2022明治安田生命J1リーグ第17節
「川崎フロンターレvs北海道コンサドーレ札幌戦」が6月18日(土)に等々力陸上競技場で開催されました。
川崎フロンターレはJ1リーグで2連敗を喫している中どうしても負けられない試合でしたが、前半はやや後ろに重たく、先行される苦しい展開となりました。
しかしながら
小林悠選手と家長昭博がそれぞれ2得点を挙げて試合を決め、さらに終了間際にはマルシーニョ選手がカウンターからのドリブル個人技で5点目を挙げて5-2で逆転勝利しました。
また同日、ホームゲームイベントとして
関東最大級のSDGsイベント「第1回かわさきSDGsランド」が等々力陸上周辺で開催されましたので、ご紹介したいと思います。
■「第1回かわさきSDGsランド」
川崎フロンターレは、これまで川崎市や川崎市公園緑地協会、富士通川崎工場と共同でエコ啓発イベント
「CC等々力エコ暮らしこフェア」を開催してきました。
今回開催された
「第1回かわさきSDGsランド」はその発展版イベントで、環境だけでなく、経済、社会も含めたSDGsを川崎市全域で推進していくために開催されたものです。
SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、2015年に国連サミットで採択された国際的な枠組みです。
17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない」ことをコミットしています。
川崎フロンターレではかねてから地域貢献をはじめとしたさまざまな活動を推進しており、その多くがSDGsの目標に紐付いています。
今回の「
第1回かわさきSDGsランド」は「関東最大級のSDGsイベント」と銘打ち、SDGsに関連のあるさまざまな体験型ブースが集まりました。
さらに今回は人気テレビ番組
「水曜どうでしょう」とのコラボイベントも開催され、コロナ禍の中にあったここ2年では最大の集客となりました。
■「経済エリア」の「染めQテクノロジィ」工作教室
「第1回かわさきSDGsランド」は
「環境」「経済」「社会」の3つのエリアで構成されていました。
まずは「環境エリア」の、
「染めQテクノロジィ」の工作教室からご紹介していきましょう。
「染めQテクノロジィ」は、川崎市に拠点を置く抗菌加工等の技術開発企業です。
川崎フロンターレとは川崎市産業振興財団とともにSDGs協業を進めていくことに合意し、4月2日のホームゲーム開催前に調印式が行われたものを本サイトでも取材させていただきました。
■川崎フロンターレ・染めQテクノロジィ・川崎市産業振興財団による調印式(2022/4/3エントリ)
この調印式で合意された協業は下記の3点です。
(1)企業マッチングによる市全体のSDGs活動推進への寄与
(2)川崎フロンターレのSDGsイベントに染めQテクノロジィの出展
(3)川崎市産業振興財団との連携によるSDGs活動推進
今回の「かわさきSDGsランド」において、(2)が実行されたというわけです。
■「染めQテクノロジィ」のスプレー塗料によるトートバッグ作り
今回は
染めQテクノロジィのスプレー塗料により、オリジナルのトートバッグを作る工作教室が開催されました。
■染めQテクノロジィの塗料による段ボール強化
またこちらは、染めQテクノロジィの技術展示です。
段ボールに染めQテクノロジィの塗料を塗布することにより、まるで鉄のような強度になります。
この技術により、段ボールで作られた椅子が展示されていました。
■プルタブによるドレス
■バスケットボールを再利用したシューズ
また飲料缶の
ブルタブを再利用したドレスや、古くなったバスケットボールで作られたシューズも展示されていました。
使わなくなったものを再利用することの大切さを啓発するものでしょう。
■武蔵小杉東急スクエアの「フードドライブ」
また経済エリアでは、
武蔵小杉東急スクエアのフードドライブも実施していました。
