武蔵小杉ブログ(武蔵小杉ライフ 公式ブログ)

川崎市中原区の再開発で変貌する街・武蔵小杉のタウン情報サイト『武蔵小杉ライフ』の公式ニュースブログ。街の最新情報やさまざまな話題をご紹介します。

2011年
10月09日

武蔵小杉の「ひと」(7):「コスギフェスタ2011実行ワーキング・グループ」座長・山中佳彦さん(後編)

hatsushimo.gif

前編より続き)

■コスギフェスタに集まった協力の輪
 
--アイデアが百出したのち、「できること」に収斂していくといっても、
実際やっていくとなるとそう簡単ではないと思います。今回のコスギ
フェスタの実現に当たって、どのような方から協力が得られましたか。

 
(山中佳彦座長)
今回、非常に多方面からのご協力をいただきました。まず何と言っても、
ワーキンググループのメンバー自体です。皆さんボランティアで、もの
すごい熱意をもってやってくださっているので、その皆さんへの感謝
ですね。
さまざま議論はありつつも、アイデアをまとめていくところで、最後の
最後は一致していきますから。そこはチームワークを感じる瞬間です。
マンションの管理組合の皆様にも大変お世話になっております。
 
それと、商店街ですね。法政通り商店街と武蔵小杉駅前通り商店街
皆さんに今回はたくさんの出店をいただきます。かなり積極的に協力
いただいています。今回、模擬店のテントも持ってきてくださることに
なりました。
 
メインステージで演目を披露してくださる方たちもたくさんいらっしゃい
ますので、それは後ほどご紹介します。
 
マンションの管理会社や、デベロッパーにもご協力をいただいてい
ますし、再開発エリアに店舗を構えている法人さまからもご協力を
いただいています。
 
警察署には、道路封鎖を許可していただきました。安全管理のところは
しっかりやります。
今回メイン会場の片側は車両が通りますので、しっ
かり安全確保していきたいと思います。
加えて川崎市ですね。まちづくり局の方たちは、NPOに毎回のように
顔を出してくれて、一緒にコスギフェスタを作っていただいています。

■山中佳彦座長
山中佳彦座長
 
■場所の問題
 
--お話を聞いていると規模が結構壮大で、知らない方はイベントが
「収斂している」とは思わないかもしれませんね。

 
(山中座長)
そうなんですよ、収斂していないんです(笑)。
3.11があって、一回キュッとしまった時期がありました。でも時間の
経過とともに、イベントの参加募集をはじめてみると、じわじわ広が
って行って、結果としてこうなったという感じですね。
 
ステージは2か所、隣接して用意する予定です。ひとつはまさにステ
ージで、一段高くなっています。ご挨拶や仮装コンテストはそこで
やりますが、大人数のブラスバンドやパフォーマンスは路上でやります。
公道の片側
ですので、それほど大きく場所が取れないんですよね。
今回一番苦労したのは、そういった場所の確保です。

■片側が公道となるメイン会場
 片側が公道となる会場
 
■交流をはかるための仕掛け
 
--イベントでは、どうしても主催者と参加者の関係性がメインであって、
参加者同士の交流は現実的には難しいのでは、といった意見もあり
ます。今回、コスギフェスタのテーマである交流を促進するような
工夫はありますか。

 
(山中座長)
まず、模擬店自体が仕掛けです。そこで出店している皆さんと参加者
である住民の交流はもちろんですが、今回お店を出すのは商店街
だけではなくて、マンションの住民も出店
するんです。子どもが出す
ヨーヨー釣りのお店
もあったりして。お店を出す側も住民であり参加者
でもあって、それはコミケ的な感じもありますね。
 
もうひとつの仕掛けは、仮装コンテストです。これは幅広く参加を呼び
掛けたいと思っています。ハロウィンのスタンプラリーもそうですよ。
あれは参加者でありながら、仮装を「見せている」側でもあるわけです。
全体がそういう参加型のイベントになっています。
 
あとは、なるべく幅広くボランティアをお願いしたいと思っています。
ある程度の規模のイベントになりましたので、人がいっぱい必要なん
ですね。安全管理の観点から、綱島街道の見守りも必要ですし、
メイン会場では片側車線を車が通行しますので、無理な横断等が
ないように見守る必要
があります。

また、清掃も大切です。街を汚すお祭りというのは絶対にやっては
いけないと思っていますし、お祭りが終わったらむしろ以前よりも
きれいになっているくらいにしたいですよね。
ですから、ボランティアについては、お祭りに参加する合間の30分
でも1時間でもかまいませんので、できる範囲で時間をとってもらえ
ないか
と思っています。
 
イベントというのは「お客さんと主催者の関係」にどうしてもなりがち
なのですが、なるべくそうならないようにしたい
と思っています。準備
段階から、たとえば、当日メインステージ前に椅子を並べるのも
みんなで並べようと。後片付けをみんなでしましょう、とか。随所で
それをやっていきたいですね。

山中佳彦座長
 
--ボランティア募集の話もありましたが、ある程度オールスターの
皆さんで協力していくのが良いのではないかと思います。

 
(山中座長)
今回うれしいのは、人が人を呼んでくれているということです。コア
メンバーの方がプロデザイナーの方を連れてきてくれたりして、そう
いうことができているうちは大丈夫と思っています。それが、仕事量が
特定の方に偏るようになると、継続性がなくなってくる
と思います。
そこはとても気にしていますね。
 
ですから、なるべく主催者と参加者にパキッと割れないようにしたいと
思っています。今回は参加者としてお祭りに来ただけかもしれない
けど、来年以降は一部でも一緒に作っていく側に回っていただければ
大変嬉しく思います。

僕がコスギタワーの秋祭りで気づきを得たように、今回のコスギフェ
スタをきっかけに、地域に関心を持ってくださる方が現れるといいな、
と思っています。
 
■イベントの目玉、仮装コンテストと「かわさき舞祭」
 
--今回は参加型も含めいろいろなイベントがある中で、目玉というか、
一押しの催しはなんでしょうか?

 
(山中座長)
どれも目玉ですが、あえていうなら仮装コンテストです。これは初めて
の試みですので、どれだけの方が参加してくれるかわかりませんけれ
ども、なるべく多くの方に参加していただきたいですね。
 
--コンテストというからには、何か賞があるんですか。
 
賞はたくさん用意しています。仮装コンテストは、「子どもの部」と
「大人の部」の二部構成で開催
します。子どもの部は集まると思うん
ですけど、読めないのは大人の部ですよね。大人の部については、
僕が先陣を切ってコスプレ
していこうと思っています(笑)。

■山中座長によるコスプレ:ファイナルファンタジー13「ライトニング」
山中佳彦座長によるコスプレ:ファイナルファンタジー13「ライトニング」

 
--そこにフォロワーは集まってきている感じですか(笑)。
 
(山中座長)
ええ、ワーキンググループのメンバーは全員仮装です(笑)。警備
スタッフ以外は全員仮装するようにお願いしています。去年も恐怖の
フレディ
とか、二足歩行の牛もいたし、ドラキュラ伯爵もいたし、
まちづくり局の下田さんは敬虔な(?)シスターをやっていましたね。
みなさんキャラにはまっていましたよ、本当に(笑)。まちづくり局の
植木さんもカボチャの被り物して写真撮っていましたよね。

(※まちづくり局のお二人については、エントリ末尾【関連リンク】の
インタビュー記事もご参照ください)

■昨年のハロウィン(川崎市まちづくり局 植木さん)
昨年のハロウィン(川崎市まちづくり局 植木さん)


あとはかわさき舞祭の「E-JUNC DANCE(いーじゃんだんす)」
これは皆さん、見たことがないかもしれません。舞祭は新しいジャンル
です。たとえば、都はるみさんの「川崎踊り」とか、清掃車のテーマ
「好きです川崎愛の街」とか、おなじみの楽曲を現代風にアレンジ
して、
子供たちが汗を飛び散らして舞い踊ります。これは見た目にも華や
かで、とてもエネルギッシュです。見て頂いたら、間違いなく楽しんで
いただけますよ。
 
この企画の狙いはもうひとつありまして、小杉オリジナルのチームを
作りたい
と思っているんです。E-JUNC DANCEを踊る子どもたち、
「KSG48」をプロデュースしたい(笑)。
今回はそのための布石です。
実は、震災がなければ5月くらいにチームメンバーを募集して立ち
上げてしまおうかと思っていたんですが、今回は間に合いません
でした。
 
震災の影響で、小杉の花見市が中止になってしまいましたね。計画
としては、花見市に舞祭既存チームのみなさんに来てもらって、
バーンとパフォーマンスして、そこで小杉チームを募集する予定
だっ
たんです。
それができなくなってしまって、みんな見たこともないものをやるのは
難しいだろうということで今回は断念しました。今回のコスギフェスタ
では舞祭が4チーム来ます。
演目時間も一番長くとっていますので、
皆さん是非実際に目の当たりにしていただきたいと思います。それで、
やりたいという子供たちが出てきてくれるんじゃないかと期待しており
ます。来年こそ、コスギフェスタでKSG48デビューです(笑)。
 
メインステージでは音楽とパフォーマンスが充実します。法政二高の
吹奏楽部、キッズチアのバンビーズ、住吉高校チアリーディング部
ランサーズ、ジャグリング
、住民の方が中心となったプロのビッグバンド
そしてジャズ&ラテンバンドの演奏も必見です。フィナーレは上丸子
小学校の子どもたち
も参加して、大いに盛り上がる企画を起こしてい
ます。当日のお楽しみです(笑)。

山中佳彦座長

--ハロウィンは今回4回目ですが、今回はどのような形で開催され
ますか。

 
(山中座長)
今回はスタンプラリー形式で、自由に再開発地区を回っていただき
ます。
前回のようにルートを決めて行列にすると、大変なんですよ。
行列させる方も大変だし、行列する方も大変です。途中で疲れちゃ
ったりする子もいましたしね。
 
そこで今回は、事前申し込みをしていれば、各マンションご自宅から
でもスタートできます。どういう風に回ってもらってもかまいません。
スタンプポイントは10か所あって、最後の1か所はほかの9か所回
らないといけない
ようになっています。
その最後のポイントがメインステージの前なんです。そこに仮装を
キメたハロウィンマスターが待っていて、ハロウィン仮装コンテストに
出るようスカウトされる。そういう流れなんです。

※2011年10月23日追記
ハロウィンスタンプラリーの申込が大盛況につき、仕様が変更に
なりました。
ゴールは本部に限定せず、途中でも本部でのスタンプ及びお菓子が
もらえることとなっています。

 
■昨年のハロウィンイベント
昨年のハロウィンイベント

子供たちは可愛い、カッコイイ恰好してきてもらって、ステージに
数人ずつあがってもらいます。写真タイムでポーズを決めてもらって、
いい記念になりますよ。

 
今までは子どもが主体で、大人は一部の主催者の人だけが仮装
していたんですが、今回はコンセプトとして、大人も楽しみましょう、
ということを掲げています。

コアメンバーの一人が、面白いことを言っていました。仮装という
言葉の「仮」という字は、実は仮ではなくて、本当の自分をさらけ
出すチャンス
なんだと。お化粧の「化」という字は化けると書きます
けど、これは何か違うものに化けるんじゃなくて、自分の本性を、
本当の姿を見せるもの、それが化粧だと。

…本当の自分をさらけだせるという幸せ、それが仮装を通してでも、
何でもいいのですが、お祭りというのは非日常の場ですから、こういう
機会を活用してぜひ、大人も楽しみましょうよ、
ということをアピール
していきたいのです。
今回のハロウィンは、そこが昨年までとは違います。子供フォーカス
から、大人も対象、老若男女、全年齢対象
です。

山中佳彦座長
 
■どなたでも、ご参加ください
 
--今回のハロウィンや、コスギフェスタ全体についてもそうなのですが、
再開発地区以外のどなたでも参加可能なんですよね。

 
はい(力強く)!どなたでも、ご参加いただけます。サブテーマのところ
でも言っていることがすべてで、コスギフェスタは言わば「オープン」
です。
閉鎖的になったらそれはもうイベントが失敗だと思っています。是非
ご参加ください!

 
--最後に武蔵小杉ブログ読者の皆様にメッセージをお願いします。
 
とにかく、参加していただきたいと思っています。大人も子供も楽しめる
出し物をたくさん準備できていると思います。そして、もともとお祭りが
お好きだったら、スタッフとしても是非ご参加ください(笑)。

自分たちの街を盛り上げるのはやはり自分たちなのですから、
みんなで協力して、一緒に作っていけたら大変嬉しく思います。
 
--ありがとうございました。

       ※       ※       ※

インタビューは以上です。70分間ほどの間、「コスギフェスタ2011」
にかける熱い思い
を語っていただきました。
今回が初開催にもかかわらず、これだけ盛りだくさんのイベントを
具現化されるにあたっては、この熱意と、多くの地域のみなさんの
協力があったことがわかりました。

2011/10/7エントリでも詳細をお伝えしたように、「コスギフェスタ
2011」は家族連れで様々楽しめるイベントになっていると思います。
武蔵小杉ライフは今回広報面で協賛させていただいておりますが、
私自身参加者としても、ぜひ当日満喫してみたいと思います。

なお、インタビュー中にもある「ハロウィンスタンプラリー」は、休み
明けの10月11日より事前受付が開始
されます。
以下にあらためて、仮装コンテストとあわせて要項を再掲しておき
ます。

■ハロウィーンスタンプラリー
10:00~12:00 再開発地区の各マンションをスタンプラリー形式で
めぐります。
ハロウィンの仮装をしてお菓子をもらいましょう!
(参加方法)
○事前申込制(参加費500円)
○申込期間:2011年10月11日(火)~28日(金)まで

○参加費を添えて下記窓口までお越しください。参加証のスタンプ
 シートをお渡しします。
○申込み先:
 NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメント 佐藤
 (リエトコート武蔵小杉公開空地内 リエトプラザ)

 Tel:044-433-9180(月~土 10:00~17:00)      
 Mail:info@musashikosugi.or.jp
 アクセスマップ:http://musashikosugi.or.jp/sub-e5.html

■仮装コンテスト開催
12:45~13:30 メインステージで開催します。
大人の部 ※当日申込制 先着10名ほど 参加無料
子供の部 ※当日申込制 先着40名ほど 参加無料(子供のみ参加賞あり)

(参加方法)
11:00~12:30 本部席にて整理券を配布します。
※パフォーマンス賞ほか、各賞あり
・大人はパフォーマンス持ち時間1分、子どもはとびきりのポーズを
決めてください!希望により音楽データ等の持ち込みも可(CDのみ)

【関連リンク】
NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメント 公式ウェブサイト
2009/10/31エントリ 武蔵小杉を練り歩く子ども仮装行列
2010/9/26エントリ THE KOSUGI TOWERで「コスタまつり
2010秋」開催

2010/11/1エントリ 武蔵小杉を練り歩く子ども仮装行列2010
2011/9/11エントリ 「コスギフェスタ2011」パークシティ武蔵小杉
前で2011年10月30日(日)開催

2011/10/7エントリ 「コスギフェスタ2011」イベント詳細決定、
11日よりハロウィンスタンプラリー申込開始

2011/10/8エントリ 武蔵小杉の「ひと」(7):「コスギフェスタ
2011実行ワーキング・グループ」座長・山中佳彦さん(前編)


2010/12/5エントリ 武蔵小杉の「ひと」(5):川崎市まちづくり局(前編)
2010/12/6エントリ 武蔵小杉の「ひと」(5):川崎市まちづくり局(後編)

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2011年
10月08日

武蔵小杉の「ひと」(7):「コスギフェスタ2011実行ワーキング・グループ」座長・山中佳彦さん(前編)

hatsushimo.gif

2011年10月30日(日)開催予定の「コスギフェスタ2011」のイベント
内容について、昨日のエントリでご紹介しました。本イベントは、武蔵
小杉再開発地区で今回初めて開催されるものであり、その実現に
あたっては再開発地区住民の有志の皆様を中心とする「コスギ
フェスタ2011実行ワーキング・グループ」
が主体として尽力をされ
ました。

「コスギフェスタ2011」には、実行ワーキング・グループの皆様の
「武蔵小杉への思い」
が込められています。

「子どもたちの、笑顔と思い出のために
武蔵小杉を、彼らのふるさとにする。
~伝統と都市文化が交錯する武蔵小杉~」


「コスギフェスタ2011」のチラシには、このようにイベントのテーマ
掲げられています。
このテーマをそのような意図で設定されたのか、また、イベントの
魅力や見所はどういったところにあるのか、個人的にも非常に気に
なりました。

今回、「コスギフェスタ2011実行ワーキング・グループ」の座長を
つとめる山中佳彦さん
(前THE KOSUGI TOWER理事長)に、
さまざまなお話を伺うことができました。

       ※       ※       ※

■山中佳彦座長
山中佳彦座長

■開催までの経緯…コスギタワーの秋祭りをきっかけに
 
--よろしくお願いします。さて、今回はコスギフェスタ座長インタビューと
いうことで、いろいろお伺いしたいと思います。まず、開催決定に至る
までの経緯を教えてください。

 
(山中座長)
去年の10月ぐらいから検討を始めました。言い出しっぺは…僕ですね、
座長ですから(笑)。

僕がはじめに言ったのは、「夏祭りをやりたい」ということです。コスギ
タワーで10月に秋祭りを開催したときから、私の中ではこれを地域
全体でやりたいなという構想
がありました。
 
コスギタワーの秋祭りの対象は基本的にコスギタワーの住民だけで、
それ以外の方々は入ってくることができませんでした。せっかく楽しい
ことをやるのなら、地域の住民全員が参加できるような形でやりたいと
いう思い
がありました。
秋祭りを運営するコミュニティ委員会も結構大変で、準備にも時間を
かけていましたし、どうせやるなら地域のみんなでやっていく方が
いいんじゃないかと。
 
■完売が続出したコスギタワーの秋祭り
完売が続出したコスギタワーの秋祭り

コスギタワーの秋祭りの時には、基本構想について「交差点」という
言い方をしていました。これから商業施設もいろいろできてくる中で、
新住民が既存商店の存在を認知しないまま、新しいショッピング
センターに行ってしまうと、お互いにWin-Winじゃないんじゃないかと。

そこを交差させたいという考え方です。

新住民と、周辺のもともと住んでいる皆さんの交差点、クロスポイント
っていう言い方はそのときからあったんです。
 
--山中さんが言い出しっぺになられて、皆さんすぐに「それはいいよね」
というような形でご賛同いただけたんでしょうか。

 
(山中座長)
基本的にはお祭りが好きな人って多いのかなと思いましたね。非常に
賛成意見は多かった
です。ただ、当初「夏祭り」として構想していたもの
が、例年10月に開催していたハロウィンと両立できるのかという話が
ありました。コスギフェスタの開催時期は夏か秋か、この点は最初の
ころに意見が分かれましたね。

コスギフェスタをやりたいという意味ではみんな同じ方向を向いていたの
ですが、この時期の問題と、全く新しいことを結局誰がやるのかという
リソースの問題
に関しては、様々な議論がありました。
 
--だいたいまあ、総論的にはOKで、あとはどこまで、と。
 
(山中座長)
そう、規模と時期の問題ですね。最初はもっと大きなことを考えていて、
道路を駅前から府中街道まで全部塞ごうと、壮大なことを考えていま
したけれども、ただ、それはさすがに現実的ではないと、議論が落ち
着いていきました。
 
■サブテーマ「伝統と都市文化が交錯する武蔵小杉」
 
--イベントのサブテーマにちょっと興味をひかれたんですけれども、
「伝統と都市文化が交錯する武蔵小杉」について教えてください。

 
(山中座長)
再開発エリアは、もともとそれほど人が住んでいなかったところで、
住宅地としての歴史や伝統がありません。
ところが周辺を見回して
みると、日枝神社の山王祭には1200年の歴史がありますし、
小杉の花見市も長年続いている伝統行事
です。それらの中でも
私は小杉の花見市に強い感銘を受けました。

二ヶ領用水沿いにお店がたくさん並んで、ああいうのを何十年も
やっているわけじゃないですか。あれは凄いパワーです。それに
比べて再開発地区はほとんど何もないものですから、これをうまく
コラボレーションさせていきたいという願いを、今回のサブテーマに
込めています。

■こすぎ名物花見市
こすぎ名物花見市

 サブテーマ「伝統と都市文化が交錯する武蔵小杉」「伝統」とは、
もともとこのあたりにお住まいの皆さんが積み重ねてきたことを指し
ています。そして「都市文化」とは、この再開発地区の住民のライフ
スタイル全般のことですね。

この再開発地区の街並みが非常に都会的じゃないですか。ここに
新しく移り住んできた方々は、土地のしがらみがないのが好きな人
たちで、都市的なアクセス利便性にあこがれて住んでいる人が
多いんじゃないかと。生活スタイルも都会に出て行って遊んで、
武蔵小杉には寝に帰るだけ、
という感じになっている可能性が
非常に高いと思うわけです。
 
街の外観はきれいなんですけど、人のぬくもりや地域のつながり
みたいなものがあったらもっといいんじゃないかと、
個人的には
感じています。
 
「都市文化」といっているのは、洗練されたファッショナブルなイメ
ージもある一方で、近所づきあいがあんまりない
寂しい感じ、人間
的なお付き合いが少ないですよというのを言っていて、その「伝統」
と「都市文化」を交錯させたい
ということです。さもなければここだけ、
陸の孤島みたいになってしまいます。
 
周辺の方からよく聞くのは、突然タワーが建って、何か別の世界の
人間みたいで、向こうからは入ってきにくい
みたいに思われていると
いうことです。そしてそれは、逆もあるのかもしれませんよね。
でも周りを見渡せば、面白い場所はいっぱいあるのかもしれませんし、
おいしいお店もいっぱいあるかもしれないし、
それこそ武蔵小杉ライフ
を見れば、お店がうわーっと載っているわけですし。そういうところを
見逃すのはもったいない
じゃないですか。

そういうところが物理的に交錯するきっかけがあったらよいではないか、
というのが今回のテーマです。
 
僕は、このテーマは最初のころからかなりこだわりました。当初から
お祭りのコンセプトとして、再開発地区だけではなく、周辺住民の
皆さんとコラボしてつくっていって、みんなで参加するんだと。そういう
ことを言っていましたね。
 
山中佳彦座長

--そういう思いというのは、コスギフェスタの話が出てくる前から、
山中さんの頭の中にあったんですか。

 
やはり、コスギタワーの秋祭りをやったのが大きいです。秋祭りは
コミュニティ委員会の皆さんが一生懸命やってくれて、実は僕はたま
たま管理組合の理事長だっただけで、あまり関与していませんでした
。ただ、あれをやったことで、周りの人たちが結構見に来たんですね。
そこで今のNPOの理事長にも初めて会いましたし、NPOの理事の
方とも交流が始まりました。

NPOの理事をやっている方って、ものすごく地域のことを考えている

んですよ。その人たちの話を聞いて、インスパイアを受けたのが非常
に大きいです。
 
その前までは、正直あまりそんなことは考えていませんでした。コスギ
タワーの秋祭りというイベントを通して出会った人たちと話していく中で
影響を受けて、自分の考えができていったと思います。
 
--コスギタワーにいらっしゃる前までは、武蔵小杉にはお住まいでは
なかったんですか。

 
前は日吉でした。2008年の6月にコスギタワーができて、まもなく
越してきたんです。引っ越してくる前は武蔵小杉はただ通過するだけ
で、わざわざ来ることはなかった
ですね。
 
--そうすると、通過するだけの街だったものが、今や「新旧を交錯させ
よう」なんてことを考えているわけですから、えらい変わりようですね。

 
(山中座長)
いやいや、えらい変化ですよ、そう言われると(笑)。
もうひとつの変化として、子どもができたことも大きいと思います。
私は新しく武蔵小杉に来たわけですが、子どもにとってはここがふる
さとになるわけです。であるからには、素敵なふるさとにしてあげたい。

やがて彼が大きくなったら出ていくんでしょうけど、武蔵小杉はふるさとで
「帰りたい街だな」って、思ってもらえるようにするのは大事なことだと
思うんですね。
 
ニュータウンって、親の一世代で終わってしまうことが多いじゃない
ですか。特にマンションとか、団地ですね。僕はここだって縦型の
団地
だと思っています。一世代で終わる団地というのはどんどん
高齢化が進んで、そのうち縦型老人ホームみたいになってしまう。
そういうのが30年後の姿だとしたら、寂しすぎるじゃないですか。
 
まあ武蔵小杉は交通の要衝になっていますので、そうはならない
とは思いますが、やはり新陳代謝があって、常に新しい世代が入
り続けてくるような場所にするためには、何かソフト的な魅力が必要

だと感じています。

山中佳彦座長
 
■「濃すぎ」なメンバーとともに
 
--先程の話にあった「影響を受けた方」というのは、今回のコスギ
フェスタのワーキンググループのメンバーにもなっているんですよね。

 
(山中座長)
はい、そうです。
 
--どんな顔ぶれの方たちですか?
 
