等々力緑地再編整備の環境影響配慮計画書が公表・意見募集開始、風水害記録や動植物生態など環境情報が満載
川崎市では、東急・富士通・丸紅・川崎フロンターレなど9社共同で設立した「川崎とどろきパーク株式会社」による「等々力緑地再編整備・運営等事業」を推進しています。
同事業は大規模であるため環境影響評価(環境アセスメント)の対象となっており、「環境影響配慮計画書」の縦覧および意見募集が本日付でスタートしました。
■川崎とどろきパークによるコンセプトビジュアル
※東急株式会社提供
■等々力緑地再編整備事業の平面図
※川崎市発表資料より
本日公表された「環境配慮計画書」とは、事業の計画段階において対象地域環境特性を把握し、環境影響の回避や低減などの配慮が必要な対象を明らかにし、良好な地域環境・地球環境の保全に資することを目的としたものです。
つまり、「こういう建物を建てるとどういう環境影響があるか」を調査・検証する「環境影響評価」の事前プロセスとして、「対象地域がそもそもどんな環境特性があるか」を確認するというわけです。
「環境配慮計画書」はそのような特性の資料ですので、例えば球技専用スタジアムとして改修される等々力陸上競技場や、再整備されるとどろきアリーナの建物の仕様など、開発計画自体の詳細情報はありません。
基本的にこれまでに本サイトでもお伝えしてきた範囲内で、大きな新情報はありません。
ただ、資料内には等々力緑地のこれまでの風水害履歴や、等々力緑地とその周辺で見られる動植物など、興味深いデータが多数掲載されていました。
■等々力緑地の風水害の記録(昭和48年以降で大きな被害があったもの)
こちらは、等々力緑地周辺での風水害の記録です。
昭和48年(1973年)以降で大きな被害があったものを記載していました。
風水害の発生頻度は昭和が多く、特に昭和51年(1976年)の台風の被害が際立っています。
ただ、この台風は当時の記録を確認しますと九州から日本海側に抜けており、関東には上陸していなかったようです。それでも記録的な豪雨となり、西日本を中心にたいへんな被害をもたらしました。
死者数では、平成元年(1989年)の台風による死者6名(内消防隊員3名)が最多です。
また直近では令和元年東日本台風の被害の大きさも改めて感じるところです。
「環境配慮計画書」では、このような風水害リスクも掲載されていました。
■等々力緑地周辺の動植物
続いてこちらは、等々力緑地とその周辺の動力物です。
植物は等々力緑地をご覧になってわかるとおりさまざまな植物が育っています。
また動物も哺乳類はタヌキ、イタチ、モグラと少ないですが、鳥類は28種、釣り池の生物なども多数生息しています。
しかし等々力緑地や多摩川に限りませんが、特定外来生物のブルーギル、アメリカザリガニ、ミシピッピーアカミミガメ、ウシガエルなど外来種の生物もかなり入ってきていますね。
この一覧を見ながら、バードウォッチングなど楽しんでみるのもよいかもしれませんね。
これらのほかにも、交通環境などさまざまな等々力緑地周辺の環境データが掲載されていますので、予想以上に興味深く読むことができました。
さて、本題の環境配慮計画書に対する意見募集は、川崎市のウェブサイトで5月22日(月)まで実施しています。
詳細および本資料は関連リンクよりご参照ください。
■等々力緑地再編整備の鳥観図
©Todoroki Park and Link
■球技専用スタジアムへの改修が発表された等々力陸上競技場
©Todoroki Park and Link
【関連リンク】
・川崎市 等々力緑地再編整備・運営等事業に係る環境配慮計画書
(等々力緑地再編整備関連エントリ)
・2019/12/19エントリ 東急が等々力陸上競技場全面改築など緑地再編整備を川崎市にPFI事業提案、市が取組方針案を公表し意見募集
・2020/3/17エントリ 等々力緑地の硬式野球場の建設進む、仮囲いに工事進捗の空撮写真が時系列で掲示
