【Reporter:はつしも】
2015/5/11エントリにおいて、JR南武線向河原駅の「開業88周年記念展示」について取り上げました。
その展示の中で、かつて向河原駅と新鶴見駅を結んでいた貨物線「市ノ坪短絡線」が掲載されていまして、向河原駅に残る跡地をエントリ中でご紹介をしておりました。
今回は、その貨物線跡地の遺構を、めぐってみました。
■「市ノ坪短絡線」の跡地マップ
南武線はかつては私鉄の「南武鉄道」であり、多摩川の砂利を運ぶなど貨物列車として活用されていました。
当時、国鉄・私鉄間の貨物列車直通はできなかったため、向河原駅に貨物受け渡しの設備が作られ、JRの貨物路線と接続するために、上記マップのような短絡線が1929年9月11日に作られました。
1944年に南武鉄道が国有化されてからもこの短絡線は使用されていたようですが、貨物専用の武蔵野南線(地下の貨物線)が整備されたことによりその役目を終え、1973年10月1日に廃止となりました。
■向河原駅下りホーム脇の貨物線跡地
前回エントリでご紹介したのが、JR向河原駅に残る貨物線(市ノ坪短絡線)跡地です。
下りホームの脇に残されたスペースにかつて貨物線が引かれ、南武鉄道と国鉄の貨物受け渡しが行われていました。
今回はこの先、現在のJR線との合流地点までをたどっていきましょう。
■南武線下のトンネル
向河原駅からしばらくは、短絡線沿いはNEC玉川事業場と南武線に挟まれて近づくことができません。
玉川事業場の南端あたりで徐々に短絡線が南武線から離れ始め、こちらの南武線下の小さいトンネルをくぐると、市ノ坪短絡線跡地に到達することができます。
■市ノ坪短絡線の両面橋台
南武線のトンネルをくぐると、「中丸子老人いこいの家」の前に、市ノ坪短絡線の「両面橋台」が見えてきます。
この上に、かつて貨物線の線路が敷設されていたわけです。
現在では歩道がスロープになっていて、この橋台の下をくぐるような高さはありません。
おそらくこれは市ノ坪短絡線廃止後に改良したもので、従来はこの下が、先ほどの南武線と同じようなトンネル通路になっていたのではないでしょうか。
■両面橋台から先の緑道
そしてこの両面橋台の先は、中丸子の住宅街の中に入っていくことになります。
現在は、廃線跡地が緑道として整備されています。
■廃線跡地の緑道
廃線跡地の緑道には、各所にベンチ、水道、鉄棒などが設置されていました。
どなたでも利用できる公共スペースになっています。
■緑道を横切る道路
川崎市立橘高等学校の近くに至ると、緑道を横切る道路があります。
確認はできませんでしたが、ここはかつては踏切が設置されていたのかもしれません。
■廃線跡の終わり
■枕木で作った柵
JRとの合流地点にあたる緑道の終点は、地名でいうと中丸子を抜けて市ノ坪に入ります。
終点付近には、鉄道の枕木を使った柵が残されていました。
これもひとつの遺構といえるでしょう。
■線路跡と思われる遺構
■地面に埋め込まれたレール
またこの付近には、線路跡と思われる遺構がありました。
上下線それぞれ、レールの跡のようなものが残されています。
■鉄道境界標
そしてこちらは、鉄道境界標です。
鉄道境界標とは、その名前の通り鉄道用地の境界を示すもので、国鉄のものはカタカナの「エ」のようなマークで、線路の断面をモチーフにしています。
■緑道終点隣接のマンション開発
緑道終点の、JR線との交点では住友不動産によるマンション開発が行われていました。
市ノ坪短絡線が開通してから80年以上の間に、沿線の風景は大きく変わってきたことでしょう。
■御幸踏切を通過する湘南新宿ライン
緑道の終点からJR線沿いに北上していくと、御幸踏切にぶつかります。
ここでは今も新幹線・横須賀線・湘南新宿ラインなどさまざまな旅客鉄道のほか、貨物列車の姿を見ることができます。
武蔵小杉周辺は鉄道路線が集積していますので、さまざまな歴史がありますね。
【関連リンク】
(南武線関連)
・2007/9/28エントリ 南武線の車庫・中原電車区
・2011/4/13エントリ 南武線快速電車が運行開始
・2012/5/30エントリ 中原電車区の鶴見線車両と、クモヤ145形
・2013/1/24エントリ JR武蔵中原駅の発車メロディがフロンターレの応援歌に
・2013/7/3エントリ JR東日本が南武線新型車両導入と各駅乗車人員を発表、武蔵小杉駅は28位に
・2014/2/26エントリ JR南武線武蔵小杉駅の発車メロディが本日よりフロンターレ応援歌の原曲、ザ・クロマニヨンズ「ナンバーワン野郎!」に
・2014/7/25エントリ 川崎市制90周年ヘッドマーク付の南武線が3編成運行中、デザインに「パークシティ武蔵小杉」が登場
・2014/7/20エントリ JR南武線向河原駅前の踏切拡幅工事が完了し供用開始
・2014/8/6エントリ JR南武線新型車両「E233系」が2014年10月導入、新型車両で叶える「あなたの夢」募集中
・2014/8/16エントリ 向河原公園リニューアルで登場、「南武線車両ベンチ」
・2014/10/4エントリ JR南武線新型車両「E233系」本日投入、武蔵小杉駅等で記念商品販売と「懐かしの写真展」がスタート
・2014/10/23エントリ 南武線エキナカで、地産地消。「多摩川梨ジャム」使用商品を販売中
・2014/10/30エントリ JR武蔵小杉駅の連絡通路で新キャラクター「多摩川梨くん」が南武線新型車両「E233系」を紹介中