(山中座長)
濃い~ですよ。武蔵「濃すぎ」って、こういうことかと(笑)。
管理組合の理事をやっているころから感じていることですが、ここに
いる人たちって、皆さん各方面でリーダーシップを持って活躍して
いる人たち
なんですよ。さらにNPOの理事なんかやってる方たちと
いうのは、自分の仕事だけでは物足りなくて、さらには地域貢献したい
という、熱い想いを持った面白い方が非常に多いなと思います。

 
実行ワーキンググループには管理組合の理事長、理事長OBも多く
集っておりまして、すごいですよ、船長だらけで。もう船長同志の舵の
奪い合い。船頭多くして船山に登る…どころか、船どっかに行っちゃった、
みたいな(笑)。
 
■実行ワーキング・グループでの一コマ
実行ワーキング・グループでの一コマ

--その議論を座長である山中さんがまとめるわけですか。
 
(山中座長)
大変ですね。まず秋にやるか夏にやるかで一戦あって、そのあとに
アイデアの発散期になって、もう皆さん好き勝手なこと言いますよ。
あっちでやろうこっちでやろうと、場所の奪い合い(笑)。じゃあ今年は
ミッドスカイタワーの前でやろうと。

あとは、タワーで絵文字をやろうとか。これを言い出したのは僕なん
ですけれど(笑)、赤坂プリンスみたいにクリスマスツリーの絵をつく
ろうと。それが無理なら今度は全館点灯するのはどうだとか、逆に
全部消すのはどうだとか、アイデアがボコボコ出てきました。

それらをまとめ始めたのは夏以降でした。そろそろ実行段階になって
きて、現実を見ましょう、拡散するのはもうやめましょうと言って、まあ
何とか、まとまってきました。
 
--ボツアイデア集、面白そうですね。
 
(山中座長)
ボツアイデアは一杯ありますよ。とんでもないのは、ミッドスカイタワー
とステーションフォレストタワーの間でナイアガラの滝花火をやろう

とか。今思うと危険きわまりないですよね(笑)。ほかにも、ニュー
ヨークでやっているみたいにタワー階段の駆け上がり競争
をやろう
とか、ギネスに挑戦しようとか、マンション対抗綱引き大会をやろう
とか(笑)。

山中佳彦座長

後篇に続く)

【関連リンク】
NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメント 公式ウェブサイト
2009/10/31エントリ 武蔵小杉を練り歩く子ども仮装行列
2010/9/26エントリ THE KOSUGI TOWERで「コスタまつり
2010秋」開催

2010/11/1エントリ 武蔵小杉を練り歩く子ども仮装行列2010
2011/9/11エントリ 「コスギフェスタ2011」パークシティ武蔵小杉
前で2011年10月30日(日)開催

2011/10/7エントリ 「コスギフェスタ2011」イベント詳細決定、
11日よりハロウィンスタンプラリー申込開始

2011/10/8エントリ 武蔵小杉の「ひと」(7):「コスギフェスタ
2011実行ワーキング・グループ」座長・山中佳彦さん

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2010年
12月18日

武蔵小杉の「ひと」(6):レジデンス・ザ・武蔵小杉(後編)

karejishi.gif

前編より続き)

--レジデンスに入居されて3年経過したと思いますがこれまでの
活動を振り返ってみていかがでしょうか?


■豊田さん(右)と保崎さん(左)
豊田さん(右)と保崎さん(左)

(豊田)
僕は管理組合の理事になるまではほとんどそういった活動に参加
しなかったし、情報としても自分でピックアップしなかった
んです。
する必要性を感じなかったということだったんですね。仕事も朝から
晩までで土日も仕事が基本だったのでほとんど寝に帰ってくるだけ
だった。だから寝に帰ってくるだけの人間は何かを語る必要も理由
もない、という生活だったんです。

もちろん理事の輪番が回ってきた時に家内にやってもらおうと決めて
いて、ほとんど自分が参加する意思はなかった。ところがたまたま
住民総会と引継ぎ会の日に家内は学校の用事があって出られないから、
理事会に行って頂戴といきなり言われまして、
だったらしょうがない
と、1回目はそうするけど後はやってくれという話で出ることに
したんですね。

ところが総会である議案があって、その議案をどうしても阻止して
くれと、これは小学生のママさん達の総意ですと言われたのです。
あなたが小学生のママさんの代表としてこれを阻止してくださいと
言われて、これをやらないと夫婦仲が危うくなるぐらいに強烈に
プッシュをうけまして、それで総会の時に一生懸命阻止したので
目立った
んですね。

その後の理事の引継ぎ会があるんですが、必然的に前期の理事の人
たちから強烈にプッシュがありまして我慢比べに耐えられなくて
理事長になってしまいました。
ところが理事長になったら家内は絶対
に受けてくれないんですね。まさか理事長引き受けてくるとは
思わないから私はやるつもりはないわよと。それで1年間は腹を
括ろう
ということにしました。

理事長を引き受けてからはまず大量にある引継ぎのファイルを
1ページずつ読んでいくとこの3年間にものすごくいろいろな活動を
している
ということが分かりました。

そのファイルの一番初めのページの部分がちょうどその時の自分と
一緒で、それからファイルを1枚ずつ読んでいくにつれてどんどん
新しい情報が入ってきて、まったく自分が知らなかったり、理解して
いなかったりということ
がたくさんありました。

こんなにたくさんの問題がありこんなにたくさんの情報があり、
こんなにたくさんの人たちが理事をやって頑張ってきたのだ。その
結果として様々な成果が出ているのだ、ということを見た時に、
これは相当腹を括らないといけないと思いました。

しかも新駅が開くという今までとは全く違う要素が加わってきて、
その中での理事長ということで自分自身が感じていたよりももっと
いっぱいやらなきゃいけないということが分かりまして、これは相当
本腰を入れないといけないということでとりあえず頑張れるだけ
がんばろう
ということで始めました。

最初の3ヶ月間は相当頑張ってやりましたが、その中でいろんな知識
も得ていろんなコミュニケーションが取れるようになってきました。
そうなってくると自分もどういうことに対してはどこに助けを求め
ればいいのかということが理解できるようになってくる
ので軌道に
乗ってくるんですね。それまではすごく大変でしたけど軌道に乗って
からはある意味ではいろんなことを考えて、例えば新しいことも
含めて考えながら理事の仕事ができたと思います。

それから専門委員会、特にコミュニティ委員会の人たちと話を
しながら、自分の考えている内容が果たして今のレジデンスに合致
しているのかとか、そういったことも話をしたりしていろんなこと
を決めてきたという感じでした。

この一年間を振り返ってみて考えると、それまでの2年間に比べて
生活の充実の度合いは格段の違い
です。もちろん自分の会社の仕事も
レジデンスの方の仕事もどちらもきつくてヘビーなんですけど、
ただ精神的な充実感や達成感、そういったものはものすごくあった。
これで理事を卒業した後に少しレベルを落としてレジデンスの
コミュニティ活動に参加していくことになると思うのですけど、
その時に初めて振り返ることが出来て、今度はいろんなことが外側
から見えるようになるのかなと思います。

まあ1年間は走ってきたな、というのが正直な感想ですね。

■豊田さん
豊田さん

--理事会の役員なんて一般的なイメージとしては正直面倒くさい
というのが大半の意見じゃないかと思いますがどうでしょうか?


(豊田)
まずとても面白かったのは若い人が元気なんですね。その理由は
何かな?と思ったのですが、うちの場合はまず担当が決まっている
ということなんです。

その担当の仕事は自分が責任を持って進めないと誰もやってくれ
ないし、しかも待っている住民、困っている住民がいたりする

ですね。ということでプレッシャーがかかってくるんですよ。しかも
生活の場なので自分が怠けていると、例えばエレベーターもまともに
乗れないんじゃないかと思うような状況になってくる(笑)

若い人はセンスがいいのでそれをすぐ感じて一生懸命やるんですね。
でもやってみるとたわいもない問題も多いので結果が結構すぐ出る
です。感謝される結果なのか、もっとやってくださいという結果
なのかは別として必ず出る。だいたい感謝されることの方が多いの
ですが、そうすると達成感が出てより理事の活動を頑張ってやる。
ある意味では好循環で回るようになっています。

特に前半は若い人がみんな飛ばしましたね。後半には若手はちょっと
息着いちゃいましたが、逆にベテランの方が地力を発揮してことに
あたって頂いたような気がします。ようするにペースがつかめてきて
その中で最低限やらなきゃいけないこととそうじゃないことの棲み
分けがきっちり出来てくる
のです。そのようなスタイルで理事活動が
行われていった気がします。前半と後半では私から見ると内容が
だいぶ違うんですね。この辺っていうのはたぶん今後の理事活動も
そういった形になっていくのかなという気はします。

--保崎さんのほうはいかがですか。

(保崎)
僕は以前千葉の方のマンションに住んでいたのですけど、そこでは
こういうコミュニティ活動まったくやらなかった
んです。新居で
入ったのですけどそもそもそんなに活動が活発ではなかったんですね。
150世帯ぐらいの中堅規模のマンションでした。
活動があったのかもしれないですけど僕はどちらかというと、まさに
朝早く出て夜寝に帰ってくるだけで、マンションなんだから自由
気ままにやらしてくれよという感じであんまりこだわって
いなかったんです。

その中で一つちょっと嫌なことがあって、それは駐車場の抽選の問題
だったのですけど、その時に、「ああやっぱりこういうコミュニティ
活動みたいなものがないとこんなにも揉めるのか」
と思いました。
それがずっと頭にあって、それでこっちに引っ越してきた時に大規模
マンションということでもあるのだけどマンションの中に顔見知りが
欲しいというのが最初の思いで、コミュニティ活動をやりませんか?
といわれた時に手を挙げた
という経緯があります。

この3年間やってきてほんとに驚いたことにはみなさん本当に
コミュニティ活動に賛同してくれる方が多いんだな
ということです。
一方でやっぱりそんなの関係ないという人もいます。それは僕も前に
住んでいたところではそういうスタンスだったし、ライフスタイル
だったので、そう主張する立場の人の考え方というのもよくわかる
ですよね。一戸建てじゃなくてマンション選んだという人たちの最初
の感覚には、やっぱりあんまり他人に干渉されたくないし、
したくないという部分
があると思うんですよ。

そこら辺のことを汲みながらも、でもコミュニティ活動というものは
やっぱり必要
なんだなというのがこの3年間を通してなんとなく実感
してきた感じです。

それはさっき豊田さんがおっしゃったように防災という部分で行けば
まさに生死を分かつ部分
でありますし、顔が見えるという部分で
いけば防犯にもつながります。やはりマンションだからいって自分
だけが孤立するのではなくて、またそれを他人に強要するのでは
なくて、みんなと一緒に何かできるのであればそれはそれでハッピー
なことなんじゃないか
という思いがこの3年間の活動で感じてきた
ことです。

■保崎さん
保崎さん

--今言われたお話でやはりアンケートなどをとると一定の割合で
そういったコミュニティ活動みたいなものは関わらないという人も
いると思いますが、そういった方々への配慮はどういったものが
ありますか?


(保崎)
そうですね。まずは防犯防災活動、これは必ずやらなきゃいけない
ことだという啓蒙活動
があると思います。

それとは別に、いわゆるイベント系についてはというと、もうこれは
解ってくれる人は解ってくれるからそれだけでいいし、そうじゃない
人にはあえて無理強いする必要もない
と思います。そのイベントが
例えば一週間とか一ヶ月続くものならまだしも、ある日のたった一日
の数時間のことであれば、それは一つご協力というか趣旨を理解して
もらうということしかないのかな
と思います。

それでもしそこに少しでも顔を出してもらったりしてね。面白さ
みたいなものを感じてもらえればすごく嬉しい
と思っていますし、
決してその人たちを排除しているなんて気は毛頭ないんです。来る人
拒まず、去る人はご自由にどうぞ、というところでしょうか(笑)

(豊田)
先ほどの話ですけどフロア連絡会が盛況だったのはその辺ですよね。
防犯防災に対する意識がある程度あって、趣旨もハッキリ謳って
連絡会をしましたのでまあそういった意識のある人たちは集まったと。

--なるほど。コミュニティ活動に参加しない人も全て拒否という
わけではなくて、お祭り系のイベント以外にも切り口をいろいろと
変えてみるということでしょうか。


(保崎)
それはそうだと思いますね。
そこをどうやって見つけるのかが一つ課題だと思います。

(豊田)
今回コスト検討委員会というのを始めたんですね。いくつかの始める
ための理由があるんですけど、「これはハマるだろうな」という意識
はすごくあるんですよ。
それは何かというとレジデンスの住民は倹約をしたいとかコストを
コントロールしたいとかということに対してはみんな熱心
なんですよ。
(笑)

これはものすごくうちのマンションの特徴だと思うんですけど近隣の
マンションに比べるとまずマンション自体がそういうコンセプトで
売り出していた
ということもありまして(笑)共有施設もそんなに
きらびやかなものはないですしとてもシンプルなんですね。

その分出来るだけコストを下げようという意識の中で出来上がって
いてこれに賛同している人がみなさん来ている、
ということもあって
コス検に関しては絶対ハマるという自分でも意識があって、たぶん
いま注目度ナンバーワンの委員会ではないのかなという気はして
いますね(笑)

(保崎)
やっぱりコミュニティ活動はある意味アクセルなのでいけいけ
どんどんのところがあるんですけど、それに対してブレーキというの
をどこかでかけなきゃいけないというところがあったときにコス検と
いうのがそういう切り口もあるのかなと思いますね。コミュニティ
活動においては、アクセルはずっと必要だと個人的には思っています。

豊田さん(右)と保崎さん(左)

--ちょっと質問を変えましてマンション外との関わり合いについて
はいかがでしょうか?

(豊田)
まず僕にとっては理事長をやらなければ渉外NPOをやりたいと
思っていたんです。どうしてかというと元々マンションの中では寝に
帰るだけという意識が強かったのでマンション中に自分にとっての
楽しみがあんまりないんじゃないかと思っていたんです。

まあ理事長やってその考え方が全く変わったんですけど、当初の
考えとしてはそれよりもマンションが一杯建っているこのエリアを
今後どういう風にしていこうか、どういう風に考えていこうかということ
はとても面白いんじゃないか
という意識があって渉外NPOという
のはとても魅力的に思えたんですね。

それで理事長になってもまずエリマネの活動には出来るだけ参加する
ということを基本に一年間やってきました。
その中でまず驚いたのは
NPO自体がまだまだ形が出来ていないということでした。それまで
はもう3年も経っているので組織も構成メンバもある程度しっかり
していて、行けばきっと自分は新人さんでいろいろなことを教えて
もらえるとかそういう意識が初めはあったんですね。

そう思っていたらさにあらずでメンバーもあんまりいない、連絡会議と
いっても5人ぐらいしかいないし、「2ヶ月前に理事になりました」
とかいった人も多く、話し自体もほとんど盛り上がらない
という
ような状況でイメージとは全然違うなと思いました。
逆に言うとじゃあこれからいろんなことを勉強してやっていくには
これぐらいの方がいいのかなという思いで1年間携わってきて
ずいぶん変わってきました。

まず初めに新駅開業イベントに参加するかしないかいう話を聞いた
時に、「これはレジデンスとしてはとても重要な問題だし、イベント
をやることによって周りともいろんな協力体制がとれるので出来る
だけやったほうがいいじゃないか」
と思いました。
おかげで自分自身の中でもまわりとのコミュニケーションが取れる
ようになったし、特に近隣マンションの人たちと一緒に働くことに
よって意識と知識の共有化が出来たという感じでしたね。
(新駅開業イベントは2010/3/13エントリ参照)

■新駅開業イベント
新駅開業イベント

新駅開業の後ですが、レジデンスのコミュニティ活動に対して近隣
マンションから羨望のまなざしを感じるようになりました。例えば、
近隣マンションの理事からは「レジデンスはコミュニティ活動が
3歩ぐらいリードしている」
と評価されたりしました。
レジでコミュニティ委員会の方たちの話を聞いて、マンション内の
いろんなイベント活動を自分が学ぶことによって、今度はNPOの
中でもそれを知識とか方法論として活用
することができたなと思い
ました。

今後は近隣のマンションとどういった形で付き合っていくか、NPO
をどういうものにしていくか、行政との携わり方をどういう形にして
いくかなどは議論していくべき問題だと思っていますし、自分の中
でもどういうやり方が一番いいのかというのはまだ全くわからない
状態ですね。たぶん広く住民みんなで考えていく問題ではないかと
思っています。

(保崎)
僕も途中からNPOのワーキンググループに入ったのですけど、
やっぱりその中でレジデンスはどういうふうにやっていますか? 
とそういう問いかけられたりする場面は多い
んですね。そういう意味
では、手前味噌ですが、我々のコミュニティ活動というのは周囲から
一つの目標としてみられているなというのは感じています。

いまNPOでは、来夏の祭りイベントや防災などいくつかの
ワーキンググループ
が立ち上がってそれなりに活発になりつつあるん
ですけれど、それらをみながらつくづく感じるのは、やっぱり自分達
のマンションのコミュニティ活動の足場をしっかりつくって
おかないと、結局その地域の活動の方まで手を伸ばせない
んですよね。

単純な話ですが、まず人手が出せない。ついでに、知恵も出せない。
我々が入居して最初の夏にここで夏フェスタ2008/8/28エントリ参照)
をやりましたよね。あの時にあれ自体は非常に成功だったと思うん
ですけど、反省会のときに、NPOから来年もやりたいねっていう話
が来たのですが、僕はそれは違うと即座に反応
したんです。
我々のコミュニティ委員会の活動は、自分のマンションのコミュニティ
をしっかりと形成することだということが第一義
なんだと思った。
だからそう言ったんです。地域の活動まではとてもまだ手が出せま
せんよと、僕は反対したのです。

NPOの方たちや、新しく入居されたマンションの理事さんたちが、
地域全体で大きい仕掛けをやりたいという気持ちはとても解るの
ですが、それだからこそ自分達のマンションの中のコミィニティ活動
あるいは組織みたいなものを強固にしていかなければいけないん
じゃないかな
と、これはまあ自戒をこめても言うし、NPO活動で
僕が出席した時には割と口すっぱくして言うようにはしているんです。

--確かにまず内部の足場が固まっていないのに、いきなり外部の
仕事を手伝うといっても負担が大きいような気がします。


(保崎)
例えば今回のハロウィン2010/11/1エントリ参照)のこともそうです
けど、じゃあ来年規模が大きくなったらどうしますかと。おたくの
マンションから10人だしてください、20人だしてくださいと
いったときにどこまで対応できるのか?
 といったようなことも
現実の問題としてありますよね。

だから僕はもちろんNPOの活動ももちろん大事ですけど、まずは
自分達の中のマンション、それは一つの自治体というか共同体と
いってもいいけれど、その中の活動をより強固にしていって、その
拡大版というか応用がNPO
だと思っているんですよね。

■再開発地区のハロウィンイベント
再開発地区のハロウィンイベント

--逆にエリマネの活動の中でマンションの中のコミュニティ活動の
足場固めを協力したり手伝ったりするという必要があるのではないで
しょうか?その辺は各マンションに任せていてよいのでしょうか。


(豊田)
いま防災ワーキンググループでは考えていることが一つありまして、
それは防災を3つの柱として考えるとまずは個人で出来ること、
それからNPOが地域を巻き込んでやること、その間の真ん中に
一番重要なものがあって、それはマンションレベルでなにかを
考えないといけないということ
なんです。

有事が起こった時、行政が物資を運び入れられるようになるまでに
約一週間から10日はかかる
といわれています。初めの3日間は個人
でなんとか手当てをして欲しいという話しがあるのですが、そう
すると残りの一週間ぐらいはマンションレベルで何かを考えなければ
いけない
んですよ。

この時に初めてマンションの中でどれだけコミュニティ活動が出来て
いるか?ということがサバイバルにつながっていく
わけです。
例えば何か災害が起こったときにNPOに人がいるわけじゃないん
ですよ。まずマンションの住民は自分達のことをやりますし、NPO
のほかの職員の人達は自分達の家族のことをやるのでまず事務所には
来ません。そうするとNPOの事務所はだれもいない。だからNPO
で何かの活動をしてくれと言っても無理
なんですね。

■NPO法人 小杉駅周辺エリアマネジメントの事務所
NPO法人 小杉駅周辺エリアマネジメントの事務所

ということはNPOの活動として災害活動に対してやることはなん
なのかというと、事前に計画を立てて準備をして災害が起こったとき
に自動的にそのシステムが動くこと、
これが一番重要なことなん
ですよ。

例えばそれぞれが構成しているマンションの理事さんたちとかNPO
に所属している人たちがそれぞれのマンションで頑張ってやることが
一番重要
なのであってそれによって自動的にNPOのシステムが
働くんですよね。この準備というものがものすごく重要で例えば
一つ一つのマンションで防災のシステムがあるところもあるし、全く
ないところもある。


だからNPOがある程度主体となって地域と話をしつつ、例えばこれ
ぐらいの防災は各マンションで用意したほうがいいとか、これぐらい
の備蓄はしたほうがいいとか、このマンションはこういう特徴が
あってこういう状態だから何かことが起こったときにここに人を
出せるよね。何人ぐらいだったら人を出せないか?とかそういった
やりとりもできると思います。

また地域に何ができるか、例えばマンション地域以外の部分が倒壊
しているとしてマンションが大丈夫だったときにそちらの方の手助け
は我々がするしかないんですよね。自分達だけが安心ということは
ありえないわけで、やはりみんなで助け合うことになる
と思うのです。
そのNPOのシステムの自動スイッチを入れられるかどうかというの
も全てNPOがリーダーシップをとなりながらそれぞれのマンション
に対してのシステムを構築できるかにかかってくる
のです。

いまこの防災ワーキングで考えているのは今後1年から2年の範囲で
ある程度のレベルまで持っていこう
としています。大災害はいつくる
かわからないので、まずはある程度のレベルまで持っていって、
その後はもう少し緻密にやっていこうという考えなんですね。
この辺でNPOの存在価値も生まれてくるし各マンションとのやり
取りもはっきりした形で出来上がっていくのではないのかと思って
います。

(保崎)
そういうところから各マンションのコミュニティがいわゆる外圧
みたいなもので形成されるというのもまあ一つの形としてはあるの
かなと理解はしますけども。

(豊田)
あと一つは今回のハロウィンですね。
ハロウィンはものすごくインパクトがあってビックリしました。僕は
今年初めて参加したんですけど、いままでの地域とかにもなく、
とっても新しい感じに見えて、ちょっと他に無いようなイメージが
あって、小杉の街にたぶんマッチしたのではないか思います。街と
いうかこのマンションの住民にマッチ
したんですね。

ハロウィンに集合した子どもたち

しかも子供の数が非常に多いですから、昨年よりもどんどん人が
集まってくる。今回は参加人数があまりにも多かったのでスタッフの
数が足りなくなりそうでした。それでエチケットリーダーというのを
設けたんですよね。エチケットリーダーを設けることによって自分達
はただお金を払って参加してNPOの職員の人たちにやってもらえば
いい、という考えではなくて自分達で自分達のことを管理しなければ
ならないという意識を少し持ってもらいたいな、
と思ったんです。

今回それがうまくいったのかどうなのかは別として、ある程度大きな
問題もなくことが進んだ時に今後このイベントをみんな無くしたく
ないんだなと思ったんですね。例えばここで大きな問題が起こったら
このイベントが無くなっちゃう、そうすると来年はもう無い、みんな
それは嫌なのだなと思っている
と思いますね。

この再開発地区のマンション全体でこれだけのイベントを実行できる
ことはすごいことで、これはこの地域の大きな財産になる
と思うん
ですよ。このハロウィンをきっかけにしていろんなことが出来るの
じゃないかなと思います。

豊田さん

--エリマネ以外の周辺との関わりという点ではどうでしょうか?

(保崎)
そうですね。エリマネにいくといろんな情報が得られる部分もあるん
ですけど、こういうコミュニティ活動に外部からも参加して
もらったりあるいは僕らからも出張ったりして、そのいいところは
学びたいし学んでもらいたいし、そういうことでこの再開発地域全体
が盛り上がっていければ
と思います。

--そういう外部との活動をするときにレジデンスではコミュニティ
委員会という下地があったことが影響していると思いますか?


