「下小田中小学校おやじの会」が小学校における被災・宿泊体験を実施
2012年10月20日(土)から21日(日)にかけて、「下小田中小学校
おやじの会」による「被災・宿泊体験」が、同小学校において行われ
ました。
■下小田中小学校おやじの会ブログ 被災・宿泊体験
http://ameblo.jp/shimosho-oyaji/entry-11384920887.html
■被災・宿泊体験 togetter(写真ツイートのまとめ)
http://togetter.com/li/393331
■下小田中小学校の「被災・宿泊体験」実施中の掲示
この「被災・宿泊体験」は、学校での実体験を通じ、参加者に被災
時の状況を理解し親子で対応方法を考えてもらう機会を提供する
こと、さらには全校を対象とした同様の企画実施に向けた運営
ノウハウを蓄積することを目的として開催されました。
「おやじの会」は、下小田中小学校にお子さんが通っているお父さん
によるボランティアグループです。小学校で行われるイベントの警備
など、さまざまな教育支援活動を行っています。
今回は「おやじの会」の企画により、単に学校で宿泊をするのでは
なく、具体的に被災状況を想定して被災・宿泊体験を行いました。
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<下小田中小学校おやじの会による被災・宿泊体験の概要>
■目的:
①学校での被災・宿泊体験を通じ、参加者に被災時の状況を
理解し、親子で対応方法を考えてもらう機会を提供する
②全校を対象とした同様の企画実施に向けた運営ノウハウを
蓄積する
■日時:2012年10月20日(土)14時頃~21日(日)9時頃
■内容:
内容簡易トイレ作成、夕食作り、星空ウォッチング、親子対話、
体育館での宿泊、ラジオ体操、朝食作り
■参加者:親子連れ11組(親11名、子12名) ※おやじの会メンバー
■想定する被災状況
▼土曜日午後に東京直下の巨大地震が発生し、中原区に震度6の
揺れを観測。一部地域では津波の影響も生じた。多くの住宅で
ライフラインが途絶え、近隣住民は避難所と指定されている
下小田中小学校に避難を余儀なくされた。
▼週末のため先生は不在であり、体育館のみ利用可能。ライフ
ラインは水道以外は使用できない状態。また、下小は防災拠点
ではないため非常用設備に乏しい。学校にあるもの、各家庭から
持ち込めるものをできるだけ活用し、避難生活を乗り切る必要が
出てきた。
■被災時の想定課題と当企画での対応:
▼下小には非常用設備・物品がどこにどれだけ保管されているのか?
→ 体育館等に保管されている設備・物品を自分達の目で確認する
▼非常用設備を使いこなすことができるのか?
→ 主要設備である仮設トイレを実際に組立・設置する
▼限られた物資しかない状態で、どのような食事が摂れるのか?
→ 非常用食料、簡易的な食料のみで、夕食・朝食を作ってみる
▼体育館で宿泊しなければならない場合、どのような住環境を
作れるのか?
→ 実際に宿泊してみて、問題点を確認する
▼各家庭で、被災時の対応ルールや避難道具の準備は十分か?
→ 親子対話の時間を設けて現状を振り返り、各家庭での準備を促す
▼おやじの会は、震災時にメンバー間・PTA・学校・町会との連携が
できるか?
