東急武蔵小杉駅の東西では、現在再開発事業が計画されており、
■A地区「武蔵小杉駅南口地区西街区第一種市街地再開発事業」
(こすぎFROM・小杉第一公園・中原変電所跡地)
■C地区「武蔵小杉駅南口地区東街区第一種市街地再開発事業」
(中小企業婦人会館等跡地)
上記2案件がこれから着手されます。これは東急武蔵小杉駅の
東西を挟むかたちになっていて、いずれも
高層マンションに加えて
4~5階建ての商業施設(中原図書館やメディカルモールを含む)が
建設されます。
駅の東西が商業施設で挟まれることから、駅舎の上部の利用に
ついても取りざたされており、こちらについては
B地区として東京
急行電鉄が計画を検討中というフェーズになっています。
■東急駅舎上部(写真奥がA地区・手前がC地区)
そのB地区に関して、2008年6月23日に行われた
平成20年川崎
市議会第2回定例会において、
原修一議員がまちづくり局に対して
一般質問を行っています。
<平成20年川崎市議会第2回定例会より>
■原修一議員
まず初めに、武蔵小杉の再開発についてでありますけれども、東急東横線
駅舎に隣接します
西街区の工事が、東電地中化を含めていよいよ本格的に
スタートいたしました。
東急東横線の駅舎の上をまたぐのか、まだ不透明な
ところもありますが、いずれにせよ、このビルが小杉再開発のシンボル的な
タワーになるのかなと思います。全体像としてどんな建物になるのか伺って
おきます。また、完成年度はいつごろなのかも伺います。以上です。
■まちづくり局長
武蔵小杉駅南口地区西街区再開発事業についての御質問でございますが、
まず、現在の進捗状況といたしましては、街区内にあります東京電力変電所
を地下に設置するための躯体新築工事を施工中でございます。
また、変電所移設に伴う送電線などの地中化につきましては、既に駅南側
高架下付近まで完了しており、夏の電力需要に間に合うよう、
平成21年夏前
までには送電線切りかえ工事も含め変電所の移設が完了する予定でござい
ます。
次に、再開発ビルの全体像につきましては、高さ約140メートル、地下2階
地上37階建てとなっており、その
低層部には近隣型の商業施設を配置し、
中原図書館を移設するとともに、駅に沿って通り抜けができる通路を設ける
ことにより、歩行者の回遊性の向上を目指しております。
また、上層部には約338戸の都市型住宅を建設して、駅前にふさわしい魅力
ある複合建築物の整備を計画しており、
平成24年度には完成する予定で
ございます。以上でございます。
■原修一議員
先ほども申し上げましたように、東急東横線のホームを挟んで西街区、さらに
は東街区の計画があります。今答弁のありましたように、それが完成しますと、
東京急行の東横線の駅の駅舎を挟んで、非常に交流が期待できるんです
けれども、いまだに東急電鉄の動向が見えてこないのですが、
駅ビル構想は
今申し上げたように東西の連絡的な要素においても必要不可欠と思いますが、
東急電鉄の動向がわかりましたらひとつお示しをいただきたいと思います。
■まちづくり局長
東急小杉駅についての御質問でございますが、駅ビル等に関しましては、
現在のところ東急電鉄からは具体的な計画案は示されておりません。しかし
ながら、本市といたしましては、東急武蔵小杉駅が西街区と東街区をつなぐ
重要な地区であり、また、駅が広域拠点である小杉地区の玄関口に当たる
ことから、その
上部利用につきましては、交流とにぎわいのある施設の配置が
望ましいと考えております。したがいまして、東西街区との一体的な施設利用
が可能となるよう
東急電鉄に要望しているところでございます。以上でござい
ます。
■原修一議員
東急電鉄に要望していくということで、ぜひ積極的に早急な働きかけをお願い
したいと思います。東街区も西街区も
川崎市は地権者の一人でございますし、
よく私は、あの地区に
コンベンションホールが欲しいと、こういう質問を再三議会
で申し上げております。ちょうど武蔵小杉の駅舎の上層部も1,000人程度の
スペースは確保できると伺っておりますし、ぜひそこらも検討に加えていただき
たいと思いますので、これはひとつよろしくお願いしたいと思います。
