これはスマートフォンの普及による社会情勢の変化、交番等の老朽化や狭隘化を踏まえ、既存の交番の統合および建て替えを進めるものです。
一方で交番統合を理由とする警察官の削減は行わず、各交番における複数勤務体制を確立するとともに、統合後の治安対策としてパトカーの増車等も行われる計画です。
この計画では各年度ごとに7~8か所程度の交番が統合される計画になっていまして、2024年度(2025年3月)に「向河原交番」が「中丸子交番」に統合されることが告知されました。
■川崎市立下沼部小学校前の「向河原交番」
「向河原交番」は、中原区下沼部にあります。
ここは川崎市立下沼部小学校の隣接地にありまして、同小学校の児童や保護者の皆さんにはお馴染みの存在です。
■「向河原交番」統合のお知らせ
向河原交番の掲示板には、交番統合のお知らせが掲示されていました。
ここには統合の趣旨が書かれていまして、まとめると以下の通りです。
●築30年以上の老朽化交番が約50%を占め、順番に建て替えると年2~3か所で約200年以上かかる
●老朽化した業務量の少ない交番を統合し、そのコストを今後維持すべき交番の建て替えに充てる
●これにより年間10か所の建て替え実施を目標とする
現状の向河原交番は1973年建築で、すでに築51年を迎えます。
耐用年数41年ということですから、すでに耐用年数を10年上回っていることになります。
■限られた敷地で駐車場のない「向河原交番」
また向河原交番は、敷地が限られているため駐車場がありません。
神奈川県警の計画では統合後の治安対策としてパトカーを活用するものとしていますが、ここではそれがかないません。
下沼部小学校の隣にあり、小学校としても安心感は大きなものだったと思いますが、このような状況から統合廃止の判断に至ったものと思われます。
■南武沿線道路沿いの「中丸子交番」
一方こちらは、統合相手の「中丸子交番」です。
2008年建築でまだ築16年と比較的新しく、駐車場があります。
前述のとおり、統合を理由とした警察官の削減は行わないということですから、ここの人員が増強されます。
複数勤務体制を確立したうえで、パトカーも活用した治安対策を行うことになります。
確かに、昨今の交番はなんとなく「無人」のイメージが強くなっていたように思います。
「複数勤務体制を確立する」ということは逆に言えば現状はワンオペが少なくないということで、パトロールや何か対応案件があれば無人になってしまうケースも不可避だったのではないでしょうか。
神奈川県警の計画資料にも言及がありましたが、昨今はスマートフォンの普及などにより社会環境が変わり、交番に期待される役割やニーズも変わってきているようです。
中丸子交番については機能強化されることになりますが、一方で以前からあった交番がなくなることには、心理的な不安感もあるかもしれません。
この点は、地域向けに丁寧な説明が必要となるでしょう。
【関連リンク】
・神奈川県警察 神奈川県警察交番等整備基本計画の策定について
・2019/7/31エントリ 「なつやすみ中原区こども交番スタンプラリー」開催中、川崎フロンターレ・東急バス記念品や「小杉らぁめん夢番地」割引サービスを提供