【Reporter:はつしも】
本日、Jリーグで優秀な成績を収めた選手や監督、クラブ等を表彰する
「2020 Jリーグアウォーズ」が開催されました。
川崎フロンターレからは
チョン・ソンリョン選手、谷口彰悟選手、ジェジエウ選手、山根視来選手、登里享平選手、守田英正選手、田中碧選手、三笘薫選手、家長昭博選手の9人がベストイレブンに選出されました。
他クラブからの選出はフォワード枠のオルンガ選手(柏)、エヴェラウド選手(鹿島)のみであり、
ベストイレブンが「ほぼ川崎フロンターレ」という異例の受賞となりました。
同一クラブから11人中9人が選出されたのは、史上最多ということです。
一方、注目された
最優秀選手賞(MVP)については、三笘薫選手が選手・監督による最多得票を得たものの、28得点という圧倒的な成績を残したオルンガ選手が受賞し、優勝クラブからの選出はなりませんでした。
■DAZN twitter 2021Jリーグアウォーズ
ベストイレブンに選出されるためには、まずは
Jリーグ優秀選手賞に選出される必要があります。
今回、
J1各クラブから33名が選出され、そのうち13名が川崎フロンターレからの選出となりました。
■川崎フロンターレ選出のJリーグ優秀選手賞(13人)およびベストイレブン(★印9人)
ゴールキーパー |
チョン・ソンリョン★ |
ディフェンダー |
谷口彰悟★、ジェジエウ★、登里享平★、山根視来★ |
ミッドフィールダー |
家長昭博★、大島僚太、田中碧★、三笘薫★、守田英正★、脇坂泰斗 |
フォワード |
小林悠、レアンドロ ダミアン |
ベストイレブンは、基本的にレギュラーポジションを得ている選手でないと受賞が難しいものです。
サッカーは11人でやるものですが、今年の
川崎フロンターレからは、それを上回る13人が受賞しました。
キーパー、ディフェンダーはそれぞれ定員通りですが、ミッドフィールダー、フォワードでそれぞれ1名ずつプラスで受賞しています。
今シーズンは新型コロナウイルスの影響により中断期間があり、再開後は過密日程となりました。
1試合の交代枠が3名から5名に拡大され、
より多くの選手を併用しながらのチーム運営となったこと、川崎フロンターレの選手らがスタメン・リザーブの区別なく活躍したことが今回の13名受賞の要因となりました。
■GKチョン・ソンリョン選手
GKの
チョン・ソンリョン選手は、元韓国代表です。J1リーグ戦34試合フル出場を果たしました。
昨季は一時調子を落とし、後半に新井章太選手(現在はジェフ千葉に移籍)にスタメンを奪われるなど悔しさもありましたが、今季見事に復活しました。
35歳のベテランですが、
クラブが今季から取り組んだ新戦術にも取り組み、まだ成長できることを示しました。
また従来からの長所であるセーブ力も健在で、幾度となく決定機を防ぎました。
今季の
川崎フロンターレの31失点は、名古屋グランパスの28失点に次いで少ない数字です。
■DF谷口彰悟(たにぐち しょうご)選手
センターバックの
谷口彰悟選手は、今季からキャプテンに任命されました。 前キャプテンの小林悠選手から「自分がキャプテンだった時から彰悟ががキャプテンのようなもの」と評されるリーダーシップを発揮し、ディフェンスの最終ラインからチームを鼓舞しました。
判断力の良さと統率力、ビルドアップの巧みさなどサッカーの実力はもちろん、イケメンで人望もあり、ファンサービスにも積極的な「超人」として知られる人気選手です。
今年はキャプテンでしたので、J1リーグ優勝の「シャーレ」を掲げるのは谷口選手の仕事でした。
■DFジェジエウ選手
谷口彰悟選手とセンターバックでコンビを組むのが、
ジェジエウ選手です。
昨季ブラジル・ミネイロからレンタル加入してレギュラーに定着。今季から完全移籍となりました。
川崎フロンターレの「超攻撃的」戦術はディフェンスラインをかなり高くまで上げる(ゴール前を空ける)ためカウンターのリスクもありますが、仮に
中盤で抜かれても追いつける圧倒的なスピード、当たり負けないフィジカルで幾度となくピンチを救いました。
また今年はセットプレーを中心に得点も記録し、ジェジエウ選手に救われた試合が多くありました。
■DF山根視来(やまね みき)選手
川崎フロンターレの「超攻撃的」戦術においては、
サイドバック(両サイドの守備選手)の攻撃参加がきわめて重要です。
ゴール前中央を守る「センターバック」は敵陣ゴールまで上がり切るわけにはいきませんが、両サイドのサイドバックは敵陣深くまで上がり、中央にボールを送ったり、時にはゴール前に切れ込んでシュートを打つこともあります。
「攻撃的な右サイドバック」を体現し、2017・2018シーズン連覇の力となったのが、現在は清水エスパルスに移籍したエウシーニョ選手でした。
同選手の退団後、2019シーズンについてはなかなか右サイドバックの固定ができませんでしたが、2020シーズンに湘南ベルマーレから加入した
山根視来選手が序盤からフィットし、シーズンを通して活躍しました。
「とにかく走る」湘南ベルマーレ出身らしく、山根選手は右サイドを駆け上がり、たびたびチャンスを作り出しました。
■DF登里享平(のぼりざと きょうへい)選手
