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2024年
03月14日

なかはらミュージカル第11回作品「Voice」4公演に惜しみない拍手、村民が声上げる「アミガサ事件」描く

中原区の市民ミュージカル「なかはらミュージカル」の第11回公演「Voice~Always rising after a fall~」が、2024年3月9日(土)、10日(日)に中原市民館において上演されました。

2日間合計で4公演が行われ、いずれもチケットは完売で満員の観客席から惜しみない拍手が贈られました。

■なかはらミュージカル「Voice~Always rising after a all~」
なかはらミュージカル  

「なかはらミュージカル(なかミュー)」は、2012年から継続的に上演されている市民ミュージカルです。

世代を超えた豊かな「交流の場」を作り、人や街への理解を深めることによる「シビックプライド」を醸成するとともに、次代を担う子どもたちに実りある体験を提供することで、未来の「まちづくり」「ひとづくり」に貢献することを活動の目的としています。

コロナ禍による活動制約はあったものの、昨年からは通常通りの本公演が再開されました。

今回の第11回公演は「Voice~Always rising after a fall~」と題し、「アミガサ事件」をテーマとしました。

「アミガサ事件」とは、1914年(大正3年)9月16日、大雨が降るたびに洪水に悩まされてきた橘樹郡御幸村の住民、約200名が「多摩川の築堤」を神奈川県知事に求めるべく決起した事件のことです。

この集団は目印として編み笠をかぶっていたことから、「アミガサ事件」として現代まで伝えられています。

■役人として御幸村に赴任してきた白井亀吉
御幸村に役人として赴任してきた白井

かつて、御幸村のそばを流れる多摩川は「あばれ川」といわれ、たびたび氾濫しました。
川崎側には堤防がなく、大雨のたびに作物や家屋を失うなど、たいへん厳しい生活環境にありました。

堤防が必要なのは明白でしたが、「川崎側に堤防など作ったらこちらに水が来る」という東京側からの反発もあり、当時立場の弱かった川崎市側ではなかなか話が進まなかったのです。

そんな中で東京から御幸村に陳情係の役人として赴任してきたのが、白井亀吉です。

白井は「上司の言うことをずっと聞いていれば出世出来て安泰」「陳情は聞くだけ、解決するのは自分の役割ではない」と冷めた考えを持っていました。

■村民からの陳情
村民からの陳情

ただ、この白井亀吉は、心根はごく普通の優しい男です。
困窮した村民から陳情されれば、なんとかできないものかと悩みます。

■多摩川の絞り染め
多摩川の絞り染め

■みなしごの志津香に恋する白井亀吉
恋に落ちる白井亀吉

御幸村の川沿い、堤防のない場所では、みなしごたちが身を寄せ合い、多摩川で絞り染めを作って生計をたてていました。

白井亀吉はその中にいた美しい女性、志津香に恋します。

志津香は多摩川の築堤運動にも参加していましたが、そんな運動をすれば官憲に睨まれると御幸村の中でも反対する人間もおり、なかなか思うようにはいきません。

■地元議員・秋元を中心とした築堤運動
築堤運動

築堤運動の中心となっていたのは、上平間に住んでいた御幸村選出の橘郡会議員の秋元です。
秋元はこのままでは埒があかず、村民が集団となって神奈川県知事に直訴を行うことを考えていました。

■石原知事に村民の要望を伝える白井
神奈川県知事の石原に築堤要望を伝える白井

ただ、当時徒党を組んで直訴をするというのは、罪に問われる行為でした。

村民が逮捕されるようなことは避けたい白井は志津香と話し合い、意を決して陳情係として単身神奈川県知事の石原に要望を伝えに行きますが、まったく相手にされません。

■秋元と村民がアミガサをかぶって決起、白井も参加
秋元と村民らがアミガサをかぶって決起

白井に失望した秋元議員、村民らはとうとうアミガサを仲間の目印として決起することになりました。

白井はそれを止めるよう上司に指示され、悩みますが…、決起した村民らの中には、白井の姿がありました。

白井は待ち伏せする官憲の場所を村民らに伝え、神奈川県庁までの案内役をかってでます。

■石原知事からは築堤の設計図が
石原知事からは築堤の設計図が

そののち神奈川県知事に面会することができ、知事から渡されたのは築堤の設計図でした。
とうとう築堤を約束してくれたのです。

■めでたく結ばれた白井と志津香
めでたく結ばれた白井と志津香

その後、白井と志津香はめでたく結ばれ、エンディングとなりました。

なお、「アミガサ事件」から実際に堤防が完成するまではまだまだ時間を要し、その間に石原知事から引きついた有吉知事が道路に盛り土をして堤防がわりにする、「有吉堤」を作りました。

こうした先人らの尽力により多摩川の治水が向上し、現在の川崎市の発展があるというわけです。

■なかはらミュージカルテーマ曲「Voice」


上演の最後には、キャスト全員でテーマ曲「Voice」の歌唱がありました。

一人が声を上げることで世界が変わっていく、必ず助けてくれる人が現れるという力強いメッセージが込められています。

「なかはらミュージカル」は動画で見ていただくのが一番魅力が伝わると思います。
是非、この1曲をご視聴ください。

「なかはらミュージカル」は、脚本・演出・音楽・歌唱指導・振付・ダンス指導まで、プロの方が密着して指導をされています。

「市民ミュージカル」という枠を超えた抜群のクオリティで、毎回きわめて満足度が高い舞台になっています。

良質な舞台で地域の歴史にも触れることができ、弊紙も自信をもってお勧めできるミュージカルです。

また毎年キャストの募集も行われていますので、関連リンクより公式ウェブサイトもご参照ください。

【関連リンク】
なかはらミュージカル ウェブサイト
なかはらミュージカル facebookページ
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