(保崎)
それはあると思いますね。それがなければ恐らくいまどうなっていた
のかな? 例えばクリスマスパーティーやっていたかどうかですね。
それに、こうやってインタヴューを受けてもいなかったでしょうし
(笑)

(豊田)
コミュニティ活動の件に関しては近隣のマンションから相談がきたん
ですよね。保崎さんが受けてくれたのですけれど。プレゼン資料を
持って説明に行ってもらったんです。

(保崎)
そうですね。
コミュニティ活動はどういう風にやっていますか? どういう経緯で
やっていますか?
 という至極素朴で強烈な質問を受けたので、説明
に行ってきました。

このマンションの場合は、コミュニティ委員会は設立総会で決議
されたちゃんとした委員会として成立
しているのですが、他の
マンションはまだなにもないというところがほとんどです。
その辺りのノウハウを持って、まさにそれが財産なんですが、我々が
コンサルタントじゃないですけど、各マンションに行って相談を受け
てもいいかなと思っています。やっぱり近隣マンションの理事さんの
中でもコミュニティ活動をやりたいと思っていてもなかなか周りが
ついてこないと出来ないですし、なんで必要かという説得力も
なかなか持ち得ない部分がある
ので、我々が言って相談に乗っても
いいと思っています。手前味噌ですけれど。

(豊田)
今回その近隣マンションの事例で一生懸命コミュニティ活動したいと
思っている方がいて、でもなかなかコミュニティ活動に熱心な理事
さんが出てこなくて話がうまく伝わらなかった、というのがあった
そうなんですけど、まずそのレジデンスのシステムを説明することに
よって、いままで引いていた理事のみなさんが少し前に出てきた
そうです。


次に完全に前にでたのがやはりハロウィンなんですよね。そこでは
いままではマンションは中に人を入れるなんて言語道断という意見が
多かった
そうなんですけど、今回ハロウィンイベントをみんなで
やろうという話をしたら結構みなさん乗ってくれて、中を通すことに
なりました、という話
をされていました。しかもハロウィンのコース
の中で写真スポットをつくったりしてすごく盛り上がっていましたね。
こういったことでそのマンションはたったこの半年ぐらいの間で
コミュニティ活動をどんどん盛んにさせていっているような気が
します。次にたぶん他のマンションもそれをみて、これに追随して
どんどん活性化していくような気がするんですけど。

そうなってきて初めて近隣マンションの数棟でコミュニティ活動が
立ち上がってきて、いままでのレジデンスが1棟だけでなんとか形を
つくっていったのではなくて少し複数のマンションでリーダーシップ
が取っていけるようになるといろんな話も出てくるし、いろんな形で
物事が実現していくんじゃないかな
という気がしますね。

(保崎)
それが地域の活性化や資産価値や総合力の向上にも寄与してくる
だろうなというふうに思っています。

■ラウンジから見る再開発マンション群
ラウンジから見る再開発マンション群

--みなさんにお伺いしていることですが、入居されて3年が経ち
一段落していた再開発がまた始まりました。今後この武蔵小杉の街に
どのようになって欲しいかという点を住民の皆さんの視点からみて
どう思われるかおきかせください。


(豊田)
まず一時止まっていたところからマンションがまた出来てき始めた
一番大きな理由は新駅だと思うんですね。あまりにも便利さが
いきなり目の前に飛び出してきたと。そういったロケーションの
問題というのはほぼ最高レベルまで達している
と思います。都内の
ほかの地域に比べても圧倒的にここのロケーションのほうがいい。
次は環境問題になってくると思うんですね。

ここは元々が工場地帯だったのでどうかというところもあるのです
けど、大きな幹線道路はありますがそれ自体が絶えず交通渋滞をして
いるわけではないですし、近くに多摩川もあるし緑もある。

そういった意味ではよい環境も確保されていると思います。

そういった中で実際にしばらく生活していって落ち着いた後に自分の
生活の足場として実際に考えてみた時に足りないものはなんなのか。
いまはそういった人たちが例えばショッピングセンターが欲しいとか、
あとは子供の問題
ですね。うちのマンションだと一番大きいのは子供
の問題だとは思います。そしてその次のステップになって自分達が
ある程度の年齢になっていった時のことですが、今度はどんどん
コミュニティ活動への重要度が増してくる
と思います。

小杉のマンションエリアというのは今後発展すればするほど
コミュニティ活動が重要になっていくし、なおかつ全くいままでと
違ったスタイルのものが出来上がっていくと思います。
多少の仕掛けは必要なのかもしれないですが、ほぼ自然発生的な
レベルで出来上がっていくんじゃないかなと思います。というのは
まず住民達がある程度同じような環境にあって、集まって話をすると
どんどんいろんな新しいものが生まれてくる。
そういうポテンシャル
を持っている街だと思うんですね。そこをどうやって有効活用して
いくかということを考えて、ちょっとしたきっかけさえあればあとは
自然的に進んでいくと思うんですね。

この1年間で僕が見ていて思ったのは、例えばレジデンスの
コミュニティ委員会の活動のきっかけから出てきたものが、
マンションエリアでの活動になるとものすごく大きくしかも進化した
状態で進んでいくというようなことが出来上がっていくように、
こういったものもどんどん増えていくような気がしますね。
そういった意味では最大の資産はマンションとか新駅ではなくて人
だと思いますね。

(保崎)
以前マンション交流会の時に中原区長とお話した時に僕は保育園が
足りなくて困っていますよという話をしたんですね。その時に区長が
実はこのエリアは若い人がこんなに入ってくるとは思わなかった、
年寄りが入ってくるのだと思っていた
という風に言われていました。
そう見込んでいた理由が僕には全くわからないのですが(微苦笑)、
やっぱりここの再開発地域全体でいきますと今の日本の人口減少傾向
からするとまったく逆
のところがありますよね。

非常に今後のポテンシャルが期待される街だと思っているんですね。
あともう少し欲しいなと思うのはやっぱりハード面では、少しごち
ごちゃとした商店街というかそういったものも欲しいし、公園
みたいな不特定多数の人が集まるような場所も欲しいな
という気は
しています。

あとは各マンションのコミュニティ活動がうまく連携してまあこの
地域が前に進んでいければな
という気はしています。

■武蔵小杉駅周辺の再開発地区
武蔵小杉駅周辺の再開発地区

--最後に一言お願いします。

(豊田)
そうですね。僕が一つ思っているのはどこかに何かを求めるのでは
なく住民がみんなで何かを考えていく、それが一番重要
じゃないか
ということです。

例えば行政や警察にあれをやってくれとか、NPOに何かをやって
くれとかそういったことではないと思うんですね。
住んでいる住民自体が考えて何かをやっていく、それが出来る、
恵まれている状況にある
と思うんです、このマンションの人たちは。
だから逆にいうとそういった恵まれている状況をふまえて活動して
欲しいと思っています。まあ人それぞれ時期はあると思いますよ。
例えばプライベートで子育てが忙しい時期などもあると思いますし、
いろんな事情はあると思うんですけど、ここのマンションに住んで
いる間に何か一つのそういったものが出来るチャンスは必ず訪れると
思うので、それに対してその時はめいっぱい楽しんで思いっきり
やってもらいたい
と思います。

(保崎)
そうですね、やっぱりマンション住民というとさっきいったように
干渉しない干渉されないとか他人のことは関係ないというのが一般的
ですけども、マンション買う人たちもやっぱりここに永住しようと
思っている人たちが多くなっている
と思うんですね。

武蔵小杉という街を、ただ住んでいる街ではなくてやっぱり自分が
暮らしている街という意識
でコミュニティ活動とかNPOの活動に
少しでも協力していただいて、その中で少しでも楽しみを見つけて
いただいてこの再開発地域全体が楽しんで前に進めるような、そんな
風になっていけたらいいな
と思っています。

--本日はどうもありがとうございました。

豊田さん(右)と保崎さん(左)

【関連リンク】
NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメント 公式ウェブサイト
武蔵小杉ライフ:再開発情報:小杉駅東部地区

(レジデンス・ザ・武蔵小杉関連)
2008/2/10エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉からの眺望(1)
2008/2/13エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉からの眺望(2)
2008/2/16エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉からの眺望(3)
2008/2/19エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉からの眺望(4)
2008/2/22エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉からの眺望(5)
2009/7/7エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉の七夕ライトダウン
2010/3/29エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉のアースアワー2010
ライトダウン

2010/5/20エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉の窓掃除
2010/7/7エントリ 武蔵小杉のライトダウンキャンペーン2010

(インタビュー関連)
2010/10/19エントリ 武蔵小杉の「ひと」(4):NPO法人小杉駅周辺
エリアマネジメント(前編)

2010/10/20エントリ 武蔵小杉の「ひと」(4):NPO法人小杉駅周辺
エリアマネジメント(後編)

2010/12/5エントリ 武蔵小杉の「ひと」(5):川崎市まちづくり局(前編)
2010/12/6エントリ 武蔵小杉の「ひと」(5):川崎市まちづくり局(後編)
2010/12/17エントリ 武蔵小杉の「ひと」(6):レジデンス・ザ・武蔵
小杉(前編)


(イベント関連)
2008/8/23エントリ 「こすぎ夏フェスタ'08」成功
2009/10/31エントリ 武蔵小杉を練り歩く子ども仮装行列
2010/3/13エントリ 横須賀線武蔵小杉駅本日開業、記念イベント開催
2010/11/1エントリ 武蔵小杉を練り歩く子ども仮装行列2010

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2010年
12月17日

武蔵小杉の「ひと」(6):レジデンス・ザ・武蔵小杉(前編)

karejishi.gif

武蔵小杉ライフが地域活動に関わり合いのある方々へお話を伺う
インタビューシリーズ。これまで過去5回目にわたり地域活動に
関わりのある、民間団体、NPO法人、そして行政担当者の方々
など
にお話を伺ってきましたが、そのインタビューの中でみなさんが各々
再開発地域とその住民に対する思いを語られるのを聞くにつれて、
それでは当の住民の皆さんはどのように思っているのだろう?という
思いを抱くようになりました。

そこで今回は再開発地区のマンションの一つである、
レジデンス・ザ・武蔵小杉にお邪魔して話を伺う機会を得ました。
レジデンス・ザ・武蔵小杉は小杉駅東部地区再開発地域のB地区に
位置し、この地域ではもっとも早い2007年に完成したマンションです。

■レジデンス・ザ・武蔵小杉
レジデンス・ザ・武蔵小杉

ただ単に入居が早かった、というだけではなく設立当初から
マンションの住民の中で「コミュニティ委員会」という組織が結成
されて、マンション内だけでなく先般お話を伺ったNPO法人
小杉駅周辺エリアマネジメントに対しても活発な提案
を行うなど、
一部の方々からは一目置かれている存在です。

今回はそんなレジデンスさんの第三期理事長を務める豊田さん(※)、
ならびに同コミュニティ委員会の保崎さん
にお話を伺いました。
(※)インタビュー当時、現在は任期を満了し第四期になっています。

■豊田さん(右)と保崎さん(左)
豊田さん(右)と保崎さん(左)

--まずはレジデンスでコミュニティ委員会が出来た経緯を教えて
ください。

(保崎)
はじめに、コミュニティ委員会は管理組合理事会の下部組織として、
このレジデンス・ザ・武蔵小杉のコミュニティ担当理事をサポート
して、マンション内の円滑なコミュニティ活動を推進するための組織
です。

例えばクリスマスパーティーや七夕飾り付けといったイベントを実施
したり、あるいはサークルを作りたいといった住民のサポートを
行ったりしています。住民同士のコミュニケーションを深めて顔が
見えるコミュニティ作りをコーディネイトしていく
というのが
コミュニティ委員会の役割です。

コミュニティ委員会が発足した背景ですが、1つ目にはここに住んで
いる方々の安心安全な生活環境への関心が非常に高い
ということ、
2つ目に長期にわたってマンションの健全な維持化やハード面だけ
ではなく、いわゆるソフト面での健全性を維持していくということ、
3つ目にかつての「井戸端会議」というものが自然発生的に醸成
しにくい世の中なのでコミュニティづくりの仕掛けが必要だと考え
られたこと、4つ目は防犯面の向上や災害時の助け合いへの貢献
ということ、最後はまあざっくばらんにいうと顔の見える
コミュニティみたいなものが必要
ではないかと考えられたこと、
という大きく5つがあります。

また行政的に言うと、阪神淡路大震災以降、防災活動を下支えする
ために地域コミュニティ活動が大事ということで、各ディベロッパー
にその旨管理規約などに記載するという指導もあります。
それらの背景からディベロッパー側がこういう大規模マンションには
コミュニティ活動というのが絶対必要になるだろう
ということで
コミュニティ委員会というのを作りましょうということを設立総会の
時にかけて、創設されたという経緯があります。

でも住民側にはコミュニティ活動のノウハウがない。だから最初の
1年目はディベロッパー側がコンサルタントをコミュニティ委員会に
入れて、それで活動をはじめたのです。彼らからいろいろと
コミュニティ活動のノウハウみたいなものを教えてもらいました。
ただコンサルは1年で契約が切れたので、その後は住民自らでやって
いかなくちゃという形
で引き継いだのがいま継続して発展しています。

--ディベロッパー側の後押しもあったとのことですが、そのような
入り方はどう思われますか?


(保崎)
結果としては良かったと思いますね。
やはりこれだけの大規模マンションだと、まずみんなが一同に会して
コミュニティ作りやろうよっていう話もなかなか出てこない

でしょうし。これが20~30戸のマンションだったらお互い顔が
見えると思うのですが、このマンションでも400戸近く。もっと
大規模になった時にはそういう仕掛けを作らないとコミュニティ活動
というのは、いざやろうと言ってもなかなか出来ないんじゃないかと。

--保崎さんは呼びかけに対して自分で立候補されたと聞きましたが?

(保崎)
はい。
でもやっぱりそういうきっかけがないと自分から手を挙げることは
できなかったですね。

--他のマンションではそのような取り組みはなかったのでしょうか?

(保崎)
あまり聞いてないですね。
後からコミュニティの役割が出来たというような話は聞きましたが。
つまりそのコミュニティ活動というのが、理事会のなかで役割を
ちゃんと示せているか、もしくは与えられているかどうか
ですね。
聞いた限りではきちんと決まっていないマンションが多かったように
見受けられます。だからこそ我々がやっていることが周りの人たち
からみると驚いた感じで見られるのでしょうね、手前味噌ですが(笑)。

(豊田)
近隣のマンションで聞いた話では、コミュニティ活動をしたい人
たちが、集まって作ったコミュニティ委員会があるみたいなんです
よね。正確にはわからないのですけど、理事会ベースのコミュニティ
委員から始まってそれが委員会を作ったというイメージみたいですね。
そこでは、仕掛け云々はほとんど自分達で考えているみたいで、
基本的にコンサルが入ったりとか管理会社とかディベロッパー側が
先導してというのではないようですね。

また別のマンションではそういったものは必要ないという
ディベロッパー側の考えがあるところもあり、コミュニティ活動を
しなくても良いというところ
もあります。例えばレジの倍の世帯数が
あっても理事の人数は半分しかいないし、担当分けもほとんどない。
理事長とあとはその他みたいな形。なにか住民間の問題が起こった
ときにその問題を討議することと、あとは営繕関係ぐらい
という
ようですね。

--理事会の構成もマンションによってずいぶん異なるのですね。

(豊田)
「住民が独自になにかを考えて活動できる」というレベルに
なるまではどうしてもディベロッパーとか管理会社中心の活動に
なってくるので、初期の頃はそういった販売側の価値観の違い
というのが大きく響いてくる。
そんな感じがしますね。

--レジデンスはそういった経緯から始まったとのことですが、
1年たってコンサルが離れた後も続けておられますよね。その辺の
コツみたいなものは何かありますか?


(保崎)
まず参加しているみなさんが楽しんでやっていくことがポイントだと
思います。イベントというのはどうしてもカンフル剤的なもので、
やればやるほどマンネリ化していくので、新しい仕掛けみたいなのを
作っていく知恵は必要だと思うんです。

例えば、クリスマスパーティーは元々やっていましたけど、
マンション交流会(後述)みたいなのものをやってみたりとか。
今夏にはワールドカップ観戦をやりましたけど、そういった新しい
ものを少しでもいいから発案して、みんなで楽しんでやっていく
というのがまずコツの一つなのかな。

あとは、委員会のなかで「こんな企画やアイデアどう?」と言える
ような雰囲気
みたいなものを作り出していく、何かを否定するのでは
なくて気軽に「こんな企画どう?」なんて言える雰囲気みたいな
ものも大事だと思いますね。

(豊田)
意見が出るかどうかは大きいと思うんですよ。自分たちが考えて自分
たちでやる。だから楽しい。ということ
だと思うんですよ。これが
押し付けだと、例えば「どうしても今月イベントやらないと
いけないから。」という様になると意見も出なくなって楽しく
なくなってしまう。楽しくないと続かないしそれ自体が雰囲気悪い
ですよね。

たぶんレジデンスでコミュニティ活動がうまくいっているのは、
やる側が結構楽しんでいるところにあるんじゃないかと思います。
どちらにしてもボランティアの基本は自分達が楽しむことだと思い
ますね。

■豊田さん
豊田さん

--今現在のコミュニティ活動はどのようなものがあるのでしょうか?

(保崎)
はい。大きく分けて2つあって、ひとつはイベントを実施したり
サポートしたり
しています。

イベントで言えば例えばマンション交流会、クリスマスパーティー、
七夕飾り付けやあとはその年その年でいろいろみなさんが企画発案
したもの
をサポートしてます。

もうひとつは、オフィシャルサークルといいまして、いまこの
マンションの中では3つあるのですけど、住民のみなさんがサークル
活動をしたいと申し出たときに、その支援をしています。
そのほか、理事会主催のイベントがあれば、そのお手伝いをしています。

■コミュニティ委員会の掲示板
コミュニティ委員会の掲示板

--最初のイベント関連についてもう少し詳しく教えてください。

(豊田)
レジデンス・ザ・武蔵小杉のイベントで特色があるのは、
「マンション交流会」でしょうか。例えば駐輪場の問題とか営繕・
修繕問題とか、今このマンションで起きていること、何か問題に
なっていること、あるいはこういうことが起こりそうだという情報に
ついて、各理事や専門の検討委員会からプレゼンしてもらい、住民の
なかで問題意識や情報の共有
を行います。その後で、参加者で
懇親会
をやるんです。

これは今回で3回目ですかね、毎年2回やろうかなと思っているん
ですけど、もともと子供中心のイベントはあるのだけど大人のものは
ないよねという話
からきています。夜に有志で集まって飲んで談話
しようかという話になりかけたんですが、それだけじゃちょっと
つまらないということで、このあたりがイベント企画のミソだったり
しますが、前半プレゼン、後半懇親会という二部構成にしました。
そのほかその都度の企画イベントになります。クリスマスパーティー
がこのマンションの最大のイベント
です。

--七夕やクリスマスなど季節感を意識したイベントを行われている
ようですが。


(保崎)
子供たちに季節ごとの雰囲気を味わわせてあげたいという意見が
コミュニティ委員会の中でも多かったのです。ほんとは餅つき大会
だとか子供の日に鯉のぼりを揚げるとかやりたいのですがいろいろ
制約があるのでなかなか出来ないのですけど、今後はなんらかの
かたちでそういったこともやれるようになればいいなと思います。

■七夕飾り
七夕飾り

■クリスマスツリー
クリスマスツリー

--2番目の大きな活動のほうでオフィシャルサークルについて
教えてください。


(保崎)
先ほども言いましたがイベントというのはカンフル剤なんですよね。
やっているときは爆発的な力があるのですが、イベントというのは
主催者と参加者の関係でしかない
ことが多い。

そうではなくて参加者というか住民同士の横のつながりはどうやって
できていったらいいのだろう? という事がずっと僕の中で課題に
なっていまして、それならばなにかやりたいとか、あるいはこういう
ことが出来るという人たち同士をうまく結び付けられないか? 
という思い
が前からありました。それでオフィシャルサークルの制度
を立ち上げようという話になったのです。

今現在は、「キッズイングリッシュ」と「ベイビーヨガ」と
「太極拳」
がありますが、お子さんのいるお母様方が中心となって
集まっています。ある人いわく、これらのサークルに参加することは
一種の公園デビューだということもおっしゃっていました。まさしく
名言と思いますが、それで先ほど言った横のつながりみたいなものが
どんどん出来ていけばいいかなと思います。

--公園デビューとは少し懐かしい響きを聞いたような気がします。

(豊田)
昔は地域の公園があって、そこにみんなが集まってくるというのが
暗黙の了解
だった。だから公園デビューみたいな言葉があったわけ
です。

今、近くにも中丸子まるっこ公園などがありますが、レジデンスの
住民の人達がどこまでそれを知っているかというとあまり知らない。
特に初めての子供が生まれる人たちは子供の生活に対する情報を
ほとんどもっていない
わけです。そういった人たちにとっての第一歩
はなにかというと、どうしてもこれになるのかなという感じがします
よね。

■中丸子まるっこ公園
中丸子まるっこ公園

(保崎)
やっぱり同じマンションに住んでいて、気軽にいつも触れ合えて
なにか同じような問題を抱えているお母様方の悩み相談所というか
井戸端会議というかネットワーク作りの一つだとかそういうものが
積み重なっていく
ことで、イベントとは違う横のつながりみたいな
ものができていけばいいかなと思いますね。

それが少し残念なのは子供関連だけになっているので、例えば大人の
部でもゴルフやろうとかジョギングやろうとか、そういう集まりが
できればいいかな
と思っているんですけど、なかなか皆さんお忙しい
ようで、そういったサークルなり集いがあれば参加したいけど
自分自身が世話人にはなりたくないって人がほとんどのようなので、
そこが課題ではありますけどね。

■保崎さん
保崎さん

--確かに子供関係は枠組みがあれば集まりそうな気がしますが、
大人はまずその枠組みを作るのがなかなか難しいですよね。


(保崎)
マンション交流会などで話をすると、こういう事やりたいねって
みなさん言うんですけど、それをまとめるってところまではまだ
いってないんですよね。

(豊田)
あと町内会みたいなところだと年齢層も広くリタイヤ組の人たち
たくさんいる。そういう人たちは時間がたっぷりあるので、なにか
趣味のことをやりたいとなると、仲間を募ってやることもある
でしょう。そうやって仲間がどんどん増えていくというスタイルが
あると思います。

一方レジデンスは住民が若い。主流が30代、40代ですよね。
従ってそういったところにまで発展していくにはまだまだ時間が
かかる。ただこれが20年後30年後になると逆にそういう形が
中心になってサークル活動が盛んに行われる
ような気はしますね。

--その辺は時が立てば自然発生的に移行していくということ
でしょうか?その時にそういったコミュニティをつくるコツは
あるのでしょうか?


(保崎)
女性はわりと集まりやすい性質というか気質があると直感しているん
ですよ。それにたいして、男性はなにか仕掛けをしないと
だめなんじゃないか
と同性として感じています。

--確かに市民活動のサークルなどをみていても女性が多いような
気がします。


(保崎)
なかでも30代40代の方はやはり忙しいでしょうから、なにか
仕掛けをしないとダメかもしれませんね。NPOエリマネの再開発
地域全体の交流会ワーキンググループでも課題
になっています。
男性だから趣味がないわけではなくて、男は男で集まっているわけ
だからそこはやり方次第ではないでしょうか。無理やりサークルを
作らなくても、ただ集まって飲みますか、みたいなところ
からなにか
スタートできるかもしれません。

(豊田)
レジデンスではクリスマスパーティーを家族の部と大人の部に分けて
いますが、この大人の部が「ただ飲む」に該当
します。大人の部は
結構盛り上がる感じがします。情報交換もあるし、去年は特に新駅の
話もあったからすごく盛り上がりました。今年もやってみてどう
なるか楽しみです。

(保崎)
そう、去年は新駅の開業がありましたし、デリド(レジデンスの1階
にあるスーパー)が再オープン
するというイベントがあったので
盛り上がりました。結局みんなそのような情報に飢えているのですね。

豊田さん(右)と保崎さん(左)

--住民間で情報交換をできる場が大事なのでしょうか。

(保崎)
そうですね。廊下を歩いていて、いきなり情報交換やりましょう
なんてなりませんもの。だから今マンション内にしても再開発地域に
しても、どういうことが起りつつあるか、どこに何が建つかといった
情報交換など、それをネットでやるのかリアルでやるのか
がまた課題
としてありますけれども。

--普通はマンションなどでは隣の人の顔も知らないみたい話をよく
聞きますが、そういう意味でもやはりそういった情報交換を出来る場
が必要なのですね。


(豊田)
たぶんネットで情報交換が行われても、まあ活字になるので伝わり
間違いがないのかもしれませんが、会話って圧倒的にスピードが
早いし意志の疎通もしやすい
ということで、だいたいみんな発展して
いくとオフ会になっていくと思います。

保崎さんが今回CIC(後述)を作ったわけですが、その中での
デジタル的な情報交換が、まずは第一歩という感じ。そして今度は
フェイスtoフェイスになっていき、情報交換のレベルも少し高い
方向に進んでいくと。そうなって来た時に、サークルが発生する
可能性はありますね。

--なるほど。

(保崎)
だからその中間にあるのがフロア連絡会みたいなものですね。

(豊田)
そうですね。クリスマスパーティーはちょっと、マス(全体)に近い
ものがある。大人の部などでは個別にまとまりますが、フロア連絡会
はもう目的を絞り込んであるので、そういう意味では、共通する話題
は出来上がりますよね。

--フロア連絡会について、もう少し詳しく教えてもらえますか。

(豊田)
フロア連絡会は、まず一番初めに考えたのは防災からなんです。
防災で隣近所の人の顔がわからないと避難がうまく出来ない。
それから隣近所の顔が分からないと実際に困っている人がいても誰も
助けられない。
新駅が開くにあたって危機感があって、防犯の一環で
[あいさつ運動]というのが行われたんですが、そのあいさつ運動に
よってエレベーターホールで挨拶はするのだけど、「あの人確か
うちの階だったけなぁ」とかその程度なんですよね。

そこで同じ階の人を集めてフロア連絡会というものを実施しました。
すると確実に自分と同じ階の人とコミュニケーションがとれると
いうわけです。もうひとつの理由としては、理事会役員をスムーズに
引き継げるようにする
ということですね(笑)。

要するに一対一で引き継ぎを行うとその内容は一人しか知らないので、
欠席理事が出来やすいのですけれど、大勢の中で引き継ぎが行われる
と欠席しにくい
ですよね。誰もが知っているし顔も分かる。という
ことで欠席理事を出さない方法としても一つのツールにもなるかなと
いうことでやってみました。

それで始めてみて驚いたのはものすごく盛り上がるんですよ。
どうしてこんなに盛り上がるのかな?といろいろと話の中身を聞いて
みると、だいたい元理事とか現理事の人とかがいろんな情報を出すの
ですよね。そうするとみんな情報を知りたがる、それで聞いた情報
から今度は自分が理事になったらこんなことになるかなとか想像
したり、考えたりとかするのです。

それで今まで理事会や管理組合、それからコミュニティ活動という
ことにまったく興味がなかった人も、いくばくかの興味を示し
始めると。そういった感じでその場がすごく盛り上がるんですね。
でもフロア連絡会は30分の時間制限を設けてあって、「もっと
話したいのだけど」というところで切っちゃう
んです。そうすると
「何か良かった、楽しかった」という意識だけが残っている。すると、
次の年にやったところでまた盛り上がるのが繰り返せるんじゃ
ないかなと思います。

(保崎)
出席率が、今までのイベントの中で一番多かったんじゃないですか?

(豊田)
そうですね。一番多かったですね。大体全部で220~230世帯が
集まったので、400~500人ぐらい
ですかね、全部でトータル
すると。いっぺんにやるとここ(レジデンススカイビューラウンジ)
には全然はいらない
ですね。それぐらい盛況でした。

■スカイビューラウンジ
スカイビューラウンジ

--凄いですね。また大変興味深い試みです。

(豊田)
そうですね、こんな効果があるとは企画したほうもあまり思っては
いなかったのですけどね。消防署の方の話によると、本当は
防災レベルで考えるとワンフロアだけではなくて、3~5フロア
ぐらいでひとつの班を作ってもらいたいという話
があるらしいのです。

どういうことがというと、その班毎に食料とか水の配給とかそう
いったことも行われていくと流れになっていくので、そうやって
ロケーション別にまとまっていくという考え方
です。だから、先行き
レジデンスがそのような複数フロア体制の何かの仕掛けをするか
しないかというのは別にして、考え方としてはそういったこともある
ということですね。まずはフロアレベルで形が出来てからでも
いいのかなと思っています。

--フェイスtoフェイスのイベントをよくやっていてそこで情報
交換を行う事が有効だというお話を伺いましたが、一方で先ほど
ネットを活用という話もありましたが、そういったところの
取り組みはどうでしょうか?


