除去踏切数 9箇所
●駅 3駅(鹿島田駅、平間駅、向河原駅)
●工法 別線高架工法
●変電所(移設) 1箇所(向河原変電所)
事業の概要等については、基本的に環境影響評価準備書ですでに開示されている通りです。
本日の説明会はそれを要約して説明する位置づけで、それ自体に新しい情報はありません。
環境影響評価準備書は川崎市のウェブサイトで開示されていますので、詳細はエントリ末尾の関連リンクよりそちらをご参照ください。
一方、説明会では質疑応答があり、その中でいくつか確認できた情報がありますので、お伝えしたいと思います。
■高架化される南武線向河原駅
今回の連続立体交差事業では、向河原駅、平間駅、鹿島田駅の3駅が高架駅として再整備されます。
それにあたって現在6両編成の南武線を将来的に長編成化することを見据えた再整備についても注目されましたが、とりあえず建設されるのは従来通り「6両編成対応」のホームということです。
ただし、将来的な可能性に備え8両分のスペースは確保する旨、川崎市建設緑政局より言及がありました。
なお、鹿島田駅については、現状の南武線を横断するペデストリアンデッキについては撤去せざるを得ないということです。
■移転する向河原変電所
■移転先として調整中と言及された中丸子老人いこいの家
また本事業では、川崎市立橘高等学校近くの「向河原変電所」が移設されます。
その移設先については、現在の中丸子老人いこいの家の用地を調整中である旨、こちらも川崎市建設緑政局より説明がありました。
■事業スケジュール(川崎市資料より)
そして事業スケジュールについては、用地取得の見通しについて質疑がありました。
現状、令和5年度末(2024年3月末)に都市計画決定、2024年度に用地取得、2029年度に下り線高架化工事を着手して最終的には2039年度(2040年)に完成というスケジュールが示されています。
つまり用地取得から下り線高架化工事まで5年をみているわけですが、出席者よりこれが余裕を持った「堅い見通し」なのか、他の道路拡幅等の用地取得の例を鑑みると現実的には厳しいのか、質問がありました。
こちらも川崎市建設緑政局より回答があり、指摘の通り道路拡幅等で十数年など時間を要する事例があることにも言及しつつ、5年というスケジュールは実際にはかなり厳しい日程とは考えているという、現時点での受け止めを説明されました。
現在、用地取得の対象者にアンケートを送付しており、今後丁寧に対応してご理解に努めるということでした。
となりますと、2039年度(2040年)の高架化はかなりスムーズにいった場合のシナリオであり、現実的にはさらに先になるとみておいたほうが心構えとしては良さそうです。
■解消される向河原駅前の踏切
時間は相当にかかりますが、川崎市とJR東日本では、南武線の連続立体交差化事業により、交通の分断や「開かずの踏切」の解消を図るものとしています。
踏切は9カ所が解消される計画で、これは地域にとっても大きな環境改善にはなるでしょう。
このあとは環境アセスメントの手続きとともに都市計画手続きが行われ、それぞれ意見募集のプロセスがあります。
詳細は以下より環境影響評価準備書をご参照ください。
【関連リンク】
・JR東日本南武線連続立体交差事業(矢向駅~武蔵小杉駅間)に係る条例環境影響評価準備書及び要約書
・JR東日本南武線連続立体交差事業(矢向駅~武蔵小杉駅間)に伴う関連道路整備事業に係る自主的環境影響評価準備書及び要約書
・2023/1/20エントリ 南武線武蔵小杉駅~矢向駅間連続立体交差事業・関連道路整備の環境アセスメント資料が本日縦覧開始、2040年完成に向け前進
(向河原駅関連エントリ)
・2010/10/11エントリ 向河原駅のNEC専用改札口
・2011/2/23エントリ 南武線快速電車運行開始ポスターと、踏切横断注意
・2011/8/3エントリ 御幸踏切の馬頭観音
・2011/8/9エントリ 向河原駅前踏切を2倍近く拡幅へ
・2010/10/12エントリ 開かずの御幸踏切と、隣接の歩道橋
・2012/3/8エントリ 開かずの「御幸踏切」の歩道橋改修
・2014/7/20エントリ JR南武線向河原駅前の踏切拡幅工事が完了し供用開始
・2015/12/2エントリ 戦火に消えた、南武線の駅。玉川中学校・橘高校前の「武蔵中丸子駅」跡地探訪
・2016/4/25エントリ JR向河原駅から延びる、歴史の遺構。「市ノ坪短絡線」廃線跡の緑道を巡る
・2018/10/16エントリ JR東日本向河原変電所から、NEC玉川事業場まで続く「送電鉄塔中原線」をめぐる
・2018/11/17エントリ 武蔵小杉再開発地区から下沼部小への通学路で安全向上取組中。踏切拡張に続き歩道にグリーンベルト設置、同小PTAが見守り活動を継続
・2019/6/17エントリ 向河原駅前の「開かずの踏切」迂回路を整備、歩行者・自転車専用で2019年6月30日(日)17時に供用開始決定
・2019/6/30エントリ 向河原駅前の「開かずの踏切」迂回路が歩行者・自転車専用で本日供用開始、アンダーパス側から地域住民や玉川中生徒らが通行