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2014年
08月02日

読書会「こすぎナイトキャンパス」第50回開催、川崎市と包括協定のピープルデザイン研究所・須藤シンジさんが参加

 

NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメントの読書会「こすぎナイトキャンパス」が、2014年7月28日をもって開催50回を迎えました。
今回の課題図書は、「意識をデザインする仕事 『福祉の常識』を覆すピープルデザインが目指すもの」(阪急コミュニケーションズ)。5月29日に開催された「武蔵小杉Walkerで地元を語る会」のアンケートで、課題図書として要望があったものが採用されました。

開催50回を記念して、というわけではないのですが、今回は著者の須藤シンジさんが参加してくださいまして、本の感想を軸に歓談していくという形式になりました。

「心のバリアフリー」を実現すべく、「NPO法人ピープルデザイン研究所」代表理事としてさまざまな取り組みを進める須藤シンジさん。本当に急遽のご参加となり、本サイトでは直前にTwitterのみでのお知らせとなりました。

■NPO法人ピープルデザイン研究所 ウェブサイト
http://www.peopledesign.or.jp/
■こすぎナイトキャンパス(読書会@武蔵小杉)ブログ
http://ksgnc.hateblo.jp/entry/20140718/1405685181

■課題図書「意識をデザインする仕事 『福祉の常識』を覆すピープルデザインが目指すもの」
課題図書「意識をデザインする仕事 『福祉の常識』を覆すピープルデザインが目指すもの」

■ご参加いただいたピープルデザイン代表理事・須藤シンジさん
ご参加いただいたピープルデザイン代表理事・須藤シンジさん

本書では、冒頭で「意識のバリア」という社会的課題への「気付き」から始まります。
日本の社会においては障害を持った方が隔離されていて、そこから「意識のバリア」ができてしまっているということです。

「友達に『佐藤、鈴木、高橋、田中』という姓の人がいますか?」

須藤シンジさんは、各地の講演会でこのような質問をされるそうです。
会場からは、多くの方が挙手されるのですが、

「友達に障害者の人はいますか?」

と質問を変えると、ほとんどの手がスッと下がってしまうということです。

本書によれば、質問にある4つの姓は、「日本人に多い姓ベスト4」。およそ660万人いるとされています。
一方、障害者とされている方は日本に741万人いるとされ、全人口の約6%。学校のクラスに2人はいるという計算になるそうです。

国民全体での比率に対して、あまりにも少ない障害者と健常者の接点。現状の日本の社会がいかに障害者の方を「隔離」しているか、実感をもって理解できます。

障害者などマイノリティの方を分離せず、自然に混じりあった社会をつくっていくことが、須藤シンジさんの進める「意識のバリア」の撤廃であり、「ピープルデザイン」という考え方なのです。

■「マイノリティを分離ではなく自然な混ざり合いを」
「マイノリティを分離ではなく自然な混ざり合いを」
※川崎市報道発表資料より

須藤シンジさんは「意識のバリア」を撤廃するさまざまな取り組みをされていまして、その実践例が、本書では紹介されています。
たとえばそのひとつが、「障害者が使いやすい、カッコいいシューズを作ろう!」というものです。

本書の中でも語られていますが、須藤シンジさんは、身体に障害をお持ちのお子さんがいらっしゃいます。
そのお子さんが履くカッコいいシューズがない、というニーズを原点として、須藤シンジさんが大手メーカーや一流のデザイナーなどを巻き込んで、そんなシューズを実現させていく過程が語られています。

■障害者の方が履きやすく、デザイン性の高いシューズ
障害者の方が履きやすく、デザイン性の高いシューズ
※お子さんのニーズを原点として企画されたシューズとは別のアイテムです。

障害者向けのアイテムというと、「福祉用品」というイメージで、一般にファッション性が高いとはいえないものが多いです。
その常識を変えて、きわめてファッション性の高いアイテムを、ファッションフリークが集まる人気のセレクトショップに当然のように並ぶ環境をつくっていくということです。

須藤シンジさんが企画されているアイテムは障害者が使いやすいための設計をしつつも「障害者だけのための」ものではなく、ファッションフリーク全体に支持され、健常者も障害者も当たり前のようにショップにそれを買いに来ることを前提につくられています。

これには、前述の社会に構築された壁、「意識のバリア」をなくしていく意図がありまして、本書では下記のように説明されています。

■「意識のバリア」をなくしていくステップ(本書より引用)
1.ファッションフリークに売れるクリエイターによるデザイン
2.ファッションフリークに売れる
3.ピープルデザインのメッセージが事後的に購入者に伝わる
4.売れる商品のため、店頭にいつも並んでいる
5.その存在を障害者が知る
6.障害者がマチの人気ショップに買い物に出かける


何ということもないように見えるかもしれませんが、人口比からすると、それなりの規模のショップであれば常に障害者の方がひとりふたりは店内に来ているのが自然な姿ということになります。 現在はまだ、自然に街で混じりあう状態にない、ということですね。