これは賞味期限が2か月以上残されているなど一定の基準により使う見込みがなくなった食品を集め、活用するものです。
集められた食品は、「かわさきこども食堂ネットワーク」に提供されます。
■「LEADS TO THE OCEAN 海につづくプロジェクト」によるごみ拾い
また継続的な取り組みとして、
等々力陸上競技場周辺のイベント会場のごみ拾いを行う「LEADS TO THE OCEAN 海につづくプロジェクト」も実施されました。
川崎フロンターレの担当者の方に伺うと、
「今回はたくさんのごみが集まりました」
とのことでした。
■恒例のエコ気球
続いて、
「CC等々力環境エリア」に行ってみましょう。
こちらは従来の
「CC等々力エコ暮らしこフェア」でお馴染みのエコ気球が空に浮かんでいました。
これはヘリウムガスによる大型バルーンで飛んでいます。
■富士通企業スポーツ推進室による取り組み
また「CC等々力エコ暮らしこフェア」の時代から今回の「第1回かわさきSDGsランド」まで、イベントは川崎フロンターレ、川崎市、公園緑地協会とともに
富士通が共同で開催しています。
富士通は武蔵小杉駅などから
等々力陸上競技場までの「街歩きバリアフリーマップ」作りを川崎フロンターレと実施しており、本サイトでもご紹介しておりました。
■川崎フロンターレ×富士通による「街歩きバリアフリーマップ」(2022/3/13エントリ)
「街歩きバリアフリーマップ」については、
2022/3/13エントリをご参照ください。
今回の
「第1回かわさきSDGsランド」では、富士通は車いすバスケットボールやアメリカンフットボールのスポーツ体験などを実施していました。
■車いすバスケットボール体験
■アメリカンフットボール体験
車いすバスケットボールの、スポーツ仕様の車いすに乗ると、足腰のばねが使えないため想像以上にシュートが難しいことに気づかされます。
またアメリカンフットボールのボールに触れる機会はなかなかありませんので、貴重な体験になったのではないでしょうか。
またこのほか、パラスポーツのVR体験などもできました。
■「FDGsエコバッグ作り」
また富士通は
「FDGsエコバッグ作り」も実施していました。
普通なら廃棄してしまう服を使って、針や糸を使わずハサミだけでエコバッグを作るものです。
■「フロンた~け」キーホルダー作り
また
富士通川崎工場は川崎市麻生区の「栗木山王山緑地」において、緑地保全活動を行っています。
この緑地では
雑木林が放置されたことにより竹類が浸食し、荒廃した状態になっていました。
2012年の覚書締結に基づいて、
富士通川崎工場と川崎市の協力により、竹の伐採等の保護活動が行われてきました。
■緑地保全活動で伐採した竹を使ったドーム(過去の富士通フェスティバルイルミナイト川崎より)
コロナ禍以前に開催されていた「富士通フェスティバル イルミナイト川崎」で設営されていた「竹のドーム」は、この緑地保全活動で伐採された竹を活用したものです。
今回の
「第1回かわさきSDGsランド」では、この竹を活用し、川崎市の精密機械加工企業「早川製作所」の協力によるキーホルダーづくりを実施していました。
■「キットパス」体験
水に溶ける環境にやさしい塗料「キットパス」によるお絵かき体験です。
ウエインズグループの協力により、車のボディに自由にお絵かきができるコーナーになっていました。
■川崎フロンターレとのコラボ商品「キットパスきっず」
「キットパス」は川崎市の「日本理化学」の製品で、本サイトでこれまでにもご紹介してきました。
川崎フロンターレとのコラボ商品も過去に発売しています。
■ごみ分別フリーキック
川崎市環境局による、
ごみ分別フリーキックです。
キックターゲットで、楽しくごみ分別を学ぶことができました。
■新城小SDGsかるた
こちらは、新城小学校の児童らによる
「新城小SDGかるた」です。
SDGsの17のゴールに沿ったオリジナルのかるたで、皆さん熱中してゲームに参加していました。
■かんなくずアート「木り絵」でSDGsメッセージを贈ろう!