・2020/4/19エントリ 等々力補助競技場の再整備が完成、フィールドが人工芝化され陸上トラックが鮮やかな青色に
・2020/10/19エントリ 県内最大規模・最新設備の硬式野球場「等々力球場」が等々力緑地で供用開始、報道機関向け内覧会・完成記念式典開催レポート
・2021/5/27エントリ 川崎市が等々力緑地再編整備改定骨子案を発表:等々力陸上競技場は球専用スタジアム化、6/1より市民意見を募集
・2021/11/26エントリ 等々力緑地再編整備実施計画改定案が公表、とどろきアリーナ再整備で屋内プール設置、等々力陸上競技場等施設の2029年度整備完了目指す
・2022/11/8エントリ 等々力緑地再編整備・運営事業を東急・富士通・川崎フロンターレなどのコンソーシアムが576億円で落札、新スタジアムなどのイメージパースを公表
同事業は大規模であるため環境影響評価(環境アセスメント)の対象となっており、「環境影響配慮計画書」の縦覧および意見募集が本日付でスタートしました。
■川崎とどろきパークによるコンセプトビジュアル
※東急株式会社提供
■等々力緑地再編整備事業の平面図
※川崎市発表資料より
本日公表された「環境配慮計画書」とは、事業の計画段階において対象地域環境特性を把握し、環境影響の回避や低減などの配慮が必要な対象を明らかにし、良好な地域環境・地球環境の保全に資することを目的としたものです。
つまり、「こういう建物を建てるとどういう環境影響があるか」を調査・検証する「環境影響評価」の事前プロセスとして、「対象地域がそもそもどんな環境特性があるか」を確認するというわけです。
「環境配慮計画書」はそのような特性の資料ですので、例えば球技専用スタジアムとして改修される等々力陸上競技場や、再整備されるとどろきアリーナの建物の仕様など、開発計画自体の詳細情報はありません。
基本的にこれまでに本サイトでもお伝えしてきた範囲内で、大きな新情報はありません。
ただ、資料内には等々力緑地のこれまでの風水害履歴や、等々力緑地とその周辺で見られる動植物など、興味深いデータが多数掲載されていました。
■等々力緑地の風水害の記録(昭和48年以降で大きな被害があったもの)
昭和49年7月8日 【集中豪雨】 |
床上浸水612 戸、床下浸水1,871 戸、道路被害10 箇所、河川損壊2箇所、がけ崩れ6箇所 |
昭和49年9月1日 【多摩川洪水】 |
床上浸水210 戸、床下浸水142 戸、河川損壊2箇所 |
昭和51年9月9日 【台風】 |
床上浸水 1,155 戸、床下浸水 4,646 戸、家屋の全壊・流 出・一部損壊 21 戸、がけ崩れ 86 箇所 他 |
昭和53年4月6日 【集中豪雨】 |
床上浸水 121 戸、床下浸水 453 戸、道路被害3箇所、が け崩れ4箇所 |
昭和57年7月31日 ~8月4日 【台風】 |
床上浸水114 戸、床下浸水101 戸、道路被害5箇所、家 屋損壊2戸、河川損壊2箇所、がけ崩れ3箇所 |
昭和57年9 月11日 ~13日 【台風】 |
床上浸水846 戸、床下浸水3,148 戸、道路被害15 箇所、 河川損壊6箇所、がけ崩れ39 箇所 |
昭和60年7月14日 【集中豪雨】 |
床上浸水290 棟、床下浸水2,855 棟、道路被害2箇所、がけ崩れ1箇所 他 |
平成元年8月1日 【台風】 |
死者6名(内消防隊員3名)、重傷者9名、軽傷者3名、 床上浸水 283 棟、床下浸水 1,097 棟、がけ崩れ 16 箇所 他 |
平成3年9月18~20日 【台風】 |
床上浸水141棟、床下浸水321棟、道路被害4箇所、がけ崩れ29箇所 他 |
令和元年10月12~13日 【台風(令和元年 東日本台風)】 |
死者1名、軽傷者7名、全壊 28 棟、半壊 667 棟、一部 破損 204 棟、床上浸水 791 棟、床下浸水 388 棟 |
こちらは、等々力緑地周辺での風水害の記録です。