こうしたシューズで全ての問題が解決するといったことではもちろんありませんが、社会の現状をリ・デザインしていく、ひとつの仕掛けかと思います。

■非常にはめやすいファスナー
非常にはめやすいファスナー

こちらは、非常にファスナーがはめやすいウェアです。

実のところ私もなかなかはまらなくて苦戦するときがありますので、「こすぎナイトキャンパス」で実物を触らせていただいて、個人的に欲しいと思った一品でした。

障害者の方が使いやすいデザインの多くは、健常者にとっても使いやすいものですね。

■住吉書房元住吉店のスロープ(※参考写真)
住吉書房元住吉店のスロープ

最近、武蔵小杉周辺の店舗等でも、「ハートビル法」の後押しなどもあり、スロープの設置などバリアフリー化を行うところが増えてきました。

一方で欧州の都市などは石畳も凸凹があり、建物の段差も解消されずにハードはまったくバリアフリーとはいえませんが、必ずしも社会としてはアンチ・バリアフリーではない、と本書では指摘されています。

普段から自然に街中で健常者・障害者が混じりあう環境にあって、自然に助け合う状態になっていれば、多くは問題がなかったりするわけでして、「心のバリアフリー」が重要であるというのが、本書のメッセージになっていました。

本エントリでご紹介しているのはごく一部で、本書内ではほかにもさまざまな取り組み実例が解説されています。


さて、そんな活動を展開する須藤シンジさんのピープルデザイン研究所は、折りしも2014年7月15日付で川崎市との包括協定を締結しました。

■川崎市市長会見資料 川崎市と特定非営利活動法人ピープルデザイン研究所との包括協定の締結について(PDF)
http://www.city.kawasaki.jp/160/cmsfiles/contents/
0000059/59437/140715-2.pdf


川崎市は今後ピープルデザイン研究所との協力により、多様な人々が混ざり合い、賑わいのあるダイバーシティ(多様性)のまちづくりを目指した取り組みを推進していくことになります。
今後は2020年東京オリンピック・パラリンピック、2024年市制100周年を見据えたまちづくりを行っていくとされています。

■川崎市 夏休み ピープルデザインシネマ
http://www.city.kawasaki.jp/350/page/0000058974.html

すでに参加受け付けは終了していますが、「ピープルデザイン川崎プロジェクト」の皮切りとして、「ピープルデザインシネマ」がラゾーナ川崎プラザで開催されます。
聴覚障害のある方に、パイオニア株式会社が開発した、音を振動で、感じて、楽しんでいただくための装置「体感音響システム」を30台設置しているほか、須藤シンジさんによるトークセッションも行われます。

 市長会見資料では川崎フロンターレなどと協力して進める事業などが紹介されていますが、行政との枠組みとは別に、ピープルデザイン研究所が市民グループなどと協働した活動もすでに武蔵小杉では行われています。

■ピープルデザイン研究所 武蔵小杉駅から等々力競技場近くまでの清掃活動
http://www.peopledesign.or.jp/news/?id=206993486035754_677531958981902

これはピープルデザイン研究所が、NPO法人グリーンバードとの協力により、武蔵小杉駅から等々力陸上競技場までの清掃活動を行ったものです。

今後は行政の枠組みをベースに、川崎市内各地においてピープルデザイン研究所の協力による活動が展開されていくものと思います。

■「ピープルデザイン」のコミュニケーションチャーム
「ピープデザイン」のコミュニケーションチャームについて

■ピープルデザイン研究所 コミュニケーションチャームについて
http://www.peopledesign.or.jp/project/charm/

こちらは、ピープルデザイン研究所が渋谷区福祉作業所と協力して作成した「コミュニケーションチャーム」です。
街中で、「困っていたら私に声をかけてください!」、「私、何でもお手伝いします!」、「ハンディがある方をサポートをします!」という意思を表明してくれた方に、そのサインとして身に付けてもらうものです。

外国人の方など、言葉が通じなくても指差しで対話できるように、困った時に良く使われる6つのアイコンをデザイン化しています。
これもやはりデザイナーの方が機能性に加えてファッション性も追求したもので、街中でパッと目に入り、自分も身に付けたいと思うようなアイテムになっています。



急激に街の人の意識を変えるというのは、なかなか難しいことです。
ただ今回の「こすぎナイトキャンパス」において、須藤シンジさんを交えてさまざまな感想、意見や体験を共有していく中でもさまざまな気付きはありましたし、参加した皆さんが少しだけでも意識を変えていくことで、徐々に地域に広がっていくものもあると思います。

都市化が進む川崎市や武蔵小杉が、「心」の部分で誇れるような街になっていければ、とあらためて感じた次第です。

NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメントの読書会「こすぎナイトキャンパス」では、今後もさまざまな課題図書を選定していきます。
本サイトとの共催によりたいへん盛会となった「武蔵小杉Walkerで地元を語る会」で要望の多かった「地元本」もまた採用されるかと思いますので、また機会があればご案内したいと思います。

■リエトプラザで開催「こすぎナイトキャンパス」
リエトプラザで開催「こすぎナイトキャンパス」

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