こちらは、
かんなくずを材料にした「木り絵」のコーナーです。
とても繊細で、美しいアート作品ですね。
今回はこの木り絵を使って、父の日メッセージを贈るワークショップが行われていました。
■みつろうラップ作り
「エシカルシーアトレ川崎店」による、
みつろうラップ作りです。
お子さんでも簡単にできる作り方がまとめられていました。
みつろうラップを繰り返し使うことで、プラスチックの削減や地球温暖化の帽子につながるというものです。
■燃料電池体験
続いて、
「社会エリア」を回っていきましょう。
こちらは、
鉛筆を使った「燃料電池」の体験コーナーです。
燃料電池によるLEDの点灯のほか、手回し発電機による電球点灯体験などができました。
■古新聞紙を使った紙袋作り
「社会エリア」で最初にご紹介するのは、
古新聞を使った紙袋作りです。
「脱ビニール袋」で海洋プラスチックごみをなくしていくべく、エコなバッグを作ってみようというものです。
新聞の柄によって楽しいバッグが出来たりします。
■端材活用のワークショップ
こちらは、
段ボールの端材を使った工作コーナーです。
写真は作品例で、今回は段ボールを使ったバッジ作りが行われていました。
■「ひらまSDGs」
こちらは
川崎市立平間小学校の皆さんによる「ひらまSDGs」です。
平間小学校は、商店街などとも協力してかねてからSDGsの取り組みを推進しています。
今回は
SDGsクイズや、ごみの分別クイズなどを実施していました。
■コネコネせっけんでSDGs
こちらは「かわさきかえるプロジェクト」による
「コネコネせっけん」コーナーです。
コネコネせっけんを型抜きして遊びながら、せっけんを通して地球にやさしい暮らしの提案、SDGsにつながる地域資源循環を紹介しました。
参加者には、
川崎市の給食で出た廃油で作られたリサイクル石鹸「きなりっこ」がプレゼントされました。
■使わなくなったサッカーボールで作ったキーホルダー
続いてご紹介するのは、
使わなくなったサッカーボールでキーホルダーを作るワークショップです。
会場では、使わなくなったサッカーボールを回収するとともに、サッカーボール生地を使ったキーホルダーづくりができました。
■サッカーボールから型抜き
まず、サッカーボールから「8の字」型の生地をくりぬきます。
■キーホルダーに穴あけ
■キーホルダー完成
サッカーボールからの生地の型抜きはさすがに難しいですので、
ワークショップでは簡単な穴あけ加工を体験し、キーホルダーが完成です。
サッカーボールの柄が、なかなか綺麗なデザインになっていますね。
■SDGs輪投げ
SDGsの17の目標を的にした、
SDGs輪投げです。
シンプルなものですが、まずは17のゴールに少しでも触れることを目的とした啓発コーナーです。
■北海道コンサドーレ札幌SDGsプロジェクト「PASS」ブース
また今回は、対戦相手の
北海道コンサドーレ札幌が取り組んでいるSDGsプロジェクト「PASS」のブース出展もありました。
このブースでは、
NPO法人さっされんの協力により、北海道内の福祉事務所で製作された木工品、日用品の販売が行われていました。
またこの販売は、NPO法人ピープルデザイン研究所の協力により、川崎市内の障がいをお持ちの方の就労体験として実施されたということです。
■北海道テレビ放送のマスコットキャラクター「onちゃん」撮影会
そして今回の「第1回かわさきSDGsランド」は、北海道テレビの伝説的人気番組「水曜どうでしょう」とのコラボイベントにもなっていました。
「水曜どうでしょう」は、大泉洋さんが北海道で人気を博し、全国的に有名になるきっかけとなった番組でもあります。
「水曜どうでしょう軍団、襲来!?(SuiyoDodesyoGundanSyurai)」
ということで、完全なるこじつけではありますが、北海道から多くのサポーターが訪れる本イベントにおいては両サポーターが楽しめる企画になっていました。
上記は北海道テレビ放送のマスコットキャラクター「onちゃん」で、今回は撮影会が行われました。
■「北海道のミスター」鈴井貴之さん、中村憲剛さんらによるスペシャルトークショー
