川崎市が「武蔵小杉駅周辺開発計画に関する意向調査」のアンケート結果を取りまとめ、川崎市のウェブサイトに報告書を掲載しました。
■川崎市 武蔵小杉駅周辺開発計画に関するアンケートの結果について
http://www.city.kawasaki.jp/500/page/0000060732.html
これは、日本医科大学武蔵小杉病院跡地の再開発計画について、中原区民の幅広い意見を集約することを目的としたものです。
■武蔵小杉駅北口地区再開発マップ
■B街区・C街区の断面イメージ
日本医科大学武蔵小杉病院および同大学新丸子キャンパスは移転・建て替えを予定しており、その跡地には三菱地所レジデンスによる180m程度のツインタワーマンションが建設されることが計画されています。
川崎市及び事業者としてはこの日本医科大学再開発について、通常の環境アセスメントよりも早期の段階で地域の意見を受け付けることとしており、2014年2月12日および本日15日に本事業の地元向け説明会が行われました。
この説明会参加者を対象としたアンケートが行われましたが、これは近隣町内のみを対象としたものでした。
今回川崎市が行ったアンケートは、中原区全体から無作為に2,000人を抽出し、そのうち479名から回答を得たものです。
このアンケートの質問事項は、回答者の属性に関するものを除き、以下の3点です。
1.C街区(現在の病院敷地)に計画されている建物の低層部には、店舗やサービス施設
などの導入が想定されていますが、具体的には、どのような用途が望ましいとお考えで
すか。 該当する項目にチェックをお願いします。(複数でも結構です)
2.建物以外のオープンスペースには、どのような機能の導入が望ましいとお考えですか。
該当する項目にチェックをお願いします。(複数でも結構です)
3.その他、当開発に関するご要望などが御座いましたらご記入願います。
これらの質問に対する回答は、抜粋すると以下の通りです。
■質問1 希望する店舗やサービス施設の回答
<医療・福祉・健康増進施設>
<物販・飲食店舗・サービス店舗>
再開発ビルに希望する店舗やサービス施設については、「保育所」「飲食店」「書店」「スーパーマーケット」などが高い支持を集めることになりました。
「保育所」は、まさに武蔵小杉駅周辺の街の課題ですね。
「飲食店」「書店」は、店舗のアンケートを取ると大体上位にくるのではないかと思います。
かつては武蔵小杉タワープレイスに文教堂がありましたが閉店してしまい、現在では北口には新丸子まで行かないと書店がありません。
そのあたりも、アンケートで上位に入った要因かと思います。
■質問2 オープンスペースに希望する機能
オープンスペースに求める機能としては「豊富な緑化空間」「災害発生時の避難場所」「子供が遊べる広場」が上位になりました。
現在の日本医科大学グラウンドには、見事なソメイヨシノが立ち並んでいますが、再開発によってどうなるかはわかりません。
建物の高層化とオープンスペースの提供はトレードオフの関係にあり、事業上の制約はあるのでしょうが、最大限地域に寄与するものになれば良いと思います。
質問3は自由記載で、200人から367件のさまざまな意見が提出されています。
回答内容は幅広く拡散していますので全体をまとめることは難しいのですが、前掲の川崎市の資料では以下が「主な意見」として要約されています。
■質問3 自由意見の主な回答(※川崎市による要約)
<医療・福祉・健康増進施設に関すること>
・保育所の整備
・医療機能の充実 等
<オープンスペースに関すること>
・緑地の整備
・駐輪場の整備 等
<開発計画全般に関すること>
・高層住宅建設に反対
・ビル風への懸念・対策の要望
・高齢者に優しいまちづくり
・子育て環境の整備
・歩道の整備、バリアフリー化
・人口増が不安、鉄道等公共インフラのキャパシティ不足 等
このうち最も多かったのは、「高層住宅建設に反対」(31件)でした。
全回答者数が479名ですから、約6.5%の方が自由記載で記述されたことになりますね。
川崎市としては、今回のアンケート結果をもとに、以下の考え方で開発計画を策定していくこととしています。
■アンケート結果を踏まえた開発計画策定の考え方
・子育て世帯が増加している小杉駅周辺地区の特徴に対応した「子育て支援機能の整備、充実」を図る。
・超高齢化社会に対応するための「医療・福祉施設の整備」を図る。
・「緑地・広場の創出」や「防災機能の強化」等を図る。
・物販・飲食店舗・その他サービス施設については、アンケート結果に加え、地元商店街等の意見、事業性を踏まえながら、機能導入を図る。
・自由意見の中でビル風などの開発に伴う懸念事項もあることから、周辺環境に配慮した計画とするとともに、事業者との調整を図る。
また今後のスケジュールは、以下の通りです。
▼想定スケジュール
・2014年~2015年:環境アセスメント手続き
・2015年:都市計画決定
・2016年:B街区(日本医科大学病院)着工
・2018年:B街区(日本医科大学病院)完成
・2019年:C街区(ツインタワー)着工
・2022年:C街区(ツインタワー)完成
※スケジュールは想定であり、変更される可能性があります。
現状のスケジュールからすると、本年度から来年度にかけてのどこかの段階でアンケート結果も踏まえた環境アセスメント手続きに入ることになりそうです。
ここまでの地元説明会や区民アンケート等は事業者や川崎市が任意で行っているものですが、環境アセスメント以降は法定の行政手続きとなります。
環境アセスメントにおいては、またあらためて所定の説明会等が行われることになるでしょう。
■日本医科大学武蔵小杉病院・新丸子キャンパス用地
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