→ 全員対話の時間を設けて現状を振り返り、連携方法を検討する
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このような前提と課題認識をもとに、今回の「被災・宿泊体験」は
実施されました。
私も一部見学をさせていただきましたので、「おやじの会」から
提供いただいた写真と一緒に当日の模様をご紹介したいと思い
ます。
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<被災・宿泊体験の流れ> ※時間はおおよそのものです。
■13:30 <震災発生>
震度6の震災が発生し、各自避難道具を持参して下小田中
小学校に避難しました。
■14:00 <集合、オリエンテーション>
災害の状況を親子全員で共有し、本物の避難者登録カードに
記入をしました。
(避難者登録カードの記入)
■14:30 <学校の非常用設備の確認>
簡易トイレ、毛布、非常用食料、発電機など、学校の非常用
設備を確認しました。
(食料と毛布)
(災害用簡易組立トイレ「ドーント、コイ」)
■15:00 <仮設トイレの設置訓練・発電機講座>
大人・子どもで分担して、仮設トイレの設置訓練を実施しました。
また、発電機の操作も行いました。
(仮設トイレの設置訓練)
(発電機の操作)
■16:30 <夕食準備、夕食、片付け>
アルファ米、レトルト食品による物資配給を想定し、お湯を沸かす
だけで食べられる食事を用意しました。
(夕食準備)
■18:30 <夜の星空ウォッチング>
下小田中小学校の校長先生のはからいにより、夜の星空
ウォッチングを行いました。
(星空ウォッチング)
■19:00 <キャンプファイヤー>
キャンプファイヤーを囲んで、皆さんでオリエンテーリングを
実施しました。また、下小田中小学校恒例のマシュマロ焼きも
行いました。
(恒例、マシュマロ焼き)
■20:00 <本日の振り返り>
まだ被災・宿泊体験は終わりではありませんが、おやじの
会の皆さんが集まって、反省会をされていました。
(意見を交わすおやじの会の皆さん)
■21:00 <就寝準備>
体育館にマットを敷き、その上にブルーシートを引いて就寝
場所を作りました。この上で寝袋を使って寝ることになります。
(冷え込む体育館)
(マットとブルーシートによる就寝場所の確保)
■21:30 <就寝>
ここで皆さん完全就寝です。
■6:30 <起床・ラジオ体操>
起床後、元気にラジオ体操です。
(ラジオ体操に参加する皆さん)
■7:00 <朝食準備、朝食>
朝食は、秘伝の牛乳パックホットドッグです。作り方はおやじの
会の皆さんに聞いてみましょう!
(牛乳パックホットドッグ)
■8:00 <片付け、アンケート記入>
全ての片づけを終えた後に、今回の被災・宿泊体験のアン
ケートを書いて完了です。
(アンケートを記入する皆さん)
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「被災・宿泊体験」の流れは、概ね上記の通りでした。
星空ウォッチングやマシュマロ焼きは、ちょっとしたお楽しみですね。
被災時、長期に渡る避難生活で心身の健康を保つためには、
息抜きも非常に重要な要素になってくることでしょう。
就寝前のオリエンテーリングで本日を振り返って、おやじの会の
皆さんが非常に真剣に今後の改善点等について意見を交わして
いたのが印象的でした。
また、簡易トイレや発電機、非常灯など、さまざまな防災用品を
「実際に使ってみる」ことはたいへん意味のあることと思いました。
決して「難解で使えない」ものではないのですが、いざ使おうと
したときには、意外と手間取ったり、上手くいかなかったりする
ものです。
体育館での寝床の確保も、実際にやってみると想像以上に
キャパシティが少ないことがわかったり、来るべき災害時の
課題が見えた部分もありました。
今回のような、小学校における「被災・宿泊体験」は、これまでに
他の小学校でも例がないようです。
小学校とも連携しつつ、新しい取組みを実行した「下小田中
小学校おやじの会」の皆さんのような活動は、大変意義のある
ことと思います。
今回は、「おやじの会」のメンバーとそのお子さんに参加者を
限定して体験は実施されました。
しかしながら冒頭に記載の「目的」にもあるように、今回の取組み
は、全校を対象とした同様の企画実施に向けた運営ノウハウを
蓄積することも意図したものです。
今後同様に防災上有益な取組みが、下小田中小学校全体や
他の学校等でも広がると良いと思います。
■輝くカンテラ
最後に、ご参考までに、今回「おやじの会」の皆さんが用意された
物品の一覧を掲載しておきます。
<被災・宿泊体験で用意した物資(ご参考)>
■企画全体で準備したもの
アルファ米約25食、 レトルト食品約25食、ソーセージ約50本、
ホットドッグ用のパン約25個、ビニールシート適宜(人数分の広さ
必要、宿泊時に体育マットの上に敷く)、 鍋適宜(夕食用)、
訓練中を示すポスター約10枚、アンケート用紙人数分
■各家庭で準備したもの
毛布または寝袋、テント、牛乳パック(参加人数分)、ランタン、
懐中電灯等、着替え、タオル、洗面用具等、その他各家庭で用意
している避難道具、チャッカマンやライター、カセットコンロおよび
カセットガス(持っている人のみ)
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