「二ヶ領用水・中原桃の会」の皆さんが1985年頃から植樹し、手入れされているものです。
■二ヶ領用水(宮内付近)
■「中原桃の会」による掲示
二ヶ領用水沿いでも、特に桃の木が集中的に植えられているのは中原区宮内付近です。
中原街道との交点付近には、「二ヶ領用水・中原桃の会」による掲示がありました。
この掲示によると、中原の桃は大正10年(1921年)ごろから昭和19年(1944年)2月まで生産されていたといいます。
戦時体制で桃畑が田畑に転換されるまでは、「全国の二大産地」といわれるほどに美味しい桃の里だったといいます。
このあたりのストーリーを舞台にしたのが、中原区の歴史を描く市民んミュージカル「なかはらミュージカル」でしたね。
■なかはらミュージカル「桃の里の物語~すみ子とカンナ~」
なかはらミュージカル「桃の里の物語~すみ子とカンナ~」については、2023/3/12エントリでレポートさせていただきました。
詳細は関連リンクよりご参照ください。
■「寒白(花桃)」
「二ヶ領用水・中原桃の会」の掲示のそばに植えられていたのは、花桃の一種「寒白」でした。
名前の通り純白の花が咲く、白い花桃の代表格ということです。
■「新矢口(花桃)」
一方こちらは「新矢口」です。
2014年に中原区の木が「モモ」に制定された際、ここからほど近い川崎市立中原小学校の美化フラワー委員会5・6年生の21名が植樹したものということです。
植樹してから9年ほどの若木で、まだこれから育っていくことでしょう。
■「黒川矢口」
続いてこちらは「黒川矢口」です。
濃い赤色の八重の花が、ピンクの矢口桃にについて開花するということです。
「矢口桃」「新矢口」「黒川矢口」と、矢口シリーズの品種があるわけですね。
■宮内付近の若木
宮内付近には、さらに若木も植えられていました。
こんな若木でも、近づいてみるときちんと桃の実がみのっています。
桃の木の寿命は木のなかでは短く、農業としての経済性の観点からは15年~20年程度とされています。
大切に保護すれば植物としては30~50年生きることも可能ということですが、それにしてもそれほど長寿ではありませんね。
それだけに「二ヶ領用水・中原桃の会」の皆さんによる手入れや、新たな植樹が「桃並木」の維持には欠かせないということでしょう。
■二ヶ領用水の「選奨土木遺産」指定記念の案内サイン
二ヶ領用水と中原小学校正門前をつなぐ「こすぎごてんみどり歩道橋」近くには、二ヶ領用水が「選奨土木遺産」に認定されたことを記念する案内サインが2015年に設置されていました。
こちらでも「桃の里」としての中原が紹介されています。
こんな歴史もふりかえりつつ、二ヶ領用水を散歩してみてはいかがでしょうか。
■二ヶ領用水沿いの「トトロ」街路樹 (2022年)
■部分的に伐採された現在の街路樹
ところで、二ヶ領用水の宮内付近では、街路樹がトトロの形に剪定されて子どもたちに人気を博していたのを、2022年にご紹介しておりましたが、その後部分的に伐採されていました。
これは視界が悪く交通事故につながるということが理由だったようです。
確かに伐採前後で見比べますと、このこんもりと車道にせりだした木陰に子どもが隠れていて飛び出してくると、危険性が高いように思います。
子どもの安全を第一に考えますと、致し方ないことだったかもしれません。
【関連リンク】
・武蔵小杉ライフ:生活情報:公園 二ヶ領用水
・2012/6/11エントリ 「二ヶ領用水 中原桃の会」による中原区制40周年記念植樹「源平枝垂れ桃」
・2015/3/5エントリ 2015年3月1日制定、「中原区の木・モモ」とシンボルマーク
(二ヶ領用水の選奨土木遺産認定関連)
・2015/4/11エントリ 渋川の地元名称は「シブッカ」?川崎市が二ヶ領用水の選奨土木遺産認定記念の案内サインを設置
・2016/8/26エントリ 二ヶ領用水の桃の実と、こすぎごてんみどり歩道橋前「選奨土木遺産」認定の案内サイン
・2019/8/26エントリ かつて川崎市の工業発展を支えた水源。平間配水所近く、二ヶ領用水取水口跡地の「選奨土木遺産」案内サイン
・2021/7/20エントリ 二ヶ領用水が「国登録記念物(遺跡関係)」の指定受け、中原平和公園内など市内4か所に案内板が設置
・2023/4/16エントリ コスギアイハグに二ヶ領用水の国登録記念物指定案内板が設置、敷地隣接「中丸子堰」の歴史を偲ぶ
(トトロ街路樹関連)
・2022/2/16エントリ 上小田中の二ヶ領用水沿いに「トトロ」街路樹とネコバスのりばが登場、受験生への応援メッセージなどが集まる
(なかはらミュージカル関連)
・2023/3/12エントリ なかはらミュージカル「桃の里の物語~すみ子とカンナ~」が上演、戦時下の中原区と未来への希望描く