川崎市が旧中原消防署跡地をJR東日本に売却、新駅連絡通路跨線橋バリアフリー化のための隣接ビル代替地活用へ
川崎市が旧中原消防署跡地の一部をJR東日本に売却したことが
わかりました。この用地はJR武蔵小杉駅の横須賀線連絡通路の
跨線橋に隣接したビルの代替地として活用され、当該ビルが立ち
退くことになります。
これにより、現状未整備であった連絡通路へのエスカレーター・
エレベーター設置が実現することになります。
■JR東日本に一部が売却された旧中原消防署跡地
旧中原消防署跡地は、府中街道に面し、裏手には二ヶ領用水が
控える細長い土地です。
元々府中街道の拡幅が予定されているため、さらに細長い土地に
なるわけですが、今回売却されたのは府中街道拡幅用地以外の
部分です。
この土地が一旦JR東日本に売却されたのち、横須賀線武蔵小杉
駅連絡通路への跨線橋に隣接したビルの代替地として提供される
ことになります。
■連絡通路跨線橋に隣接した森山ビル
■連絡通路の跨線橋と森山ビル
こちらが連絡通路跨線橋に隣接した「森山ビル」です。
このビルと連絡通路のエスカレーター・エレベーター設置工事の
関連については、これまでにも2009/11/18エントリ、2010/4/17
エントリでお伝えしてきたところです。
■横須賀線武蔵小杉駅連絡通路の図面
跨線橋の計画図では、両側にエスカレーター・エレベーターが設置
される計画となっていましたが、北側(川崎方面ホーム側)では
建設用地が現在の森山ビルにあたっています。
森山ビルを解体しない限りは用地が確保できないため、跨線橋の
北側はエスカレーター・エレベーターもなく、南側に比べて狭い
状態での新駅開業となりました。
南側にはエスカレーターはありますが、エレベーターについては、
片側のみ作っても意味をなさないために、南側も設置されていない
状況です。
■建設中の跨線橋と森山ビル
この森山ビルについては、2009年8月27日に川崎市建設局が
「小杉駅周辺交通機能整備建物等調査」という題目で解体調査を
株式会社建匠コンサルタントに発注するなど、解体時の補償等に
ついて検討が進められてきました。(2009/11/18エントリ参照)
私有のビルですので当然代替地の手当てなど補償が必要となり、
今回旧中原消防署跡地に白戸の矢が立ったわけです。
この跨線橋のバリアフリー化はJR東日本だけでなく川崎市も
関与して進められている事業ですので、川崎市の裁量で動かせる
市有地が選定されたのでしょう。
これにより、森山ビルは旧中原消防署跡地に移転し、跨線橋
へのエスカレーター・エレベーターの設置工事が今後進められて
いくことになります。
公共施設のバリアフリー化という観点で、これは非常に喜ばしい
ことですね。
■拡幅・立ち退きが予定される府中街道西側
ただ、一方で府中街道では前述の通り拡幅が予定されており、
こちらも多くの代替地が必要となります。
府中街道拡幅の代替地としても、旧中原消防署跡地の市有地は
地元の皆様にとっては非常に有望な土地と目されていたため、
今回のJR東日本への売却は大きな落胆を呼んでいるようです。
2010/6/4エントリで取り上げたように、この区域では府中街道拡幅
にあわせて、二ヶ領用水との一体的な整備を推進するとの機運が
地元から高まっており、川崎市まちづくり局としても賛同するとの
発言がありました。
当然このような一体的整備を推進するにあたっても、旧中原消防署
の用地は貴重な存在となったでしょう。
■府中街道拡幅・小杉工区と二ヶ領用水周辺整備(イメージ)
このような経緯もあった中、川崎市から地元への説明は行われず、
寝耳に水の売却となったことも感情的な齟齬を生じているものと
思います。
限られた用地に対して取り組むべき課題が多数あり、すべてを
充足させることは非常に困難なことですけれども、行政としては
ひとつひとつ丁寧な説明をしていくことが求められますね。
【関連リンク】
武蔵小杉ライフ:再開発情報:小杉駅東部地区:横須賀線武蔵小杉駅
武蔵小杉ライフ:再開発情報:その他関連情報 府中街道
2008/10/1エントリ 横須賀線武蔵小杉駅の連絡通路着工と工事図面
2009/11/18エントリ 横須賀線武蔵小杉駅連絡通路と隣接ビル
2010/4/17エントリ 横須賀線武蔵小杉駅連絡通路のバリアフリー化
計画
2010/6/14エントリ 東京機械製作所跡地再開発始動と、府中街道と
二ヶ領用水の一体整備案