(保崎)
理事会が何を考えているのかとか理事長が何考えているのかとか、
専門委員会が何を討議しているのかという情報は、やっぱり僕は、
住民に対して適宜、ある程度のスピード感を持って伝えるべきだと
思います。とはいえ、やっぱりいくらフェイスtoフェイスと
いっても、一度に集まれる物理的限界
があります。

いまこのマンションに何が起きているかだとか、いまこれから
どういうことが起ころうとしているのだとかといったことを、住民に
スピーディーに知らしめるためには、インターネットを活用しない
手はない
と考えているところです。

毎月やっている理事会の中で話されている内容や、あるいはいろんな
専門委員会での活動を、住民に知らしめるのはフェイスtoフェイス
では当然集まれる人数にも限界がありますし、時間的な制約もあり
ます。やっぱりネットというのは今後情報発信とか情報共有という
部分ではこれから必要になってくるという気がするんですよね。

ただ情報のアウトプットの仕方をどうするのか? という議論は当然
あって、もちろんセキュリティとして外部に見せられない部分もある
と思いますし、対住民といえども管理組合としてどこまで出して
いいのかという、内容的・表現的に難しい部分があると思うのです
けれども、そういう課題をクリアしていけばネットというのは便利で
活用できると思います。

そこで住民間の情報発信・共有におけるインターネット活用について
検討することを目的として、CIC検討委員会というものを作り
ました。
(CIC=コミュニティ・インタラクティヴ・チャネル)
今はまだ試行段階ですが、無料のネットサービス(Google Apps)を
用いてインターネットサービスを立ち上げています。

(豊田)
「ネットに何を求めるか?」という問題が今後出てくると思うん
ですね。住民が情報を手軽に得ることが出来た後、今度は話がしたく
なると。そうすると次には討論の場が必要になるのではないかと思い
ます。ところが先ほどのフェイスtoフェイスの討論の場が少ない
とか制約があるということになってくると、やはり何らかの形でも
話が出来る場が欲しい
ということになってくるんですね。

住民アンケートの中でもそういった声が早くから多く出ていて、今後
そういった方向で活用するためには例えば無料サービスでそれをする
のは難しいとか、それから管理をする諸問題が出てくるなどの話が
あって、どこまで出来るかという検討をするのが次のステップです。
実際、確実にそういった方向に進んでいくとは思っていまして、
そうなった時に、その上に初めてフェイスtoフェイスが立ち
上がっていくわけです。

例えば今まで数多くイベントをやってきても、何かイベントだけ宙に
浮いている状態
になってしまっているのかなと思います。それは
つまりイベントをするために人が集まって、イベントが終わるともう
人が離れるという感じ
です。ただイベントだけが存在していて宙に
浮いているわけですね。ようするにがない。

この足はなんなのか?というとコミュニティ、住民同士のコミュニ
ケーション
とかそういう部分が一番重要なのだけどそれ自体が存在
しない。ところがネットを使ったコミュニケーション活動がもしある
として、これが根付いていくとそれをベースに立ち上げていって、
その上にフェイスtoフェイスのコミュニケーションが出来上がって、
それでイベントが出来上がるという初めて構造体としての一つの形
出来上がるのかなという気がします。

豊田さん(右)と保崎さん(左)

--確かにイベントには一過性の側面があって、楽しい思い出作り
にはなるのかもしれないけど、それ自体が住民同士の強固な基盤
づくりに貢献するかというと必ずしもそうではないかもしれません。


--例えばそのような住民の議論の場をインターネット上に設けることが
出来たとしたら、そこに期待することはなんでしょうか?


(豊田)
僕が考えるには例えば一定のルールの中で行われる必要があるという
ことです。

例えばバイネームとか中傷とかはしないというような一定のルール
なかで行われ、大きな問題点が払拭された時に初めてメリットが
生きてきます。メリットとして考えられるのは、まず時間的な制約が
なくなるという点
です。ネットであれば参加者がそれぞれ自分の時間
で発言できるので、ある意味時間は無限に使えます。

次に討論とか議論とか話し合い、それからつぶやき、そういったもの
が何でも受け入れられる場として存在できる
ということです。まあ
お金をかければ最終的には例えば仮想空間とかそういったものも可能
だとは思うんですけど、いま現状ではそこまでお金はかけられない
として、例えテキストベースでしか話が出来ないとしてもテキストの
中にコミュニケーションの一つ一つのボールのやり取りが出来上がり
ます。形式は1対1もあるし1対多数もあるし多数対多数もある
でしょう。

そしてこれが出来れば次のステップへ進んでいく時にスムーズに
フェイスtoフェイスにつながっていく
ような気がするんですよね。
期待する部分はやはりそういうところで、問題点としてはどうやって
それを枠の中で押しとどめておくか。押しとどめておかなければ
いけない問題も必ずでると思うんですよ。

例えば一つの問題に対して2つの意見で完全に分かれてしまって、
住民同士が全く反目しあう状況
ですとか想像するともっといろんな
ことが出てくると思います。

実際確実にバイネームで議論しているわけですから、場合によっては
おもいっきり対立
するわけですよね。そうするとフェイスtoフェイ
スでもやりあう
ことになる、これも結構大変だと思いますね(笑)
パソコン画面を見ながら怒っている自分を想像したりすると滑稽では
あるけども(笑)それは普通に起こりうることなのかなと思います。
しかも影響力が結構ありますよね。一斉に全員が見ますから。一人の
発言を全員がみるので相当インパクトがあります。つまりどうやって
そういったものをある程度のレベルまでで抑えられるかという問題が
発生するような気がします。

(保崎)
住民同士のやり取りというのは一つのプロセスで、ゴールというか
結論が出ようが出まいがそれは最終的には住民同士の知恵の集積に
なる
と思うのですね。

先程の話のようにまっぷたつに分かれてしまう場合でも、それも一つ
の見方によるのだと思うんですが、もしかしたらファシリテータとか
コーディネータ
といった立場の人が必要なのかも知れません。
それは例えば各担当理事が、「まあここはちょっと落ち着きましょう」
とか「これは次回理事会で考えましょう」とか「専門委員会を立ち
上げましょう」とか、そのような引き取り方をする
のも一つの方法
です。

つまりある程度ネットではもう抑えきれないような事態になって
いってしまった時に、あとはそれをネットから引き上げて、理事会
とか各専門委員会といった公式な場で反目しあう人たちに来て
もらってやるしかないかなと思います。

でもそれはそれでいいと思うのですけど、僕としてはネットであれ
リアルであれやはり議論すること、議論できる場が持てるようなこと、
そういうのが今後のコミュニティの中では必要
なんだという気が
します。

建設的な議論でいければいいのですけど、それが負のスパイラルに
入っていった時は恐いですよね。ある意味でのセーフティーネット
必要ですが、それは各理事会とか専門委員会で議論を引き取っていく、
みたいなことしか収拾つかないんじゃないかなという気がしますね。

--例えば意見が割れた時に、フェイスtoフェイスの最終段階
としては住民総会の場になるのではないですか?


(保崎)
そうですね。住民討論会、といったようなイメージです。
でもそれがいきなり総会ないしは討論会で議論百出するのではなくて、
その問題についていろいろな経緯や考え方がみんなの前に可視化
されて提示されている
わけですよね。だからそういう意味では、
「議論する」ということがマンションの知恵のかたまりともいえる
わけで、僕は、意見が割れること自体は、うまく収斂の方向付けが
とれさえすれば、否定はしません。

(豊田)
保崎さんがいったように、まず最低限の情報をネット上で共通して
得られているとか、それぞれの意見の組み立て方もそれまでの経緯も
含めて分かっている
とすると、その上での話し合いですから、まあ
子供のケンカではなくて大人レベルの話し合いが出来るのかなという
気がしますよね。分かっていてやりましょうという感じの。

あとは恐さとして一つ思っているのは、ここがマンションで生活の場
ということなのです。生活の場で意見が大幅に違ってぶつかり合った
時に実際にその人は引越しをしなければならなくなる可能性もある
わけですよ。

そういう恐さも一つはあって、例えば二分だったらまだいいんですよ。
だけどすごく少数の人が孤立してしまって全体から叩かれるような
こと
になってしまうとそうなる可能性はありますよね。フェイスto
フェイスだとまあ大人の関係なのでそこまではやらないかもしれない
ですけど、ネットだといきなり攻撃性が出てきてしまうような可能性
はありますね。

そういった恐さに対して住民のレベルが上がってきてモラルも
上がってくればネットを利用するということに対して、そういった
懸念はだんだんなくなって来て一つのルールの中でお互いに尊重
しながら意見交換できるようになるのかな
という気はするん
ですけどね。

豊田さん

--集団生活をやっている以上はどうしても意見が割れることは
ある意味しょうがないことのようにも思えます。


(保崎)
あるいは自分は関係ないという無党派層みたいなのもいると思うん
ですよね。逆に声高に意見を主張している人がどうしても自分が
少数派だということに気付かないで、でもアンケートをとってみたら
圧倒的に負けていた、ということになるかもしれないじゃないですか。

(豊田)
理事長をやっていて面白いのは、理事会である問題に対して○か×か?
と聞きますと、情報量が多い方向でだいたい○が付く
んですよ。
ところが隠されている情報とか隠れている情報というのを見出せる
理事が中にいたりするとその理事が×をつけたりします。

そこで少数意見を僕が聞いてみるんですね。どうして×なんですか?
何か理由があるのですか?と。するとその理事は理路整然と説明する
わけです。それでその意見に対してみなさんどう思いますか?ともう
一度聞くと、今度はその意見が圧倒する
わけですね(笑)

さっきまで○だったのに今度は全部×かぁと思いながら、もう一回
今度は○の人の意見を聞くわけですね。○の人は○の人で最終的に
一人だけ残ってもやはりそれなりに意見を持っていたりして、その人
がそこでまた発言することにより○の人数が変わる
と。ということで
理事会では一発で決を採ることを僕はしないようにしています。
大体3回ぐらいとって、もういいねって言う時にそれで決定させる。
しかも自分は入れないという形を取っています。

考え方がいろいろあるんですけど、少数の意見というのはものすごく
重要なことが多い
ということは感じました。

--その辺は先ほどのネットの仕組みだと少数派の人も意見を述べる
場が与えられますよね。そうするとその人に賛同する人も出てくるの
でしょうか。


(保崎)
あるかもしれませんよね。もちろんその理由がちゃんと説明が
出来れば、それがみなさんに賛同してもらえれば、まさに今の話と
同じ仕組みにはなるしそういうのはまた残りますので、そういうのは
このマンションのナレッジになるのかなと思いますね。

--それにしてもやっぱりそのネットの危うさみたいなところという
のは、みなさん危機感を持っておられるようですね。


(保崎)
それは大いにありますね。やってみないとわからないっていう
スタンスだと、「ちょっと脇が甘いんじゃない?」って指摘
されちゃうでしょうし、といって、ぼくらも素人ですから、走り
ながら考えるという部分は致し方ないと割り切っていますが(笑)
今はたまたま情報発信とか情報共有といった機能だけなので、
閲覧者からの反応はあんまりないのですけど、これが実際に
住民討論みたいな場をネット上で与えた時に、やっぱりその
仕組みは誰が仕切るのかとか、紳士的に討議するといったような
ハウスルール、エチケットみたいなものはあらかじめ用意して
おくことが必要
だと思います。

--そういった事に対しては日ごろのコミュニティ活動でなにか
助けになるとか貢献できるようなことはないのでしょうか?


(保崎)
あるとしたらフェイスtoフェイスだと思います。

--顔見知りを増やしておくということでしょうか?

(保崎)
言葉ではこんなきついこといっているけど、あの人だったらこの
ぐらいかなとかいう感じが分かる
ということです。ネットのその
危うさみたいなものを補完するところではやはりリアル(オフライン)
でのやり取りというのは少なからず設けなきゃいけない
のかなと思い
ます。

だから先ほどいったマンション交流会だとかフロア連絡会というのは
もうちょっと来年は形を変える
ことを考えています。つまりフロア
連絡会にちょっと合体させて、みんなでそのまま飲み会に行こうか
とか、そういうことも考えていますよね。そういうところでなるべく
下地を作っておいて、先ほど言った顔見知りも作っておいて、ネット
でうまくのれたらいいなという感じですかね。

豊田さん(右)と保崎さん(左)

後編に続く)

【関連リンク】
NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメント 公式ウェブサイト
武蔵小杉ライフ:再開発情報:小杉駅東部地区
2008/2/10エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉からの眺望(1)
2008/2/13エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉からの眺望(2)
2008/2/16エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉からの眺望(3)
2008/2/19エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉からの眺望(4)
2008/2/22エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉からの眺望(5)
2009/7/7エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉の七夕ライトダウン
2010/3/29エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉のアースアワー2010
ライトダウン

2010/5/20エントリ レジデンス・ザ・武蔵小杉の窓掃除
2010/7/7エントリ 武蔵小杉のライトダウンキャンペーン2010
2010/10/19エントリ 武蔵小杉の「ひと」(4):NPO法人小杉駅周辺
エリアマネジメント(前編)

2010/10/20エントリ 武蔵小杉の「ひと」(4):NPO法人小杉駅周辺
エリアマネジメント(後編)

2010/12/5エントリ 武蔵小杉の「ひと」(5):川崎市まちづくり局(前編)
2010/12/6エントリ 武蔵小杉の「ひと」(5):川崎市まちづくり局(後編)
2010/12/18エントリ 武蔵小杉の「ひと」(6):レジデンス・ザ・武蔵
小杉(後編)

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2010年
12月06日

武蔵小杉の「ひと」(5):川崎市まちづくり局(後編)

karejishi.gif

前編から続き)

--お二人の今現在の活動においての課題とか今後の方向性に
ついてはいかがでしょうか?

(植木)
一番大きいのは今後新たに建設されるマンションの住民の方々が
どれだけNPOに加入していただけるか
、といったあたりが一つの
課題ですよね。

いま計画がある中でいうと東京機械の跡地とあとは東横線の駅を
挟んだ西と東両方
にまたマンションが建ちますよね。この地域に
ついても先ほどのNPOの設立の趣旨からすると、もともと住民が
いなくてコミュニティがなかった場所なので、そういうところには
やはりNPOとしても活動を広げて行きたいなと思っていて、
そうするとそこの3棟についてもNPOに加入していただけるように
いろんなかたちで調整をしていかなければいけない
というのが一つ
大きな課題です。

もう一つはやっとエリマネ連絡会議等が開催できるようになってきて
マンションの住民の方、地域住民の方を主体としたNPOの運営
というような形になってきている
のですね。それがもっと動いていく
なかでNPOの活動というのは多分大きく変わってくると思うんです
よね。

■エリマネ連絡会議
エリマネ連絡会議

住民の方が実際に必要だと思っていることと、われわれ行政や
あるいはNPOに携わっている周辺の市街地の住民の方々がNPO
としてやるべきだと思っている内容とはたぶん温度差があって、
ほんとに住民の方主体のNPO活動になってくると、今まで
やっている事業も大幅に見直しをしていろいろと内容を変えて
いかないといけない
というようなことになってくると思います。

その辺については人の問題、何をやるについても人手がないと
できませんので、そういうものを担っていって頂ける人材、
こういったものを発掘していかないといけない
と。たぶんその辺が
NPO的には大きな課題なのかなと思います。

--駅の向こう側というのは少し離れていますがどの辺までエリアを
拡大するのでしょうか?中丸子のほうにも新しいマンションが
建ちますし、地域の町内会との分担などはどうなのでしょう?

(植木)
町内会についてはむしろこの新しいマンションができた時に地図上
だけでいうと既存の町内会の対象に入るわけですが、実際には既存の
町内会の世帯数よりもマンション1棟のほうが世帯数でいうと大きい
ようなマンションが建
ってしまうので、それはちょっと面倒を見切れ
ない
といったような話がでてきたのです。

それでこの地域では今現在町内会がないという状況になっているの
ですね。それが実際に西街区のほうでいうとあの辺の町内会の方が
どういう意向かと、つまり向こうの方々が町内会で面倒をみるから
ということであればそれはまた状況が違うのでしょうけど、
もし同じように町内会では面倒みられませんということであれば、
そこはやはりNPOとしてフォローしていかなければいけない
のだろう
なと思います。

(下田)
そういう整理がついてすんなり町内会で受け入れてもらえるので
あれば、あえてエリマネでどうこうという話ではないと
思うんですよね。

(植木)
その辺がなかなか難しくて、それと町内会=NPOではないので
例えば町内会に入ったからといってじゃあNPOではなにもしなくて
いいのか?という問題もあるのだろうし、あと現在NPOが対象に
しているのは分譲マンションだけ
なんですよ。賃貸がまったく
抜けちゃっているんですね。

■賃貸マンション R-Styles武蔵小杉
賃貸マンション R-Styles武蔵小杉

■賃貸マンション ロイヤルパークス武蔵小杉
賃貸マンション ロイヤルパークス武蔵小杉

本当は住んでいる住民という視点で考えるとみんな同じなので、
そこにはなんの区別もないはずなので、そうすると我々はその人たち
を対象にいろんな活動をしたいんですけど、現実の問題としては賃貸
だと管理組合がない
じゃないですか。管理会社があるだけなので。
そうすると我々が交渉する窓口がないわけですよね。

--各世帯ということになりますね。

そうですね。例えば近隣の賃貸マンションでも300戸近い規模の
ところがありますが、1軒1軒回ってNPOの活動を説明して
いくのもなかなか現実には難しくて、それでもパパママパークとか
こども探検隊とかやっているとその賃貸マンションの方からも
たくさん参加者がいる
んですよ。

■こども探検隊の特別企画として開催されたハロウィンイベント
こども探検隊の特別企画として開催されたハロウィンイベント

そこの住民の方で個別にNPOの正会員になってくださるような理解
のある方もいらっしゃるのですけど、なかなかそれが全世帯にというと
難しい。
まあそれは周辺のこの地域以外の中原区のマンションでも
町内会に入っていないところなんて一杯あるわけで、どこでも同じ
だと思うんですけど。

(下田)
民生委員の話一つとってもあれだけのマンションを町内会に入れたと
しても、町内会の方で全てが賄える活動ではないですよね。だから
マンションの人も町内会に頼りっきりじゃなくて自分達も町内会に
参加する意識
を持ってくれないとたぶんうまく回っていかないと
思うんですよね。この地区の超高層マンション一棟で民生委員を
2人ださないといけない
という話じゃないですか。

(植木)
というのは、民生委員は380世帯に一人ださないといけないという
決まりがあるんですよ。そうするとこの辺のマンションなどは
2人ずつぐらい出さないといけないのですよね。ところがいまの
ところ誰も出ていなかった。

さっき言った地図の話でいうとこの辺は中丸子だから駅の向こう側の
町内会のほうから現在民生委員が出ていて、その人たちが一応は
担当になっている
のですね。そうすると何かあるとその方たちがきて
活動をする必要があるのですが、そもそもセキュリティの問題が
あって入る事ひとつ大変
です。

まして誰がどこに住んでいるとか、全然わかんないわけですよね。
それはまあ住んでいる住民の方にとっても同じなのですけど、
隣の人の顔も名前もわかんないという人が一杯いるわけで。

--そういった民生委員とか児童委員というのもまちづくり局の
管轄なのですか?

(植木)
これは区役所の地域保健福祉課の担当ですが、もちろん区役所と
連携はしています。こちらのエリマネ連絡会議やいろんな交流会の
場を使って区役所の担当職員が来て民生委員・児童委員の説明を
させてもらったり、あるいは個別にマンションの交流会に伺って、
そういう説明をさせていただいたりして、理解をしていただくような
努力をしています。

(下田)
その結果として3人候補者がでました。結局これだけ大きくても
町内会がないじゃないですか。町内会と行政との連携って切っても
切れない部分があって、いろんな情報交換や役割分担をしているん
ですよね。

そういうものが一切なくて、例えば民生委員はとりあえずでました
けれども、青少年指導員や体育指導員や地域教育会議とか町会経由で
出ているもの、そういったまだまだ整理仕切れていない部分って一杯
あるんですよ。それは町内会とおんなじようにやる必要は
ないんだろうけど、この地域なりのかかわり方というのはやっぱり
考えていかないといけない
ですよね。

--確かに既存の町内会・自治会が持っている重要な機能・役割分担
みたいなものはありますよね。

(植木)
住民の方々もいまそういう町内会的な機能をNPOに求めるように
なってきている
、それはいろいろと話していく中で感じているん
ですね。やっぱりそういう町内会的なものをやって欲しいという
希望があると。

■NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメントの交流会
NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメントの交流会

一方でやっぱりNPO法人なのであくまで主目的は公益的な活動を
するのがメイン
なんですよ。公益的ということは不特定多数の人の
ための活動をするということで、マンション住民という特定多数の
人のためだけの活動ということになるとこれは共益的な活動になって
しまうと。

そうなるとこれはNPO法人のもともとの趣旨とずれてきてしまうの
ですね。町内会的な活動、そこに住んでいるみんなのための活動に
なるとこれはもうあきらかに共益的な活動の部分
なので、それを主に
NPOとしてやるということはやはりそのいまの法制度上難しい。

そうするとNPOとしてやれることは公益的なことを主として行い
ながら副次的に共益的なことをやりましょう
と、いまはそのやれる
範囲のことをなるべく大きくして、やれるだけやっていこうとして
いるんですけど、これが町内会活動とかをもっと頑張ってやって
くれよってことになってくると、ひょっとするとNPOとしては
担えなくなるかもしれない。


その場合にはNPOの他になにか新しい団体を設立するのか、
あるいはNPO自体を新しい組織に移行するのか、その辺の将来的な
展望というのはよくわからないのですが、あくまで
エリアマネジメント活動を推進していくというまちづくり局の目的
からするとNPOはNPOとしてあって、それとは別に町内会的な
活動をする団体をつくるという方向になっていくのかな、

という風に思いますね。

やっぱりそれをやっていかないといけないし、住民のニーズが
いまそういうところにはっきりと出てきているので、これからは
そういう方向を模索していくのかなと思います。

--今まで面識がなかった同士のマンション住民からそのような
要望が出ているとは知りませんでした。


それは本当にわれわれも予期しなかったのですけど、こんなに早い
段階で住民の方からやっぱり町内会必要だよねという話が出てきて、
そういうことを真剣に考えていこうと自分達の口からそういう意見が
出てきた
というのがちょっと意外なぐらいでした。だから我々としても
これは全力でサポートしてそういうような形にもっていきたいなと
思います。

■植木課長補佐
植木課長補佐

(下田)
民生委員だってこんなに早く3人でるとは思わなかったですね。
法に定められているから課題であるのは間違いなかったですけど
時間がかかるのだろうなと思ったら、意外なことに3人出てきて
くれて。

(植木)
それだけこのマンションの住民の方のポテンシャルというのは高い
んですよ。いろんな知識だとか能力だとか経験だとか持ち合わせて
いる方がたくさんいて、やる気のある方も一杯いらっしゃるのです。

たとえば先ほどいった民生委員というのはこうなんですよ、
こういうふうにこのマンションからも出して欲しいのです、
ということを行政から説明するじゃないですか。説明してそういう
趣旨をちゃんと理解してもらうと、よし俺がやろうという方が実は
いらっしゃる
んですよ。
それってこの地域以外の他のマンション群ではなかなか無いこと
なのかなと思いますね。だからこの住民の方々についてはすばら
しい人材も一杯いて非常に頼もしく思いますよね。

--下田さんのほうにも課題や方向性をお伺いしたいのですが。

(下田)
私もやっぱり形は徐々に出来ているとは思うのですけど、やっぱり
です。ほんとに人についても3年前からみれば比べるべくもない
ぐらいたくさんの人と一緒に活動は出来てきている
んですけど、
まだまだ探せば探すほど課題が結構出てきて、自分達のやりたい
こととかも盛り上がって来ている
んですよ、ものすごく。

でも結局やっぱり同じ人がいくつもやってしまっているんですよね。
ワーキンググループなんかを立ち上げてもやっぱり引っ張ってくれる
人は決まっていて、例えばレジデンスの森さんとか。
(前回NPO法人インタビュー参照)
ああいうすばらしい人材が一杯いるんですけども、やっぱその人に
集中しちゃうというか、だからこううまく役割分担みたいなのを
キレイにして、みんなで仕上げていける形にしたいな
って思って
いるんですよ。

持続可能な取組みとして地域に定着していくためには、一人の人に
過度な負担がかかっちゃうのはよろしくないですし、やっぱり地域
全体として活動していく趣旨とかにも反しますから。そういう課題を
発掘してその課題を解決する方向性をみんなでまとめていけるように
したいです。それを実現するためのこうキレイな組織体制と役割分担
して、みんなでやっていこうという形を少しずつでもまとめて
いければいいかなあというと思います。

(植木)
最初に入会したレジデンスにしてもまだ3期目、次が4期目ですよね。
要するに理事会とかのメンバーになってNPOや地域と関わって
いかないと見えないじゃないですか、いろんな部分が。

たぶん今まで見ていても、理事になってNPOと関わってみて
やっぱりこういうことは大事だとか、じゃあ自分も関わってやって
いこう
っていうふうになってくると思うんですよね。

だからレジデンスさんでもどんどん理事が代替わりしていって
その度にいろんな人がNPOと関わりを持っていって、じゃあ俺も
手伝おうっていう人がどんどん増えてきているのだと思います。

その点からみると、今はまだ3~4年目の段階でいろんな人に
みんな一緒にやろうよっていっても実際にはなかなか難しい

思うので、それはこれから時間がたっていくと徐々に変わって
いく
のじゃないかなと思います。

それともう一つは、レジデンスが一番に入会してくれたというのは
NPOとしては非常に大きくて、まあ中には当然NPOに対して
反対する意見とかもあったんでしょうけど、そういうのもまとめて、
まあ一度やってみようよということで最初に意見を集約して
くださった、第一期の理事の方が果たしてくれた役割というのは
非常に大きい
と思うんですよ。

それがあったからこそパークシティとかコスギタワーとかみんな
そういうところも協力してくれているわけで、そのおかげが大きいと
われわれは感じているんですよね。

■4期目を迎えたレジデンス・ザ・武蔵小杉
4期目を迎えたレジデンス・ザ・武蔵小杉

--例えば地域の活動をするときに一定数で賛同されない方、
あるいは反対だという意見も存在します。そういったことに対する
取り組みについてなにかありますか?