昭和48年(1973年)以降で大きな被害があったものを記載していました。
風水害の発生頻度は昭和が多く、特に昭和51年(1976年)の台風の被害が際立っています。
ただ、この台風は当時の記録を確認しますと九州から日本海側に抜けており、関東には上陸していなかったようです。それでも記録的な豪雨となり、西日本を中心にたいへんな被害をもたらしました。
死者数では、平成元年(1989年)の台風による死者6名(内消防隊員3名)が最多です。
また直近では令和元年東日本台風の被害の大きさも改めて感じるところです。
「環境配慮計画書」では、このような風水害リスクも掲載されていました。
■等々力緑地周辺の動植物
計画地内の植物 | 春:ウメ、サクラ、ツツジ、秋:イロハモミジ 等々力緑地内:クヌギ-コナラ群落、残存・植栽樹群地 多摩川沿い :オギ群集、ヤナギ低木群落 釣池周辺 :カツラ、アジサイ、シラカシ、アオギリ、クスノキ、シュロ、 ラクウショウ、ケヤキ、タブノキ、キンモクセイ、エノキ |
多摩川緑地(等々力地区)樹林地の植物 | アカメヤナギ、シダレヤナギ、エノキ、オニグルミ、クズ、カナムグラ |
多摩川緑地(等々力地区)草地の植物 | イヌタデ、シバ、メヒシバ、エノコログサ、オオバコ、シロツメクサ、カントウ タンポポ、ハナダイコン、ハマダイコン、アレチハナガサ、キクイモ、ススキ、 ヨシ、セイバンモロコシ |
多摩川緑地(等々力地区)水辺・湿地の植物 | シャクチリソバ、ミゾソバ、ヤナギタデ、セリ、オギ、ツルヨシ、マコモ |
計画地及び周辺の鳥類(28種) | カワウ、コサギ、カルガモ、コガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、ハシビロガモ、コジュケイ、ユリカモメ、セグロカモメ、キジバト、ヒバリ、ツバメ、ハクセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、ツグミ、ウグイス、セッカ、シジュウカラ、メジロ、ホオジロ、アオジ、カワラヒワ、スズメ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラス |
多摩川緑地(等々力緑地)樹林地の生物 | 【鳥類】キジバト、トビ、コゲラ、シジュウカラ、ヒヨドリ、エナガ、ハシブト ガラス、ハシボソガラス、トビ、スズメ、シロハラ、ツグミ、全国及び 県での減少が懸念されているオオタカ、県での減少が懸念されているアカハラ 【爬虫類】 - 【昆虫類】アブラゼミ、ツクツクボウシ、ミンミンゼミ、ニイニイゼミ、ツヤアオ カメムシ、ヒシモンナガタマムシ、シロジュウゴホシテントウ、ナミテントウ、ドウガネサルハムシ、ヤナギルリハムシ、ウメマツオオアリ、 アオスジアゲハ、クロアゲハ、サトキマダラヒカゲ、県での減少が懸念 されているシロジュウゴホシテントウ、外来種のアカボシゴマダラ |
多摩川緑地(等々力緑地)草地の生物 | 【哺乳類】 アズマモグラ、タヌキ 【鳥類】キジバト、チョウゲンボウ、ハシブトガラス、ハシボソガラス、ヒヨド リ、ウグイス、ムクドリ、イワツバメ、アマツバメ、ツグミ、ハクセキ レイ、タヒバリ、ベニマシコ、県での減少が懸念されているモズ、ヒバ リ、カワラヒワ、セッカ、ツバメ、オオヨシキリ、アオジ 【爬虫類】ニホンカナヘビ、県での減少が懸念されているシマヘビ 昆虫類 エンマコオロギ、カンタン、ハラヒシバッタ、ツチイナゴ、コバネイナゴ、ショウリョウバッタ、ヒナバッタ、トノサマバッタ、ナガチャコガ ネ、マメコガネ、ナナホシテントウ、ヒメカメノコテントウ、ウリハム シ、クロトゲハムシ、コフキゾウムシ、イチモンジセセリ、チャバネセセリ、キアゲハ、モンキチョウ、キタキチョウ、モンシロチョウ、ツバメシジミ、ウラナミシジミ、ベニシジミ、ヤマトシジミ、ツマグロヒョ ウモン、キタテハ、県での減少が懸念されているショウリョウバッタモドキ |