山根視来選手の反対側、左センターバックの今季レギュラーは、
登里享平選手でした。
近年は同ポジションの車屋紳太郎選手がレギュラーを掴み、登里選手はスーパーサブ的な起用でしたが、今季はほぼスタメンで出場しました。
高卒から川崎フロンターレ一筋12年目のベテランで、左サイドからの攻め上がりで巧みな連携を見せました。
ベストイレブン選出選手の中では唯一無得点でしたが、
登里選手が起点となった得点は非常に多く、「影のMVP」とも評されています。
■MF守田英正(もりた ひでまさ)選手
今季川崎フロンターレが挑戦した
新フォーメーション「4-3-3」(守備4人、中盤3人、攻撃3人)システムは、中盤の3人が三角形にポジショニングします。
この三角形は前に「インサイドハーフ」2人、後ろに「アンカー」1人を置くもので、前に重心を置いた攻撃的なフォーメーションといえます。
(昨季までは前に「トップ下」1人、後ろに「ボランチ」2人でしたので、三角形が上下逆転した形になります)
アンカーは1人ですから、その左右のスペースが空くこととなり、当然ながら相手チームはアンカーの両脇のスペースを狙ってきます。
そのため
「4-3-3」システムはアンカーにかかる負担が大きく、攻守の対応力が求められる重要なポジションです。
シーズン序盤は田中碧選手がアンカーで起用されましたが、中盤からはほぼ
守田英正選手で固定されました。
2018シーズンに大卒ルーキーとして活躍してから、2019年にはやや調子を落としたものの、今季は欠かせないアンカーとして成長しました。
きわめて高いパス成功率、またボール奪取力を発揮し、安定したパフォーマンスを維持しました。
■MF田中碧(たなか あお)選手
インサイドハーフ、アンカーの2つのポジションをつとめたのが、
田中碧選手です。
田中選手は川崎フロンターレユース出身の22歳で、昨年は定位置を掴んで
「ベストヤングプレーヤー賞」を受賞しました。
今年は守田英正選手の台頭まではアンカー、そののちは
インサイドハーフとしてより攻撃的なポジションで5得点を挙げ、プレイの幅を広げました。
中村憲剛選手の薫陶を受けたゲームメイクに、強靭なフィジカルとボール奪取力を加え、川崎フロンターレの中盤を支えました。
来期は
東京五輪代表の中心としても活躍が期待されています。
■MF家長昭博(いえなが あきひろ)選手
家長昭博選手は、右ウイングまたはインサイドハーフとして出場しました。
2018シーズンのMVPにも選ばれた国内トップクラスの選手で、
左右両足から自在に繰り出される絶妙なパス・シュート、絶対的なボールキープ力、強い当たりにも崩れない体幹で今年もピッチに君臨しました。
相手選手も「無理に飛び込んでも取れず、かわされて危険」であることがわかっているため、家長選手がボールを持ったまま、試合の中でまるで時間が静止したような独特の間合いが生じるときがあります。
今季は
11得点とキャリアハイの数字を挙げ、ベテラン33歳にして健在であることを示しました。
■MF三笘薫(みとま かおる)選手
そして最後は、
今季13得点・12アシストと実に25点に絡む大活躍をした、大卒ルーキー三笘薫選手です。
「ヌルヌルドリブル」と呼ばれる、絶妙なコース取りと足元のテクニックとスピードで相手を抜き去るドリブルが最大の持ち味です。
第30節・横浜F・マリノス戦では自陣ペナルティエリア付近からカウンターで一気に相手ゴールまでドリブルで迫り、小林悠選手へのラストパスを出してアシストを記録した
「75mドリブル」が圧巻でした。
Jリーグ最優秀選手賞(MVP)は、選手・監督の投票を参考に審査員が決定しますが、
受賞は逃したものの得票数ではMVP受賞のオルンガ選手を上回っていました。
それだけ、各クラブの選手らが「三笘薫選手にはやられた」という印象が強かったのではないでしょうか。
三笘選手のもひとつの特長は、
ドリブル突破で相手ゴールに迫った時、自分で決めることにこだわらずパスなど常に最善の選択ができる「球離れの良さ」を持っていることです。
それがる
ルーキー最多タイ記録の「13得点」だけでなく、今季リーグ最多となる「12アシスト」の結果につながっているものと思います。
以上、ベストイレブン受賞の9選手をご紹介しました。
■優秀選手賞受賞の小林悠選手
フォワードの小林悠選手、レアンドロ ダミアン選手は優秀選手賞受賞となり、ベストイレブン受賞はなりませんでしたが、これは両選手が併用されていることも一因にあるでしょう。
2人あわせて27点を挙げ、川崎フロンターレの大きな得点源としてJ1リーグ歴代最多得点記録を更新する「83得点」の原動力となりました。
■「J1優勝監督賞」を受賞した鬼木透(おにきとおる)監督
その他、
川崎フロンターレは「フェアプレー賞」、鬼木透監督が「J1優勝監督賞」も受賞しています。
今年は多くの栄冠を得る年となりましたが、まだ12月27日・1月1日の「天皇杯」準決勝・決勝が残されています。
かつて苦杯をなめてきた天皇杯で有終の美を飾ることができるか、注目が集まります。
(フォトグラファー:株式会社fawn 本平基)
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