(植木)
やっぱりわれわれが思っているのは根気よく説明をするというのが
一番
かなと思います。

例えばあるマンションなんかでも最初は非常に反対意見が多くて
理事会としてもこのままでは難しいよという話もあったんですけど、
何度も足を運んで説明して、実際にNPOの活動に参加して
いただくうちに理事の方に理解していただけるようになりました。

そうするとあとは理事の方が各住民を説得してくださるんで、
非常にうまくいくようになると思うんです。だからその前提としては
我々が理事の方々に対してどれだけきちんと説明が出来て説得が
できるのかということ
、それは時間をかけてお互い人間関係を築いて
信頼関係が出来てこないとなかなかそう簡単には進まない
ので、
それぞれのマンションの理事会にもそれこそ何度も何度も行って、
土日も行って、だいたいマンションの理事会って土日が多いじゃない
ですか、あとは平日のすごく遅い時間とか、われわれも本音を言えば
勘弁して欲しいと思う時もあるんですけど(笑)
行って、話をしてきているわけですよね。

それでやっぱりその中で住民の方にしても役所の人もこんな夜遅く
よく来てくれたとか、休みの日にきてくれたとか、そういう中で
やっぱり人間関係ができてきたり、例えば今回みたいにハロウィン
とかあったりするじゃないですか。そういうのを通して一緒にやって
いくとやっぱりNPO必要だなと思ってくださる
わけですよね。
そういうところの積み重ねでしか無いと思うんですよ、うまく説得
というかみなさんに理解してもらえるようにするというのは。

(下田)
最初から全部受け入れてくれるとこなんてないですよね。
NPOって何?ってところからの人が多いですからね。

--最後に武蔵小杉ブログの読者のみさんに一言お願いします。

(下田)
役所の人間も割とみんな見ているんですよ(笑)
武蔵小杉ライフさんを定期的にチェックしていて、なんでそんな
ところまで知っているんだろうとか(笑)でも、地域の情報が
あれだけなんでも見られるというのがあるというのは便利だし
ありがたいと思うんですよね。

NPOに携わっている観点からすると、本来はNPOのホームページ
があのようにあるべきじゃないか
と思っているんですけれども、
NPOの使命としてはそういう情報発信とか情報を集約するっていう
機能がこれからますます重要になってくると思いますので、そういう
意味では武蔵小杉ライフさんをお手本にしながらやっていきたいなと
思います。

大きなことやらなくていいと思うんですよね。ここにくれば何か
見られるとか、情報がちょっと載っているだけでも十分
だと思うん
ですよね。せっかくこれだけの地域のイベントとかをやっているので
そこら辺をうまく発信できるようなツールをもっと作って行きたいな
っていうのはありますよね。

住民のみなさんには、まずは参加して触れてもらって理解して
もらいたいと
と思うのですね。まだまだご理解いただけてない部分
ってあると思うし、こっちがみなさんのかゆいところに手が届いて
いないのかも知れないですけど、そこはまさに参加してそういう
指摘をしてもらって、願わくはじゃあ一緒にやっていこうよという
体制を作りたいなと思っています。

私がほんとに嬉しかったのはパパママパークってもう3年ぐらい
やっているんですけど、そこに参加している若いお母さん達が
自分達にもお手伝いが出来るんじゃないかということで、
パパママパークⅡみたいなのが出来た
んですよ。

■「パパママパークこすぎ」
「パパママパークこすぎ」

それはなぜかと言うと参加者のお母さんが、もう結構お子さん達が
大きくなって自分達来づらいかなって思っていたらしいんです。
そんなことないよと、じゃあそういう人たちのためのパークを自分達
でやればいいじゃん、という話になって第二のパークみたいなのが
出来たんです。それってほんとに理想だなと思います。まさにOB的
な感じでその人たちが次の世代を担うような、うまい仕組み
になった
なあと思います。

それは最終的な目標ですけど、まずは参加してみて体験してもらって
みんなで作っていくNPO
だと思っているので、できればそこで口と
手を出していただく、という人をもっと一人でも多く見つけたいと
思っています。

(植木)
武蔵小杉ブログの情報の早さ、正確さにはいつも驚かされています(笑)
NPOのホームページも現在見直し中なんですが、地元のみなさんが
困ったときにはNPOのホームページを見ようと思っていただける
ようなものを目指しています。近日中にリニューアル予定ですので、
ときどきインターネットでチェックしていただけるとうれしいです。

(後日、リニューアルオープンしました)
■NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメント 新ウェブサイト
http://musashikosugi.jpn.org/

--本日はどうもありがとうございました。

■川崎市まちづくり局 植木課長補佐(左)と下田さん(右)
川崎市まちづくり局 植木課長補佐(左)と下田さん(右)

【関連リンク】
NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメント 公式ウェブサイト
2009/11/7エントリ 「キラッと!小杉&丸子モールマップ」
2010/9/26エントリ THE KOSUGI TOWERで「コスタまつり
2010秋」開催

2010/10/19エントリ 武蔵小杉の「ひと」(4):NPO法人小杉駅周辺
エリアマネジメント(前編)

2010/10/20エントリ 武蔵小杉の「ひと」(4):NPO法人小杉駅周辺
エリアマネジメント(後編)

2010/12/5エントリ 武蔵小杉の「ひと」(5):川崎市まちづくり局(前編)

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2010年
12月05日

武蔵小杉の「ひと」(5):川崎市まちづくり局(前編)

karejishi.gif

武蔵小杉ライフが地域活動に関わり合いのある方々へお話を伺う
インタビューシリーズ。第5回目は武蔵小杉地区の再開発に深く
関わりをもつ川崎市まちづくり局の植木課長補佐ならびに下田氏に
お話を伺いました。

行政の立場としてこの武蔵小杉をどう捉えているのか?このまちは
今後どうなっていくのか?
などなどを、お二人の日ごろの活動を
交えながら聞いてみました。

■川崎市まちづくり局・植木課長補佐(左)と下田さん(右)
川崎市まちづくり局・植木課長補佐(左)と下田さん(右)

--武蔵小杉周辺で活動しているところをよくみかけますが、
どんなことをやっておられるのですか?


(下田)
我々は小杉駅周辺総合整備推進室というこの地域の再開発全般
等を担当している部署
です。我々がここで活動している経緯ですが、
これだけの大規模な再開発というのがこの短期間に行われている
中で、もともと既成市街地ではなくて企業のグラウンド跡地だったり
とか大規模な工場の跡地というところで再開発事業が行われている
というところで、我々としましては、かなり早い段階からハード整備
だけではなくて将来的な街のあり方を見据えて、ソフトな街づくりの
あり方も検討して行こう
ということでまち局(※まちづくり局。以下同じ)
が中心となって、小杉駅周辺戦略会議というものを立ち上げました。

この中で学識経験者だったりとか、企業の方とかあるいは市民の方々
と一緒に小杉の将来像というのを検討してきました。
結果としてその中で、地域住民が主体となったなんらかのコミュニ
ティ活動、もしくは街の維持管理活動をやっていくことが必要
だろうと
なりまして、NPO法人という形でこのエリアマネジメントを立ち上げる
ことになってきました。

NPO法人自体は当然地域の住民の方々が主体となっているもの
ですし、独立した法人ということもありますが、我々としましても
この地域のエリアマネジメントの推進ということは非常に重要だと
認識していますし、この地域の将来像を明らかにした小杉駅周辺
将来構想
というものにエリアマネジメントの推進の必要性というもの
は明記しております。

(参考記事)
■川崎市まちづくり局 小杉駅周辺まちづくり推進地域構想
http://www.city.kawasaki.jp/50/50tosike/home/tosimasu/
kosugi/kosugi.htm

■2008/4/18エントリ 小杉駅周辺地区将来構想パブリックコメント結果
http://musashikosugi.blog.shinobi.jp/Entry/361/

行政と住民との協働により、両者ともに歩む中で小杉駅周辺での
エリアマネジメントをやっていくことが必要だということで、我々は
NPOの支援という形で、小杉で活動させていただいています。

--まちづくり局の活動の中で、武蔵小杉はどのような位置付けに
あるのでしょうか?


(下田)
川崎市からみて、ということでいうと総合計画等に「広域拠点」という
形で明確に位置づけられているんですよ。広域拠点は川崎と武蔵
小杉とあと新百合ヶ丘しかない
んです。だから市の中での位置づけと
いうのは非常に高い
と思います。そこでこういった再開発があるという
ことなので、市としての力の入れ方というのもかなり大きいことである
のは間違いないですね。

(植木)
もちろん小杉だけに川崎市が力を投入するわけにはいかないので、
そこは他の地域と公平ではあるのですが、小杉の場合は秘めている
ポテンシャルは非常に大きいと思います。

つまり、まだ駅前のこれだけ便利なところに工場が残っていたり、
交通の利便性が非常に高かったり、まして今回の新駅の開業によって
一層利便性が高くなったと。

そういう意味では非常にポテンシャルが高いと我々は思っていて、
そのまちをほっておくとそれこそ企業が勝手な開発をしてしまう

ということがあるので、そういうことが無いないようにこの街を、
みんなの宝物ですからね、その辺をうまく市としても調整していこう
ということでそういう意味で非常に高い位置づけ
になっています。

--広域拠点についてもう少し詳しく教えてください

(下田)
総合計画上では、市の拠点を広域拠点、地域生活拠点、臨海都市
拠点とそれぞれ位置付けをしていて「市外の隣接都市拠点との調和
のもとに適切な機能分担を行い、地理的条件や交通機能などを踏まえ、
民間活力を活かした個性と魅力に溢れた拠点形成を目指す地区」を
広域拠点
としています。

それは単純に内部の話だけじゃなくて外部とのネットワークとか
そういった意味も含めて市の核となる場所をそういう意味で指します。

■広域拠点としての武蔵小杉
広域拠点としての武蔵小杉

--まちづくり局は川崎市全体をみる組織だと思いますがその中で
武蔵小杉を専門で担当されているのですか?


(植木)
拠点ごとに開発の担当を設けてやっているところと再開発全般を
やっている部署と両方あるのです。小杉は特に大規模な再開発が
あるので、特別にそういう組織を作ってハード面をいままでやって
きた
のですけど、先ほど話があったようにハード面だけでなく
ソフト面もやっていかないといけないということになりました。

特にまちづくり局としては、今まではあまりそういったソフト面の
ことを行政としてやってこなかった部分があったので、これは初めて
のケースだと思うのですがこういう形でソフト面をまちづくり局が
主体的に担っていこう
ということで取り組んでいます。

--ハード面とソフト面についてもう少し詳しく教えてください。

(下田)
ハードというのは建物や基盤整備、新駅もそうですね。基盤を整備
すればかたちはすごくきれいな街になりますし、道路も広くなって
便利になります。ただハードが整ったまち=住みやすいまちか、
というとそうではないと。そこで必要になるのがソフトの部分で、
簡単なところからいくとお隣さんとのご近所づきあいだとか、
あるいは清掃してきれいにしたって何もしなければあっという間に
汚れっていっちゃう
わけですよね。

そういう地道な清掃活動によってまちの維持管理みたいなものを
続けていったりとか、あるいは楽しい、にぎやかなイベントなんかを
やって地域全体のまちおこし的な活動していったり、住民同士の
つながりでやるような小さなまちづくり活動
をやっていくことに
よって、ほんとにそこに住んでいる人たちの住みやすさというのは
変わっていくのじゃないかなというようなところですよね。

エリアマネジメントというと結構大きな話のように見えるかも
しれないですけど割と小さな話なんかも含めてそこの住民が主体に
動くようなまちづくりをうまく展開
していければいいかなと思って
います。

--ソフト面での活動に関して、再開発地区に新規居住者が入居して
きてから約3年が経ちました。
これまでを振り返ってみていかがでしょうか?


(植木)
いちばん最初このNPOができた当初はまだ住民の方もいらっしゃら
なくて、全くなにも出来ない状態がありました。それが徐々にあの
マンションが入居したよ、このマンションが入居したよということで
入居されるたびにそこのマンションの理事会にお伺いしてNPOの
説明をして、NPOの活動にご協力いただくようにお話をして
という
ことを個別のマンションごとに繰り返してやって来ました。

ようやく各マンションの理事さんたちと顔がつながってきて、今度は
そこを越えて各マンション、このエリア全体のマンションの方々を
NPOが中心になって繋いで、このまちづくりを住民のみなさんが
主体となって考えていこう、ということがやっとできるようになって
きたと。
この3年半でやっとそういうNPOが目指したところに、
まあスタートラインにたったのかなという感じですよね。

これから本当にそういう方々との街づくりを進めていく中で、
みなさんが抱えている課題だとか、みなさんが認識している
こうあった方がいいんじゃないかというようなところを実現して
いけるかどうか、それがNPOの存在価値になっていくのだろうなと
思います。これがうまくいかないと逆にNPOは存在価値がない
というような評価をされるじゃないかと思っています。

--これまで活動してこられた中で困難だったことはありましたか?

(植木)
NPOの活動の趣旨に賛同していただいて、会員になっていただく
ということを我々はNPOと一緒にやって来ているのですけど、
趣旨には理解を示していただいても、じゃあマンション全体で全世帯
あげてNPO活動に協力しましょう、NPOに加入しましょうという
ところまで話が進んでいくのにだいぶ時間がかかる
ということが
ありました。

それはマンション内部の調整もそうでしょうし、我々が理事さんに
NPOのあり方等についてきちんと理解していただけるようにする
努力が足りなかった部分があるのでしょうし、そこが一番難しい
ですよね。

--武蔵小杉駅周辺では一段落していた開発が再度始まりました。
 今後のまちづくり局の活動にはどのように影響しそうでしょうか?


(植木)
もともとNPOの定款上も小杉駅周辺の住民を対象にという文言が
あって、対象としているのはあくまで小杉駅周辺という漠然とした
範囲
なのですね。だから今度の駅前の再開発地域については十分
その対象になる
と考えています。

もちろん東横線の東西地域についても、もともと町内会とか
コミュニティとかいったものが存在していない場所ですから、
西街区にしても東街区にしてもその辺に新しいマンションが出来て
きた場合にはやっぱりNPOとしても関わっていく必要がありますし、
またまちづくり局としてもあそこの地域においても
エリアマネジメント活動を推進していく必要性がある
と認識して
います。

(下田)
西街区、東街区もそうですし、東京機械の跡地もそうなので
エリアマネジメントの展開をまたもう一段階発展させていかないと
いけないと思います。でも北側という話になるとそこは少し今の
枠組みとはまた別のところで整理
していかなきゃいけないのかな
というところはあります。

■東京機械製作所と東急武蔵小杉駅の西街区・東街区方面
東京機械製作所と東急武蔵小杉駅の西街区・東街区方面

--前回エリマネで話を伺ったときに商業的な観点の話もいろいろ
でましたがお二人の活動にはそういった範囲も含まれるのでしょうか?


(下田)
小杉駅周辺全体を考えていくのであれば、既成市街地にはこれだけの
商店街がありますので、商店街との連携というのも長期的なスパン
では出てくる
と思うんですよ。そことの関わり方というのは、例えば
いままでの実績でいうとモールマップみたいなのを作って情報発信
みたいなものはさせていただきました。

今後そういったところでどのような関わりをしていくのかは、
みなさんで検討していかないと見えないところではあるんですよね。
位置づけとしては商業活性化もNPOの目的となっているのは
間違いないので。

(植木)
そのような目的で活動をする際にはそれが果たして住民の方にとって
プラスなのかどうか、いまの住民のみなさんが求めているのは
そういうことなのかという視点でみる必要があると思います。

いま住民の方が求めているのはやっぱり自分達が暮らしやすいまちを
作っていこう
ということなので、具体的にいうともっと地道なことというの
かな、自分達の生活に根ざしたことなのですけど、その辺と商店街との
コラボだとかいうのはちょっと異なる部分があるのかなと思います。

--先日インタビューではコスギタワーでの祭りの話を伺いました。
あれは一種の商業とのコラボではあると思いますが、住民のため
地域のコミュニティのためにも価値はあると思いますが。


(植木)
たぶんみなさん考えているのはこの地域で例えば夏祭りとか秋祭り
とか、そういうお祭りを開きたいなというのがあって、ただいろんな
意味で制約がある
のですよね。

まず場所、それをやるための人手や予算などいろんな問題があると
思うのですけど、特に場所が難しいんですよね。そういう中で実際
自分達のやれる範囲でやろうと思うとああいう形でそのマンションの
中を使ってやるとかマンション周辺の公開空地を使ってやるという
ことになってきて、たぶんああいう形になるのかなと思います。

ただ、あれはマンションのイベントなので招待されていない他の
マンションの方は基本的に入れない
じゃないですか。その辺が
ちょっと限界というかですね、だからほんとに目指しているところは
そういうお祭り的なところでもっと住民が交流できて楽しく遊べる
ようなもの
だと思うのですけどそれがあのまま発展していくのか
というとちょっと違うのかなという気はしますね。

■「コスタまつり2010秋」の案内
「コスタまつり2010秋」の案内

--ちょうどいま関わり方というお話がでましたが、お二人はどの
くらいまで関わるのですか?まちづくりが終わるまで?
ずっとでしょうか?(笑)

(植木)
まちづくり局と中原区役所との役割分担もあるんですね。
まちづくり局としては先ほど小杉地区のこういうソフト面のことを
やるのが初めてのケースだという話をしましたけれど、それは多分
区役所にとってももちろん初めてのケースなわけですよ。

今まではまち局はハード面のことをやって、ソフト面は区役所で
という話だったと思うのですけど、これだけの大規模な集合住宅に
おいて、それこそ町内会とか自治会がないわけなので、区役所
としてもどうやって関わっていこうか
とそういう思いが一つある。

それで、まち局は先ほどいったようにエリアマネジメントの推進
ということでこの地域のまちづくり、資産価値の向上ということを
目指していろんなことをやっているのですけど、それとの関わり方、
我々としては当初こういうNPOを作ってこれを通じて
エリアマネジメント活動を推進していくという中でそういう
自治会的な組織作りまでいくことができればいいなという形で
やってきたのですけど、実際こうやっていく中で、住民の方の中
から自治会組織の必要性だとかそういうご意見が非常に強く
出てくるようになってきた
んですね。

そういった自治会とか町内会の話になってきますと、今度はまさしく
中原区役所の地域振興課の仕事なんですよ。その辺になってくると
中原区役所とも共同で一緒に住民の方々を交えて、この地区の
そういう自治会のあり方等を一緒に考えていかないといけない、
最終的には彼らが主体となって今後地域の住民の方と一緒に
まちづくりをしていくという形
になってくると思うんですね。

いまのところは我々がこの地域に直接入り込んで地道な活動をして
いますけど、ゆくゆくは区役所も一緒に手を取り合ってやっていこう
ということで多分今年の後半から来年にかけてもっと積極的に区役所
とも共同でいろんなことを仕掛けて行きたい、と思っています。

--少し話は変わりますが、お二人は行政の担当者としてこの
武蔵小杉を担当されているのだと思いますが、お二人から見て
この街についてどう思われますか?


(植木)
私はもともと元住吉の出身なんですよ。小杉駅の変わりようも
ずっとみてきているので一言でいうとほんとに変わったなっていう
思いが強い
ですよね。

昔は東横線と当時の国鉄南武線の間が連絡通路もなくて直結だったん
ですよ。改札に人もいなかったのですけど、非常にのどかな街で昔の
工業都市の駅があったころのイメージがまだあったんですけどその後
ですよね、東横線の駅が変わって周辺にマンションがたってきて。
ほんとに昔しか知らない人がいきなり何年かぶりに小杉にくると
びっくりすると思いますよね。

それはどういう風にびっくりするかっていうと多分マンションばっかり
出来て人は増えているんだけどなんかあんまりそういう商業施設や
映画館もそうでしょうしそういったものがなくて
、ただなんか
マンションだけの街になっちゃった、そういう感じがたぶん強いと
思いますね。

個人的にもこれからはもっともっと小杉にそういう人々がほんとに楽しく
暮らせるような賑わいのある街にできるような施設にぜひいろいろと
出てきてもらって変えていきたいな
、と思いますよね。

(下田)
僕は川崎出身ではないんですよ。初めて来たのが入社試験の時で、
役所の一次試験が川崎で二次試験の面接会場が中原区役所だったの
です。その時初めて小杉にきてあの距離を迷ったんですね。区役所に
いく細い道の。そんな印象があって、駅前のビルも雑多な感じが
していて。

■下田さん
下田さん

それから配属されてしばらく都市計画に携わっていてちょうど
NECのビルが建った頃ですね。その後しばらく離れて別の部署に
いる間に小杉整備室という組織ができたのですが、いなくなった
数年間の間にどんどん事業計画が進んでいて、私が今の部署に来た
時には、わずかこの数年でこんなに変わるのかと思いましたね。

特にこの中丸子なのですけど、私はこの雰囲気が好きなんですよね。
ここの空地率(真上から見た時の)が80%とかそのぐらいあるん
ですよね、たしか。とても工場跡地だったとは思えない形でこれだけ
劇的に変わって、そこにもう人が住み始めてきている。わずか数年で
風景がこんなに変わっちゃうのかなというところは思いますよね。

■中丸子地区の公開空地
中丸子地区の公開空地

--現在のまちづくり局の活動における課題や今後の方向性について
教えてください。


(植木)
今度の東京機械跡地にかなりそういう商業施設も出来るでしょうし、
まあそうなってくると大分変わってくるんだろうなと思います。

住民の方からの話を聞いているとやっぱりコンベンションとかホテル
とかっていうのが欲しいなっていう要望
があります。ようは結婚式を
挙げたりするような場所ですね。昔でいうエルシィがあって、
その前は小杉会館という結婚式場だったのですけどその辺に代わる
ものですね。ビジネスホテルじゃやっぱり担えない部分ですよね。

やっぱお客さんが来た時に、お客さんを連れて一緒に食事できる
ような場所がない
とかそういう話ですよね。それはやっぱり我々
としても同じですよね、そういうのがあればそれは魅力的なまちに
なるだろうと。

(下田)
小杉は再開発の規模としてはかなり大きいのですけれども、一体開発
じゃない
じゃないですか。個別の事業者が全部違うんですよ。それは
もともと持っていた所有者が違うのでしょうがないのですけど、
グラウンド地区や西も東も違うし、東京機械も中丸子だって
そうですよ。

その中で役所としてやるのであれば、それをどれだけきれいな形に
まとめることが出来るのか
、というところですよね。地区計画なり
個別事業の誘導なりというのを行ってはいるのですけど、そこら辺の
調整というのは今後の大きな課題なんじゃないかなと思います。

--例えばまち全体の調和を図るといったような話をよく聞きますが、
そういった観点の活動もなにかされているのですか?


(下田)
例えばこの地域でいうならば景観形成地区みたいなものを指定して
いて、まちの景観をトータルでコントロールしようというようなこと
もやっているのですけど、そこも事業者の理解とかがないとなかなか
難しい
ところってあるんですよね。

ご存知かもしれませんが、こういうところの建築物の色彩って、
明度彩度とかをきちんと抑えていて、一定の縛りをかけていて

その中でやってもらいます。

簡単に言えばど派手な色は使っちゃダメとか、カンバンはこういう
風に出しなさいとかルールはあるのですけどやっぱりそれだって、
事業主さんあるいは店子で入るお店の方々のご理解がないと、
そういうトータルでのコントロールというのは結構難しい
ですよ。

そういう意識が住民の人とかに徐々に芽生えれば、昔国立の
マンション紛争で景観の利益みたいな話があったじゃないですか、
そういうことになる前に地域全体で取り組んでいこうという話に
なると思います。まだまだ小杉ではそういうところまで行ってないと
思うので、そういうのって地道な活動を続けていく中で、そういう
意識を持っていくというのが重要
なのかなと思うんですけどね。

--実際景観条例みたいなものはどこまで規制できるものなのですか?

(下田)
景観条例では、建築物のデザインや色彩、広告物の出し方など、
街並み形成に係る方針・あるいは基準を設けています。
方針部分に
ついては街並み形成のイメージを事業者さんにご理解いただくもので、
具体的な数値による規制ではないのですが、基準部分については、
基本的にその数値内にしてもらうことになります。

また、都市計画法に基づく地区計画により、道路等基盤整備の必要性
とか空地の確保、あるいは建ぺい率、容積率部分については
トータルでここまで、ということは言える
のですが、個々の事業に
関して具体的にそこに誘致する施設をどうするかとかということに
なると、そこはほんとに個別の対応
ですよね。それは各担当が相当
苦労してやっているのだと思います。

特に組合施工でやっている西街区、東街区というのは市が都市計画
として事業決定し、地元の人たちが権利者として入っているわけじゃ
ないですか。小杉の中心部分でもあり、公共性の高いこの事業を成り
立たせないといけません。
途中で頓挫させるわけにはいかないので。

■東急武蔵小杉駅ビル予定地と西街区・東街区
東急武蔵小杉駅ビル予定地と西街区・東街区

市街地再開発事業というのは市が指導する立場にあり、補助金を
支出するとともに、事業として成立するために我々は理事会などにも
参加して、こうあるべきだよということを組合さんや事業協力者さんに
言っています。

それと別の範囲では民間が単独でやる民間開発、簡単にいうと補助金
が入ってないというところ
ですね。そうした単独開発をどうやって
コントロールしていくかというと、やはり地区計画なんかである一定の
ルールをかける、あとは個別ごとの協議をしていく中で、市としての
意見を言っていく
ということになります。

--その辺については先ほど伺ったソフト面の整備や地域住民との
活動における関わりはどうなんでしょうか?


