日本の人口が減少に転じた、というニュースは割と最近の話ですが、
川崎市においては、2025年まで人口が増加し続ける推計が出ていま
す。国勢調査を基にしたこの推計において、
中原区では2035年まで
人口増加が続くものとされています。
これは、
武蔵小杉再開発に伴う人口増も一要因ではあると思いますが、
大規模マンション数棟だけであと27年間人口が増加し続けるわけでは
なく、
全市域における都市化が進み続ける、ということでしょう。
そんな中、
来年度に小学校のキャパシティ不足が発生し、仮設校舎
などによる手当てが行われることがあきらかになりました。
これは、
12月16日に行われた川崎市議会の第5回定例会において、
原修一議員の一般質問に対して教育長が答弁しているものです。
■答弁の概要
●中原区では、2014年度までの小学校児童数の増加を推計
(クラスはいずれも普通学級)
下沼部小学校 522人・13クラス増加
上丸子小学校 315人・9クラス増加
今井小学校 395人・10クラス増加
西丸子小学校 145人・3クラス増加
中原小学校 117人 3クラス増加
東住吉小学校 31人減少 1クラス増加
●再開発エリアの下沼部小学校、上丸子小学校において2009年
度にキャパシティ不足が発生
下沼部小学校 4クラス不足 ⇒ 仮設校舎を4クラス分設置
上丸子小学校 2クラス不足 ⇒ 仮設校舎を3クラス分設置
●今井小学校において2014年度に10クラス不足、新校舎を増築
今井小学校 10クラス不足 ⇒ 新校舎を11クラス分増築
※2009年度に設計、2010年度に着工、2011年度に竣工予定
答弁内容は上記の通りですが、少々驚きの内容となっています。
まず、再開発エリアの学区となっている
下沼部小学校と上
丸子小学校
ですが、いずれもかなりの生徒数増加が見込まれています。
下沼部小学校を見てみると、2008年4月1日現在の生徒数は
273人・
10クラスとなっていますが、そこに
あと6年間で522人・13クラスの
増加が見込まれています。
生徒数にして2.9倍の規模に膨らみ、現在の下沼部小学校があと2つ
ほど出現することになります。クラスの増加が2.3倍なのは、1クラス
あたりの人数を一杯まで入れるということでしょう。
下沼部小学校と上丸子小学校については
来年度からそれぞれ4クラ
ス、2クラスの不足が発生し、仮設校舎を建設することになりました。
これについては、先日上丸子小学校にお子さんが通う方からも情報を
いただいたところです。
■下沼部小学校
■上丸子小学校
少々突っ込みたいのが
今井小学校についてで、教育長の答弁では
「2014年度に10クラスが不足するため、2011年度に11クラス分の
増築」という言い方をされていたのですが、これは少々言い方がおか
しいな、と思いました。
上記の答弁ですと、さも問題なく間に合うかのような言い方になります
が、「2014年度に10クラスが不足」というのは、
2014年度まで校舎の
不足が発生せずに、2014年度に突然10クラス不足になるわけでは
ないですよね。
今井小学校は再開発エリアではなく、生徒数の上昇カーブは比較的
一定でしょうから、2009年度から2011年度の間にはすでに何クラス
かの不足が発生しているはずです。今回の一般質問では、それに対
する説明や対策は答弁されず、疑問が残るかたちとなりました。
(この点、原修一議員も同様の疑問を持っていたようですが、答弁を
引き出すには至りませんでした)
■今井小学校
武蔵小杉ライフでは、保育園・幼稚園については以前より取り上げて
きましたが、小学校については、再開発エリアの学区となる上丸子小
学校、下沼部小学校についてキャパシティ上の問題があると認識して
おりませんでした。
理由は2点で、以前よりキャパオーバーで新規マンションの学区変更
などが行われた今井小学校が1学年4~5クラスを擁するのに対し、
上丸子小学校では2~3クラス、下沼部小学校では1~2クラスの編成と
なっていることと、
当初の川崎市の見解として、現有施設で対応できる、
と表明されていたことによるものです。
2003年7月9日の川崎市議会第3回定例会において、やはり教育長
が下記の答弁を行っています。
■2003年7月9日の教育長の答弁
「武蔵小杉駅周辺開発に伴う通学区域についての御質問でござい
ますが、再開発地域の通学区域につきましては、中丸子Ⅰ街区と
中丸子Ⅱ街区は下沼部小学校、玉川中学校となり、小杉3丁目中央
地区は今井小学校、今井中学校となります。小杉駅南部地区は、
東急東横線を挟んで西側は今井小学校、今井中学校となり、東側は
上丸子小学校、中原中学校となります。いずれの学校も教室数など
の施設面では、武蔵小杉駅周辺開発に伴う児童生徒の増加に対応
できるものと考えております。」
再開発計画は2003年当時より拡大されていますが、拡大部分(小杉
駅北部地区や東京機械製作所跡地など)の事業については、現実に
キャパオーバーとなる来年度の段階ではいずれも具現化されていま
せん。
これは、純粋に川崎市の読み違いということになりますね。
以前、再開発地区の小学校のキャパシティについてコメントでご質問
いただいた際にも、逼迫はしていないのでは、という趣旨の返信を申し
上げていたかと思うのですが、足元の現状と異なるということで、お詫び
の上訂正させていただきます。
さて、冒頭に述べました
中原区の人口増加のピーク(2035年)ですが、
これは2007年に川崎市が取りまとめたものです。過去エントリでも
取り上げましたが、その4年前、2003年の推計では中原区の人口
ピークは
2015年となっており、
わずか4年間で20年もピークが伸びた
ことになります。
(この推計のブレ≒小学校キャパの読み違いということではないかと
思います)
またここから4年経過したとき、推計がまた変わっている可能性も大い
にあるのでしょう。小学校の整備という生活基盤の投資にあたっては
綿密な調査を行い、随時アップデートもしていくことが必要かと思い
ます。
【関連リンク】
2007/6/8エントリ 武蔵小杉の将来推計人口
川崎市総合教育センター 市立学校紹介 中原区