武蔵小杉ブログ(武蔵小杉ライフ 公式ブログ)

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2015年
11月21日

「多摩川スピードウェイ・回顧展」が11月21日(土)・22日(日)開催、第1回レース優勝車「オオタ号」を展示中

【Reporter:たちばな・はつしも】

2015年11月21日(土)と22日(日)の2日間(10時~16時)にわたって、田園調布せせらぎ公園において「多摩川スピードウェイ・回顧展」が開催されています。

■「多摩川スピードウェイ・回顧展」
「多摩川スピードウェイ・回顧展」 

「多摩川スピードウェイ」は、中原区の多摩川河川敷(東急線鉄橋付近)にあった自動車・オートバイレース用のサーキットで、本サイトでも2015/10/13エントリでご紹介しておりました。
3万人を収容する日本初の常設サーキットとして1936年に開業し、同年6月7日に「第1回全国自動車競走大会」がここで開催されました。

その後外国車の参戦もあり人気を集めましたが、戦時中の娯楽自粛により自動車レースの開催は途絶えてしまいました。

今回の「多摩川スピードウェイ・回顧展」は、来年第1回大会から80周年を迎えるにあたって、当時の記録を次世代に残す機運が高まり、開催される運びとなったものです。

■会場の「田園調布せせらぎ公園」
会場の「田園調布せせらぎ公園」

■同公園の駐輪場
同公園の駐輪場

「多摩川スピードウェイ」は前述の通り川崎市中原区の多摩川河川敷にありましたが、今回の回顧展が開催されているのは、大田区側の「田園調布せせらぎ公園」です。

東急東横線・目黒線多摩川駅を降りて、東側の駅前にすぐに会場の建物が見えます。
武蔵小杉からは電車からのアクセスが便利ですし、駐輪場もありますので自転車で丸子橋を渡ってもよいでしょう。

■第1回優勝車「オオタ号」
第1回優勝車「オオタ号」

今回の展示の目玉は、第1回全国自動車競走大会の優勝車「オオタ号」です。

第1回大会には、本田技研工業創業者・本田宗一郎氏も弟の本田弁二郎氏とともに「浜松号」で出場しました。また日産自動車の源流となった「ダットサン」、現在のヤナセ自動車となる「簗瀬自動車」も参戦していました。

まさに現在の自動車産業の発展につながる、錚々たる顔ぶれと言えるでしょう。

■「オオタ自動車」のマーク
「オオタ自動車」のマーク

その中で優勝したのが、初期の自動車産業の一翼を担った「オオタ自動車」の「オオタ号」です。
「オオタ号」は同社が手作業で組み上げた車で、資本力では劣るものの確かな技術力で栄冠を手にしました。

■高い技術力の結晶、「オオタ号」のエンジン
高い技術力の結晶、「オオタ号」のエンジン

当初の優勝候補は会社の規模と資本力で勝る「ダットサン」という下馬評でした。
日産自動車社長の鮎川義介は第1回大会を観戦したものの、敗北にたいへんな屈辱を感じて社員に檄を飛ばし、雪辱を期したという逸話が残っています。

■「オオタ号」の車内
「オオタ号」の車内

■側面から
オオタ号の側面

展示してある「オオタ号」の車内はワインレッド一色で、デザインも美しく感じました。
さすがに80年前のままではなく、復元を行ったものです。

■「多摩川スピードウェイ熱戦譜」
多摩川スピードウェイ熱戦譜

会場では、「多摩川スピードウェイ熱戦譜」が無料で配布されていました。
こちらで当時のレースの記録が写真つきで解説されています。

■館内の展示
館内の展示

また、今回の回顧展では、当時の多摩川スピードウェイの写真や、第1回大会・第2回大会の録画映像なども展示されています。

こちらは、実際に会場で見てみてください。

■多摩川スピードウェイと多摩川園の絵
多摩川スピードウェイと多摩川園の絵 

館内展示のひとつ、多摩川スピードウェイ周辺を描いた絵だけご紹介しておきましょう。
左側が多摩川スピードウェイ、右側がかつて多摩川駅前にあった「多摩川園」です。

現在のテニスコートにあった「田園コロシアム」なども描かれています。
多摩川を挟んだこの一帯は、かつては大きな娯楽エリアだったことがわかります。

今回の主催は一般社団法人大田観光協会・多摩川スピードウェイの会であり、東京急行電鉄が協賛しています。
大田区長も回顧展開催に期待を寄せるなど大田区側で盛り上がっているようですが、多摩川スピードウェイがあったのは川崎市中原区ですね。

ここは是非川崎市として、産業史の一角を担った遺産である多摩川スピードウェイを考えてはいかがかと思います。

■「多摩川スピードウェイ」のメインスタンド
「多摩川スピードウェイ」のメインスタンド

2015/10/13エントリでは、多摩川堤防の斜面を活かしてつくられた3万人収容のメインスタンドの遺構をご紹介しました。

「多摩川スピードウェイの会」は現地に記念碑を建てたいと考えており、また当時レースに参加した走った実車を招いたイベントを行いたい意向も示しています。

この実車は現在日本国内に3台が現存しており、2台がホンダ自動車の「ホンダコレクションホール」(栃木県芳賀郡茂木町)が所蔵しているということですから、実現する可能性はありそうです。

その際は、実際にレースが行われた「多摩川スピードウェイ」跡地でイベント開催ができると良いと思います。

【関連リンク】
ホンダ自動車 ホンダコレクションホール
日産自動車 HERITAGE GALLARY
2011/11/25エントリ 大田区側から見る武蔵小杉再開発ビルと、富士山
2015/3/22エントリ 多摩川浅間神社の見晴らし台から望む、武蔵小杉周辺パノラマ
2015/8/21エントリ 多摩川浅間神社・河川敷から見る武蔵小杉の高層ビルと、富士山の夏景色
2015/10/13エントリ 中原区にあった、日本初の常設サーキット。「多摩川スピードウェイ」メインスタンド跡地を歩く

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