多摩川緑地(等々力緑地)水辺・湿地の生物 | 【哺乳類】 タヌキ、県での減少が懸念されているイタチ、外来種のアライグマ 【鳥類】カルガモ、コサギ、カワセミ、県での減少が懸念されているイカルチド リ、イソシギ 【両生類】アズマヒキガエル、外来種のウシガエル |
多摩川緑地(等々力緑地)河川部分の生物 | 【鳥類】カルガモ、カイツブリ、カワウ、アオサギ、ダイサギ、コサギ、トビ、 カワセミ、コガモ、オオバン、ユリカモメ、セグロカモメ、全国や県での減少が懸念されているハイタカ、県での減少が懸念されているイソシギ、カワラヒワ 【昆虫類】アジアイトトンボ、アオモンイトトンボ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、ウスバキトンボ、コシアキトンボ、アキアカネ、アメンボ、 県での減少が懸念されているハグロトンボ |
釣池で確認された生物(動物) | 【魚類】ブルーギル、ヘラブナ、コイ、マブナ、モツゴ(過去に確認:タナゴ類) 【貝類】サカマキガイ(過去に確認:二枚貝(ドブガイの仲間)) 【エビカニ類】テナガエビ、スジエビ、アメリカザリガニ、ミズムシ 【昆虫類】コシアキトンボ、ユスリカ類 【鳥類】オカヨシガモ、カルガモ、オナガガモ、キンクロハジロ、カ イツブリ、キジバト、カワウ、ゴイサギ、ダイサギ、コサギ、 オオバン、コアジサシ、カワセミ、コゲラ、シジュウカラ、 ツバメ、ヒヨドリ、メジロ、ツグミ、カワラヒワ、ワカケホ ンセイインコ、ドバト 【両生類・ 爬虫類】 ミシシッピーアカミミガメ、ウシガエル |
続いてこちらは、等々力緑地とその周辺の動力物です。
植物は等々力緑地をご覧になってわかるとおりさまざまな植物が育っています。
また動物も哺乳類はタヌキ、イタチ、モグラと少ないですが、鳥類は28種、釣り池の生物なども多数生息しています。
しかし等々力緑地や多摩川に限りませんが、特定外来生物のブルーギル、アメリカザリガニ、ミシピッピーアカミミガメ、ウシガエルなど外来種の生物もかなり入ってきていますね。
この一覧を見ながら、バードウォッチングなど楽しんでみるのもよいかもしれませんね。
これらのほかにも、交通環境などさまざまな等々力緑地周辺の環境データが掲載されていますので、予想以上に興味深く読むことができました。
さて、本題の環境配慮計画書に対する意見募集は、川崎市のウェブサイトで5月22日(月)まで実施しています。
詳細および本資料は関連リンクよりご参照ください。
■等々力緑地再編整備の鳥観図
©Todoroki Park and Link
■球技専用スタジアムへの改修が発表された等々力陸上競技場
©Todoroki Park and Link
【関連リンク】
・川崎市 等々力緑地再編整備・運営等事業に係る環境配慮計画書
(等々力緑地再編整備関連エントリ)
・2019/12/19エントリ 東急が等々力陸上競技場全面改築など緑地再編整備を川崎市にPFI事業提案、市が取組方針案を公表し意見募集
・2020/3/17エントリ 等々力緑地の硬式野球場の建設進む、仮囲いに工事進捗の空撮写真が時系列で掲示
・2020/4/19エントリ 等々力補助競技場の再整備が完成、フィールドが人工芝化され陸上トラックが鮮やかな青色に
・2020/10/19エントリ 県内最大規模・最新設備の硬式野球場「等々力球場」が等々力緑地で供用開始、報道機関向け内覧会・完成記念式典開催レポート
・2021/5/27エントリ 川崎市が等々力緑地再編整備改定骨子案を発表:等々力陸上競技場は球専用スタジアム化、6/1より市民意見を募集
・2021/11/26エントリ 等々力緑地再編整備実施計画改定案が公表、とどろきアリーナ再整備で屋内プール設置、等々力陸上競技場等施設の2029年度整備完了目指す
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