武蔵小杉ブログ(武蔵小杉ライフ 公式ブログ)

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2014年
10月19日

絵本を通して、ともに考える。「親と子の絵本で知る障がいと病気」開催レポート

【Reporter:はつしも】

2014年10月18日(土)に、川崎市立中原図書館において中原市民館自主企画事業「親と子の絵本で知る障がいと病気」の第2回講座が開催されました。

■川崎市報道発表資料 中原市民館市民自主企画事業「親と子の絵本で知る障がいと病気」の参加者を募集します
http://www.city.kawasaki.jp/templates/press/nakahara/0000060762.html

本講座は、子どものうちから障害や病気について正しい知識を持ち、いのちの大切さを理解することや、みんなが安心して暮らせるまちについて考えることを目的としています。

 全2回の講座のうち、「第1回」は保護者を対象とし、「子どもにどのようにして障害や病気を教えるか」について講義を受けたのちに、読み聞かせをする絵本を選ぶ作業をしました。

■「第1回」で選ばれた「黒グルミのからのなかに」「スマッジがいるから」
「第1回」で選ばれた「黒グルミのからのなかに」「スマッジがいるから」

「第1回」で選ばれた絵本は、こちらの「黒グルミのからのなかに」と、「スマッジがいるから」です。

■絵本ナビ 「黒グルミのからのなかに」
■絵本ナビ 「スマッジがいるから」

これらはいずれも、「いのち」をテーマとした絵本です。

今回レポートさせていただくのはこれに続く「第2回」で、親子参加で絵本の読み聞かせを行ったうえで、グループワークにより障害や病気、いのちの大切さについて親子で学んでいく内容になっていました。

■ボランティアの方による読み聞かせ
ボランティアの方による読み聞かせ

まずは前掲の2冊の本を、ボランティアの皆さんが読み聞かせをしてくださいました。
普段から読み聞かせボランティアをしている方々でしたので、たいへん聞きやすいものでした。

こちらは「黒グルミのからのなかに」の読み聞かせです。

これはお母さんに死期が迫り、死神がやってきたことを知った男の子が死神を撃退してしまうお話です。お母さんの命は助かるのですが、死神がいなくなったことで生命が死ぬことがなくなり、命がまわっていかなくなります。

最終的に男の子はどんな決断をするのか…、「いのち」について考えるきっかけとなる絵本です。

■西智弘さんによる「ぼくは海くんちのテーブル」読み聞かせ
西智弘さんによる「ぼくは海くんちのテーブル」読み聞かせ

西智弘さんによる「ぼくは海くんちのテーブル」読み聞かせ

2冊の絵本に続いて、本講座の講師である川崎市立井田病院医師・西智弘さんが、今回のグループワークの課題図書となる「ぼくは海(かい)くんちのテーブル」の読み聞かせを行いました。

■絵本ナビ 「ぼくは海くんちのテーブル」

この絵本は、事故により脳性まひとなり、体が自由に動かなくなった「海くん」の生活を、海くんちのテーブルの視点から見守ったお話です。

■グループワーク
グループワーク 



「ぼくは海くんちのテーブル」の読み聞かせを踏まえたうえで、グループワークが始まりました。

脳性まひの「海くん」が今後生きていくなかで、どんなところで困りそうか? どんなものがあったらよいか?を、レゴブロックで作ってみるというものです。

■参加者の皆さんで製作中
製作者の皆さんで製作中

■子供たちも製作中
子どもたちも製作中

グループワークは子どもたちを含む参加者の皆さんで行われました。
こういうときはやはり子どもたちの方が発想が豊かで、「海くん」が喜びそうなカッコいい道具ができあがっていました。

そして、このグループワークは、「道具を作っておわり」ではありませんでした。

■参加者の方の作品「ペットお世話ツール」
参加者の方の作品「ペットお世話ツール」

こちらは、参加者の方の作品「ペットお世話ツール」です。
海くんひとりでペットのえさやお水やりができて、照明や空調なども調整できる設備です。最低限の衣食住だけでなく、ペットを飼うこともあきらめなくて良いようになっています。

この道具の是非が大切なのではありませんで、このグループワークで最後に課題として出されたのは、「ここであなたはどこにいるのか、人形を置いてみてください」というものでした。

■「自分」を、そこに置いてみる
「自分」を、そこに置いてみる

これはおわかりの通り、「他人ごととしてではなく、自分がどこにいるのか、自分のこととして考えてみる」という意味があります。

こんなものがあったらいいね、というのはいろいろ考えられると思うのですが、多くの場合は最終的には他人ごとして考えてしまいがちではないでしょうか。
「人形を置いてみる」という非常に単純なことのようでいて、はっと気づかされるものがありました。

■グループワークに参加「ピープルデザインプロジェクト」の須藤シンジさん
グループワークに参加「ピープルデザインプロジェクト」の須藤シンジさん

さて、参加者の皆さんのグループワークを見渡してみますと、NPO法人ピープルデザイン研究所の代表理事、須藤シンジさんの姿がありました。

須藤シンジさんのピープルデザイン研究所は、2014年7月15日付で川崎市との包括協定を締結し、多様な人々が混ざり合い、賑わいのあるダイバーシティ(多様性)のまちづくりを目指した取り組みを推進しています。

■川崎市市長会見資料 川崎市と特定非営利活動法人ピープルデザイン研究所との包括協定の締結について(PDF)
http://www.city.kawasaki.jp/160/cmsfiles/contents/
0000059/59437/140715-2.pdf


なお、須藤シンジさんの著書「意識をデザインする仕事」が、NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメントによる読書会「こすぎナイトキャンパス」の課題図書として取り上げられた際にも、須藤シンジさん本人が参加されていました。
その詳細は2014/8/2エントリでレポートさせていただきましたので、ご参照ください。

■須藤シンジさんが作られた「人の輪」
須藤シンジさんが作られた「人の輪」

須藤シンジさんがグループワークで作られたのは、「海くん」を囲む人の輪です。
8の字のレゴブロックは、いずれも海くんのまわりの「人」を表しています。

建物の段差などのバリアを、世界中隅々まですべてなくすことは不可能であり、だからこそ海くんを囲むみんなの『心のバリアフリー』が大切なのです、というのが須藤シンジさんのメッセージでした。
8の字の人の輪は、もちろん「無限大」をイメージしたものです。

皆さんからそれぞれに作られた作品の発表をもって、今回の講座は終了となりました。

■会場で紹介されていた絵本
会場で紹介されていた絵本

また、会場では読み聞かせに選ばれていた絵本以外にも、たくさんの「いのち」「病気」「障害」をテーマにした絵本が紹介されていました。

いずれも子どもに伝えるのが難しいテーマですが、絵本などを通して伝えていくこともひとつの方法ではないでしょうか。

今回の講座による取組や、ピープルデザインプロジェクトによる取組はそれぞれ今後も継続されていきますので、またご紹介していきたいと思います。

【関連リンク】
NPO法人ピープルデザイン研究所 ウェブサイト
西智弘先生ブログ かわさきOncology&Palliative Care
西智弘先生Twitter @tonishi0610
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