(下田)
エリアマネジメントのやり方っていろいろあるじゃないですか。
商業地域でやるのであればほんとに維持管理、街並みの演出みたいな
ものがまず先にある
と思うんですけど、じゃあこの地域でそれを
みなさんが目指すのかというと、将来的にはそういった方向性も大切
だと思いますが、いまのところはそういうふうじゃないのかなって
思うんですね。

もう少し自分達のコミュニティにゆとりが出来てまち全体を見て、
もっときれいなまち、そういうまちにしていこうという話であれば
あるかもしれないですね。例えば新百合ヶ丘などでは、
景観形成協議会といった活動を住民の方が頑張っていて、自分達で
まちをチェックして歩こうみたいなそういう活動をやっているところ
もある
んですけど、そういうところとはまたひとつ違うのかなという
風に思いますけどね。

--そのようなレベルまでまち全体がいくのはなにが必要なのでしょうか?

(植木)
まず話し合いの場が出来ていないと無理ですよね。単に時間がたてば
そうなるかっていうとそうでもないような気がするし難しいですよね。

後編に続く)

【関連リンク】
川崎市公式ウェブサイト まちづくり局
NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメント 公式ウェブサイト
2009/11/7エントリ 「キラッと!小杉&丸子モールマップ」
2010/9/26エントリ THE KOSUGI TOWERで「コスタまつり
2010秋」開催

2010/10/19エントリ 武蔵小杉の「ひと」(4):NPO法人小杉駅周辺
エリアマネジメント(前編)

2010/10/20エントリ 武蔵小杉の「ひと」(4):NPO法人小杉駅周辺
エリアマネジメント(後編)

2010/12/6エントリ 武蔵小杉の「ひと」(5):川崎市まちづくり局(後編)

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2010年
10月20日

武蔵小杉の「ひと」(4):NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメント(後編)

karejishi.gif

前編より続き)

--設立の趣旨の一つで地域のコミュニティを形成する・育成する
というのがありましたが、これは先ほどのお話の中で連絡会議などの
形で出来てきたということをお伺いしました。一方で設立時の課題の
一つで新しく来た住民と既存住民との関係を構築するというものが
挙げられていましたが、ここまで3年間やってこられてその辺は
いかがでしょうか?

(萩原)
先日コスギタワーでは商店街の協力を得てマンション内でのお祭り
催しました。
2010/9/26エントリ参照)

■「コスタまつり2010秋」の案内
「コスタまつり2010秋」の案内

あれは商店街さんに出てきてくれないですかね、みたいな話があって
一つのマンションの中の話だったので、個人的に動いたのですけど、
結果的にはものすごい反響を受けたし、どんなふうにそれぞれの
お店の売上につながるか分からなかったのですけど、とにかくなにか
要望があったときにお応えする
ということが必要です。

お店側も最初はめんどくさがって動きたがらない人はたくさんいるん
ですよ、やっぱり既存のお店はすごく腰が重たくて。でも出てきて
くれたところが、良かったねって思ってくれればいいし、あそこの
お店結構売れたみたいという話なんかを聞くと次につながると思い
ます。

この「キラッと!小杉&丸子モールマップ」を作ったときも、結局
大型商業施設が出る前に、今のうちがまずチャンスだということで、
新しい住民の方にも街を歩いてもらってもっと素敵なところいろいろ
と見てもらおうよ、
ということで作りました。商店街って寄って
もらえればお店の顔がわかるんですよね。ちょっと会話があったり
それぞれ独自の面白いものもあるので。
2009/11/7エントリでご紹介しています)

ただ、いかんせんお店の規模が小さいので情報発信力などが弱いです。
例えばこないだのコスギタワーのお祭りにでたお店をみていると、
私からみてもまだまだ打ち出し方が足りないなと思っています。
だから、自分のお店に来てもらうのが目的だから、お店が黒子になら
ないように地図だとかサービス券とかちゃんとわかるものを、お店の
名前をだしてやろうねってことを随分言ったのですけれども、それでも
パソコンがないとかそういうお店もあったみたいでした。
それで名前出さないとどこのお店か分からないからって言って慌てて
手書きで書いたりとかして、でもそういうたどたどしいところがあって
こそ、またレトロな小杉商店街かなっていう手作り感があってよかった
ですかね。

■完売続出
完売続出!

どの程度の規模で売れるか分からなかったので、みんな50や100
しか作ってこなかったりしたので結構早めに売り切れちゃったみたいで
これぐらい人が来るんだったら、次回はもうちょっと用意しておこうと
いうのも分かるようになるし、昨日実は川崎市の商店街連合会の会議
あったんですけど、そこでもすごいうわさになって、それぞれ中原の
ほかの商店街の理事長さんの集まりだったのですけど、今度はいつ
やるの?
って言われたりとか最初はお店側も声をかけてもみんな
出てこなかったり大変だったんですけど、まあ今度はもっと大々的に
やろうかなんて話もあります。

やっぱりこういうきっかけづくりって初め回りはお金や労力をかける
のは嫌って反対する、そんな人も多いのですけれどでもそれだけだと
終わっちゃうので、最初に誰かが動いて、やってみたらもっと来て
欲しいねって思うお店がたくさんあるはずなのです。
そうすると
実際にみんな商店街にきてくれて、またさらにこんなお店あったん
だって発見してくれればそれも楽しいですし今度大型商業施設
できるみたいですけどそれを超えてまた商店街も続いていくといいな
と私は思っているんです。

■萩原理事
萩原理事

(森)
それってNPOの理事の一人がすごくこだわっているんですよ。
せっかく武蔵小杉に住んでいるのだから武蔵小杉で楽しいお買い
物ができる、そういったところを作りたい
ってすごく思っていて、その方
が今回中心となってコスギタワーで活動をやられたのですね。だから
今後もたぶん協力してそういう方向で動いていくのじゃないかと
思います。

(萩原)
まだまだ住民の方もほんとに知らないと思うんですよ。だからこの
「キラッと!小杉&丸子モールマップ」でも心掛けたのがそれぞれの
お店のキラッと光る部分
を見つけて欲しいと、それは商品でも人物
でも建物でもなんでもいいと思うんですよね。それと取り組んでいる
こと、それを発信してもらえばぜんぶがキラキラ輝くキラッと小杉に
ならないかなというので、そこに足したのが観光情報だとか街づくり
の情報だとかこういうところを全部埋めて言ったのですけど、まあ
これを作るときは話が広がりに広がっちゃって16も商店街がでて
きてしまったので大変
だったんですけど、でもやってみれば商店街の
人たちも住民の方々もこれは良かったってものすごくよろこんで
くれました。

この間の20年構想委員会でやったなかはらまちづくりフォーラムは、
ほんとにマンションの方だけじゃなくて地元の人もいろいろと出てきて
いたので、そういう動きをすごく喜んでいます。ここにそういうものが
出来そうだってことを地元もとても楽しみにしているしいい付き合いが
できると思います。

--先ほどの地域住民と既存住民の話に戻りますが、商業的な観点
以外の面での取り組みはどうですか?例えば住民間の交流となどは
どうでしょうか。

(村山)
地域との関係という点では、この前のまちづくりフォーラムで区長
さんとか中原警察署長さんとか皆さんでていて住民の意見も聞いて
くれて、
私はいま区民会議の委員になっているのですが、その中でも
区長さんが、この前はレジデンス・ザ・武蔵小杉の交流会にも顔を
出してくれた
と思うのですが、非常にこの地域に対して関心を持って
いただいて、そういう意味ではありがたいと思うのですね。あと
住民からの意見として郵便ポストも設置されましたよね。

それから消防署前の信号ですね、これもいま住民の方から
スクランブル交差点化の要望
があがっていまして街づくりフォーラム
の時にも質問したいと言っていた人がいまして、中原警察署長さん
からもすごく前向きな返答が出てきて強い要望として本庁にあげて
くださっているのです。
道路の拡幅があるのでまだ少しかかるみたい
ですが。結構具体的な話についてそれぞれ行政がその場にいたので
動いてくれていますね。

■村山専務理事
村山専務理事

(森)
住民同士という点では、今はまだ新規住民間の関係構築というのが
メイン
なんですよ。新規住民の中でもまだかなり温度差があって、
すごく認識度が低いところも一杯あるわけなので、まずはそこの
レベルを上げていく活動のほうがメインです。だから既存の住民の方
との交流というのはまだちょっと手が出し切れないというような感じ
ですね。

とはいっても既存の住民の方と一緒に活動していかなければならない、
たとえば民生委員に関しては今年度に選出があり、みなさんと一緒に
大規模マンションでのあり方に踏み込んでいくようにしています。
さらに、将来的にはたとえば選挙なんかの応援を出すとかいろいろ
あると思うのですけどそういった中から地域のみなさんとの
コミュニティが形成
されていくのだと思います。

(萩原)
それだからこそ、そもそもNPOなのですよね。例えば今回の防犯
・防災イベント
ついても絶対ここのマンションの方だけというわけ
ではなくてやっぱりこういうことに関心のもっている方は当然ご参加
いただける
ことですし、また区民祭でこんなことをやっていますよと
見せたりもしていますし、NPOは開かれた存在になって欲しい
思います。

そもそも地元住民が中心になって立ち上げたものなので、そこに
ようやく新しい方がたくさん入ってきて、実際に本当に必要なことが
分かり始めてきている、そこでコミュニティを作り始めているところ
なので、いまはちょっとワクワクする段階なのかなと思うんですけど、
もう少しすれば少し落ち着いて他の団体とも交流をするってことに
なると思います。

(村山)
私は上丸子山王町の町会に入っているのですが、レジデンスさんは
上丸子小学校
なんですね。それで夏祭りに行ってみたらマンションの
子供達がハンテン着ておみこしをやっている
んですね。小学校の
つながりの方から声をかけられて参加しているんですけど、そういう
ふうに自然に回りの地域に溶け込んでいるところもあるのです。

--確かに個人レベルではそんなに町内会との区別がないところも
あるみたいですね。

(萩原)
それはとてもいいことですよね。回りと仲良くして。逆にこちらの
イベントにもどんどん入って来ていただいて、街の人たちはほんとに
ここにそういう動きがあるということをとても喜んでいます。

萩原理事

--ちょっとエリマネの活動とは少し離れますが、武蔵小杉周辺は
再開発により新しく住民が増えましたがいまの武蔵小杉の街について
どう思われますか?

(村山)
私は平成10年に千葉県の方から引っ越してきたのですが、やっぱり
そういう新しい目でみるとまず交通の利便性がすごいですよね。
こんなに便利でどこにいくのにも短時間でいけるんですよね。
そんな中でも自然も一杯残っていますよね。まず多摩川、それから
等々力緑地、平和公園、ニヶ領用水もありますね。
こんなすばらしい
自然もあって便利なところ、これはすばらしいところじゃないかと
感じていました。ただ昔からいる人って意外と等々力緑地や多摩川を
活用するとかそういうところが少ないように感じるんですね。

私は引っ越してきたばかりの当時は働いていましたが、土日がくる
のが待ち遠しいぐらいにいろんなところを歩いてみましたけれども
ほんとに歴史もあるし自然もあるし、こんなすばらしいところは
ないなと思うんです。
ですから新しく住まわれた再開発のマンション
の方なんかもそう感じるのだろうし、どんどん回りにもマンションや
住居もできていますよね。川崎市の7区のなかでも人口も一番多く
なってこれからますます変わるんじゃないかと思います。

■多摩川と武蔵小杉の再開発ビル群
多摩川と武蔵小杉の再開発ビル群

(萩原)
もう交通の便についてはみんなほんとにそう思っているんですけど、
例えば商業施設については、今は新駅が開業したのでなんとかなって
いますがその前までは開業したのはいいけれども収益にならなくて
お店を閉じなければならなかったり、撤退しなければならないという
のがものすごくあるところ
なのです、小杉は。

まず高級なお店はなかなか続かないんですよ。高級じゃなくても
例えば南口のまん前であってもほんとにお店が続かないぐらいに
厳しいところ
なのです。みなさん小杉ではお金を落とさないことが
多くて、お買い物といったら違うところにいかれるのでしょうね。
横浜だったり渋谷だったりされるのかもしれないけど。
だからすごく商売が難しいところだったかもしれない。

マンションがこれだけ出来ていたのにもかかわらず商売になら
なかったわけですからね。あのリッチモンドだってこの2年ぐらいは
大変
でしたからね。それが、新駅が開業したのでいまようやくお店が
出てこられるようになったというとおかしいですけど、だからこれ
から東京機械のあとに商業施設が出てくるとなるとかなり楽しいもの
になるのじゃないかな
と思いますね。駅前にも商業施設が出来るし、
図書館が西口に入ったりしますので、かなり駅の周りには新しいお店
がいろいろ入ってくる
ので、そこまでの賑わいになってくれば大丈夫
なんじゃないかなと思いますけど、かなり変わってはきますよね。

■東京機械製作所跡地の大型複合商業施設(イメージパース)
東京機械製作所跡地の大型複合商業施設(イメージパース)

ただそうなると商店街の方は大丈夫なのかなという心配が当然ある
ので、今のうちにこう、やっぱりなんにもやらないところとか、なんにも
魅力を考えないところはお客さんが行かなくなっちゃうので、その店
ならではのものを考えたりしてくれれば楽しい街になるんじゃないかな
と思っているのですけどね。

(森)
この辺って住宅地としては結構昔の良き伝統が残っているような気が
するんですよね。お祭りとかずっと続いていて神社なんかもたくさん
残っているし、だからそういったいいところをうまく残していけたら
いいなと思っています。ただ商業施設的なところでいうと、私は
小学生の頃にこの辺に住んでいたのですけど、その時に比べて
かえって衰退してしまっているような気がする
んですね。

その頃って溝の口とか川崎駅前だって全然たいしたことなかったの
ですけど、意識の差できっとこういう風になってしまった
と思います。
皆に商業も活性化しようとの意識があれば、住民も街での買い物が
増え、店も商品揃えがよくなり、ブランド力が上がってくるはずです。
ここ数年間が勝負だからそこは皆さんが意識をもってこの街を活性化
させる
ようにすれば、いいんじゃないかなと思います。住民も商店も
街全体が活性化して初めて、楽しい街、ワクワクする街になっていく
と思うんですね。

■森副理事長
森副理事長

(萩原)
だからこそNPOという街とつながっていることころがいいところだと
思うんですね。先ほどの自然もそうですけど、私は農業関係の
サポートもしているのですが、むかし中原は農業の場所だったので、
そこが都市化されてどんどん農地が狭くなっていってしまいましたが
いまも続いている農家があるのですけどそういうところとのタイアップ
も考えています。こういう便利なところに住みながら近くに農地が
あってとれたての野菜が食べられる喜び
というのはすごく贅沢なこと
だと思うんですよ。そんな楽しみもみなさんに伝えていきたいと思うし、
どんどんいろんなところで発信できればなと思います。

--NPOの活動というのはいわばボランティアだと思うのですが、
みなさんがこのエリマネの活動に携わるモチベーションはなんで
しょうか?

(村山)
私自身は当初は仕方なく入ったんですけど(笑)、まち局と一緒に
やっていくなかで相当議論してきたのですけど、私はやるんだったら
やるよと覚悟を決めて、やはり私自身もここに住んでここが自分の
終の棲家みたいなことになるわけですね。やはり私の思いというのは
こんなすばらしいところに住んだのだから回りの人たちもみんな
住んでよかった街づくり、そういうことを心がけていこう
という
ことで一所懸命やっているんですよ。若くないものですから(笑)
残りを楽しく生きないといけないのでやはり街がよくなればいいなと
思っています。

(萩原)
私は自分でもいつもなんか考えると発言してしまって、自分がいい
だしっぺなのでやることになって墓穴をほっちゃうんですけど(笑)
自分もいつ亡くなるかわからないので、やっぱり生きている間に何か
いてよかった、やってよかったみたいなことがあるといい
と思って
います。

うちの仕事についてもホテルの宴会場で使ってもらったりする時に
地域の方にきてもらって楽しい時間をすごしてもらって、おいしい
料理だったり、サービスだったり人が大切にされたなって思う時って
幸せじゃないですか。そういう記憶みたいなものとか、あとは仲間と
楽しい時間をもてたとかそういう場所の提供とかそういうことが
やっぱり企業にとって、うちのお店にとっては存在意義かなと思うん
ですね。

あのお店があってよかったねって言ってもらえるのがいいのかなって
いうのもあるし、自分自身にとってみてもやっぱりなにか企画したり
提案したりよろこんでもらったりそれでなにか生まれていったり、
流れが出来たりいい方向にいったり
するのは、最初に風を起こすのは
すごく大変なんですけど、みんながその気になればそのあとは割合
スムーズにいきますしね。

まあほんとに今年やって、来年出来るかどうかなんていつもわから
ないけど、出来る限りのことはやりたいと思うしみんながそれで
つながっていっていい街になったねって言われればすごく嬉しいし、
既存の街の人と一緒に新しい街の人ができるっていうエリアマネジ
メントはすばらしい事
と思うし共感できる方が増えてきていて
すごく嬉しいです。いまはちょっと大変で、いつもえらい目に合って
いますけど。出来るかぎりやりたいなと思っています。

--森さんは再開発地区の住民としてエリマネに参加されたわけ
ですがいかがでしょうか?

(森)
私のモチベーションは再開発地区の住民としてというより、中原に
昔住んでいて、その後各地転々としたものの、やはりこの辺が好き
だったので、良くしたいという気持ち
が一番のモチベーションです。
だからこれがぜんぜん違う土地に住んでいるときの話だったら、
こんな活動はやらなかったです。(笑)

(萩原)
再開発ってまちづくり局などは次々にいろんなところでやっていく
わけですけど、ゼネコンとか投資家の観点からいくと、ものすごい
なにか大きなものをつくったらそこに供給が需要を生む、みたいな
思想が働く
のです。だからすごいものを作ろうとするし、それが
終わったら次の餌場に向かうのです。でも街に住んでいる人から
みるとなにかすごいものができたけど見知らぬ街になってしまって
そこだけが今度なんかすごくなってしまって他方が寂れてしまうのも
悲しいし、だからなんとか地域全体にとってステキな街であって
ほしい
と思うし、そういった意味では接着点になりながら一緒に
できると楽しいなと思います。

(森)
開発事業者というのは「住みたい街」というのをつくるのだと思うん
ですよね。なんとなくイメージでいいなと思わせるような。でも我々は
「住んでよかった街」にしないといけない
ので、やっぱり実際に色々
問題点をつぶしていって、ほんとに住みやすくするということを
しないといけないですよね。

(萩原)
森さんが前に、そういうコミュニティが出来ていくことが資産価値を
上げる
んだということを言われていましたが、分譲マンションを
買われた方が資産価値のことも気にされている時に、住んでいる方々
にとってもすごくいいつながりが出来ていくこととか、例えば防犯・
防災網もできていったりそういうことが資産価値を高める
という観点
があるということを私は初めて知りました。その話をみんなにすると
他の方々もみなさん納得されて、それこそ街としての価値も上がって
くるかなって思いますよね。

--エリマネの今の課題や今後の方向性について教えてください。

(村山)
試行錯誤の3年だったですね。今年度4年目がこの活動を確立する
ような組織を作ってということなんですが、私はそんなに慌てて
いろんなことをやる必要はないと思っているんですよ。ですから腰を
据えてみなさんとしっかりやっていけばいいな
と思っているんですね。
形はできたと思うんですね。

エリアマネジメント会費という形でも運営費はでてきますし、それに
ついても今後はその使い方もみなさんと一緒に決めて行くということ
になりますので。ですからこれからじっくり住んでよかった街づくり
をしていけばいいのだと思っているんですけど。

回りでもいろいろ協力してくれているし、こんど小杉二丁目町会は
子供みこしを新調するらしいのですが、前のものをNPOに譲ります
と言ってくれている
し、周りの既存住民の方々もこのNPOに対して
協力して行こうという目で見てくれている
ので、中原区というのは
ほんとにいい住民が多いんですね。ですから間違いなくこれからこの
NPOもどんどんそういう意味でのコミュニティ作りで発展していく
と思っています。

■村山専務理事
村山専務理事

(萩原)
私はいままでの3年間を振り返るとみんながやりたいと思っている
ことに関してはもう少し急いでやるべき
だと思います。
これまでの実績をみてきてNPOの活動に疑問に思われている部分も
あるのでそれでせっかく機運が盛り上がってきたところだったら、
やっぱりタイミングってあると思うんですよ、いろんなことが動いて
いく時の。それはストップをかけないで支援していかなくちゃいけ
ないし、どんどんやって欲しいなって思います。

会費のこともまだこれで安泰だとは思っていません。しっかり必要な
ことをやっていかないといつストップになるかわからないという危機
感をNPOは持たなくちゃいけないし、そういう活動をやってこそ認め
られるんだというふうに理事全員が思わないといけないと私は思い
ます。

必要なこととかやりたいなというものに対して、やる気のある人達が
共感をもてば必ずできちゃうんですよね。
やってみればまたそこで
問題なり新しい道が開けてくると思うし、街にとっていいことであれば
やれることはどんどんやればいいし、そのぐらい元気がないと伝わ
っていかない
ですよ。これだけの人数のところにやっぱりそういう
情熱とかがないと動いていかないですしね。楽しいことをやって
みんなのためになっていれば続いていくだろうという点でいまが
頑張り時じゃないかなと思っています。

--その時に実行基盤というかスタッフ不足とかはないですか?

(萩原)
結構みなさんこういういろんな交流会とか開いてくるとなんとなく
メールの送受信のスタッフもだんだん増えてきて、どこかで顔見知り
になってあの人はすごくあれが得意だとか少しづつ分かってくると、
お祭りやハロウィンとかもそうですけどいろんな時にいろんな人が
増えてくればいいなと思うし、それをやらなければどんどんまた
しぼんでいってしまうと思うので、大変なら大変でその話をすれば
次はちょっと手伝うっていう人がどんどんでてくるかな。まあ動いて
いるところじゃないと人は集まってこないので。それで出来る範囲
のことでやっていけばいいと思いますけど。

(森)
とは言ってもまだ一般の方への認知度ってすごく低いですよね。
一般の方だけでなくてマンションの管理組合の役員でも認知度が
低いです。まずは管理組合ベースのところでそれを上げる。
どうやったら管理組合とNPOがWin-Winになるか、管理組合と
他のマンションの管理組合がWin-Winの関係になるか?
という
ようなことを今後みなさんと話して、上手にやっていくことで、まずは
管理組合に対してNPOは必要なんだという認知度をあげてもらう
ようにしていきたいなと思っています。

管理組合がそういう体制になればマンションの中でもおのずと認知度
は上がってくると思います。だからまずは管理組合に対してどう
やったらWin-Winになれるかということを議論していきたいと
思います。そのために管理組合には我々の方からもいろいろと
アプローチしていきたいと思っています。

■森副理事長
森副理事長

(村山)
森さんの言うとおりなんです。理事会役員というのは1年で交代
なっちゃうんですよね。そうするとまた新しい理事長さんから活動
内容を教えてくれという話になって、その辺が非常に難しいん
ですけど、事務局があっても我々の力だけではうまくつながりを
つけるというのは限度がある
ので。

(萩原)
何十年に一度なんですよね、理事長さんが回ってくるのが。

--本来であればマンションの理事会側でちゃんと引き継ぐべき
という気もしますが、年度によって積極性に差があるのは事実
でしょうね。

(村山)
そうなんですよ。ですからいろんな事業やっていますけれど、それに
対してもスタッフ不足なんですよね。ですから事務局としては例えば
イベントごとに柱になる人を決めて、とりまとめてもらえる体制とか
この事業は私がやりますとか、中心になってやってくれる人が
どんどん生まれてくれればいいんですが、その辺がまだちょっと
難しいところなんですね。

(森)
結局パイは限られているので、NPOから出すにしろマンションの
管理組合から出すにしろ、どっちが募集かけるかだけなんですよね。
だったらどっちがかけるにしろ、モチベーションがある程度ないと
集まらない
ので、これをあげる活動もきちっとやらないといけないな
ということだと思いますね。

人集めるのもそうだし、会費を300円集めていることについても
みなさんのモチベーションをあげれば、納得してもらえるようになると
思うので、そのような認識をもってもらう活動が重要だと思います。

(萩原)
あと夏祭りをぜひもう一度実現したいと思っています。
会場を確保して。

■2008年に開催された「こすぎ夏フェスタ」上空から
2008年に開催された「こすぎ夏フェスタ」上空から

--最後に武蔵小杉ライフの読者のみなさんにひとことお願いします。

(村山)
私も定年退職になってから自治会とかこういう仕事に入ったのって
初めてなんですよね。まあそれでやってみるとまさにボランティア
ですけど、いままでサラリーマン生活で限られた人との交流はあるん
ですけどまったく違ったいろんな世界の人たちとの友達関係というか
知り合いが増える
、これは生きていくうえで非常に大事なことだなと
感じまして、ぜひこれからも私は街のために微力ながら協力して
いきたい
と考えています。

(萩原)
私はこの10月23日(土)の防災のイベント、これが中原消防署で
ちょっと楽しい企画で実演とか教えてくれたり、お子さん連れでも
大丈夫なので、ぜひ来ていただきたいと思います。新しい高層
マンションでどうしたらいいのかとか地震や火事のときはどうする
のかとか、そういう基本的なところからみんなコミュニティ
作りましょうね、というところなどお話いただけると思っています。

来月11月20日(土)は中原警察署での防犯イベントをやります。
これは第二機動隊のレンジャー部隊の訓練をみたり護身術を教えて
もらったり、そういうことも含めながらこの地域の防犯をどういう
ふうに考えたらいいかというイベントとしてやりますので、これも
お子さん連れで大丈夫なのでぜひみなさんご参加ください。各
マンションのフロントとあとNPOの事務所でも受けていますので。
あとぜひみなさんにも街の情報を教えていただければ機関紙に
載せていきたい
と思います。いろんなお話も聞かせていただきたいし、
お祭りの時とかはみなさんにも手伝っていただきたいのでぜひ
スタッフでもメンバでも参加を募集中ですのでよろしくお願いします。

■エリマネ公式サイト 防犯・防災イベントの案内
http://musashikosugi.or.jp/category_1/item_363.html

(森)
私は住んでよかった街だと感じるようなそういう街を作りたいなと
思っています。みなさんもそうなるように一緒にやっていきましょう。

--本日はどうもありがとうございました。

■右から森副理事長、萩原理事、村山専務理事
右から森副理事長、萩原理事、村山専務理事

【関連リンク】
NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメント 公式ウェブサイト
2008/8/20エントリ 小杉駅周辺エリアマネジメントと「こすぎ夏フェ
スタ'08」