■川崎フロンターレFRO中村憲剛さん
■Jリーグ野々村芳和チェアマン
■「北海道のミスター」鈴井貴之さん
■川崎フロンターレクラブ特命大使の中西哲生さん
最後に、今回大人気だったのが、「水曜どうでしょう軍団、襲来!?」のスペシャルトークショーです。
出演者は川崎フロンターレFRO(Frontale Relations Organizer)の中村憲剛さん、「水曜どうでしょう」レギュラーで「北海道のミスター」と呼ばれる鈴井貴之さん、Jリーグの野々村芳和チェアマン、司会は川崎フロンターレクラブ特命大使の中西哲生さんでした。
中村憲剛さんは「フロンターレはSDGsという言葉が出る前からずっとSDGsに取り組んできた」ことに触れました。
長年川崎フロンターレで地域・社会貢献に先陣を切って取り組んできた中村憲剛さんの言葉で語られると、一層説得力があります。
またJリーグの野々村芳和チェアマンからはJリーグの社会連携プロジェクト「シャレン」の説明もありました。
「シャレン!」とは、Jリーグがより豊かな社会を共創していくための取り組みで、「社会連携」を略した言葉です。
3者以上の協力により、幅広い社会テーマに取り組むものとしており、一般からのアイデアもフリーに募集しています。
■本サイトで取材した「シャレン」活動「えがお共創プロジェクト」
本サイトでは、「シャレン」活動として、川崎フロンターレが主催し、川崎市・JTB・全日本空輸(ANA)・富士通が共催により実施した「えがお共創プロジェクト」を2020年、2021年に取材させていただきました。
これは発達障がいのある子どもたちにサッカー教室やパブリックビューイングを体験してもらうもので、大変意義のある取り組みです。
Jリーグでは各クラブがさまざまな取り組みを進め、毎年優れた取り組みが表彰されています。
川崎フロンターレは「えがお共創プロジェクト」で2020チェアマン特別賞を受賞していました。
今回、野々村芳和チェアマンが本イベントに参加されたのは、JリーグとしてもSDGsを積極的に推進していくというコミットメントといえるでしょう。
なお、中村憲剛さんが緑色のゴールキーパー用ユニフォームを着ているのは、その後の始球式でキーパー役を務めたからです。
こちらは鈴井貴之さんとの「ガチ勝負」で、鈴井さんのシュートが大きく枠を外したため中村憲剛さんの勝利となりました。
今回のレポートは、だいぶん長くなりましたが以上です。
これでもイベントの7割程度のご紹介で、冒頭にご紹介した「関東最大級のSDGsイベント」というのがあながち間違いでないことはご理解いただけたのではないでしょうか。
「第1回」ということで、「CC等々力エコ暮らしこフェア」を引き継いで、今後の恒例イベントになっていくことと思います。
【関連リンク】
・川崎フロンターレ ゲーム記録 第17節
(えがお共創プロジェクト関連)
・シャレン!Jリーグ社会連携ウェブサイト 2020Jリーグシャレン!アウォーズ・Jリーグチェアマン特別賞『発達障がい児向けサッカー×ユニバーサルツーリズム/川崎フロンターレ』活動レポート
・川崎フロンターレ 「発達障がい児向けサッカー×ユニバーサルツーリズム」の取り組み 2020Jリーグシャレン!アウォーズ「Jリーグチェアマン特別賞」受賞のお知らせ
・2020/6/18エントリ Jリーグ社会連携で表彰、川崎フロンターレの「発達障がい児向けサッカー×ユニバーサルツーリズム」番外編トークイベント開催レポート
・2020/11/22エントリ 川崎フロンターレが11/21大分戦で開催、「発達障がい児向け親子サッカー教室&パブリックビューイング」密着取材レポート
・2021/11/21エントリ 川崎フロンターレ・川崎市・JTB・ANA・富士通らが「2021えがお共創プロジェクト」開催、等々力陸上競技場で発達障がい児向けサッカー教室やパブリックビューイング実施
(SDGs関連)
・2022/3/11エントリ 東日本大震災から11年:溝の口では川崎フロンターレの街頭募金活動に厚意集まる、中原区役所では弔意の半旗を掲揚
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