・2014/11/5エントリ JR南武線新型車両「E233系」乗車レポート
・2015/5/7エントリ 南武線各駅開業88周年記念展示(1):「武蔵小杉駅」
・2015/5/9エントリ 南武線各駅開業88周年記念展示(2):「武蔵中原駅」
・2015/5/11エントリ 南武線各駅開業88周年記念展示(3):「向河原駅」
・2015/7/17エントリ 川崎市が川崎縦貫高速鉄道の計画休止を発表、南武線長編成化を国交省・交通政策審議会に提案へ
・2015/12/2エントリ 戦火に消えた、南武線の駅。玉川中学校・橘高校前の「武蔵中丸子駅」跡地探訪
・2016/1/3エントリ 「懐かしい沿線写真で訪ねる 南武線・鶴見線 街と駅の1世紀」が出版、武蔵小杉駅など各駅の歴史を紹介
・2015/1/9エントリ 南武線「205系」が引退、臨時列車「ありがとう運転」を本日実施/1月31日まで武蔵小杉駅等でJR社員による写真を展示
(南武支線関連)
・2015/1/19エントリ 八丁畷から、無人改札乗り換え。南武支線乗車レポート
・2015/2/5エントリ 川崎市とJR東日本が包括連携協定を締結、南武支線に「(仮称)小田栄新駅」を2016年3月開業へ
・2015/12/22エントリ 南武支線の新駅「小田栄駅」が2016年3月26日開業決定、朝ラッシュ時にダイヤ増発
2015/5/11エントリにおいて、JR南武線向河原駅の「開業88周年記念展示」について取り上げました。
その展示の中で、かつて向河原駅と新鶴見駅を結んでいた貨物線「市ノ坪短絡線」が掲載されていまして、向河原駅に残る跡地をエントリ中でご紹介をしておりました。
今回は、その貨物線跡地の遺構を、めぐってみました。
■「市ノ坪短絡線」の跡地マップ
南武線はかつては私鉄の「南武鉄道」であり、多摩川の砂利を運ぶなど貨物列車として活用されていました。
当時、国鉄・私鉄間の貨物列車直通はできなかったため、向河原駅に貨物受け渡しの設備が作られ、JRの貨物路線と接続するために、上記マップのような短絡線が1929年9月11日に作られました。
1944年に南武鉄道が国有化されてからもこの短絡線は使用されていたようですが、貨物専用の武蔵野南線(地下の貨物線)が整備されたことによりその役目を終え、1973年10月1日に廃止となりました。
■向河原駅下りホーム脇の貨物線跡地
前回エントリでご紹介したのが、JR向河原駅に残る貨物線(市ノ坪短絡線)跡地です。
下りホームの脇に残されたスペースにかつて貨物線が引かれ、南武鉄道と国鉄の貨物受け渡しが行われていました。
今回はこの先、現在のJR線との合流地点までをたどっていきましょう。
■南武線下のトンネル
向河原駅からしばらくは、短絡線沿いはNEC玉川事業場と南武線に挟まれて近づくことができません。
玉川事業場の南端あたりで徐々に短絡線が南武線から離れ始め、こちらの南武線下の小さいトンネルをくぐると、市ノ坪短絡線跡地に到達することができます。
■市ノ坪短絡線の両面橋台
南武線のトンネルをくぐると、「中丸子老人いこいの家」の前に、市ノ坪短絡線の「両面橋台」が見えてきます。
この上に、かつて貨物線の線路が敷設されていたわけです。
現在では歩道がスロープになっていて、この橋台の下をくぐるような高さはありません。
おそらくこれは市ノ坪短絡線廃止後に改良したもので、従来はこの下が、先ほどの南武線と同じようなトンネル通路になっていたのではないでしょうか。
■両面橋台から先の緑道
そしてこの両面橋台の先は、中丸子の住宅街の中に入っていくことになります。
現在は、廃線跡地が緑道として整備されています。
■廃線跡地の緑道
廃線跡地の緑道には、各所にベンチ、水道、鉄棒などが設置されていました。
どなたでも利用できる公共スペースになっています。
■緑道を横切る道路
川崎市立橘高等学校の近くに至ると、緑道を横切る道路があります。
確認はできませんでしたが、ここはかつては踏切が設置されていたのかもしれません。
■廃線跡の終わり
■枕木で作った柵
JRとの合流地点にあたる緑道の終点は、地名でいうと中丸子を抜けて市ノ坪に入ります。
終点付近には、鉄道の枕木を使った柵が残されていました。
これもひとつの遺構といえるでしょう。
■線路跡と思われる遺構
■地面に埋め込まれたレール
またこの付近には、線路跡と思われる遺構がありました。
上下線それぞれ、レールの跡のようなものが残されています。
■鉄道境界標
そしてこちらは、鉄道境界標です。
鉄道境界標とは、その名前の通り鉄道用地の境界を示すもので、国鉄のものはカタカナの「エ」のようなマークで、線路の断面をモチーフにしています。
■緑道終点隣接のマンション開発
緑道終点の、JR線との交点では住友不動産によるマンション開発が行われていました。
市ノ坪短絡線が開通してから80年以上の間に、沿線の風景は大きく変わってきたことでしょう。
■御幸踏切を通過する湘南新宿ライン
緑道の終点からJR線沿いに北上していくと、御幸踏切にぶつかります。
ここでは今も新幹線・横須賀線・湘南新宿ラインなどさまざまな旅客鉄道のほか、貨物列車の姿を見ることができます。
武蔵小杉周辺は鉄道路線が集積していますので、さまざまな歴史がありますね。
【関連リンク】
(南武線関連)
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