2008/8/23エントリ 「こすぎ夏フェスタ'08」成功
2008/9/27エントリ なかはらオープンカフェ、リエトコートで開催
2008/9/28エントリ なかはらオープンカフェ2日目
2009/4/28エントリ 「小杉今昔ウォーキングマップ」配布中
2009/7/19エントリ 「第1回こすぎフリーマーケット」「第5回なかは
らっぱ祭り」開催レポート

2009/10/31エントリ 武蔵小杉を練り歩く子ども仮装行列
2009/11/7エントリ 「キラッと!小杉&丸子モールマップ」
2010/9/26エントリ THE KOSUGI TOWERで「コスタまつり
2010秋」開催

2010/10/19 武蔵小杉の「ひと」(4):NPO法人小杉駅周辺エリア
マネジメント(前編)

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2010年
10月19日

武蔵小杉の「ひと」(4):NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメント(前編)

karejishi.gif

武蔵小杉ライフが地域活動に関わり合いのある方々へお話を伺う
インタビューシリーズ、第4回目は以前からこのブログでも度々取り
上げているNPO法人小杉駅周辺エリアマネジメント(通称:エリマネ)
を訪ねました。
エリマネは再開発地域の中丸子地区B地区にあるリエトプラザに
事務所を構えるNPO法人です。

今回は森副理事長、村山専務理事、萩原理事にお話を伺いました。
(以下敬称略)

■右から森副理事長、萩原理事、村山専務理事
右から森副理事長、萩原理事、村山専務理事

--まずエリマネの設立の経緯を教えてください。

(村山)
平成16年にこの武蔵小杉の南口の再開発が始まるという話があって
地域の代表するような人たちを委員とした武蔵小杉南口再開発戦略
会議
というものを立ち上げたと聞いています。
その委員達の意見を収集しながら、平成18年の春に市民部会、
商業者部会、事業者部会という3つの部会
を立ち上げて、それぞれの
部会の意見の収集を図っていきました。私はその中の市民部会に入り
ました。萩原さんは商業者部会の下に商業者若手会というのが出来て
そこに入っていました。この4つの部会が出来て議論を重ねて
いきました。

事業主はマンションを作って分譲してしまえばそれで終わりなの
ですが、街としてこれだけの大きな再開発があるのだったらなにか
形で残せないか、という話がありまして、それでその後3つの部会を
一緒にして合同部会というものを立ち上げてその中で議論して
いきました。
元々この再開発が川崎市のまちづくり局の主導で一体とした開発に
しようということで進めてきたわけですが、この地域が工場跡地
あるいはグラウンド跡地というところで元々そこに住民が存在しな
かった
のです。

ですから当然自治会・町内会というものが存在しないという中で、
回りの町内会に打診したところ、そんな大きなマンション住民を
一町会ではとても受け入れられないというような話がありまして、
やはり中原区にこれだけの開発をまとめるものが必要だということで、
それをNPO法人でそのとりまとめ、そういう存在でまちづくりを
進めてもらおうか、
という話になりましてNPOが設立されることに
なりました。

合同部会でNPOでやろうと決まった時に、当然川崎市のまちづくり
局の後押しではあったのですが、じゃあNPOの理事というものに
ついて誰がやるのかという話になりましたが、市民部会などで結構
良い意見を言っていた人達がいたのですが、考え方が違うとのことで
最終的に降りてしまったことがありました。

それで当初スタートの時には、まちづくりを進めるには町内会や
自治会的な要素も必要だろうからということで、町連の会長をやって
いる方にお願い
することになりました。中原区には5つの五町連という
大きい町内会
がありまして、その下に77の町内会があるのですが、
初代理事長に中原区町内会連合会の会長の吉房さん、副会長に
丸子町内会連合会会長の藤枝さん、それから玉川の町内会連合
会長の石井さんや武蔵小杉の商店街理事長の松本さんとかボラン
ティア団体の委員長のかたとか、そういう方になっていただいて理事
10名
でスタートしたのです。

■村山専務理事
村山専務理事

(萩原)
村山さんは市民部会の方で町会的な考え方のところにいたと思うの
ですけど、私は商業者若手会のところにいまして、半分市民部会の
下にもいたんですね。それで最初からそういう自治会的なことを目指
したわけではなくて、まちづくり局としては、既存の街の人たちが
新しく住まわれる方々を歓迎して、一緒に新しい良いエリアになる
ようにマネジメントしていく仕組みをつくる
ことを目指したと思うんです。
でも区役所としては5町連+1みたいな感じで考えていたみたいで、
まちづくり局は最初のころは町会的な要素はやらないと言って意見が
合っていないようでした。

--商業者部会では商業的な観点で新しい街をどうしていこうか
といった話が議論されたのですか?


それもあったのですけど、これはNPOの立ち上げのために商業者
若手会が立ち上がったので、ほとんどNPOの要綱の議論について
一番まちづくり局と内容を議論してきたのは若手会
だったんです。
そこには商業的な観点からということもあったのですが、かなり
いろんな案を出していたのですけど、結果的には人事的にはお偉方が
ならんでいたので、みんなちょっと引いちゃったんですよね。それで
私は一人残るからみんな絶対入ってきてよねって頼んでいたんです
けど。

(村山)
途中で話があったのが、若手会で考えていたのはある程度収益的な
事業もやるべきだというような意見
もありました。

(萩原)
要するに持続可能な組織にしなければならないので、かならず収益を
あげる何かが必要だろうし、半分以上のものが公益であってそれ以下
であれば、また当然それを地域に還元する形であれば収益事業を
掲げることも全く問題なくて、そのNPO自体の運営を支えるという
意味でも必要じゃないかということも考えていたのです。

でも一番は商業の活性化なんですね。結局大資本が入ってきて、
お決まりの再開発が始まる時に、例えば既存の商店街とかが潰れて
しまうような街づくりは嫌だよね
ってことなのです。それまで溝の口
だとかいろんなところで例えばペデストリアンデッキが出来てすごい
商業施設が出来て、そこには人が行くのだけれども、街には降り
なくてどっかの商店街が潰れたりしたという事例はたくさんあった
ので、だから小杉の商店街については住んでくれる方々にきて
もらって地元のお店も元気になり、新しいお店と共存共栄ができ
ないか
というその辺も目指したかったのです。それで要綱の一文の
中に地域の商業の活性化というのも入れさせていただいたのです。

■萩原理事
萩原理事

--その当時のそういった議論の中で、NPO法人という形式を
選択したのはなぜでしょうか?例えば株式会社とかあるいは
コミィニティだけであれば他の形もあったかと思うのですが。


(萩原)
NPOにするかどうかということは若手会ではさんざんまちづくり局と
議論していましたね。結果的にはNPOにした方が地域のためにと
いう大事な名目があって良い
ということになりました。
かなり県のほうに問い合わせもしていたようです。

(村山)
当時はまちづくり局の後押しでもって進んでいったと私は感じたの
ですけどね。当時理事10名の中で私以外の理事のみなさんは自分の
地域で活躍している人たちばかりのものですから、それで私がちょうど
サラリーマンを定年退職して時間があったので、事務局を取りまとめて
くれといわれて仕方なく受けたんですね。それでいろいろNPOの
勉強をしていって、NPOというのは特定の町内会だとか自治会の
役割だけをやればいいということではない
のです。

その地域でのボランティア活動、そういうところが非常に強いもの
ですからこの再開発地域だけをまとめればいんだと、いうことでは
なくなってきて、例えばハロウィン祭りなどをやったとしても他の
地域から来た人も受け入れる必要があります。
そういうことも
分かってきて他の理事さんたちも公益活動に処するところが大事
なのだということも理解してきて、だんだんそういう形で進みだした
ということなんです。
それで私が県庁に届出に行きましたら、そのような「まちづくりを
NPO法人でやるというのは日本で初めてだ」
と言われまして。

--そうなんですか。

(村山)
はい。それで、「非常に難しいことでしょうけれども、頑張ってやって
欲しい」
といわれましてね。それで平成19年4月2日に設立登記
しましてスタートしたのですけど、まずマンションの事業主に寄付金の
お願い
をするところから始めました。これを原資にスタートしたんです。

それで寄付頂いた事業主の一人からはNPOさんスタートしたけれ
どもダメでした、ということが無いようにしてくださいね、などということも
言われまして(笑)そういうプレッシャーもあって大変だと思っています。
それと同時にだんだん会員集めや賛助会員の勧誘なども始めていき
ました。まちづくり局にもいろいろと賛助会員の勧誘にも協力いただき
ました。

(萩原)
一方で新しいマンションに住んだ方から会費がいくことでNPOが
持続できるようにということを当初まちづくり局と最初の事業者の
ところでは合意
がされていて、その仕組みができていたのですけど、
結果的にはそのマンションを作った事業者が転売したりってことが
起こってくるんですよね。
それからマンションの中に理事会が新しくできると最初の約束は
そうであっても、疑問が生じたりということも出てきがちなので
そこはしっかりNPOで形だけじゃなくて活動していかないと持続
出来ないよ
ってことはみんなちゃんと気をつけているのです。

最初はなんとなくまちづくり局に全部お膳立てしていただいて、街の
名前のある人たちが頼まれてやっていたのだけど、自分達の役割を
考えると最初のうちはちょっと動きが少なかったかなと思います。

--現在の参加団体、活動メンバは何人ぐらいですか?

(村山)
正会員は主に個人会員なのですけれども、約50名ぐらいですね。
それから賛助会員、これは主に団体なのですが約30社ですね。
そして今現在は周辺8棟のマンションが対象です。

--マンションの住民はどのような位置づけなのですか?

(村山)
マンションの住民はエリアマネジメント会員になります。
このエリアマネジメント会員は1世帯月300円の会費を頂いて
おりまして、これは入居説明会のときに私がまちづくり局と一緒に
説明して回りました。やはり負担という面で当初はいろいろとご意見
をいただき苦労しましたが、今は理解されて協力頂いています。

そういう意味ではみなさんの協力があって順調にきたと思います。
ただ、いま設立して3年半経ちましたけど、今までがほんとに試行
錯誤の連続できているような状況で、今年度でなんとか方向性と
いうものをつけて来年度は本格稼動というようになっていくのでは
ないかと思います。

そんな中で会費を払っているエリアマネジメント会員の方達もこの
NPOの事業主になるべきだというご意見
を頂きまして、今年度の
総会においてマンションの住民の方々からも理事に入っていただき
ました。
当初10名でスタートした理事がいま18名になって、
そのうち9名がマンションの方々です。その中で副理事長に森さんに
なっていただきました。

■森副理事長
森副理事長

--今後再開発が進むに連れてさらにマンションが増える計画が
ありますがその辺りはどうなのでしょうか?

(村山)
いまの8棟で終わりというわけではなくて、小杉の西街区の開発や
東街区もいまスタート
していますね。こちらの西街区も東街区もこの
NPOの賛助会員になって頂いているのです。だから当然新しい
マンションにもNPOの活動に参加してもらえるように声をかけて
行きたい
と思います。

--現在の主な活動内容を教えてください。

(村山)
事業としては、まずこすぎこども探検隊という子ども向けのイベント
を月1回やっています。これは当初小学生ぐらいを対象にと思って
始めたのですけど年代が予想より低いんですよね。現状は未就学児
~小学校1・2年生ぐらいの層
で、毎月いろいろ催しをやってきて
いますけど、これは大切な事業だと思っていて、だんだん拡大される
と思います。今後も続けていきたいということに加え、こんど新聞にも
載せてボランティアの協力者を募集します。
いろんなアイデアを頂けるような人をお待ちしています。

■「こすぎこども探検隊」ハロウィーン参加者募集(10月29日まで)
http://musashikosugi.or.jp/category_1/item_362.html

■「こすぎこども探検隊」の案内(※終了しているものです)
「こすぎこども探検隊」の案内(※終了しているものです)

次にパパママパークこすぎという親子教室を月に2回やっていたの
ですが、先月9月は月3回にしました。というのは対象のお母さん方
から増やして欲しいという要望があって、今後もそうする方向に
なると思います。

■エリマネ公式サイト パパママパークの案内
http://musashikosugi.or.jp/category_1/item_364.html

■「パパママパークこすぎ」
「パパママパークこすぎ」

--人気がある活動なのですか?

(村山)
やはり子育て世代が非常に多いんですね。0~3才ぐらいの子供を
対象にやっているのですが、多い時では50組くらいです。これは
このNPOの事業の柱になっていますね。区役所の方からも時々
保健士さんが参加いただいて、いろんな指導をしていただく
のですが、
今後もますます応援してくれることになっています。

あと早朝清掃活動のほうは毎週1回ボランティアでやっていて、
これは地域にとっていい運動なので、今後も続けたいと思ってい
ます。
マンションの親子が清掃活動に参加したりして広がりができていま
すね。最近では新しく野村ビルに入った富士通の管理会社の方が
挨拶に来られて私達も一緒にやりたいです、というようなことを言われ
まして、今後検討していくことになりました。
ついでに賛助会員への加入もお願いしました(笑)

あと今年の3月末で終わってしまったのですが、放置自転車の整理
2年間やってきました。これは中原区で一番自転車対策が課題だった
ので川崎市との委託業務契約として月水金の午前・午後、放置自転車
の整理をやってきましたが、これについては西街区の開発がまだ
始まる前は自転車も一杯あって、これを整理していたわけですが、
あちらで開発が始まったために一斉に自転車が置けなくなりました。

自転車が無くなった後は抑止効果を目的として見回りに歩いていたの
ですがこれが会員の方からは理解が得られなくて、NPOの服を着て
見回りしている事に対して遊んでいるようにみえるといった苦情が
あった
のですね。
エリマネとしては委託業務なので、NPOの会費を浪費しているわけ
では全くなかった
のですが、そういうところがうまく説明ができなくて
活動がかえって逆効果だといけないな、ということでやめることになり
ました。

それから月刊エリアマネジメントという情報誌を発行しています。
まあこれは地域の情報を流そうというところでやっているものです。
それから昨年度ですが、秋に「キラッと!小杉&丸子モールマップ」
という地域情報を掲載した冊子をつくりました。これは萩原さんに
やっていただいたのですが、マンションの新しい方は地域の情報を
非常に欲しがっていますので、いわゆる商店街の紹介、施設の紹介
など地域の情報を流そうということでやりました。これは非常に
人気がありましたね。
2009/11/7エントリでご紹介しています)

■エリマネ公式サイト 月間エリアマネジメント10月号
http://musashikosugi.or.jp/category_1/item_361.html

■キラッと! 小杉&丸子モールマップ
キラッと! 小杉&丸子モールマップ

(萩原)
機関紙もとても重要なアイテムなので、ぜひワクワクするようなもの
になるように変えたいんですね。だからみんながいろんなことを
やってくれたらそれをどんどん載せていって、それがきっかけ作りに
なればいいし、いまはすごくマジメな機関紙なのでちょっと変えたい
しホームページも変えたいなと思っています。

(村山)
あと毎週月曜日の10時から4時まで神奈川カウンセリング研究会が
相談業務
をやっています。これは電話相談がもうひっきりなしですね。
スタート当初に比べて最近はほんとに忙しくなっています。資格を
持った人たちが無料でやっていますが、カウンセリングなので内容は
外部には出しません。

■エリマネ公式サイト 神奈川カウンセリング研究会の案内
http://musashikosugi.or.jp/category_2/item_162.html

それから月1回ですけど、花・心フラワーアレンジメントという
いけばなの教室
ですね、これを地域の方が代表でやってくれて、
これもだいぶマンションの方が参加するようになってきています。
あとスタート当初はマンションライフ相談会とかアフタヌーンティー
サロン
だとか日本医大の方で認知症の無料相談を開いたのですが、
これらはあまり人気がなくて終わりになりました。

■エリマネ公式サイト 花・心フラワーアレンジメントの案内
http://musashikosugi.or.jp/category_2/item_215.html

■村山専務理事
村山専務理事

--部屋がありますが設備としての貸出事業はどうなっているの
ですか?

(村山)
これはこの前の理事会で、会員に限って貸し出し業務をやるという
ことで規約も作りました。営利目的での利用は一切出来ません。

(萩原)
今までの話だと、清掃は別としてもパパママパークや子ども探検隊
などの恩恵に浴していない人たちがたくさんいる
と思うんですよ。
こういった活動は本当にまだNPO事業の一部分だと思うんですね。
だからNPOが存続していくためには、エリマネの会員の方々の本当
の役に立つNPOでなくてはいけない
と思っています。そのため
にはいろんな趣味やニーズがあると思うのですけど、命にかかわる
問題というのは誰でも一番大切なことかなと思うのでその安心と安全
な街づくりについてはきちんとNPOとして取り組んでいくべきじゃ
ないかと思い、防犯・防災イベントを企画しました。

■エリマネ公式サイト 防犯・防災イベントの案内
http://musashikosugi.or.jp/category_1/item_363.html

特に超高層マンションに住まわれている方々がいろんな意味で不安を
お持ちだと思うし、街としてもこの地域は大丈夫なのだろうか?
というのがあるわけですね。超高層マンションに住まわれている方が、
どういうふうに災害に備えたらいいかわからないのです。

マンション側にしても自主防災組織を作っているところとまだ作って
いないところがありますし、不安に思っている人と全然気にして
いない人といろいろ温度差があります。そこがとても大切な点で結局
何が安心安全かというと、なんとなくお互いの顔がわかってきたり、
仲間が出来てきたりすることがすごく重要なことで、例えば消防の
設備などはマンションにはいろいろとあると思うのですけど、それが
機能するためにはハードだけじゃなくて、実際になにか起こった時に
その人たちが仲間として助け合う環境が出来ていることが一番
すばらしいこと
なのです。

例えば、いま消防署の方で盛んに言っていることはフロアごとに班
みたいなのを作って、そうすれば何かあったときでも下から上まで
物資を順繰りに送ることができる、そういったいろんな助け合いや
そういうつながりをだんだんみんなで作っていくことが必要なんだと
いわれています。そういうコミュニティが作られることがまた
マンションの資産価値を高めることにもなるのです。

それからあとマンション間ですよね。それぞれのマンションは
セキュリティや消防の設備もしっかりしているかもしれないけど地域
で何か起こったときに、そのマンション間や地域としてどうなの
だろう
ということについてもNPOとしてしっかり音頭を取って啓蒙
活動やアドバイスをしたりして、NPOがその一番縦軸になることが
必要じゃないかなと私は思います安心安全のまちづくりについては
活動の基本軸にするのがふさわしいかな
と思っているんです。

そういう観点でいうと、顔が見えてくる付き合いができ始めていて、
いまマンションごとの交流会が行われるようになったのですが、
これは非常にすばらしいことだと思います。あのマンションには
こんな趣味の会があるみたいだとか、このマンションではこんなこと
をやっているなどという情報をこれからどんどん機関紙にも載せて
いきたいし、それぞれのマンションで何かイベントがあればそこに
他のマンションの方々も行ってこのマンションではこんなことやって
いるんだ、じゃあ自分たちのところもやろうかとか、じゃあ合同で
やろうかとかそういう動きが出来てきたのがすばらしいかなと。
やっとNPOになってきたかなぁという感じがしますよね(笑)

(森)
いままでどちらかというと公益活動主体になっていたのですけど、
去年から各マンションの代表の方々に出席いただいて、エリマネ連絡
会議
というのをやるようになって、マンションの住民の方が結構意見
を出してくれるようになったのですね。

--エリマネ連絡会議ですか。

(森)
はい。その中でこのNPOというのは自分達の組織なのだから公益
活動ばかりじゃなくて、自分達の共益活動をもっとやりたいという
ような意見
がでています。NPOという組織だけれども自治会に近い
ような活動もできるようにしてくれないと、やっぱり会費300円を
払っている価値がないという意見もあって、そういった観点から
じゃあ管理組合があっても、その管理組合がまとめている以外の
ところ、例えば地域全体としての防犯・防災活動だとか、いろんな
地域のイベントとかあるいは管理組合同士の情報交換、マンション
管理会社などについてもいろいろと情報交換
をして、自分達の
マンションを住みやすくするような活動が出来るような、体制に
していきたいと思っています。

■森副理事長
森副理事長

--確かにマンションに住んでいるとなかなか隣のマンションとの
交流というのは起こりにくいと思いますが、その辺がこのエリマネ
連絡会議というもので実現してきたということでしょうか?


(村山)
それについては昨年度に総会で諮りましてそれで定款も変更しまして
その他の事業という共益事業を予算立てしまして、それでそういう
防犯・防災といったような組織も恒常的にやらなくてはいけない
という動きになったのです。

--そういった防犯・防災活動については住民側からのなにか要望が
あったのですか?

(森)
今年の初めのエリマネ連絡会議で防犯とか防災をまずやらなきゃ
いけないねという話が皆さんから出ました。
それでそういったことを
やる上でじゃあエリマネ連絡会の中で、防犯とか防災の部会を作って
やりましょうということで活動し始めました。そういったみなさんの
思いを萩原さんが消防や警察に働きかけてくれ、今回イベント実施に
つながりました。

(萩原)
以前から警察と消防にはこの地区で防犯と防災のネットワークを作り
たい
と思っているということを言っていたのですが、ちょうど今の
中原区長さんが変わられたときに、20年構想委員会という区役所の
地域振興課と一緒にやっている会
があるのですけど、そこで夏に
なかはらまちづくりフォーラムというのを企画しまして、ここで
いつも一緒にやっているエリマネの連絡会の方々もお呼びしたのです。
それで新しいマンションの方々がみなさん来て下さって、そこで一気に
盛り上がったんですよね。それで中原警察のほうも中原消防の方も
全面的に協力
してくれるということになって、いい流れでいっている
かなと思います。来年にはできたら総合防災訓練できるといいなって
言っているし、防犯パトロールもそろそろ始められるといいね、
なんて雰囲気作りをやっているところなんですけど(笑)

--先ほどのエリマネの活動の話に戻りまして、防災関連以外で
もう少し幅広い世代を対象にしたような取組みなどは連絡会議では
でているのですか?

(村山)
これは恒常的に月1回ぐらいのペースでやっているのですけども
やはりシニア世代のことも考えて欲しいということで来年度は予算化
してそういう用途も出てくると思います。あとは今年度がちょうど
民生委員の切り替えの時期なんです。その辺の話もエリマネ連絡会議
であがりまして、手を上げてくれたマンションがいくつかでたという
ことで、民生委員は児童委員も兼ねているのですが、なってくださる
という方もでてきました。
そういう活動、事業拡大というか地域での
活動というのは今後も広げていきたいと思っています。


--マンションから新しく理事になられた9名の方は連絡会議の
メンバなのですか?


(森)
連絡会議には理事+αの方に出てもらっています。そこで何をやり
たいか?というのがまだ各マンションでもそんなに固まっていないの
ですね。それでみんながここで話して、まずは方向性を決めてもらう
ようなきっかけ作りをして、みなさんで意見をまとめてもらうことを
今年度やっていくのかな、という感じです。

(萩原)
お互いに刺激になるみたいで、やっぱりネットだけじゃなくて顔が
見える付き合い
で、それぞれのところに招待されて行ったりする
のってすばらしいじゃないですか。

■萩原理事
萩原理事

--確かに情報交換するだけでも普通はあまり聞かないことですね。

(森)
マンションの中の情報交換だけでも難しくて、何を共有するべき
なのか
悩みます。また、どの年代の方を対象とした活動をしたら
いいのか
というところもみなさん悩んでいて、各マンションに意見を
出してもらって、方向性を決めていくような段階です。各マンション
のエリマネ(渉外)関連の理事の方とか理事長・副理事長などやる気
のある方が多いので、今年度中にある程度まとまっていくのかなと
思っています。それでやってみてまたフィードバックすればいいと
思います。

(萩原)
なんかまだ企画の段階なのですけど、もしかしたら例えば文化祭
みたいな形でいろんなマンションの発表の場
ができてもいいよねとか、
それからマンション対抗運動会みたいなことができたらいいよね
なんて話もでていて、そんなことを話しているのも楽しいし、そんな
中から面白そうなのがでてきて、じゃあやってみようかという感じに
なったらいいと思います。

(森)
あとは各マンションの管理組合の理事長会みたいなものをやれると
いいかなという話がでています。ばらばらにやっているとある年代
は盛り上がってやるけれどもそうでない年代は全然やらないという
ようになってしますので、そういったところもNPOがとりもって
やれるといいかなと思います。

(萩原)
NPOなので私みたいな昔からのことを知っている地域の人間が
入って行政ともつながりがあるので、その辺のところをサポート
したりバックアップしたりしながらそれでみんなが盛り上がって
いい街になればいいなと、そうやって一つのコミュニティができて
いくことが中原とか小杉全体の街にとってもすごく大事
なことなので、
区役所の方でもその辺はすごく理解していて、大切に思っているので
いろんな連携をとりながらやっていきたいと思います。

(森)
マンションの住民だけじゃなかなかできないんですよね、そういう
ところは特に。

後編に続く)

【関連リンク】
NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメント 公式ウェブサイト
2008/8/20エントリ 小杉駅周辺エリアマネジメントと「こすぎ夏フェ
スタ'08」

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2010/10/19エントリ 武蔵小杉の「ひと」(4):NPO法人小杉駅
周辺エリアマネジメント

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2010年
10月04日

武蔵小杉の「ひと」(3):NPO法人防犯ネットワーク(後編)

karejishi.gif

前編からの続き)

--先ほどの話に戻りまして、空き巣が多かったという話ですが
マンションなどは一見防犯セキュリティが高いというイメージが
あるのですが?


(田中)
ピッキングとかサムターン廻しがひと昔前に流行っていたのが、
発生件数はすごい数でした。一般の人にはわからないと思いますが、
マンション管理の仕事をしていると3日に一度ぐらいの割合で
マンションの入居者が空き巣に入られましたと来店
されていました。

--なるほど。あとこのメールマガジンを見ていて自転車の盗難、
これがほんとに多いと思うのですが。

(松川)
週明けには2桁確実ですからね。

■田中理事長(右)と松川支部長(左)
田中理事長(右)と松川支部長(左)

--これは同一犯の繰り返し犯罪なのでしょうか?