<引用終わり>
・・・ということで、東急電鉄から明確な計画はいまだ出ていないよう
ですが、川崎市としてはやはり
西街区と東街区の商業施設を一体化
する駅舎上部の建造物を要望しているのですね。
私も、武蔵小杉ライフでこれまでも推測として言及してきましたが、
「普通、そうするだろうなあ」という個人的観測でしかありませんでした。
今回の市議会において、川崎市としての公式見解が確認できたかたち
になります。
また、西街区と東街区については、
川崎市も地権者であることは知りま
せんでした。となると、地権者として、行政サイドとしてのハンドリングも
他の民間案件よりききやすいのではないかと思います。
(東急駅舎上部については地権者は東急電鉄のみだと思いますので、
あくまで純粋な行政からの要望になりますが)
何しろ駅の真上ですから、有効活用して東西の商業施設を接続でき
れば利用者としても
回遊性が高まって便利ですし、西街区・東街区・
東急武蔵小杉駅の3者すべてのバリューも高まることになります。
東京急行電鉄の
投資家向け説明資料では、
3,000㎡の人工地盤を
設置することのみがあきらかになっており、面積としてはホーム上部
ほぼすべてを覆うだけの面積になります。
■東京急行電鉄 投資家向け説明会プレゼンテーション資料
http://www.ir.tokyu.co.jp/files/pdf/in_071121_0.pdf
(資料中、右下に記載されたページ数の9ページ目を参照ください)
人工地盤を設置する以上、駅舎上部に何らかの建造物を建設する
ことは確定しており、その内容に注目が集まります。
■東急武蔵小杉駅舎(C地区より)
一方、
武蔵小杉駅南口地区西街区についてですが、
答弁中、西街区の商業施設については
「近隣型」という言葉が出て
います。これは、流通業界でいうところの
「NSC(ネイバーフッドショッ
ピングセンター)」をさしているのではないかと思います。
NSCとは、生鮮食料品や医療品、日用品、カジュアル衣料や雑貨など、
ある程度近隣の商圏を対象にしたショッピングセンターが一般的なもの
とされています。
しかし、そうすると近隣地区の商店と競合することになり、
2008/2/11
エントリ「市長の語る武蔵小杉再開発の商業施設」で取り上げた
阿部
市長の考えとは矛盾してくるような気がしますが、いかがでしょうか。
一部だけ阿部市長の発言を再度引用しますと、
<タウンミーティングにおける阿部市長の発言より>
■阿部市長
ですから、小杉に1万5,000 人の、かなり所得の高い家庭が増えるということは、
それだけ可能性が高くなるということです。当然それを狙ってお店も出てくるだろ
うと思うんですが、これについても、実は地元の商店街からお客さんを奪うような
形じゃなくて、
東京や、渋谷や横浜からお客さんを連れてこれるような、そういう
施設が望ましいんだよというお話ししているんですね。
<引用終わり>
ということで、近隣商圏ではなくより広い商圏をターゲットにすべき、
という趣旨の発言をされています。
西街区の商業施設については中原図書館も含まれ、ある程度規模の
制約がありますから、阿部市長が念頭に置いていたのは東京機械
製作所跡地の
大型複合商業施設のことだったのかもしれません。
また、市長のビジョン・要望ベースと現実が異なることもありうるで
しょうね。
細かい話ですが、まちづくり局の答弁ですとA地区の再開発ビルが
地下2階・338戸となっていまして、現地の
「建設計画のお知らせ」では
地下3階・310戸(予定)となっているものと相違しています。これは、
計画の変更が行われているものと思われます。
(武蔵小杉ライフでは、基本は公示ベースでの記載としております)
ということで、川崎市議会における答弁からの情報でした。
まだイメージの固まっていない
東急駅舎上部(B地区)については
いつごろ計画が公表されるのか、特に気になるところです。
【関連リンク】
2008/2/11エントリ 市長の語る武蔵小杉の商業施設
武蔵小杉ライフ:再開発情報:小杉駅南部地区A地区
武蔵小杉ライフ:再開発情報:小杉駅南部地区B地区
武蔵小杉ライフ:再開発情報:小杉駅南部地区C地区