(田中)
そのケースも多いと思います。

--武蔵小杉周辺では放置自転車問題が大きな課題でいろいろと
対策が検討されていますが、この問題は自転車盗難に大きく
関係すると思われます。その辺についてはいかがでしょうか?

(松川)
そうですね。もちろん自転車で通勤通学をされないといけない方に
対しての駐輪場の確保
というのは必要なことだと思いますし、小杉の
新駅しかり、あの大きさで十分かどうかは別にしてもある程度の
拡充を図っていくという行政の取り組みもよく分かります。あと
東急電鉄というのは自転車置き場に関しては積極的に取り入れて
くれている企業だと思います。なので意識も変えていかなくては
いけないって確かにあると思うんですね。

歩いて3分のところを自転車だと1分でいけると、徒歩圏内だけど
自転車でいってしまう方の意識を変えていく必要性
もあると思い
ますし。でもまあ、いたちごっこなんですよね、この放置自転車と
いうのは。もちろん行政でも指導員たててやっていますし、
撤去もやっていますし。

(田中)
住民の意識を高めるしかないと思います。

(松川)
つくばのように地下に全部埋めるのか?というようなことも
考えていかなきゃいけないのでしょうけれどもそれこそ予算が
あっての話でしょうし。

--防犯ネットワークの理念を見たところブロークンウィンドウズ
理論が紹介されています。やはりこのような小さい犯罪の誘発が
その後の重大な犯罪の引き金になると、その点からみると「毎日の
ようにどこかで自転車が盗まれている」というのはやはり正常な
事態ではないと思います。
高津区ではその辺の取り組みはどうなのでしょうか?


(田中)
高津区は中原よりもっとひどいですね。全国でワースト5に入る
ぐらいだと聞いています。これは街づくりの話になるのですが
各都市(街)間でもそれなりに競争をしていると思います。
いま溝の口や小杉もそうですけど、平坦な道が多いので自転車が
すごく便利です。みんな買い物に来て停めるのが便利ですよね。
それを溝の口は放置自転車が多いからと「一切禁止」にして
しまったらそれは街自体の競争力がなくなってしまう
と思います。

いま溝の口の駅のところで出来ているのは短時間だと無料の
パーキング、長時間停めた場合は100円とか200円とかのお金の
かかるパーキングが設置され始めているのですけど、ああいうのを
もっとたくさん行政が設置することによって、自転車利用の便利さを
いかしながら、街自体の競争力を高めて、かつ放置自転車を
なくしていく方法
が良いと考えています。

田中理事長

--防犯の方の話に戻りまして、先日(6月)武蔵小杉周辺の小学校
では帰宅途中の児童が高校生の集団から現金を恐喝されるという
事件が発生しました。このような未成年による犯罪というのは結局
それが検挙されてもされなくてもなかなか情報としてでてくることは
ありません。しかし子供を持つ親の立場としては非常に重要な情報
だと思うのですが、この点についてはいかがでしょうか?


(田中)
例えばお正月明け、溝の口の丸井で、子供が持っているお年玉を
狙って中学生が小学生を、あるいは高校生が中学生を恐喝
するという
ような事件って結構起きていたんです。

そういう時に子供達にはこういう対応を取ってくださいとか、
すぐ大きな声をあげるとか、近くの大人に相談してとか、対応方法を
配信
しています。メールを受け取っている人は大人や親が多いので、
親とお子さんがそのことについて話し合う時間を作って下さい
ということを提案
しています。

親もそんなことが起きているということを知らない、子供も自分が
その場になって犯罪に巻き込まれて初めてびっくりしてしまうのでは
なくて、「こういうことが小杉の駅周辺では、あるいは溝の口では
あるのよ」「その時はこういうことをしようね、そうならないように
こんなことに気をつけようね」
、ということを事前に話し合って
おけばそれなりの対処ができる、ということです。

やはり、恐喝事件や、ひったくり、空き巣被害の多い街で、
子供だけが安全な街はあり得ない
わけです。
地域全体がよくならなくてはなりません。

(松川)
またこういう情報というのは小学校の教育委員会から流れてくる情報
なんですけれども、そういう情報というのも例えば地域の方で共有
すればまた新たな効果が出てくるというのもあるでしょうし、その辺
は僕自身の課題ですけれどもとにかく情報はもうオープンにして
それを共有しようと、縦割りではなくて、横にリンクする形
で出来れば
いいかなと。

松川支部長

--確かにこの情報は小学校で登録している保護者に対しての全校
一斉配信ですが、あくまでその小学校の中だけです。しかし実際に
犯罪がその小学校の学区だけでおきているかというとそんなことは
なくて、すぐ隣の小学校の学区も隣接しているわけなのですが、
そこが全く共有されていません。


(松川)
高津区のほうまでくると、そういう情報が学校から入って来たという
ことで会員同士の間で共有することができるようになってきたの
ですけれども、中原区のほうはまだできていないので、今後
そうしていきたい
と思います。

--それはぜひよろしくお願いします。

--武蔵小杉周辺は再開発で急激に住民が増えています。
 その点については率直にどう思われますか?


(松川)
率直にいうとびっくりするぐらい街が変わってきましたよね。
事実として。高層マンションがだんだん建っていって、住民が
入居されて新しい方が入ってこられたなという印象は強いですね。

賃貸として住まれている方であればまた話は変わってきますけれど
分譲という形で住まわれている方が大半ですから、ある程度の期間は
定住されていくという方ですので、そういうかたと従来の方との
融合をどういうように図っていくか
というのはこれからの課題だと
思いますし、いろんな行政の中でもコミュニティという言葉がいま
よく出始めましたけれど、そういうものをどのように築きあげて
いくのかというのがこれからの課題だと思います。

--武蔵小杉ライフでも地域コミュニティに着目して
そういった活動をされている方々にお話を伺っています。
その辺りと防犯との関連性はいかがでしょうか?

(松川)
設立当初からそうでしたけれども、とにかくみんなを巻き込んで
情報を共有して、みて見ぬ振りをしないで、自分が出来ることを
やろう
というのが大前提の団体ですから、もちろん町内会であったり
防犯協会であったり、警察関係の団体であったりいろんなところとの
アプローチができるのであれば積極的にアプローチしていきたいと
思います。

僕も町会の副会長をやっていますけれども、町会というのもある程度
高齢の方がやっぱり多く、その世代の方が出来る防犯の活動という
のと、若い世代ができる防犯活動というのはやはり違いますので、
双方が協力し合っていい効果を出せればなと思います。

田中理事長(右)と松川支部長(左)

--ただ異なる団体同士で協力体制を築くのは難しい部分もあるの
ではないでしょうか?


(田中)
確かに最初はうまくいきませんでした。
防犯ネットワークをスタートする時にも地域の既存の団体の協力を
得るのに苦労
しました。そうなると行政側もなかなか協力して
くれなくなります。

警察も地域によって全然対応が異なるのですが、先進的なところと
保守的なところはずいぶん違いますね。警察が直接情報をくれない
ので、区役所に出した情報をバイパスしてもらっている区
もあります。
中原区は突破力のある人脈を使ってお願いしましたのですんなり
いきましたね(笑)

■身近で起きている事件の情報配信(防犯メールマガジン)
身近で起きている事件の情報配信(防犯メールマガジン)

女子児童を狙った犯罪

--また防犯の話に戻りまして、我々一般市民が普段メールマガ
ジンの情報をみて、どのようなことを心がければよいのでしょうか?


(田中)
一番大事なのは自分の住んでいる地域に関心を持つことですね。
無関心にならないこと、地元でこんなことが起きているんだな、
こんな犯罪がおきているんだな、気をつけなきゃな、とまずは思って
いただきたいです。

次に自分に出来るアクションを起こす、ということです。
自分が被害にあわないように気をつける、例えば自転車は二重ロック
にするとか、ひったくりにあわないように気をつける、そう意識する
ことも大切です。

できればさらにもう一歩突っ込んで地域の人と、コミュニティの
結びつきを密にする
というんですかね・・・
つながり、連帯感を強化する事が出来れば犯罪に強い街になります。
それは自分が積極的に街の人と挨拶をすることだったり、
ちょっとした声がけをすることで良い
のです。

(松川)
警察の生活安全課の方がある会合で話をされたのが、車の予測
運転に例えた話
で、例えば交差点から子供が飛び出てくるんじゃ
ないか、自転車が倒れてくるんじゃないか?というような予測運転を
しましょうという運転の方法の話をしますけれども、犯罪もいま
どこで起きてもおかしくない状況
になってきているので、犯罪に
巻き込まれてもいいというような、例えばもしかしたら
ひったくられるから、車道の反対側にかばんを持とうだとか、
もしかしたら自転車盗まれるかも知れないから二重ロックにしよう
とかそういう予測発想をして生活をするようにしてくださいね、
という話をしていました。

--防犯ネットワークの今現在の課題と今後の方向性について
教えて下さい。

(田中)
防犯ネットワークのもともとの考え方というのは、地域に住んでいる
人は地域のためになにか自分のできることで行動を起こしてもらう。
そして地域にある企業は地域のために動いてくれる人達のために
社会的責任を果たすため、そこに寄付するなりして、地域に貢献する。
そんな考え方です。

田中理事長

ただやはり活動が見えにくかったり、あまり大きな事件がないと
関心が薄くなってしまったりして会員拡大が進んでいないですね。
メール会員の拡大もそんなに進んでいないですし、お金を払って
活動しようという正会員の拡大も進んでいない。そしてスポンサー
企業の獲得も進んでいない。
これが大きな課題だと思っています。

ときどき特定の事業で県や市から補助金をいただいたりすることも
ありますが、やはりそれは単発的なものなので、もう少しNPOと
しての基盤を確立するためには会員拡大のところに力を入れて
いかないといけない
と考えています。

方向性としてはコミュニティを強化したいということで、地域に暮らす
人たちのつながり、連帯力をアップ
したいです。これを地域住民共通
のテーマである防犯でやろうということなので、もっともっと地域の人
たちが密につながれるような、イメージするなら昔の下町のような、
ちょっとおせっかいでも街や地域の人に健全な関心を寄せるコミュ
ニティ
を作りたいと思っています。

--中原支部のほうはいかがですか?

(松川)
中原支部はまだ会員不足なものですから会員の拡充はもう今後も
続けていきたいと思います。あとは先ほども話にでましたが、
会員間の情報交換会をできればいいかなと思っています。僕は以前
から子供安全マップに興味を持っておりましたのでこれは川崎市でも
積極的に地域安全マップをつくるような教育をしていこうと前から
思っていましたので、そろそろ中原区でも進めて行きたいな
と思っています。

松川支部長

--最後に武蔵小杉ブログの読者のみなさんに一言お願いします。

(田中)
新しい街、急速に広がって変わっていく街は犯罪とか多くなりがち
なんですけど、やはり住んでいる人の意識によって犯罪の件数は
大きく違ってくる
のでぜひ自分達の街に愛着を持って自分にできる
アクションを起こしてもらいたいと思います。

(松川)
ほんとに一つの街が出来るぐらいの人口増ですので、もちろん今まで
の町内会の立場のかたと新しい方とのコミュニケーションも必要
ですけど、あたらしく横須賀線の新駅周辺にお住まいになっている方
同士のコミュニティというのもまず一つ大事
だと思うんですよね。
その中でも、もちろん地域情報が分からないものですからなかなか
動きづらいかも知れないですけどそういうところで防犯ネットワーク
としては防犯の立場からお手伝いが出来ればな
と思っています。

とにかく武蔵小杉、中原区、川崎を含めてですが、住みやすい
安心安全な街を作りたいというのは小さい子供からご高齢の方まで
どの世代でも共通な話
ですから、それに向けてみんなで出来ることを
して力を合わせていければ
、と思います。

--本日はどうもありがとうございました。

田中理事長(右)と松川支部長

【防犯ネットワーク中原支部 防犯メールマガジン登録】
http://www.bouhan-network.com/nakahara/nakahara
_toroku.htm


【関連リンク】
NPO法人防犯ネットワーク 公式サイト
2007/10/5エントリ 小杉町2丁目の青色防犯灯
2007/10/12エントリ 小杉町2丁目の青色防犯灯(2)
2008/2/23エントリ 小杉町2丁目の青色防犯灯アンケート結果
2008/4/28エントリ 小杉町2丁目の青色防犯灯・その後
2009/6/3エントリ サライ通り商店街に防犯カメラ設置
2009/9/18エントリ 犯罪のないまちづくり
2010/10/1エントリ フーディアム武蔵小杉前の防犯カメラと通報装置
2010/10/3エントリ 武蔵小杉の「ひと」(3):NPO法人防犯ネット
ワーク(前編)

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2010年
10月03日

武蔵小杉の「ひと」(3):NPO法人防犯ネットワーク(前編)

karejishi.gif

武蔵小杉ライフが地域活動に関わり合いのある方々へお話を伺う
インタビューシリーズ、第3回目は2009年9月18日のエントリ
犯罪のない街づくり
 でもとりあげた、NPO法人防犯ネットワーク
を訪ねました。
防犯ネットワークは高津区を拠点とし「子ども、女性、お年寄り、
誰もが安心して生き生きと暮らせる町の実現」
を理念として
活動しているNPO法人です。

■NPO法人防犯ネットワーク 公式サイト
http://www.bouhan-network.com/

今回は代表の田中理事長と昨年新しく設立された中原支部の
松川支部長
にお話を伺いました。
(以下敬称略)

■田中伸一理事長(右)と松川正二郎支部長(左)
田中伸一理事長(右)と松川正二郎支部長(左)

--まず設立の経緯からお伺いしたいのですが

(田中)
防犯ネットワークのスタートは地域教育会議という川崎市全体の
生涯学習課の機関でPTA会長や学校長あるいは民生委員さんや
青少年指導員さんなどの人たちで組織されている、地域全体で
子供達を育てようという、そういう組織がありまして、私がPTA会長を
していてそこのメンバーだった事もあり、その地域教育会議とPTAと
共催で防犯フォーラムを行ったのですね。

当時あまりにも子供達を狙う事件が多く発生していて、大阪池田小の
事件であるとか、長崎の少年殺害事件、赤坂で小学生女子児童が
監禁されていた事件もありました。そういう事件がたくさん起きて
いまして、では地元ではどういう事件が実際におきているのだろうか?
と思ったんです。それで警察に情報を聞きに行ってみると
「声がけ事案」や実際に子どもが連れ去られそうになった事件
起きていたんですね。でも、そういう情報を僕らは全く知らなかった。
情報を知って初めて人は注意しようと思うんですね。

それで情報の共有をしようじゃないかということで警察の代表者と、
それからPTA、地域住民の人、そして子供達とで防犯フォーラム
行ないました。そうすると子供達からは「実は友達がオートバイに
乗った男の人に追いかけられたんだ」
という話がでたり、警察のほう
からも「実は声がけ事案が結構起きているんです」という話が
あったり、身近なところでそういう事件が実際に起きていることが
分かったのですね。

そのときにガーディアンエンジェルスってご存知ですか、赤い
ベレー帽かぶった自警団のような団体です。そこの理事長と知り合い
だったので講師に来て頂いたんですね。それで、「何をしたらいい
のか?」ということをお聞きしたら「まず情報を共有してください」
ということを言われました。それから、情報を共有したら自分に
できること、何かアクションを起こすこと
、これが地域を守るために
大切なのだよ、ということをおっしゃられました。

講演の内容がよかったこともあるのでしょうけど、参加者277名
子供達・地域の大人達に対して取ったアンケートで「地域のために
何かできることがあったら協力する」と回答してくれた方が95%

いたんですね。たぶん50%ぐらいの方が協力すると答えてくれるの
ではないかと思っていたのですが、実に95%の人が地域のために
自分達に出来ることがあったら協力したいんだという答えを出して
いただきました。

これだけ善意をもっていらっしゃる方がいるのだったら、その受け皿
を僕らが何とか作れないかな?
ということで防犯ネットワークという
団体を設立するに至ったのです。

田中伸一理事長

防犯ネットワークは、その活動で何をやるかというと、
防犯パトロールの日にちを決めて巡回パトロールをするとかそういう
ことではなくて、地域に住んでいる一般の人たちが、新聞に載らない
小さな事件などの情報を知ることで普段から防犯の意識を持って
自分に出来る行動を起こす
ということなんです。

例えば溝の口・高津区あたりでは自転車の盗難が非常に多い。
だから自分が自転車を止めるときにはダブルロックを必ずかけるとか、
ひったくり犯罪もすごく多くて、ひったくりにあわないためには、
車道側にバッグを持たないで、必ず歩道側に持つようにするとか、
自転車の前カゴに荷物を乗せる時には、ネットやあるいは週刊誌や
新聞紙を荷物の上に置くとか、普段の生活の中で自分にできる行動を
起こす事
を目的に設立を致しました。

--今現在の主な活動内容を教えて下さい。

(田中)
情報を共有する為に、新聞に載らない小さな事件が身近なところで
たくさん起きていて、その事件があるということを知って始めて
自分が注意することができるので、身近で起きている事件の情報
配信
をしています。この中には警察発表のものもありますし、
「自分の子供がいまxxxの公園で変な人に声をかけられたので
皆さん注意してください」というような会員さんからの情報
もあります。
そのような会員さんからの情報が入ると、「自分は近所に住んで
いるのでちょっとその辺りをパトロールします」というような、
善意のメールが入ってきたりします。

■身近で起きている事件の情報配信(防犯メールマガジン)
身近で起きている事件の情報配信(防犯メールマガジン)

女子児童を狙った犯罪

それから、防犯ネットワークの本来の趣旨である日常の中で自分が
できる防犯活動をしようということでは、ワンワンパトロール
いって、毎日犬の散歩をする時にマークをつけて防犯の視点を持って
犬の散歩をしていただく
。そして犯罪を見かけた時には、
見てみぬ振りをしないで、その場でなくても構わないので裏に回って
110番する。または夜遅くまで外で遊んでいる子供がいたら、
そろそろ帰りなさいという声をかけて頂く。そんな普段の日常生活の
中で行っていることでできる防犯活動を多くの地域住民でする

ということをやっています。

あとは、犯罪社会学で有名な小宮信夫教授が犯罪機会論をもとに
開発をした地域安全マップというプログラムがありますが、その
プログラムを子供達に受けさせるためのインストラクター養成講座
などを行っております。この地域安全マップ作りは子供の安全の
切り札だと言われています。

最近では、地域包括支援センターという川崎市の公的な相談窓口が
あり、地域でくらす高齢者の方たちを様々な面から総合的に支える
ために作られた機関なのですが、よく痴呆性の徘徊老人の方が
いらっしゃり、徘徊して行方不明になってしまった時にご家族から
希望があった場合、「こんな方がこの辺りで行方不明になってしまい
ました。心当たりがある方は情報をください」という内容のメール配信
をしています。

田中伸一理事長

--今現在の団体のメンバーはどのぐらいでしょうか?

(田中)
正会員といいまして、これは年会費を払っていただいている方が
約50名。あとはメール情報を受取ってボランティアとして自分の
できることのアクションをしますよ、という登録をしていただいて
いる方が、現在7893名
いらっしゃいます。
(2010年9月18日時点)

--メールの登録件数が約8000近くですが、この数字については
どのように思われますか?


(田中)
まだまだ少ないと思っています。

やはり警察や行政からのメールって味気ないですよね。例えば
会員さんからの情報で、「最近家に帰る途中に変な人に付けられて
怖かった。私はコンビニに入って110番をして事なきを得ました」
などという情報を知ると、もし不審者につけられたらコンビニに
逃げ込んで110番通報をすれば良いのだ
、という対処方法が
わかります。

あるいは、さっき言ったように「xxxの公園で変な人に声をかけられ
ました」という情報に対して、これだけ多くの登録していただいている
方がいるので、近所にいる方が「自分は近くに住んでいるのでちょっと
気をつけるようにします」
とか、「いまからその辺りをパトロールします」
とか、そういう方もいらっしゃいます。
そういう善意の地域の方に対して、アクションを起こして頂けるもの
を集めるためには、もっともっと輪が広がったほうがいいと考えて
いますし、そういう意味ではまだまだ人数が少ないと感じています。

--先ほどからお話のでているメールマガジンについて教えてください。

(田中)
メールマガジンは最初は無料で配信できるメール配信ソフトを使って
いたんです。ところが、2000名近くになったところでサーバから
シャットアウトされてしまい配信することができなくなってしまいました。
今は官公庁等で使われている有料配信システムを利用しています。

--情報のソースは警察から入手されているのですか?

(田中)
そうです。ほとんど警察からの情報です。あるいは区役所からの
情報
です。あとは会員さんからの情報を配信させていただきますが、
その場合、いちおうご本人と連絡を取って、その経緯等を確認した
上で、プライバシーの問題に触れないことを十分に注意しながら
配信をしています。

--中原の場合ですと、中原警察署からですか?

(松川)
そうですね、ちょうど2009年7月に中原区の支部を設立してメールの
配信を始めたのですけれども、情報ソースとしては中原警察署の
生活安全課
から情報をもらっています。毎週月水金と情報をもらって
いまして、その情報をFaxでもらってそれをデータにして配信すると。

松川正二郎支部長

--Faxなのですか?

(松川)
なかなか警察もデータでくれないんですね。
(田中)
警察はメールでデータを出さないんですよ。(苦笑)

(松川)
それでそのFaxをもらった時に例えば最近自転車の盗難が増えている
だとか、またひったくりも最近増え始めているものですから、それに
注意をしてくださいね、というメッセージが入っていまして、
-いまは毎回自転車の盗難のメッセージが多いですけれども-
そういうような情報をもらってそれを配信しています。

--先ほど伺った話で会員からの情報も配信することがあるとのこと
でしたが、中原版ではまだそういったケースを見たことがないように
思いますが?


(松川)
そうですね、一回だけあったんですけれども、正直にお話しますと
今は実質的に配信しているのは僕一人だけですし、手伝ってくれる
方も1~2名いるぐらいです。なので、なかなかその会員間の
いうなればオフ会じゃないですけどそういうこともまだ開催できて
いないものですから、会員同士のコミュニケーションがとれていない
というのがまず一つあると思うんですよね。だから1年間も配信を
続けてきたので、そろそろ中原区の会員のみなさんが一度集まれる
ような会
を催すなり、もしくはそういう話をすることによって、
また会員の方から情報を頂いたりとかそういう環境作りをしたい
と思います。

--先行して登録人数の多い高津区では会員から情報も結構くるの
ですか?

(田中)
そうですね。意味の分からないメールも来たりしますけどね(笑)
一応連絡をとって確認の取れたものについては配信するようにして
います。

田中伸一理事長

--メールマガジンの内容について伺いたいのですが、
初めて見た時には身近な地名で毎日のように何か犯罪が起きている
ということに驚きました。これは事実なのでしょうか?

(田中)
はい。警察が発表しているデータをもとに配信しています。
高津区では、最近少なくなりましたが、前は中原区同様に多く犯罪が
発生していました。私はマンション管理関連の仕事をしているの
ですが、設立当時は、住民の方がしょっちゅう空き巣に入られたと
保険の申請にこられていました。
それが余りにも件数が多く、しかも
お金で買えないようなものを盗まれてとてもがっかりしてこられるの
です。空き巣って自分のお隣さんや向こう三軒ぐらいがやられないと
わからない
わけですよね。マンションではあまり入居者も気づいて
いないのです。同じマンションで同じ日に何件も発生したり、
ひどかったんです。防犯ネットワークを設立しようと思った背景には
こんな体験もあります。

新聞には載らない事件がこんなにおきているんだと。そして、
xx町x丁目で何時ごろにこんな事件があったと知れば
うちの町内会じゃないか!と気をつける
ようになりますよね。
多くの人に気をつけるようになってもらう事が第一目的です。

--確かに身近な地名が出てくると注目するのですが、逆にいままで
それだけ身近な地名でなにか犯罪が起きているということをまったく
知らなかったという事実に最初は驚きました。

(松川)
確かに警察も行政も例えば町会長さんに今月は何件ひったくりが
あったり空き巣があったりという情報提供はしているのですけれど
その情報というのも一ヶ月分まとめて翌月だとかとかタイムリーな
情報ではないんですね。

自分の町内であったり自分の地名というんですかね、いうなれば
隣で事件が起こっているんだというのはぜひともみんなに知って
いただきたい
と思います。

松川正二郎支部長

--確かに町内回覧で情報を回すのにも限界があると思います。
 その意味ではメールでの配信は有効ですね。


(松川)
あとは世代というものも考えていまして、メールを受信されるかたと
いうのはどちらかというと若い世代が多い
、というところもありまして
そういう方にも積極的にも防犯の意識を高めていただきたいですし
できれば自分の出来ることをしていただきたいとは思います。書面の
場合というのはどちらかというと高齢の方々の情報ツールになります
けれども、メールというのはある程度若くなるので、子ども達を支えて
いる世代にも有効
かなと思います。

(田中)
先般高津区民祭に防犯ネットワークでブースを出店した際に、
会員の方に是非来てくださいとメールで案内をしたら小学生が
携帯を持って尋ねてきて
びっくりしました(笑)
ママに登録しなさいと言われたそうです。

後編に続く)

【防犯ネットワーク中原支部 防犯メールマガジン登録】
http://www.bouhan-network.com/nakahara/nakahara
_toroku.htm


【関連リンク】
NPO法人防犯ネットワーク 公式サイト
2007/10/5エントリ 小杉町2丁目の青色防犯灯
2007/10/12エントリ 小杉町2丁目の青色防犯灯(2)
2008/2/23エントリ 小杉町2丁目の青色防犯灯アンケート結果
2008/4/28エントリ 小杉町2丁目の青色防犯灯・その後
2009/6/3エントリ サライ通り商店街に防犯カメラ設置
2009/9/18エントリ 犯罪のないまちづくり
2010/10/1エントリ フーディアム武蔵小杉前の防犯カメラと通報装置
2010/10/4エントリ 武蔵小杉の「ひと」(3):NPO法人防犯ネット
ワーク(後編)

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